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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第三十四章—蒼紅の激突
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173 蒼紅の激突

赤ネームの大剣が肉挽き器のようにソフィアの部隊へ振り下ろされ、青軍の前線では血肉が飛び散る。重装兵はほぼ全滅し、脆い魔導士や弓手が敵の前にさらされた。


さらに矢の雨が降り注ぎ、何人も倒れ、そのまま赤ネーム軍の中へ引きずり込まれて乱刀で切り刻まれる。


聖盾翼エンジェリック・シェル!」ソフィアが空中に巨大な半身天使を召喚する。白い翼を広げ、母のように仲間を覆い、飛来物のダメージを半減させた。


猛烈な攻撃で天使の羽は枯葉のように散り、わずか十秒でほとんど落ちてしまう。


青い光は徐々に赤い海へ呑み込まれ、命は暴風の中の灯火のように今にも消えそうだった。


「援軍はどこよ?!」ソフィアは血まみれの顔で怒鳴る。

仲間を守るために全力を尽くし、一秒でも長く時間を稼ぐ。振り返った瞬間、絶望が胸を貫いた――泌尿医の聖旗はまだ丘の上に立ったまま、遠巻きに戦場を眺めている。周囲には40人以上、しかも教皇直属の強力な処刑人まで混じっていた。


ソフィアの側に残ったのは、ほんの数人のギルド仲間だけだった。それでも彼らは退かずに立ち続ける。


「ソフィア、撤退だ! 命まで失って神託なんぞに、命を懸ける価値があるのか!」狙撃手の一人がソフィアを背に庇いながら叫び、屋上の敵へ射撃を浴びせる。


「どうやって?! 突破できない!」ソフィアは慌てて周囲を見渡す。

血飛沫が飛び散り、赤ネームの光が視界を埋め尽くす。青い生命の光はほとんど消えかけていた。


「うおおお!!」ソフィアの背後で近衛兵が突然銀の光柱を噴き上げる――過負荷。


「天護の衝撃!」彼は砕氷船のように前方の赤い海を突き破り、味方のために一人分の突破路をこじ開けた。


「ソフィア!! 早く行け!!」守魂衛が振り向いて叫ぶ。


ソフィアは歯を食いしばり、生き残った仲間を率いて突破する。

防御盾、回復術、ダメージ軽減――使える技能はすべて仲間に使い、自分の傷だらけの身体など顧みなかった。


血まみれの守魂衛は十数人の赤ネームに包囲される。銀の聖鎧は蜂の巣のように穴だらけになり、盾も何度も切り裂かれた。それでも全身の力を振り絞り敵へ突進し、ソフィアの退路をこじ開けようとする。


キン――横から振るわれた大剣が、彼の盾を握る腕を一閃で斬り落とした。


防御は一瞬で崩れ、全身の弱点が敵の刃へさらされる。


ザシュ、ザシュ、ザシュ――複数の武器が一斉に身体を貫いた。


守魂衛は激痛で声も出せない。それでも最後の息を吸い込み、叫ぶ。

「ソフィア!!」


体当たりで前方の敵を押し倒す――赤い光の壁に隙間が生まれ、その先には黒真珠の外、静かな丘の斜面が見えた。


四方からの攻撃でソフィアは必死に応戦していた。そのとき、視界に守魂衛の瀕死通知が弾ける。


「神よ、あなたが私の最後――」


【システムメッセージ: ギルドメンバー 恋人未満 HP残り0%】


「シールド……」ソフィアは血で濡れた前髪をかき分けた。守魂衛がゆっくりと光の塵へ変わって消えていく。その命懸けでこじ開けた小さな隙間は、もう赤ネームに埋め尽くされていた。


ソフィアは手にした聖旗をゆっくり下ろし、足を止める。生き残っている仲間は四人だけ。城内では轟々と砲声が鳴り止まない。


「ソフィア……護心石、持ってる?」仲間の一人が諦めたように尋ねた。


「ないわ……あなたは?」ソフィアは表情を変えずに答える。


「これじゃギルマスに会って帰れそうにないな……」


「枢機卿は生け捕りだ! 他は殺せ! 早く隊形を立て直せ!!」ディベルは城外を見ながら焦って叫んだ。


赤ネームたちが一斉に襲いかかってくる。


「だめだ! そいつらは放っておけ、今すぐ引き返せ!」ディベルは慌てて怒鳴ったが、その声は戦場の喧騒に呑まれて誰にも届かなかった。


「生命の讃歌アンセム・オブ・ライフ!」


一本の緑光が地を突き破って立ち上がり、ソフィアたち残兵を照らす。全員のHP残りが一秒で全快した。


「三倍速!」


ドォン!!!


赤い波の後方が突然一面の蒼に染まる。骨馬にまたがった騎士が守備隊の包囲を突き破り、ソフィアのもとへ駆け込んできた。


「黒雷」空中の浮遊鏡から十本の黒い光砲が放たれ、前方の敵軍をまとめて吹き飛ばす。


「突っ込め!」カンドウは火騎槍を掲げ、全身を棘に覆われた黒甲の骨馬でソフィアの頭上を飛び越え、Kanatheonの重装隊を率いて赤陣を粉砕した。


「続け!! 殺せ!!」パシュスは三十人あまりの青ネームを率い、カンドウが穿った突破口から赤い海へ雪崩れ込む。


「ついて来て!!」蒼い光の中から優しい笑顔が現れ、呆然としていたソフィアの手を引いて走り出した。


「ニ……ニフェト?」

ソフィアはいつの間にか明るい蒼光に包まれていた。周囲には白い仮面をつけた味方ばかり。身を覆う青い光環が、さっきまで自分を呑み込んでいた紅光を押し返していく。


「中央を突いて、あいつらのギルドホールを叩くの! 時間がない!!」ニフェトはソフィアの手を引いたまま、歯を食いしばってKanatheon重装隊の後ろに続いた。


……


「GMまで現れたのか……」ディベルは、空中に浮かんで黒真珠を静かに見下ろす少女の姿を見て呟いた。


カンドウ率いるKanatheon重装隊は破竹の勢いで黒真珠へ突入し、戦場を縦横無尽に駆け抜け、誰一人として彼らの進撃を止められなかった。


彼ら全員、地獄のような王都戦争をくぐり抜けてきた歴戦の兵だ。夢の唇がその場しのぎで集めたごろつき共とは比べものにならない。


前衛は重装隊が突破し、聖職者が中央を支えて四方を援護する。魔導士と弓手は自由に動いて可能な限り敵を削る。さらにパシュスは二人の近衛兵を後衛に置き、背後からの奇襲に備えていた。


「俺について来い!!! 右だ!!!」カンドウは丁字路で叫び、火騎槍を高く掲げて後続に進路変更を示す。骨馬は再び加速し、そのまま赤ネーム軍の防衛線へ突っ込んだ。


混沌そのものの戦場の中で、彼らは水面のように静かな心で指揮官に従う。スキルも立ち回りも寸分違わず、全員が大隊の一部として噛み合っていた。これこそが正規軍とザコの群れとの違いだった。


Kanatheonを中核とした主力軍は、一気に黒真珠の四層に及ぶ重装防衛線を突破し、ついに夢の唇ギルドホール前へ到達する。


「何をしてる?! 早くあいつらを止めろ!!」ディベルは後方で立ちすくむ者たちを指さして怒鳴った。


赤ネームたちは、この四十人にも満たない青軍が破竹の勢いで突き進んでくるだけでも衝撃を受けていた。だがそれ以上に、青軍が戦えば戦うほど勢いを増し、聖職者までもが老練で容赦のない目をしていることに戦慄した。


「いつものタイマンPVPと全然違う……」

「連携スキルだと?! 反則だろ!」

「に、逃げろ! あいつら絶対にガチ勢ギルドの部隊だ! 勝てるわけない!」


赤ネームたちは戦う前から動揺し、士気が崩れて後退し始めた。


「突撃―――!」カンドウが前方を指して叫んだ瞬間、巨大な十字架が正面から飛来し、騎馬ごと吹き飛ばされて隣の木造家屋へ叩き込まれた。


狭い街路の先は、赤い光で埋め尽くされている。その輝きはニフェト聖団の蒼光に匹敵していた。道を塞いでいるのは――H十字軍。


「正義を名乗りながら、心の奥では利益のために殺している連中か……来いよ」アビルは巨大な逆十字を握り、街路の中央で言った。



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