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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第三十章—聖白の女皇
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138 大天使のデスゲーム

ゴゴ……


石門が重々しく開く。内側は金色の鏡面光。


鏡面が波打ち、そこから多くの天使守衛が飛び出す。


「構え!」むぐち の指揮で、Kanatheonは湖正面に防衛陣を完成させた。


「はっ。見つかったか」


「ええ。せいぜい楽しみなさい」


男女の声がはっきりと響く。


石門の金鏡に亀裂が走り、内側から強光が噴き出す。


バキィン!!!


金鏡は砕け、黄金の光屑となって宙に舞った。


二体の巨大な双翼のエルフが門から飛び出す。全身に金粉をまとい、華麗に降臨。


銀の短髪、金銀の鎧、神翼聖剣、背に巨大な黒翼——サヴァンス大天使長。


銀の長髪、黒金の聖衣、黒蛇の長杖、背に巨大な白翼——ミミ大天使長。


【システムメッセージ: サヴァンス大天使長があなたを注視している】

【システムメッセージ: ミミ大天使長があなたを注視している】


二人の大天使長は天使守衛を率い、湖上に現れて連合軍を見下ろす。


「…………」連合軍は水を打ったように静まり返り、数名は恐怖で戦意を喪失し、這うの体で逃げ出した。


「戦う……それとも退く……」ニフェトは法衣を握り締め、思わず一歩後ずさる。


「これは……どうすれば……」むぐち も、湖上に二人同時出現という想定外に言葉を失う。


その時、巨大な黒影がKanatheon上空に降り立ち、黒い盾のように覆いかぶさった。

「飛べるのはあんたたちだけじゃない!」


アンドリアが黒淵竜に騎乗して現れる。


「ミミ、我らが最後に戦場へ出たのはいつだった?」サヴァンス大天使長が笑う。


「百七十年ぶりかしら? 大砲で腕を吹き飛ばされ、槍で腹を貫かれるあの痛み……もう一度味わいたいわ〜」ミミは空中で腿を擦り合わせ、頬を紅潮させる。


「大天使長が二人出現! あれを倒せばヴィニフ宮殿は落ちる! 奮い立て!」アンドリアが叫び、士気が一気に跳ね上がる。


「ミミ〜本気みたいだな」サヴァンスが軽く言う。


「ええ。お客様は丁重にもてなさなきゃ……久しぶりの……殺戮……戦場……ああ、女皇がここにいれば……」ミミは顔を隠し、指を鳴らす。


連合軍前方の森が強烈な聖光に包まれ、整然たるハイエルフ軍が姿を現した。


密集した聖樹の軍旗が槍に掲げられ、自らが軍団所属であることを示す。


回復しかけた士気は再び沈み込む。アンドリアも息を呑んだ。ハイエルフは城外で決戦を選んだのだ。


「面白い」レックスは双大剣を抜き放つ。


「戦う? 退く?!」ニフェトがむぐち に迫る。


「退路はない!」むぐち は迷いを断ち、決戦に命を賭けた。


「Kanatheon万歳!!!」

「うおおお!!!」

プレイヤー連合は士気が最高潮に達する。


「存分に戦え」ニフェトが七武聖に言い放つ。


ドン!


七武聖の肉体から黒炎が噴き上がり、天へ伸びる。


「まあ〜ダークエルフの武聖。あの拳、懐かしいわ」ミミが愉悦を滲ませる。


「村を滅ぼされた怨み……今日こそ決着をつける!」七武聖が同時に吼え、万軍の咆哮のように轟く。


戦端は今にも弾ける。


ドォン!


ハイエルフ軍が重厚な砲撃を放ち、巨大な深紫の幻影魔力砲が空へ撃ち上がる。


砲撃は触れた樹葉を焼き尽くし、空に紫の灯を灯して幽語の森を照らす。


Kanatheonは東で湖上の大天使長と天使守衛を迎え撃ち、銀龍の刻印は高地で北のハイエルフ軍と対峙する。


互いに側面を預け、連携を取る。


アンドリアは両軍の間を飛び回るが、大天使長に単騎で挑む勇気はない。


「なぜ攻めてこない?」ニフェトは左手に神杖、右手に魔力ポーションを握り焦る。


だが大天使長も天使守衛も攻撃せず、ただ湖上に静かに浮遊している。


「何を待ってるの……」かなは周囲を見渡す。連合の陣形に綻びはない。


「砲撃来るぞ!!!」銀龍の刻印前線が悲鳴を上げる。先ほど放たれた魔力砲が、ゆっくりと陣中央へ落下していた。


砲弾は空中で弾け、数十の紫の小幻花へと分裂する。雪片のように静かに舞い落ち、戦場は一瞬、幻想的な光景に変わった。


「後退!」ノクスが即座に命じる。紫花が魔力砲の分裂弾だと理解していた。


だが数名の重装が反応に遅れ、紫花に包囲される。


小花は広範囲に散布され、いかに走ろうとも逃げ切れない。彼らは盾を掲げるしかなかった。


紫花は肩、背、腿、腕に張り付く。


全軍が息を呑む。しかし爆発は起きない。花は綿のように落ち、無害に見えた。


ジジ……


三人の身体から刺激臭を伴う酸性蒸気が立ち上る。紫花は装甲上で溶け、強酸へと変質し、防具を腐食させ穴を穿った。


「防御力ダウン弾!」アンドリアが飛竜上から叫ぶ。


ドォン!


ハイエルフはさらに数発を撃ち込む。


「防御が半分近く落ちた!」

「聖属性装甲が壊れる! 修理キットを!」

「皮膚まで溶ける! 洗い流してくれ!」


三人は後方へ走る。


「うわっ! 離れろ!」だが強酸が味方へ付着し、拡散する。


三人が五人に、五人が八人に、八人が二十四人へと増える。


前線は蒸気に包まれ、汚染された者は後退し装備を脱ぎ捨てた。


ふわり……再び紫光の花弁が空を覆う。


「下がれ!!!」アンドリアが命じる。


「これ以上退けばKanatheonの側面が危険です!」ノクスが叫ぶ。


「構うか! 素っ裸同然!」アンドリアは魔砲火力の回避を優先した。


……


一方、湖畔のKanatheonも戦闘に入る。


「Kanatheonは悪人ばかり。跳ぶければ神罰よ?」ミミ大天使長が微笑む。


「戦うなら降りてこい!空でふんぞり返ってんじゃないわよ!」かなが罵る。


大天使長は狙撃圏内ぎりぎりに浮遊している。むぐち は接近を待ち、同時射撃を狙っていた。


「待て……天使守衛は?!」むぐち は守衛の姿が消えていることに気付く。


「アンドリアに伝え——」命令を出しかけた瞬間、足元から金光が噴き上がる。


ザン!


「うああ!!!」無数の光の聖槍が地を突き破り、Kanatheon全員を下から貫いた。全員のHPが30%減少。


「ほらね、神罰だって言ったでしょ?」ミミが腹を抱えて笑う。


「愚か者」サヴァンスは腕を組み、嘲笑する。


「……何のギミックだ……」むぐちは腹を押さえ、苦悶しながら思考を巡らせた。


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