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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十九章—煉獄から蘇りし者
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134 裂溝の死闘

ノクスとむぐち やよいは同時に左を振り向く。


戦車のような巨体を誇る金熊が十数体、怒涛の勢いで樹木をなぎ倒し突進してきた。


同時に背後からも鬨の声。百近いハイエルフ巨盾兵が金熊と連携し、挟撃を仕掛ける。


「重装部隊、反転! 後衛、応急射撃開始!!」

むぐち やよいとノクスが即座に指示を飛ばす。


「うおおおっ!!」

プレイヤーとハイエルフの重装部隊が激突し、怒涛の衝撃波が走る。


突然の陣形変更により、散開したプレイヤー連合は整然とした盾兵と乱戦に突入。次々と倒れ、砕けた金属片が地面に散った。


静寂だった森に火花が散り、無数の魔法光が空を駆け、闇を切り裂く。


ハイエルフ盾兵の突進力は凄まじい。乱れたKanatheonの隊形では止めきれず、後衛へと深く食い込み、前線をほぼ貫通した。


聖白の銀鎧は闇の中で異様なほど目立ち、Kanatheonへ心理的圧迫を与える。


「モオォォッ!」


装甲サイに騎乗した騎兵が前方から引き返し、支援へ突入する。


ドゴォォォン!!!!

まるでブルドーザーのように、陣内のハイエルフ巨盾兵を弾き飛ばした。


「あの突破口を集中砲撃!!」

かなが五騎の突撃地点を指差し、怒鳴る。

直後、範囲魔法が一斉に炸裂し、その一帯の巨盾兵を瞬時に蒸発させた。


Kanatheonは辛うじて盾兵の突進を食い止め、混沌の肉弾戦へと移行する。


一方、銀龍の刻印は金熊と死闘を繰り広げていた。炎も雷もほとんど通じない。立ち上がれば見上げるほどの巨躯。重い熊爪が何人ものプレイヤーを吹き飛ばす。


前線は幾度も引き裂かれ、背後からは盾兵が圧迫する。幸い、熊の火力は致命的ではなく、大量死には至っていない。


レックスは最前線で巨熊と渡り合う。

原罪の大剣が鋭く閃き、巨体に幾筋もの裂傷を刻む。だが痛みは怒りを増幅させ、三体が同時に襲いかかる。


その瞬間、レックスは踏みとどまり、回転斬撃を放つ。


原罪の剣身に穿たれた穴の一つが赤く発光――「潜罪犯」の特殊効果が発動。


「グォォ……」

三体の金熊が突如、互いに噛みつき始める。


銀龍の刻印の前線は隙を突いて立て直し、巨獣同士の狂乱を呆然と見つめた。


レックスは高く跳躍し、もう一本の銀花大剣を抜き放つ。


「砕岩!!」

二本の大剣が同時に地面へ叩きつけられる。


ゴオォォン――


三体の金熊が一刀で両断され、その場で絶命した。


「まずい! このままじゃ有効打を出せない! 長引けば無駄な損耗が出る!」

ノクスがむぐち やよいの前へ駆け寄る。


「全軍に告ぐ! 右の下り坂へ突入、狭地で迎撃する! 森の中で戦うな! 直ちに右の裂け目へ退避!!」

むぐち やよいが喉を潰す。


連合軍は一斉に下り坂の裂溝へ雪崩れ込んだ。


巨盾兵と金熊が追撃し、狭い通路へなだれ込む。逃げ遅れた数名のプレイヤーが押し倒され、巨獣の餌食となった。


「重装隊、踏みとどまれ!!!!」

ノクスが怒鳴る。


「不動如山!」

騎士たちが即座に防壁を組み、肉体で金熊の突進を受け止める。


ドンッ!!!


衝撃は凄まじく、彼らのHPが水のように削り取られていく。


「高位祈祷」「慈悲の涙」「大地の聖歌」

後衛のビショップ団が即座に詠唱し、前線を回復するが、均衡は崩れない。


裂溝の両側には十メートル級の土壁。

先頭で道を開いたサイ騎兵も、この狭さでは引き返せない。


「駄目だ! 近接じゃ止めきれない! 大剣か騎槍の間合いが必要だ! 遠距離は散開していて火力が出せない!」

ノクスが叫ぶ。


「騎兵、俺について来い!!!!」

Kanatheonの一人のサイ騎兵が騎乗を捨て、長槍を握って隊列後方へ走る。


Kanatheonと銀龍の刻印の騎兵たちは戸惑うが、考える暇はない。次々と下馬し、人垣をかき分けて後方へ集結する。


通路幅は五人分。

後方の重装隊は金熊に押され、徐々に後退していた。


「ここに列を組め!」

熱血騎兵が腕を広げる。騎兵たちは腰を落とし、槍を水平に構え、二列の槍壁を形成した。


「ニフェト会長のために、ここを死守するぞ!!!!」

その雄叫びが仲間の闘志に火をつける。後方のプレイヤーたちも騎兵の背を支え、力を合わせて踏みとどまる。


数体の金熊が真正面から突っ込む――


「三連突き!」

「三連突き!」

「三連突き!」


十数本の槍が同時に突き出され、巨体を貫いた。金熊はついに崩れ落ちる。


その巨大な死骸は肉の壁となり、後続のハイエルフ巨盾兵は盾を下ろして熊の屍をよじ登らざるを得ない。

だが乗り上げた瞬間、騎兵の槍が突き上げ、多数の女盾兵が即死し、プレイヤー陣へ転落した。


熱血騎兵の指揮のもと、槍陣は鉄壁となって敵を食い止める。味方はその隙に陣形を立て直す。


「浪人とバーサーカー、前へ! 魔導士は止めるな! 反撃開始!!」

むぐち やよいが後方を指差し怒号を飛ばす。


連合軍は守勢から攻勢へ転じ、押し返す。


だが熊の死骸は魔法の爆撃で粉砕され、光塵となって消えた。

直後、背後の巨盾兵が再び盾陣を組み直し前進する。


「俺に続け、カンドウが道を切り拓くッ!!」

熱血騎兵カンドウが槍を高々と掲げ、女エルフの盾壁へ突撃する。


「うおおおっ!!!」

騎兵団は整然とした槍壁で楔のように盾陣へ突き刺さった。


多数のハイエルフが急所を貫かれ、その場で崩れ落ちる。


浪人とバーサーカーが槍陣の隙間から飛び出し、盾兵へ猛攻を浴びせる。


女盾兵は槍に倒れるか、浪人やバーサーカーの両手武器に断たれるか――次々と戦線から消えていった。


エルフ盾兵は崩れ始め、さらに後方から連合軍の火力が再び集中すると、もはや攻勢を維持できず、大盾を掲げて新たな防壁を築いた。


「待て! 全軍、後退!」

むぐち やよいは異変を察し、即座に命じる。


「なぜだ?!」

ノクスは彼女の表情を見て不安を覚える。


「防御に切り替えた……金熊の左襲と背後の盾兵……私たちをこの裂溝へ誘い込む罠よ!!!」

むぐち やよいは振り返る。


裂溝の反対側――そこにはハイエルフ重装月矛兵の別働隊がすでに進路を封鎖し、じわじわと前進していた。


「重装隊、反転! 急げ!!!!」

むぐち やよいが叫ぶ。


そのとき、両側の土壁から無数の緑光が浮かび上がった。


全身に鳥肌が立つ。

あの光――ハイエルフ弓兵の付与魔法矢。


次の瞬間、土壁の上にびっしりと弓兵が並ぶ。


狭い裂溝に詰め込まれたプレイヤーたちを見下ろし、嘲るような笑みを浮かべ、弓弦を限界まで引き絞る。


「Ξヲ∬!」

号令とともに、緑光の雨が降り注いだ。


ヒュヒュヒュヒュヒュッ!


「聖庇所!」

ビショップたちが一斉に防護陣を展開するが、全員を覆うには足りない。

回避も防御もできぬ遠距離職が次々と射倒される。


「位相シフト!」

かみこが即座にまつみ、トリ、レックス、銀龍の刻印の刺客たちを土壁上へ転移させ、弓兵の排除に向かわせる。

騎兵の槍陣は後方を固め、パシュス率いる近衛兵団が前方の月矛兵へ突撃した。


もはや盾の押し合いではない。

真の殺戮――刃が閃き、悲鳴が裂溝を満たす。


矢の雨は機関銃のように連射され、裂溝内の連合軍を薙ぎ払う。


【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】


HPが急落する。ビショップは魔力盾を解除して回復へ回るが、直後に緑光がさらに負傷者を増やし、悪循環に陥る。


【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】

【システムメッセージ: ギルドメンバー ... HP残り20%】


土壁上へ転移した刺客隊も、大剣兵に阻まれ、苦戦を強いられていた。このままでは時間の問題だ。


ハイエルフ軍は完全に主導権を握り、連合軍を裂溝へ押し込めた。


このままでは百名超がここで全滅する!


「反動衝撃!」


巨大な白い毛玉が砲弾のように背後から飛来し、女エルフ盾陣を吹き飛ばす!


巨盾兵が一斉に振り向く――白衣に紫髪の少女が、その背後に立っていた。



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