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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十八章—血塗られたハゲグ
123/198

122 【システムメッセージ: 第三回王都戦争 開始】

攻城戦前夜、ハググ公会塔・最上階会議室――


「Kanatheonの主力は内湖のギルド要塞に残すべきだ。


まつみとトリの情報を統合すると、今回ハググを攻める連合は二大主力ギルド。ギルド旗は“黒薔薇”と“青蛇”。総数は約四百。


Kanatheonは近接職が多い。遠距離火力が不足している以上、敵を港で止めるのは難しい。市街戦の準備が必要だ。」

むぐちは机上のハググ城模型を見つめながら言った。


「コホン。」

リオが軽く咳払いする。


「外湖の市街地は薄い鉄板一枚で囲われているだけだ。防御力はほぼゼロ。町が壊滅すれば、復興に莫大な時間と資金がかかる。」

パシュスは外周の小さな木片模型を指で倒した。


「コホン。」


「ギルドの礎石と会長の防衛が最優先だ。他は後回し。」

むぐちは内湖死守の方針を崩さない。


パリン――

リオが部屋の隅でグラスを割ったが、慌てる様子もなくしゃがんで片付け始める。


「注目を集めようと必死なのに、誰にも相手にされないリオさん?」

かみこは淡々と告げたが、その言葉は鋭くリオの胸に刺さった。


「リオ……言いたいことがあるならはっきり言って。ここは教室じゃないわ。」

ニフェトは苦笑しながら眉を寄せる。


「内湖の城は、私がいれば十分守れます。私の自慢の作はまだ実戦投入していませんが、制圧力と広域火力は狙撃手を遥かに上回る。防衛戦では特に有利です。


それに私は罠の専門家でもあります。入口付近に罠を集中させれば、敵は確実に死傷します。」

リオは胸を張って言い切った。


「うん、賛成。でも却下。あなたを信用していないから。」

むぐち やよいは長い髪を払うと、背を向けて模型の検討に戻った。


「おい! 装置はもう組み上げた! 設計も製作も全部俺だ、世界に一つだけだぞ! 信用してもらうために、目の前で組み立てまで見せたんだ! もう俺の一番高価な道具は全部見せたじゃないか!」

リオは悔しさをにじませる。


「むぐち……あなたの作戦は、ヴィニフ城を落とせなくても構わないという前提よね?」

ニフェトが眉をひそめた。


「当然。家も守れないで、何が攻めだ。」

むぐちは胸を張る。


「でも出撃しなければ、アンドリアを裏切ることになる。それは実質、宣戦布告よ……」

ニフェトはアンドリアの性格をよく知っているからこそ、不安を口にした。


「ギルドの礎石と、あなたの命が最優先。それ以外に議論はない。」

むぐちはきっぱりと言い切る。


「発言を求めます。」

かみこの声は羽のように軽いが、その重みは爆弾のように場を揺らした。


「どうぞ……」

むぐちは驚いてかみこを見る。


「当日、KanatheonがNPC防衛のハググ内湖を攻撃した際、多大な損害が発生しました。それは、この地が天然の防衛優位を持つ証明です。


加えて、外湖駐留には二つの利点があります。


一つ。Kanatheonは敵に察知されずハググを離脱し、ワスティン大聖堂で銀龍の刻印と合流可能。


二つ。町の資産を保全できる。


敵が何らかの理由で攻城を断念した場合、我々は即座に大聖堂へ向かうべきです。


内湖から出れば、Kanatheon主力の動向は敵に明確に把握され、再侵攻の判断材料を与える。だが外湖市街に主力を置けば、敵撃退後に静かに姿を消せる。味方でさえ、我々の移動経路は把握できません。


さらに、ハググの財政収入の 96.81%は市街区から生じています。外湖が破壊されれば、復興費用と時間は新興ギルドであるKanatheonに甚大な負荷となる。最も深刻なのは投資家心理。領地財産を守らない城主に、プレイヤーは投資しない。アンドリアが毎回四城壁を守るのは、そのためです。」

かみこは一語一語、静かに述べた。


「おお……」

幹部たちは息を呑む。


むぐちは言葉を失った。


「なんで彼女が自分から意見を!? お前、何か“進展”あったのか!?」

パシュスがまつみの腕をつかむ。


まつみは一瞬で顔を赤らめ、太ももをきゅっと閉じ、意味深に笑った。

「あなたには関係ないでしょ……?」


「ぐっ……この野郎……」

パシュスは雷に打たれたように固まり、まつみが自分から遠い世界へ進んだと錯覚する。


「はは! その美女の意見、全面的に支持します。防衛なら私が完璧にこなせます。」

リオは即座に乗った。


「むぐち……もし内湖が危なくなったら、その時は戻ればいい。どう?」

ニフェトが穏やかに問う。


むぐちは息を吐き、うなずいた。

「かずき。地霊に攻撃か補助スキルはあるのか?」


「ない」

かずきの足元の砂が文字を描く。


「ちっ……三次転職で花でも植えて金を生むほうがまだマシだ。四次転職で砂遊びじゃ金も稼げない。実戦価値もない。お前はギルド塔に残れ。四次転職の看板だけでも威圧にはなる。」

むぐちは肩をすくめた。


「(  -__-)凸」

黄砂がそう表示した。


「解散。明日は早いわ。」

ニフェトは立ち上がり、はっきりと告げた。幹部たちはそれぞれ最後の準備に取りかかる。

……


同じ空。

同じ大地。


ハググは生まれ変わっていた。荒野だった土地は商業の拠点となり、プラムスに並ぶ都市へと変貌している。


砂漠は森へ。

貧しさは富へ。

Kanatheonは攻める側から、守る側へ。


六十五名の主力精鋭が外湖市街中央広場に布陣する。


むぐち やよいは、内湖中央のギルド要塞をじっと見つめた。


円形の城壁にはKanatheonの魔導書紋章旗が掲げられ、風にたなびき威厳を放つ。


「ふぅ……」

むぐちは重く息を吐き、薄い鉄壁の向こうに広がる敵連合の無数のギルド旗を遠く睨んだ。


……


黒髪ロングの少女GMが、再び空中に現れる――


「皆さん、こんばんは。GM05です。今回で二度目の対応になります。


第三回王都戦争、まもなく開始です。現在、ハググはギルドKanatheonの管轄下にあります。会長の撃破、もしくはギルドの礎石破壊により占領権が移譲され、戦闘は即時終了します。準備を。カウントダウンを開始します。」

GM05はシステムアナウンスで告げた。


「おおおおおおおおおおおっ!!!」

遠方から地鳴りのような雄叫びが轟く。攻城連合の士気は最高潮だ。


ニフェトは掌に汗をにじませる。自分が、数百人の期待を背負っていることを痛感していた。


五。

四。

三。

二。

一。


【システムメッセージ: 第三回王都戦争 開始】

……

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