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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十七章—目には目を
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118 異端審問

【*本話には一部、残酷・暴力的な描写が含まれます。苦手な方はご注意ください*】


アンドリューは力の入らない拳を振り回し、荒道の身体を力なく叩く。その瞳は恐怖に見開かれ、涙がにじんでいた。


「罰その一――その口で、この少女を穢した」荒道一狼の目が鋭く光る――パァンッ!


「うああああああああああっ!!!」アンドリューは地面に叩きつけられ、絶叫した。

激痛が全身を貫き、床を何度も打ちつけながら。


「これで……スキルは使えない。ほら……返してやる。ハッ」荒道一狼は赤く染まったそれを無造作に放り投げた。


アンドリューは震える両手で拾おうとするが、その上から荒道一狼の足が踏みつける。


「罰その二――許可なく少女を拘束した」荒道一狼はアンドリューの両腕をつかみ、力を込める。

骨がミシミシと軋んだ。


ボキッ――


アンドリューの両腕が力なく落ち、激痛に身体を痙攣させる。

口を開いても、声は出ない。


「教えてやろう……俺は救いに来たんじゃない。お前を殺しに来ただけだ」荒道一狼は微笑みながらそう告げ、アンドリューの脚をつかんでさらに力を込める。


ゴキッ。


「やめてっ!」まこが悲鳴を上げた。


【注意: フレンド パシュス HPが0%になりました】


気を失ったパシュスの身体が光の塵となって散る。

アンドリューは信じられないという目で荒道一狼を見上げた。


「言っただろう? 俺は救いに来たんじゃない……ハハハハハ!」荒道一狼は立ち上がり、スキルを発動する。

「大地の息吹!」


アンドリューのHP残り1%未満だった数値がゆっくり回復し、意識も徐々に安定していく。


「ここが……懺悔の道の終着点だ」荒道一狼はアンドリューの額に軽く口づけた。


アンドリューは必死に首を振り、目で命乞いをする。


「罰その三――説明は不要だ。自分が何をしたか、わかっているだろう?」荒道一狼は邪悪な笑みを浮かべ、アンドリューの目を指差した。


アンドリューは涙を流し、何度も瞬きを繰り返す。


「その涙……尿みたいに安っぽいな」荒道一狼は一滴の涙を指で掬い、眺めてから弾き返す。

そして目つきが一変した――


「うっ……! ぐるっ、ぐるるるるるるるっ!!!」


まこはその光景を目に焼き付けるように見つめていた。

全身の感覚が、アンドリューの悲鳴を受け止める。

――復讐とは、こんなにも甘美なのか。


アンドリューの意識は次第に薄れ、ただ首を振ることしかできなくなる。


「罰その四――女性を侮辱した罪。死刑だ」荒道一狼は地面に落ちていた槍を拾い上げた。

「次は覚えておけ……それは、とても失礼なんだ」


ズチュ~~!


まこは目を見開いたまま、瞬きすら忘れて見つめている。

なぜか視線を逸らせない。胸の奥が奇妙にざわめいた。


ブシュッ――


【システムメッセージ: アンドリュー との双生霊魂契約 解除】


アンドリューはついに光の塵となって消えた。


まこの視界にメッセージが浮かぶ。

あの拘束は……完全に消えた。


「はぁ……実に楽しかった」荒道一狼は槍を放り捨て、まこへ振り返る。


まこの心臓は激しく鼓動している。

それでも視線だけは、荒道一狼から逸らさなかった。


荒道一狼は黒衣を脱ぎ捨て、はだけた胸元をそのままに、元の装いへと戻る。

そしてゆっくり、まこへ歩み寄った。


ふわり、と白布が舞い、荒道一狼は白い魔導士のローブをまこの肩にかける。


「もうレベル350か。この装備を着られるとはな……本当は高く売れたんだが、まあいい。やるよ」荒道一狼は苦笑し、まこの背後へ回る。

両手で黒い魔鋼の鎖を握り、一気に引きちぎった。


鎖はまるで飴細工のように断ち切られ、まこはその場に崩れ落ちた。


まこはすぐに衣服をかき寄せ、身を縮めて端へ寄った。


「大地の息吹」荒道一狼が緑の精霊を呼び出し、まこの傷を癒す。

傷は静かに塞がっていった。


荒道一狼はその場に腰を下ろし、バッグから菓子パンを取り出して豪快にかじる。

スタミナがゆっくりと回復していく。

まこは人形のように固まったまま、目の前で地面に座って食べ続ける奇妙な男を見つめていた。


荒道一狼は、まこが自分を見つめていることに気づき、パンを半分に割って差し出す。


まこは頭が真っ白なまま、それを受け取る。どうしていいのかわからない。


「聞け……この世界で純粋さを保つのは難しい。今まで無事だったのは、周りが守ってくれていたからだ。いつか今日みたいなことに遭う。下手をすれば、自分だけじゃなく仲間まで失う」荒道一狼はパンを飲み込みながら、父親のような口調でまこを指差した。


まこは返事もできず、ただ呆然と聞く。


「だがな……お前みたいな純粋な奴がいるから、世界はまだ美しい。賢い奴は腐るほどいる。足りないのは、優しい奴だ。自信があるなら、その心を守れ。ただし――最低限、自分を守れる力を持て。そして仲間を守れ。それが本当の優しさだ」荒道一狼は柔らかく笑い、まこの頭を撫でた。


まこは名もない涙を流す。胸の奥で感情が渦を巻き、ついに堰を切った。

「うわあああっ……!」まこは荒道一狼の胸に飛び込み、大声で泣き出す。


荒道一狼は突然固まり、両手を上げたまま動けなくなった。


崩れかけた入り口に黒い影が揺れる。

ゴゴゴ……と地面が震え、巨大な何かが上に着地した。


騒がしい足音と共に、武装した一団がなだれ込んできた。


「荒道一狼……やっぱりあなただったのね!!!」アンドリアが銀龍の刻印の精鋭五名を率いて現れた。


アンドリアはすぐに光孤剣を抜き、後方のメンバーも陣形を組んで荒道一狼へ迫る。


荒道一狼は無実だと言わんばかりに両手を上げた。


「待って……」まこは荒道一狼の腕の中から立ち上がる。


「おい! 彼女を放しなさい! 戦うなら私と!」アンドリアは光孤剣を突きつけ、荒道一狼へ怒鳴る。


荒道一狼は眉をひそめる、言葉を失ったように口を閉ざす。


「まこ、こっちへ来て!」アンドリアは距離を保ったまま叫ぶ。


まこは一度だけ荒道一狼を振り返る。

荒道一狼が肩をすくめて両手を広げると、まこはゆっくりとアンドリアのほうへ歩いていった。


「卑怯者! アンドリューと組んでまこを傷つけたわね。今日こそ許さない。プラムスの借りもまとめて返してもらう!」アンドリアはまこを背後へ引き寄せ、銀龍の刻印の司教が残りの傷を治療する。


「おいババア! 頭大丈夫か!? 俺はその……女の召喚師を助けたんだぞ!」荒道一狼が怒鳴り返す。


「…………」銀龍の刻印の面々は目を丸くし、一斉にまこを見る。


まこは何度も首を縦に振った。


「えっ……?」アンドリアは光孤剣を下ろし、荒道一狼とまこを交互に見る。

「どうしてあなたがここにいるの?」


「負けた後は普通にPVEしてるだけだ! 空羽谷あきはだにに来ちゃ悪いか!? たまたま通りかかっただけだ。放っておけなかった。それがそんなにおかしいか!?」荒道一狼は声を張り上げる。


「あなた……キャラ設定、ブレブレじゃない……?」アンドリアは口元を引きつらせ、半ば呆れたように荒道一狼を見た。


「くそっ……くそババア! 回復してから勝負しろ!」荒道一狼は叫んだ。

……

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