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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十六章—さよなら、我が愛しきもの...
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113 【システムメッセージ: フレンド 真子 はオフラインです】

まこは枯れ木にもたれ、ひとりで泣き続けた。涙がほとんど枯れ果てるまで泣き、やがて力尽きて眠りに落ちる。


枯れ木から数枚の乾いた葉が舞い落ち、まこの肩にかかる。まるで薄い毛布のように、そっと包み込むようだった。


「どうしたんだい、僕のプリンセス?」


耳元でやわらかな声が囁き、頬に触れる指先の温もりに、まこははっと目を覚ます。


視界に映ったのは、アンドリューの穏やかな笑みだった。


まこは小さく首を振る。今は誰とも関わりたくなかった。


「ふう……じゃあ、そばにいるよ」アンドリューは隣に腰を下ろし、幹にもたれて足を伸ばす。


まこは膝を抱えたまま、うつむいて黙り込む。


アンドリューが腕を回そうとすると、まこはすぐに払いのけた。


「……放っておいて」


「うん」アンドリューは素直に腕を引っ込める。しかしその瞳は、どこか愉しげに輝いていた。


日が落ち、星が瞬き、二人は言葉を交わさぬまま夜更けまで座り続ける。


アンドリューはロウソクと本を取り出し、静かにページをめくった。


「……あなた、悪い人?」まこは落ち着きを取り戻し、鋭い視線を向ける。


端正で細長い顔がわずかに笑みを浮かべ、本を閉じる。


「ずいぶんな質問だね。否定すれば善人になるのかな?」


「わたしは信じてる。裏切らないで……」


「さあね……定義次第だ。君のために何人も斬ったよ」アンドリューは苦笑する。


「みんなは信じない。でも、わたしは信じてる。わたしが普段おっちょこちょいだからって、信念まで愚かだって決めつけるなんて……」まこは揺れる炎を見つめ、沈んだ声で言った。


「どうして僕を信じる?」アンドリューは姿勢を正し、興味深そうに問う。


「ただ信じてるだけ。理由が必要?」


「はは……だから君はバカ扱いされるんだ」


「あなたも見下すの? わたしは、友達を信じるのに理由はいらないって思ってるだけ。言い訳なんていくらでも作れる。誰かを疑おうと思えば、弱点なんてすぐ見つかる。それって楽しい? みんなは愚かだって言うけど、わたしはそれを正直さだと思ってる。どうして常に警戒しなきゃいけないの? わたしはバカで、頭も心も空っぽ。でも、気にしなければ誰にも傷つけられない。この理屈、賢いあなたたちにはわからない?」まこは声を荒げた。


アンドリューの目がきらりと光る。


「はははは……やっぱりリリーに似てる。純粋で可愛い。約束しよう。君が感じる痛みは、僕も感じる。僕たちは運命共同体だ」微笑みながら頬に触れようとする。


「触らないで」まこはその手を弾いた。


「どうする? あの連中とぶつかっても楽しくないだろう。僕と来るかい。ここを離れて」アンドリューは笑みを消し、真剣な声になる。


まこは目を見開き、慌てた。


「離れる? 違う、そういう意味じゃない。ただ……尊重してほしいだけ。わたしはバカじゃない」


「僕がいれば、彼らはいらない。来いよ」


差し出された手を、まこは見つめる。


「いや……離れる気はない。誤解しないで。それに、休みが終われば学校で顔を合わせるし……」


「不快なら離れればいい。失った時間は戻らない。好きなことを楽しむべきだろう?」


「ただの……行き違い……すぐ仲直りする……」まこは視線を落とし、言葉を濁す。


「辛いのは事実だ。無理をするな。君はよく頑張ってる」アンドリューは静かに言った。


まこの胸がぎゅっと締めつけられる。そばにまつみもパシュスもいないと気づいた瞬間、足元の安心感が消えた。


もう一度、首を振る。


アンドリューはわずかに不機嫌そうに息を吐いた。

「もうすぐ攻城戦だろ。今のままじゃまずい。こうしよう。開拓者ギルドの倉庫に眠っている神器を渡す。それならみんなも僕を認める。君の悩みもなくなる」


まこは目を見開いた。

「神器って……伝説武器のこと?!」


原罪の大剣の数値が脳裏によみがえる。もしKanatheonが複数の神器を手に入れれば――無敵だ。誤解も一瞬で解ける。


「そうだ。ただし条件がある。キャラの状態をオフライン表示にしてほしい。倉庫の場所を知られるわけにはいかない。宝庫を荒らされるのは御免だ」アンドリューは肩をすくめた。


「……わかった。約束する」


【システムメッセージ: フレンド 真子 はオフラインです】


「さあ行こう。空羽谷あきはだにまでは遠いよ」アンドリューは立ち上がり、軽く体をほぐす。


「かずき……ちょっとだけ離れるね」まこはまだオンライン表示の名を確認し、幹に手を当てて囁いた。


――コトン。


枝から銀色の実が落ち、まこの頭に当たる。


小さな痛みを覚えながら、まこはアンドリューの後を追った。

……


翌晩、ワスティン大聖堂外の草原は灯りに照らされ、銀甲の人間歩兵と黒鎧の獣人が整然と並ぶ。


数百の兵が列を成し、圧巻だった。


「獣人騎兵は揃ったか?」木製の高台でアンドリアがノクスとともにパシュスへ問いかける。


「……250。指揮は任せる」パシュスは気の抜けた様子でインターフェースを操作する。


「どうした? 出征の日にその顔は縁起が悪いぞ」アンドリアは眉をひそめる。


「アンドリューって……どんな奴なんだ?」パシュスはぽつりと尋ねた。


アンドリアの表情が一瞬で引き締まる。

「何かあったのか?」


「何もないから困ってる。何を考えてるのかわからない」


「頭は切れるし、冷酷でもある。だが名誉にも金にも執着しない。快楽を追っている間は無害だ。近づかないのが賢明だな」


「まこが距離を置かない。俺たちが言っても聞かない」


「はは。まこか、あの間抜けな召喚師?」アンドリアは鼻で笑う。


「……どういう意味だ?」


「リリーにそっくりだ。何も考えず信じるタイプ。

アンドリューはそういう子が好きでな。昔リリーに振られても、懲りずにずっと張り付いてた。あいつ、執念深いぞ。」


パシュスは胸が痛む。自分は彼よりも劣っているのではないか、と。


「夜襲に来るか? ハイエルフを奇襲する」アンドリアが手招きする。


「やめとく。むぐちとニフェトが休めって言ってた。攻城戦は徹夜になる。俺は眠れなくて、代理で兵を連れてきただけだ」


「そうか。では今夜の戦果を楽しみにしていろ。出発!」


号令とともに、750のNPC兵が北へ進軍を開始した。

……



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