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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十六章—さよなら、我が愛しきもの...
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111 エルフ討伐への最終準備


その枯れ木は禿げた老人のように、枝先に数枚の金色の枯葉を残すのみで、風に揺れては一枚、また一枚と落ちていく。


「前触れはあったの?」むぐちは木の周囲を回りながら観察するが、ほかの木との違いは見当たらない。


「いや……いつもここに立って森を広げてたんだ。さっきギルドの木材在庫を聞きに来たら、もうこの姿だった。叩いても呼びかけても反応がない。怖すぎる……!」トリは取り乱している。


【密信 送信先:かずき 聞こえるか? 返事をくれ】むぐちは密信を送った。


小さな白い鳥がふっと空中に現れ、黒い枯れ枝に止まる。


皆が視線を交わし、これがかずきだと確信する。しかし、どんな形でも応答はない。


黒い夜空と静まり返った森が、ねじれた幹をいっそう不気味に浮かび上がらせる。


「あ……ログアウトした」まこがギルメン一覧を見つめたままつぶやく。かずきの名前が灰色に変わっていた。


枯れ木はラベンダー畑の中央に立ち尽くしたまま。友人たちはそばにいるのに、何もしてやれなかった。


三日後、プラムス中央要塞の高塔・宴会ホール――――


「一週間後、エルフ王都へ進軍する。我々がここ数日、北部を偵察した結果――幽語の森は北へ数百キロにわたって続き、いまだ果てが見えない。森は一面鮮やかな緑だが、中央だけ樹冠が濃い墨色に変わっている。ヴィニフ宮殿はおそらくそこだ」アンドリアは長机に大地図を広げ、Kanatheonの面々へ惜しみなく情報を共有した。


一同は卓上の精緻な地図を囲む。各同盟を示す小旗と、色とりどりの種族コマがいくつも置かれている。


「森の中の魔物や、エルフ軍の動きは確認できた?」むぐちの指先が幽語の森の上をなぞる。


地図が示すとおり、森の地形は極めて複雑だ。起伏する丘が木々に隠れ、無数の小径と浅い急流が森全体を縫うように走っている。


「確認できていない。ワスティン大聖堂から五十分以上飛行してようやく森の縁に到達し、エルフの木造砦を一つ発見した。こちらを視認した瞬間、銀光の信号花火を撃ち上げられた。仲間へ警報を送った可能性が高い。その後、森上空に入ったときにはエルフは姿を隠しており、軍勢の把握はできなかった」アンドリアの指は森の南端から中央へ一直線に滑り、そこで止まる。


「攻城兵器は持ち込むべきでしょうか?」ニフェトがためらいがちに問う。


「現実的じゃない。道中の地形が複雑すぎる」ノクスは首を振った。


「では、攻城兵器を先にワスティン大聖堂へ運ぶのは? 移動距離は半分になります」ニフェトは地図中央の大聖堂を指す。


「それは可能だが、誰が兵器を護衛する? 銀龍の刻印は初日から二手に分かれる。七割の戦力はグズの城外に駐留し、無人化したグズの城の支配権を早急に確保する。初日のプラムスは守備が薄い。これ以上、戦力を分けられない。Kanatheonは初の拠點防衛だろう。君たちも戦力は分散すべきではない。結論――兵力不足だ」ノクスはコマをばらし、それぞれが孤立する形で城内に置いた。


重い沈黙が落ちる。皆、地図を見つめたままだ。


「明後日、五百の人間歩兵を北へ送り、ハイエルフの戦力と布陣を試す。君たちも獣人を少し出してくれ」アンドリアが言う。


「わかりました。獣人騎兵二百を出します。指揮権も委任します」ニフェトは頷いた。


「城の設計、正直バランスが悪い気がする……プラムスは攻守両立、ハググは騎兵戦向き。グズは虫族の守備も城門もなく、まるで無防備なスラム。エルフの首都は外観すら不明で、危険な森を抜けなければ辿り着けない。明らかにエルフ有利だ」むぐちは淡々と分析する。


「俺のプラムスが羨ましいか?」アンドリアは肘で軽く小突き、にやりと笑う。


むぐちは冗談に乗らず、鋭く一瞥して顔をそらした。


「明日、NPC兵の数と出発時刻を再確認しましょう。軍は大聖堂城外で集合、でいいですね?」ニフェトがまとめる。


「問題ない」アンドリアは即答し、会議は解散となった。


Kanatheonの面々は石竜の背に腰を下ろし、アンドリアがハググまで送り届けることになった。


「パシュス……ここ二日、まこと話してないよね。喧嘩?」むぐちが唐突に切り出す。


「え……あ? いや、その……わからない」パシュスは歯切れ悪く答えた。


「聖骸大殿でのまこの動き、妙だった。無鉄砲だけど決断は速い。槍で貫かれても自分で処理した。明らかに無理してる。あなた、何か言った?」むぐちの観察から逃げ道はない。


ニフェトはさりげなく耳を澄ませる。


「軽々しく人を信じるなって……それと、頭を使わないバカだって」


「干渉する気はないけど、もうすぐ攻城戦よ。仲間同士の信頼は必須。いま彼女はかずきを守ってる。早く片付けなさい」むぐちは有無を言わせぬ口調だった。


「……わかった」

……

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