表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十五章—暴力の美学
109/195

108 絶対君臨

「目を覚ませ、バカまつみ!」パシュスはまつみを力任せに叩きつけ、地面の骨が砕け散る。


「なんで……頭が……こんなに痛いの……」黒い蒸気が瞬時に消え、まつみは正気を取り戻して身を起こした。


「さっき原罪者に殴られて気絶してた。俺が助けた。」パシュスが真顔で言う。


「次は私!? どこでギミックを動かせばいいの!?」かなの頭上に白い「4」が浮かび上がる。


「音楽……精神腐蝕された時、何かの音楽が聞こえた……」まつみは頭を押さえながら情報を絞り出す。


「まつみ、その顔どうしたの?」かみこがわずかに驚く。


「え……顔?」触れた瞬間、鼻は腫れ、頬は青く、歯も数本抜けていると気づく。


「骨琴を試せ! 音楽がヒントだ!」むぐちは後退しながら叫ぶ。骸骨の刃が再び迫る。


「原罪者は次の血池へ移動中。第二パーツの吸収まで、あとわずか」かみこが冷静に告げる。


かなは骨琴の鍵盤へ駆け寄る。

「白と黒がある! どれが4!?」


「黒は数えない! 白だけ!」前線で骸骨を押し返しながら、まつみが振り返って叫ぶ。


「4……これ!」かなが四番目の白鍵を押す。


ウォォォォォ――大広間に重厚で安定した旋律が響く。


「ぐああああああ!」原罪者が再び頭を抱える。


「大地を癒やす聖歌。」黒い左腕を伸ばし、聖術を発動する。


周囲に若緑の光が溢れ、全員のHPがほぼ全快する。


「うるさい……うるさい……!」原罪者は苦悶し、地面を転げ回る。


頭上の「4」は消え、白い宝石となってかなの手に落ちた。

「で、この石どうすんの!? 仕様が凝りすぎでしょ!」


「血池だ! 投げ込め!」むぐちが叫ぶ。


「近づくどころか、生き残るのも限界だ!」パシュスは攻撃を捨て、両手で盾を構え骸骨を押し返す。


「何か秘策はある?」まつみがレックスを見る。


「俺が道を開く。続け。」レックスが橙光の大剣を抜く。


「無理だ! バーサーカー一人じゃ危険すぎる!」むぐちが反射的に止める。


「へぇ……心配してくれるのか?」


むぐちは顔を背け、何も答えない。


レックスは大剣を肩に担ぎ、左手で握ったまましゃがみ込む。


「安心しろ……」バッグを探り、何かを掴む。


「問題ない。」


蒼水晶に銀花紋が刻まれたもう一振りの大剣を引き抜いた。


一同は息を呑む。両手に一本ずつ、巨大な両手剣。


軽く振ると、橙と蒼の軌跡が水蛇のようにしなやかに揺れる。


「片手で……両手武器を……!?」パシュスが呆然と呟く。


ガキン――ニフェトを守る障壁に骨蝙蝠が衝突し、ひびが走る。


「ふぅ……」レックスは深く息を吸い、ゆっくり腰を落として裂け目を見上げた。


「見せてやる……」


バリンッ!!!!光盾が砕け散る。


レックスは橙光の大剣を高空へ投げ放つ。


「昇龍万里……」


跳躍し、空中で橙光剣を踏み台にする。


鋭い眼差しで、蟻の群れのように蠢く骸骨の海を見下ろす。右腕の筋肉が膨れ上がり、背後へ大きく引き絞る。全身が震え、髪が瞬時に炎を帯びた。


「俺が四次職の……」


その上空に、炎を纏う超巨大な橙光巨剣が顕現する。空母のように宙へ浮かび、大広間の四分の一を覆うほどの規模だ。


「絶!対!君!臨!」


双眸からも炎が噴き上がり、巨剣とともに隕石の如く地面へ落下する。


轟!!!!!!!!


閃光が視界を奪い、大地が両断されたかのような激震が足元を揺らす。小隊は反射的に地へ伏せた。


土煙が晴れると、巨大な円形のクレーターが穿たれている。その中心にレックスが立っていた。


「――暴君。」


大地が震え、ホール中の骸骨兵が同時に粉砕される。滑らかな白骨粉が奔流となってクレーターへ流れ込んだ。


レックスは骨粉を浴びながら大剣で小隊を指す。

「道は開いた。行け。」


圧倒的な威力に言葉を失い、彼らは骨琴の下で立ち尽くす。


だが、かみこだけは冷静だった。

「13秒後、原罪者が第二パーツを吸収するぞ!」


むぐちが我に返ると、すでに通路から再び骸骨が流入し、原罪者も血池へ詠唱を始めている。


「動いて! 手伝って!」かながクレーターを見下ろす。


「天下君臨後は一時行動不能。先に行け。」レックスは双剣を垂らし、骨粉の湖の中で目を閉じ、静かに回復を待つ。


血池から黒い蒸気が立ち昇り、原罪者が身を沈めようとする。


「間に合わない! 何でもいい、撃て!」むぐちが叫ぶ。


「あと8秒で射程圏内。肢体獲得の可能性高。」かみこが息を切らしながら告げる。


「静電荷!」かなが立ち止まり、指を弾いて雪霊兎に雷属性を付与する。銀毛が透明な蒼電に浮き、丸く膨らんだ。

「行くよ、まこ!!!」


「反動衝撃!」


パァンッ!!!爆裂音とともに、雪霊兎は音速を超え、銀蒼の閃光となって原罪者へ突進する。


血池に足が触れる寸前、銀毛が衝突した。


だが横から屍の騎兵が迫り、硬竜骨を横薙ぎに振り抜く。


ドン!!!!


双方が同時に砕け、血飛沫が石壁へ飛び散った。


「フフ……」原罪者は振り返り、半身を血池へ沈める。


【システムメッセージ: まつみ パーティーから離脱】


「かみこ!!!」


「位相シフト。」


かみこは即座に鏡の盾を展開し、まつみを原罪者の背後へ転移させる。


「影縛術。」


【システムメッセージ: スキル 影縛術 使用失敗。原因:現在のエリアに影が存在しません】


むぐちが駆け寄った時には、原罪者はすでに血池へ浸っていた。


「OO!」まつみが思わず声を漏らす。


【システムメッセージ: 原罪者 2/5肢体を獲得】


「ハハハハハ! 迎えろ、ラロの走狗ども! 貴様らを喰らい、魔王に仕える!」


漆黒の身が血池からゆっくり立ち上がる。両脚は紅に染まり、額には悪魔の羊角。


「魔王に……仕える?」

小隊の背筋が凍る。禁忌の箱は、確かに開かれた。


血飛沫が四散し、我先に大広間へなだれ込んだ骸骨の全身から鮮血が噴き出す――それらは肉を得た屍人へと進化し、HPが大幅に上昇した。


屍人は重層的に包囲を固め、濃烈な腐臭が空気を満たし、喉の奥から抑え込まれたような呻き声を漏らす。動きは骸骨より速く、怒涛の勢いで押し寄せた。


「ラロ次元剣!」金光の一閃で一体を貫くが、空いた位置は即座に別の屍人が埋める。


「重力歪曲!」かなが多数を浮かせる。


「白の矢!」かみこが鏡の盾を操作し一帯を爆砕するが、空白は瞬時に埋め戻された。


まつみの黒鋼の短剣が屍群の間を舞う。


雪霊兎は再召喚待ち、まこは魔狼を呼び出して前に出す。しかし魔狼の魔法攻撃は屍人に有効打とならず、二体が背に取り付き噛みつく。


彼らは戦いながら後退し、小さな円陣へ縮む。


「魔鬼の触手!」むぐちが拳刃を突き出し、血柱を原罪者へ撃ち放つ。第三肢体は絶対に阻止する。


原罪者は振り向き、右腕で血柱を受け止める。血柱は即座に血管へ変質し、逆にむぐちの血を吸い上げ始めた。


「おいで……ラロの可愛い子……」唇を舐め、血管を強く引く。


予想外に引き寄せられ、むぐちは血管を握って踏ん張るが、力が違う。じわじわと距離を詰められる。


切断しようとした瞬間――


「枯骨の手」原罪者が赤い右腕で床を叩くと、足元から巨大な白骨の手が伸び、むぐちを強く掴んだ。


「ぐあっ!」玩具のように締め上げられ、鎧が軋み、肺の空気が押し出される。


「まこ! 魔狼でむぐちを救出! 護心石がない!」まつみが叫ぶ。骨槍が腋をかすめる。


全員が限界寸前だ。


魔狼が反転しようとした瞬間、五体の屍人に組み付かれ、やむなく応戦に戻る。


「くそっ!」まつみは突破を試みるが、屍の壁に阻まれる。


白骨の手は腕へと形を変え、むぐちを原罪者の前へ差し出した。


「う……あぁ……」腰が砕けそうだ。それでも歯を食いしばり、睨み続ける。


原罪者はなおニフェトの顔を保ち、頬に触れて唇へ口づけた。


「天護の衝撃!!!」ドンッ――パシュスが金色の盾を展開し、周囲を弾き飛ばして白骨の腕を斬り落とす。


「後方へ下がれ! 護心石がないなら無茶するな!」パシュスが前に立ち、屍人の反撃を受け止める。


「敗血術!」


視界が白く反転し、背後から再び刃が刺さる。


激痛はない。代わりに、背から胸へ、そして全身へと広がる鈍い灼熱感。振り返ると――むぐちの拳刃が自分の背に突き立っていた。瞳は赤く染まり、全身から黒い蒸気が立ち上る。


精神腐蝕だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ