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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十五章—暴力の美学
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107 屍の山


レックスが全速力で突進する。重い足取りで骨を踏み砕き、戦艦のように原罪者へ迫る。


「砕岩撃!」火竜大剣が再び叩き込まれる。しかし原罪者は瞬時に転移し、群れから離れた位置へ移動した。


レックスはそれを読んでいた。即座に身体を捻り、火竜大剣を投擲する。


転移はクールダウン中。原罪者は回避できない。


優雅に細い指をレックスへ向ける。足元の骨が軋み、前方に次々と骨壁がせり上がった。


ドォン!!!


大剣は半分の骨壁を粉砕するも、弾かれて骨山を滑り落ちる。


「チッ。」レックスは舌打ちし、バッグから黒地に橙紋の大剣を抜いて追撃する。


開戦直後から原罪者を執拗に追い、すでに骨山から離れた位置まで誘導していた。五芒星紋の近くには、Kanatheonの面々だけが残される。


骸骨の軍勢が瞬く間に包囲する。


「山を下りろ! 囲まれるな!」むぐちが叫ぶ。


「ニフェトはどうする!?」パシュスは動かない。星紋の上で肉の繭を庇い続けた。


「原罪者は肉体を奪っただけ。今はまだ生きてる。ボスには必ずギミックがある。こいつの目的は四肢の回収。急いでここを切り抜け、ニフェトを救い出すぞ!」むぐちの声に、骸骨がさらに一歩迫る。


「これ、なんなの!? 早く消してよ!!」まつみは落ち着かない。頭上の白い「4」が煙のように薄れ始めた。


ゴゴン――再び大広間が激震する。大量の骨が山頂から転げ落ちる。


右前方、山の中腹から、衝撃波が地を割って襲う。


「堅忍!」パシュスが踏み込み、盾を構えた。


大量の骨が銀月盾に叩きつけられ、甲高い音を立てる。


ドン! 重い何かが盾に直撃し、凄まじい衝撃でパシュスは丸ごと弾き飛ばされた。


レックスは口元に血を滲ませながら、パシュスの盾の前へ倒れ込んだが、大剣を支えに立ち上がる。

「……助かった。」


骨は止まらず斜面を滑り落ちる。


原罪者は大広間の隅に現れ、その傍らには骨馬に跨った屍の騎兵。手には硬質な直竜骨を構えている。


「原罪者は瞬間転移持ちだ。CTは20秒。転移直後に叩かないと厄介だ。」レックスが告げる。


「今は自分の心配だ! 囲まれるぞ!」パシュスが焦る。


むぐちはすでに前線で骸骨と交戦中。


かみことかなは五芒星紋前で連続砲撃を放ち、左右から迫る骸骨を吹き飛ばすが、次々と骨山へ駆け上がってくる。


パシュスがむぐちを援護しようと山を下りかけた瞬間、レックスが腕を掴んだ。


無言で大広間の隅にある円形の血の池を指す。原罪者が黒い手を差し出し、低く詠唱を始めた。血池から黒い蒸気が噴き上がり、そのまま体をゆっくり沈めていく。


【システムメッセージ:原罪者 1/5肢体を獲得】


「フフ……ハハハハハ!」再び立ち上がった時、右腕が赤く染まっていた。


死体修復コープス・リペア」原罪者が赤い右腕を握ると、ホール中の骸骨の右腕に一斉に筋肉が生えた。


むぐちは速度で圧倒していたはずの骸骨に不意を突かれ、急に速くなった斬撃を数発受ける。


「むぐち、まこ! 護心石はもう――」パシュスが叫びかけた瞬間、背後に激痛。


ザクッ。


鋭い短剣が背中に深々と突き刺さり、引き抜かれた。


重傷のパシュスは崩れ落ち、傷口を押さえて振り返る。黒い蒸気を纏い、赤い瞳で冷酷に見下ろすまつみが立っていた。


「まつみ……お前……」


レックスが即座に横薙ぎを放つ。まつみはしゃがんで回避し、橙光の大剣が頭皮をかすめ、赤髪がわずかに散る。


まつみは地を蹴り、双短剣でレックスの紅鎧へ突進する。バーサーカーでは、アサシンの速度には到底及ばない――刃が胸へ届く寸前、レックスは大きく片脚を振り上げ、天を突くように蹴り出した。


「覇王華震!」


ドン――。


力強く地を踏み抜いた瞬間、足元から凄まじい衝撃波が爆発する。


まつみは巨力に弾き飛ばされ山頂へ叩き返され、周囲の骸骨は一瞬で粉砕されて細かな骨の粉となり、巨大な白い波紋が広がった。


サラサラサラサラ――。


骨粉が斜面を流れ落ち、大広間の半分を埋め尽くす。


パシュスはレックスの荒々しい戦闘力に、思わず体を硬直させた。


その間にも前線のむぐちは限界が近い。左に払い、右に突き、スキルで牽制するが、骸骨の数は蟻の群れのように尽きない。やがて距離を取り、クールタイムを待つしかなくなった。


今、むぐちは単独で前線を支え、かなとかみこが左右から迫る骸骨を押し返している。レックスとパシュスは黒化したまつみと原罪者を相手取っていた。


まこだけは動きが冴えていた。最も高い位置に立ち、雪霊兎へ指示を飛ばす。雪霊兎はボウリング球のように骨の海を突き進み、触れた骸骨を粉砕していく。骨の粉が舞い、まるで破竹の勢いかのようだ。


しかし四方の通路からは尽きることのない骸骨が押し寄せ、包囲は徐々に狭まっていく。


「おかしい! この数は絶対に殲滅できない! こいつらは時間稼ぎだ! 何か見落としてる!」十数本の武器が同時に突き出され、むぐちは思考の余裕を奪われながらも叫んだ。


「かみこ! 攻略法を!」かなは左手を腰に当て、右手の指先で山下の骸骨を薙いだ。


バチン――。


太い黒雷が指先に追随し、一帯の骸骨をまとめて薙ぎ倒す。だが後方から即座に穴が埋まり、倒れた骸骨も立ち上がり、数は倍に膨れ上がった。


「分析は可能。ただし開示条件が不足。私は答えを知っている可能性があるが、それを答えと認識できていない。質問で誘導して。」かみこは淡々と述べながら、視線を高速で動かし敵を追尾し、鏡の盾を上下左右に調整して砲撃を続ける。


「えっと……何を見落としてる?」かなも混乱しながら問う。戦闘しつつ冷静に思考できるのはかみこだけだ。


骨が打ち鳴らされる音が止まらない。骸骨が動くたび骨格が軋み、白骨が野草のように揺れ続ける。視界が白で埋まり、めまいが襲う。


「頭上の白い刻印。あれが――『位相シフト』――消えた直後、まつみは――『白の矢』――精神腐蝕を受けた。しかし数字4は複数のトリガーを示す可能性が高い――『白の矢』『黒雷』――例えば四隅の血池、五芒星の尖端、骨琴の鍵盤。」かみこは敵を見据え、仮説を口にしながら同時に詠唱し、腕で鏡の盾を操作する。表情は変わらない。


パシュスは隙を突いてまつみの前へ踏み込み、骨の地面へ叩きつけた。

「目を覚ませ、まつみ!」


怨念再構成リコンストラクション」原罪者が赤い右腕を握る。


ゴゴゴゴゴ……。


再び山下から骨の軋む音が響き、白骨が舞い上がる。


「まつみ!!! 目を覚ませ!!!」パシュスはまつみの頭を掴んで地面へと叩きつけ、その衝撃で正気に戻そうと試みた。


その瞬間、足元の影が揺れた。


怪訝に見上げると、数十の骨蝙蝠が空中を旋回している。異なる骨を継ぎ合わせた歪な体、大小も形も不揃いで左右非対称だ。


「呪いの泥。」原罪者が骨山の下から指を向ける。


足元に腐臭を放つ肉塊が絡みつき、移動速度が30%低下する。腐肉は止まらず、虫のように這い上がって全身へ広がり始めた。


「まずい、防御ダウン!」むぐち やよいの物理防御が15%低下し、すぐに距離を取って仲間の元へ退く。


上空の骨蝙蝠が一斉に急降下した。


「聖光障壁!」原罪者の意思に反し、その左腕を掲げ、小隊の上空に障壁を展開し、骨蝙蝠を弾き返す。


「うあぁ……」次の瞬間、原罪者は激しい頭痛に襲われ、髪を掻きむしった。


「ニフェト?」むぐちが閃く。


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