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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十四章—天国の根
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105 天国の根

一行は入口の円形ホールへ戻った。


「これが位相シフトのバグ。鏡像師と敵対状態なら、位相シフトで相手を転移させられる。前に言ったのに真面目に聞かなかったでしょ? さっき本気で焼かれるところだったよ」まつみは怒る。


「チッ……本気で殺す気だったわよ。どれだけ苦労したと思ってるの? 攻城戦みたいに最後だけ掻っ攫われたかと思ったのよ」かなは不満げだが、内心ほっとしていた。


「こっちは針の罠があってね。途中でこのBUG思い出して、楽勝だったよ。こっちは二人で二つクリア。そっちは四人で追いつけなかったね? ははは」まつみは無表情のかみこの肩を抱き、勝利ポーズを取る。


「三人だろ」パシュスが不機嫌に言う。


「左側で何か手に入れた?」むぐちが尋ねる。


「白地に赤十字の司教のストール」パシュスはバッグから黒金と同型の白赤ストールを取り出す。


「……用途は?」ニフェトはそれを見つめる。


特別な属性はない。ただ羽織ると背筋が寒くなるだけだ。


まこがもじもじと身をよじる。


「どうしたの?」むぐちが気づく。


「わ、わたし……あれを入口の骸骨の首に掛ければ、中央の扉が開くと思う……」まこは俯きながら言った。


「おお……あり得るわね」全員が驚く。


黒のストールを黒い鎌を持つ骸骨へ。白のストールを白い杖を持つ骸骨へ。


数秒の沈黙――。


ゴゴゴ……


中央の鉄扉がゆっくりと開いた。


鉄扉の向こうは墨を流したような闇に包まれ、どこからともなく水のせせらぎが響いている。空間はどうやら途方もなく広いらしい。


パシュスは盾役として、真っ先にその闇へ踏み込んだ。


足元や壁際から、ぬめる水音がかすかに聞こえる。


ぷつり。


前方に緑の火が灯る――石壁の中央に埋め込まれた頭蓋骨。その眼窩に緑炎が揺れ、まるでノクスの骸骨杖のようだった。


緑光が周囲を照らすと、通路の壁一面に無数の頭蓋骨が嵌め込まれているのが見える。


空洞の眼窩からは血が筋となって流れ落ち、壁の下で細い血の川となり、石畳の隙間を満たしていた。


かなは顔をしかめ、血を踏まぬよう片足を避ける。


むぐちは行く手を塞ぐ頭蓋骨の石壁を観察する――それは地図だった。


十字架を模した空間図。頭蓋骨はその交差点に位置している。


「たぶん、ここね……」むぐち やよいは十字の最下部に伸びる細い直線を指した。


石壁を回り込み、奥へ進む。両側の頭蓋骨が彼らの位置に呼応するように光り始めた。


慎重に歩を進めた瞬間、左右の壁が前触れなく崩落する。土煙が舞い上がり、視界を奪う。


タッ、タッ、タッ、タッ、タッ。


煙の中から統制の取れた足音――無数の骸骨兵が左右から湧き出す。錆びた鉄鎧に剣と盾。二体ずつ横並びで立ち、通路を完全に塞いだ。


「多すぎだろ……」パシュスが息を呑む。


「まこ、雪霊兎はあとどれくらい?」むぐちが即座に問う。


「三十分くらい……」


「かみこ、魔法で一掃しよう!」かなが目を輝かせる。


「骸骨は魔法耐性がある」かみこは淡々と言った。


「…………」誰も打つ手が浮かばない。だが骸骨兵は攻めてこず、ただ行く手を塞ぐだけだった。


「そうだ! 集団ハイド!」むぐちがひらめく。


ぼふっ、と全員の姿が消える。


パシュスは忍び足で歩みを進める。そのとき、骸骨兵の頭蓋がゆっくりと回転し、こちらを見据えた。


「待て、こいつら……」


次の瞬間、骸骨兵が一斉に襲いかかる。


「誰だよこんな案出したの! アンデッドには丸見えだろ!」パシュスは盾で受け止め、叫ぶ。


「聖十字・退魔陣!」ニフェトがパシュスの足元に聖陣を展開する。


ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!


骸骨兵は後先考えずに押し寄せ、次々と聖陣の光に砕け散った。


「相性の問題ね……力押しより確実だわ」ニフェトは額の汗を拭い、皆も安堵の息を吐く。


……


さらに奥へ進むと、緑光は途切れ、通路の終端へ辿り着いた。


「ここが聖骸大殿ね……」むぐちは拳刃を握り直し、周囲を見渡す。


聖骸大殿は、見上げれば天井が百メートルはあろう巨大な正方形空間だった。


左右には骨で築かれた天を衝く巨柱がそびえ立ち、その表面を鮮血が絶え間なく流れ落ちている。


中央には骨の山がそびえ、その頂に骸骨で組み上げられた巨大な聖堂パイプオルガンが鎮座していた。


天井から斜めに射す白い聖光がそれを照らし、白骨は純白の輝きを放つ。周囲の闇との対比が強烈で、異様なまでの美しさを生み出している。


彼らは骨山を登り、オルガンへ近づいた。


【システムメッセージ: 聖骨琴せいこつオルガン の欠片を修復 3/3】


「え? クエスト終わったの?」むぐちは驚き、オルガンの基部に欠けていた三つの巨大な骨片がすでに嵌め戻されているのを確認した。


赤い血が骨山の上に五芒星の魔法陣を描き、その中央には人ひとり分ほどの長方形の窪みが沈んでいる。


「本来は三か所で集めるはずだったのに……まあいいや~時間かなり節約できたね」かなは内心ほくそ笑む。


「この文字は……?」むぐちは血の五芒星陣の上に浮かぶ血文字を見つめた。


「神聖な力のみが発動できる、って書いてある」ニフェトが答える。


「なんで読めるの!?」むぐちは目を丸くする。


「司教に転職した時の試験問題のひとつだったの」


むぐち やよいはその血文字の意味を思索する。


ぼうっ、と右側の空間に緑の火が灯る。どこかの松明が点いたようだったが、彼らは気に留めず、再び血の星陣と聖骨琴の解析に集中した。


「この血の五芒星陣と骨琴は必ず連動している。条件を満たしてから演奏すれば、ボスが召喚されるはず」むぐちは推測する。


「でも聖なる力って……」ニフェトが呟く。緑光が強まり、胸騒ぎが走った。彼女は即座に聖杖を掲げ、光へ向かって叫ぶ。

「誰!?」


その声で全員がはっとする――緑の松明はプレイヤーの位置に反応して灯るのだ。


やはり……右側の通路から一人のプレイヤーがゆっくりと姿を現した。


赤い鎧をまとい、右肩には牛頭骨の肩当て、左腿には白狐の毛皮。手に握る大剣は鱗のように荒々しく湾曲し、無数の棘を生やしている――火竜巨顎剣。


「やあ……」


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