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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十四章—天国の根
102/201

101 私はバカじゃない!

その一言が雷鳴のように広間へ響く。

一同はこれまでのハイエルフとの戦闘を思い返した。


確かに、兵種のハイエルフはすべてエルフ語で話していた。だがルーク、村長、ブチャ、そしてライヤは共通語――プレイヤーに理解できる言語を使っている。


ブチャは口を開きかけ、閉じた。

かみこと静かに視線を交わす。


針が落ちる音さえ聞こえそうな静寂。揺れるろうそくの火だけが、時間の流れを示していた。


「そういうこと…」

かみこの瞳は静まり、すでに答えに到達している。


「説明してもらえる?」ニフェトが眉をひそめた。


「下位のエルフはエルフ語のみ。上位個体は共通語を話す。理由はプレイヤーとの会話が必要だから。上位ユニットにはストーリー分岐がある。だから共通語を使う。下位には分岐がない。だからエルフ語」


淡々と仮説を述べる。


「つまり魔王は上位個体を完全には支配できていない可能性がある。残る二人の大天使長は、戦わずに攻略できるかもしれない。よくやった、かみこ」

むぐち が喜色を浮かべる。


かみこは瞬きをひとつし、振り返ってまつみを見る。

まつみは親指を立てて応え、かみこはわずかに口元を緩めた。


「トリ、アンドリュー。城の防衛は任せる」

むぐち が命じる。


「いいのか!? じゃあ俺が代理会長ってことか?」

トリは目を輝かせ、飛び上がった。


「認める。その肩書きを使っていい」

むぐちが微笑む。


「待てよ。俺様をNPCみたいに巡回させて、お前らは冒険か?」

アンドリューが不満げに言った。


「もちろん~。なんたってギルド最強様なんだから。あなたがいれば万全でしょ? あなたが防衛を担当すれば万全よ」

かなはアンドリューに皮肉を込めて言った。


「俺様を排除する気か?」

アンドリューの声は静かだが、乾いた藁のように今にも燃え上がりそうだった。


「誤解しないで。あなたは確かに最も頼れるメンバーよ。四次職の中でも防御力が最も高い守魂衛ソウルキーパーは粘り強い。緊急時に時間を稼げる。もしあの夜、プラムスを守っていたのがあなたなら、敵は城門すら突破できなかったかもしれない」

むぐち は真剣に告げる。


「後悔するぞ」

アンドリューは一同を見渡し、最後にまこへ視線を落とすと、袖を翻して去った。


「はい、二十分後に獣木の祭壇集合。ワスティン大聖堂へ転移するわよ」

むぐち は解散を告げ、各自が武器と道具の準備に散った。

……


「闇属性武器、高いなあ……」

まつみはオークションハウスの掲示板を眺める。


「まつみ、聖骸大殿の魔物は闇属性の可能性が高い。なら聖属性武器と闇属性耐性の防具を優先すべき」

かみこが助言する。


「そっか! 属性まちがえるところだった……ありがとう、かみこ」

まつみは気づいて微笑み、かみこの頭を撫でた。


かみこはゆっくりとうつむき、頬を赤らめる。


……


まことパシュスはハググの商店街で補給品を買っていた。


「パシュス……私たち、アンドリューにちょっとひどかったかな」


「は? あいつは契約をだまして結ばせたんだぞ! 一日でも解除しない限り信用できない」

パシュスは声を荒げ、周囲の視線を集める。


「でも契約は私の意思だよ。それに何度も助けてくれた。感謝はしてるの。ただ……大事にされすぎて落ち着かないだけ」


「お前バカか!? どんなに優しくされても、利用されてる可能性はあるんだぞ。もっと警戒しろよ。いつも簡単に信じすぎだ!」

パシュスは怒鳴った。


「バカじゃない! 信じただけだもん。最初にNPCのふりをしたのだって――」


「黙れ! だまされてる自覚もないとか、俺はお前の判断力が心配なんだ! 俺の言う通りにしろ。あいつと関わるな、いいな!?」

パシュスはまこの腕をつかみ、無理やり向き合わせる。


淡い紫の大きな瞳に涙がにじむ。

「パシュス、ひどい! 私はバカじゃない!」


涙を見た瞬間、パシュスの怒りは溶けた。肩に手を回してなだめようとする。


だがまこは強く押し返し、口を押さえて走り去った。


「ま……まこ!」

後悔したときには遅く、まこは角を曲がり、追う間もなかった。


……


Kanatheonの幹部たちは円形の獣木の祭壇中央、転移師テレポーターの前に集まる。


「ニフェト領主、行き先はどちらですか?」

転移師テレポーターが尋ねる。


「ワスティン大聖堂へ」


「全員が一度は訪問済みであることをご確認ください。未訪問者がいると次元の狭間に落ちる可能性があります」


「問題ない。始めて」


転移師テレポーターが杖を掲げると、幹部たちの足元に小さな魔法陣が次々と浮かび上がった。


眩い光が視界を焼き、身体がふっと軽くなる。次の瞬間には、再び確かな地面を踏みしめていた。


ワスティン大聖堂の正面、聖白の外壁が再び彼らを照らす。


ニフェトたちは大聖堂の周囲を回り、ブチャの言っていた小さな修道院を探した。


道中、まつみは大げさな身振りでかみこを笑わせようとし、かみこは静かにそのくだらない話を聞いている。ニフェト、むぐち、かなは聖骸大殿ダンジョンの内容を推測していた。


一方、まことパシュスはわだかまりを抱えたまま……二人は大きく距離を取り、隊列の最後尾を歩いている。

……



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