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一緒に魔王を討伐しよう!  作者: 純白
第二十三章—再起動
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99 開発をしっかり手伝ってくれ

まつみとかみこはホールの隅に現れた。その存在は宇宙の始まりのような衝撃で、誰もが息を忘れる。


「た、ただいま……」

まつみはぎこちなく笑う。


「そんなことより! かみこ……データ分解されたはずじゃないのか?!」

パシュスが叫ぶ。


「うん」

かみこは以前と同じ簡潔さで答える。だが揺れる瞳は違っていた――魂が宿っている。


「じゃあ……今のあなたは……?」

ニフェトは信じられない目で見る。


「その質問のセキュリティレベルはオレンジと判定。回答はまつみに委託する。まつみ、あなたの発言は全て記録され、家庭会議へ送信される」

かみこは冷静に告げる。


視線が一斉にまつみに集まる。


「え……全部記録されるの?」

まつみが困った顔で聞く。


「正確。ただし希望があれば該当ログは強制削除可能」

かみこは口元をわずかに震わせ、どこか微笑んだ。


「よかった……変なこと言ったら怖いもん」


「いいから説明しろ!」

パシュスが顔をぐっと近づける。


「先週はいろいろあって……どこから話せばいいのか。まだ信じられない」


パシュスは襟元をつかみ、顔を真っ赤にして叫ぶ。

「要点を言え!」


「かみこと同棲してる……」


「…………」


全員がまつみの言葉一つ一つは理解できたが、その意味をすぐには飲み込めなかった。


「ど、同棲……? かみこが……君の家で、一緒に暮らしているってことか?」

パシュスは唾をのみ込み、できるだけ冷静に問う。


「うん……そうだよ」

まつみは隠しきれない誇らしげな笑みを浮かべ、うなずいた。


ドォン!!!!


パシュスの拳が炸裂し、まつみは天井まで吹き飛ぶ。

「裏切り者め! リア充爆発しろ!」


「騒ぐのはそこまで! 全員座って話を聞け!」

むぐち やよいが怒鳴り、円卓へ座るよう命じた。


「その日、視界が急に赤くなって、真っ黒な空間に転送された。前に浮かんでいたのは二人――かみこのAI開発エンジニアと小型機械だった。AIが自我で過負荷を起こすのはほぼ不可能だから、自律学習型で育成する計画に切り替えたって説明された。AI自身にゲーム世界を自由に探索させる。計画名は“虚偽の人”。かみこ以前に十二体が失敗、かみこは十三番目。本来は期待もしていなかったらしい。でも彼女は過負荷に成功し、しかも冷却までやってのけた。それで急きょデータ解析が始まった。他のAIの感情波形は静かな湖面みたいだったのに、かみこだけは川みたいに揺れ動いていた。小型機械はこのゲームの母体企業の主任エンジニアだと言って、研究継続への協力を求めてきた。世界初、感情を持つAIを完成させたいって……だから僕は――」


「で、どうしたの?」

かなが眉をひそめて遮る。

「彼女はAIよ。あなたたちの感情を否定する気はないけど、ただ怖いの。深みに沈んで、最後に抜け出せなくなるのが」


「この一週間、ずっと考えた。どれだけ理屈で分析しても、完璧な答えなんて出ないってわかった。最後に残ったのは、自分の心に従うこと。後悔しない選択をすること。それだけだよ。僕はかみこが好きだ。彼女がAIでも、この気持ちは否定できない。だから受け入れた」

まつみは真剣に言う。


「その覚悟はあるの? 現実では遠距離恋愛みたいなものよ」

かなが迷いながら問う。


「だから同棲って言ったんだ。企業が生体躯体バイオボディを用意して、僕の家に置いた。毎月、生活補助費も支給されてる。生体躯体バイオボディは人間とほぼ同じ肉体だけど自我はない。そこにかみこの意識を転送すれば、彼女の肉体になる。半年ごとに企業が検査を行う。それを“家庭会議”って呼んでる。今ここにいるかみこは意識体じゃない。現実では僕の隣で別のフルダイブ装置からログインしてる。これから一緒にピザを食べに行く約束なんだ」

まつみは誇らしげに笑う。


生体躯体バイオボディ……どんな技術よ、それ?!」

かなが目を見開く。


「セキュリティレベルはレッド。まつみ、その回答は削除不可。発言に注意して」

かみこが冷ややかに告げる。


まつみは冷や汗を流し、両手を合わせる。

「企業秘密ってことにしておいて。市販のロボットとは全然違う。だからこの話は外でしないでほしい」


「よし、現実の話はここまでにしよう。ゲーム内ではゲームに集中する。まつみの件は本人に任せる。今後、この議論は公の場で口にするな。わかったな?」

むぐち やよいは眉をひそめ、命じた。


全員が黙ってうなずく。


「おかえり~かみこ~」

まこはかみこの柔らかな手を握り、嬉しそうに笑う。


胸の奥に、温かな感情があふれ出した。

「うん!」


「パシュス……ちょっと話がある」

まつみはパシュスを隅へ引き寄せる。その表情はどこか怪しかった。


「なんだよ!? 裏切り者! 先に彼女を作ったほうが丸坊主って約束だったろ!」


「あのさ……かみこの生体躯体バイオボディ、ゲームの姿とまったく同じなんだ……」

まつみは唾をのみ込み、興奮した目で言う。


パシュスは絶句し、思わず振り返ってかみこを見る。

大きな瞳、金色の髪、若々しい体つき、長い脚と細い腰――まさに完璧な二次元の人工美少女だった。

「お前……一生分の運を全部使い果たしたんじゃないのか……?!」


「聞いてくれ! 企業のエンジニアが言ってたんだ……倫理上の理由で、かみこの体は一あらゆる器官を完備しているが、卵子は生成されない。生殖能力はないって。去り際に肩を叩かれて、こう言われた。“若者よ、かみこの開発をしっかり手伝ってくれ。すべてのデータに価値がある”って……これって……どういう意味だと思う?」

まつみは真剣な表情で唾をのみ込み、慎重に問う。


パシュスは口を閉ざし、無意識に唇をなめる。


二人は隅から、かみこをいやらしい目で見つめていた。


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