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『鑑定眼と成長加速で、最弱から異世界最強冒険者へ』  作者: ハヤテ
第3章 森の奥へ——不穏な兆し
9/33

9話

10 瘴気をまとう巨影

 地面が揺れた。

 それは一定のリズムを刻む重い衝撃で、明らかに巨体の足音だった。

 木々を押し分けて現れたのは、三メートルを優に超えるオーガ。

 灰色の皮膚は斑に黒く染まり、筋肉は異様に膨張している。

 両目は血のように赤く輝き、口元からは瘴気を帯びた蒸気が漏れていた。

「……これ、ただのオーガじゃない」

 蓮の鑑定眼が淡く光る。


【変異オーガ】状態:瘴気汚染(深度80%)/知性値:通常種の3倍

弱点:関節部(瘴気硬化前)

「来るぞ!」

 ガイルが前に出る。オーガが棍棒を振り下ろすと、大地が砕け、土埃が舞い上がる。

11 劣勢の戦い

 ガイルは棍棒を剣で受けたが、衝撃で膝が沈む。

 蓮が横から切りかかるも、オーガは片腕で簡単に弾き飛ばした。

 その動きは鈍重ではなく、むしろ素早い。

「速っ……!」

 ミリアが回復魔法を唱えるが、オーガは魔法の光を見て即座に投石。

 石は彼女の足元をえぐり、土が跳ね上がった。

「ミリア、下がって!」蓮が叫ぶ。


 ——まずい、このままじゃ削られる。

 蓮は頭の中で高速に戦術を組み立てた。


12 罠と弱点

「ガイルさん、時間を稼いでください!」

「おう!」

 蓮は周囲の木に成長加速をかけ、太い枝を急速に伸ばす。

 同時に地面の蔓を這わせ、オーガの足元に罠を仕掛けた。


 ガイルが挑発し、棍棒を振らせる。その瞬間、オーガの右膝がわずかに露出した。

「そこです!」

 蓮が叫び、ガイルが膝関節に剣を突き込む。


 オーガが苦痛に咆哮し、体勢を崩す——その隙を逃さず、蓮が伸びた枝を操作し、棍棒を絡め取った。

「今だ!」

 三人が一斉に攻撃し、ついにオーガの巨体が崩れ落ちた。


13 黒い結晶

 荒い息を吐きながら、蓮はオーガの胸を調べる。

 そこには、漆黒の結晶が脈打つように埋め込まれていた。

【瘴気結晶】用途不明/強力な魔力と瘴気を内包/危険度:高

「こんなもの……初めて見ます」

 ミリアも眉をひそめる。

「持ち帰って調べよう。だが……」

 ガイルの声が途中で止まる。

 ——ドォォォン……。

 森奥から、地鳴りのような音と獣の咆哮が響いた。


14 次なる決断

「まだ何かいる……」

 蓮の背筋を冷たいものが走る。

「どうする? 奥に行くか、ここで戻るか」

 ガイルが問いかける。ミリアは唇を噛んでいた。

 結晶は、きっとこの異変の核心に近い。

 だがこの先には、今倒したオーガよりも強い存在がいる——直感がそう告げていた。


 蓮は剣を握りしめ、森奥の闇を見据える。

 その向こうに待つのは、危険か、それとも真実か——。


 そして、三人は互いに頷き合った。

 次の一歩が、街の未来を左右することを、まだ誰も知らない。

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