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『鑑定眼と成長加速で、最弱から異世界最強冒険者へ』  作者: ハヤテ
第3章 森の奥へ——不穏な兆し
8/33

8話

5 森の異常

 森の奥へ進むにつれて、景色は徐々に変わっていった。

 木々の幹は太く、葉は濃い緑を通り越して黒みを帯び、地面を覆う草は腰の高さまで伸びている。

 花のような鮮やかな色を持つキノコが木の根に群生し、触れると小さく光を放った。

「……植物が成長しすぎです」蓮は鑑定眼で確認する。


【対象:魔力異常成長種】原因:高濃度魔力/瘴気による突然変異の可能性

「食べられるのか?」ガイルがキノコをつつく。

「食べたら多分、死にます」

「……だろうな」

6 異形との遭遇

 森の静寂を破るように、低く唸る声が聞こえた。

 茂みの向こうから現れたのは、通常の倍はあろうかという巨大な狼——《フォレストウルフ》。

 毛並みは灰色ではなく、瘴気を帯びたように黒ずんでいる。

 眼は赤く光り、口からは粘つく唾液が垂れた。

「おいおい、こんなの森の中級依頼じゃ出ないはずだぞ……!」

 ガイルが剣を構える。

 フォレストウルフが地面を蹴り、一瞬で距離を詰めてきた。


7 連携戦闘

 ガイルが正面で受け止める。

 その瞬間、狼の爪がガイルの胸当てを浅く裂いた。

 ミリアがすぐに回復魔法を詠唱するが、蓮は後方から狼の動きを観察していた。

【動作パターン解析】

攻撃前に右耳が動く→跳躍または突進の予兆

「右耳です! 動いたら回避を!」

「了解!」

 蓮は成長加速で近くの蔓を瞬時に太くし、地面に転がして罠を作る。

 狼が突進した瞬間、前脚が蔓に絡まり、体勢が崩れた。

 そこへガイルの剣が脇腹を切り裂く。


 しかしフォレストウルフは怯まず、鋭い牙で蓮に噛みつこうと跳びかかった。

「——っ!」

 間一髪で蓮は転がって回避し、地面に転がった小石を投げて注意を逸らす。


8 決着

 ガイルが狼の背に飛び乗り、首筋へ剣を突き立てた。

 獣が断末魔の叫びを上げ、やがて動かなくなる。

 荒い息を整えながら、蓮は鑑定眼を使う。


【フォレストウルフ(変異種)】

状態:瘴気汚染/通常種より筋力+50%、敏捷+40%

「やっぱり……瘴気の影響で変異してます」

「ってことは、この森の奥に瘴気源があるってことだな」

 ガイルの顔が険しくなる。

9 情報提供者

 戦闘の後、近くの木陰からよろよろと一人の冒険者が姿を現した。

 革鎧はぼろぼろ、腕には包帯。

「助けてくれ……食われるとこだった……」

 水とポーションを与えると、男は震える声で言った。

「お前ら……奥には行くな。赤目ゴブリンだけじゃねえ……オーガだ。それも……人の言葉を喋る」

「人の言葉……?」蓮が眉をひそめる。

「聞いたんだ……『主のために』って……」


 その言葉を残し、男は気を失った。

 森の奥からは、重い地響きが少しずつ近づいてくる——。


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