4話
1 新しい日々の始まり
蓮が異世界に転生してから、数日が経った。
朝は宿屋の一階で焼き立てのパンとスープを食べ、昼はギルドで依頼を探し、夜はガイルと戦闘訓練。
少しずつ、この世界での生活に慣れてきた。
ギルドでの初討伐以来、蓮はガイルとコンビを組み、Fランクの依頼をこなしている。
依頼の内容は、薬草採取や小型モンスターの駆除など、危険度の低いものが中心だ。
「お前、筋がいいな。最初は枝一本でスライム倒してたやつとは思えねぇ」
「それはガイルさんの指導のおかげですよ」
訓練の合間の軽口も、すっかり日課になっていた。
2 異世界の生活感
蓮は鑑定眼を戦闘だけでなく、生活にも活用していた。
市場で売られている肉や野菜に鑑定を使えば、鮮度や品質が一目でわかる。
商人相手にぼったくられる心配もない。
宿代は一泊銅貨5枚。食事は安ければ銅貨2枚、高ければ銀貨1枚。
討伐依頼の報酬は1回で銀貨1枚前後なので、生活はギリギリだ。
「……早く稼げる依頼を受けたいな」
そう思いながら、ギルドの掲示板を眺めていると——
3 少女との出会い
「その依頼、私も受ける予定なんです」
柔らかな声に振り向くと、そこには栗色の髪を二つに結んだ少女が立っていた。
年は蓮と同じくらい。緑のローブを身にまとい、腰には小さなポーチを提げている。
「えっと……」
「ミリアです。薬草採取の依頼ですよね?」
掲示板に貼られていた依頼書には、こう書かれていた。
『薬草採取および依頼人の護衛』
目的地:街の北の森
報酬:銀貨2枚+成果報酬
「私、薬草の見分けには自信があります。でも……戦闘はちょっと苦手で」
その言葉を聞いたガイルが、にやりと笑う。
「だったら丁度いい。俺たちは護衛役に回れる」
こうして、蓮・ガイル・ミリアの三人パーティが結成された。