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最凶最悪の魔女と、せめて食事がしたい

 僕です。天国のお父さんお母さん、異世界に骨を埋めようと腹を括ったのですが、もうすでに心が折れそうです・・・ところで僕の両親って鈴木健介の方なんでしょうか、フェルムの方なんでしょうか?

 どうしてだろう、「知らんがな」って空耳が聞こえる・・・

 あ、フェルムの方のお父さんお母さん、まだ生きているなら、勝手に死んだことにしてごめんなさい。


 うん、気に病んでいても仕方がない。まずは状況を整理しよう。


1.僕はフェルムとして異世界に連れてこられたが、帰還は絶望的。

2.僕はフェルムかもしれないし、そうでないかもしれない。実証方法はない。

3.妻を名乗る乗るオーラムは、最凶最悪の魔女として、討伐対象である。

4.本人は破壊的な方法で解決が可能な火力を有するが、それを(基本的には)望んでいない。

5.そのため、比較的平和な解決方法を持つ、僕が必要である。


 このあたりかな?いや、違う。


6.オーラムはおそらく魔法以外に興味がない。例外は夫である僕。


「ああ、あと、私と一日一回はエッチなことをして、私に体液を取り込ませないと、思考の同調とか魔力供給ができないから、私とすら会話できなくなるわよ?」


 後出しで、こんな重要な情報を出してくるのは、やめていただきたい。


「えー、だって夫婦なんだから、言わなくてもやるでしょ?そういうの。ほら、私、これでこれよ?」


 乳を揺らしたり、蠱惑的なポーズを取るオーラム。

 そりゃ僕だって、健康的な成人男性だし、趣味はストレートだし、オーラムはどう見ても魅力的な美人だから、やぶさかではないんだけど・・・もうやっちゃった後で言うのは何だけど、順序というものが・・・


「やあねえ、そんなの減るもんじゃなし、何発がやってるうちに気にならなくなるわよ!ほらやるわよ!あ、ケンのたんぱく質とか少し減るか?うひゃひゃひゃひゃ。」


 こいつ、実は中年のオヤジじゃないか?と動かなくなった身体で寝室に引き摺られながら、僕は訝しんだ。もう今日は考えるのあきらめよう。取り敢えず、


7.多分、今回のはったり・・・というか、脅迫が効いてるので、しばらくの間、討伐とかはされない。


 きっと、しばらく時間があるはずだろうし。


               ・・・・・・・・


「ねえ、せめて食事はしない?」


 翌日、オーラムに提案してみた。


「なんで?必要ないじゃない。森から常時、膨大な魔力が吸収できるんだから。ケンに分配しても生命維持には有り余る量よ?」


 いやそうじゃなくて、おいしいもの食べたりとか・・・


「塩かけて、焼いたり煮たりしたのを食べるのって、飽きちゃった。」


 ・・・一応聞くけど、調理って概念は?


「なにそれ?ちょっと待ってね・・・へえ、ケンの世界って色々やってたのね?少し面白そう!」


 天国のお父さんお母さん、ほんの少し、ほんの少しだけですけど、活路が見いだせた気がします!!

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