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最凶最悪の魔女に事情聴取する

「さてオーラムさん、ちょっとそこに座りなさい。」


 襲撃が一段落したので、詳しく話を聞こうと、席についてもらうことにした。


「やーねえ、ケン。オーラムでいいってば。」

「じゃあ、オーラム。ちょっとそこに座りなさい。」

「・・・はい。」


 こちらが真面目なトーンなのを察して、オーラムはおとなしく座った。


 まずはフェルムの事を詳しく聞こうか。


「・・・百年ほど前に、本当に偶然だと思うけど、この世界に滑り落ちてきて・・・私が保護して・・・結婚して・・・二か月ほど前に異世界に飛ばされて・・・」


 その彼を異世界に飛ばした魔術の行使者は?


「本人としては命がけの大魔術だったらしくて、もうこの世にいないわ。私なら問題なく行使できる魔法だけど、私レベルの魔法使いが、そんなにいるとは思えないわね。これまで会ったこともないし。」


 取り敢えず、またどこかに僕が飛ばされる危険性は薄いということか。そこは一安心。


 話を戻して、敵兵の反応が、同系統の敵と相対しているとは思えない混乱をきたしてたみたいだけど?


「それは、ケンが新しい戦闘技術を持ち込んだから・・・」


 それまでのフェルムはどういう風に戦ってたの?


「身体強化して力任せに真っすぐ突っ込んで、相手を殴り倒していたわ。」


 相手が力任せのゴリラから武術家に突然変更されたら、そりゃ驚くだろうな・・・そこから重要なんだけど、本当に僕とフェルムは同一人物?僕には相当差異があるように感じるけど、異世界転移後の知識の上乗せや、身体が変更された事による影響ということで説明できなくもない。肝心の僕の記憶がなくなっている以上、なにか同一人物である確実な証拠が欲しいところなんだけど?


「・・・てへぺろ♡」


 さては確証がないな?


「だって私のゴーストがそう囁いているんだもん・・・女のカンってすごく当たるのよ?・・・あと身体の相性とか・・・」


 よーし、僕を今すぐ元の世界に返せ!


「でも、フェルムが飛ばされた世界と時間は計算上、そこしかありえないし、フェルムの魂が入り込めるとしたら、事故の被害者しか無理だし、全員当たってみたけど、魂の色が同じだったのはケンだけだったし。」


 魂の色が同じ人って、どのくらいいるの?


「千人に一人ぐらい・・・」


 そこそこいるじゃないか。では、フェルムの魂は消えてしまっていて、僕は偶然傍にいた赤の他人の可能性もあるな?


「待って!待って!魔法使えたじゃない!同系列の魔法だったじゃない!」


 ・・・同系列の魔法を他人が持ち合わせてる可能性は?


「そこそこ・・・それほど珍しい魔法じゃないから・・・」


 僕の世界では、魔法を使える人はいないけど、魔力さえあったら使えるって可能性は?


「相当高確率で使えると思う・・・」


 短い間で色々すごく大変だったけど、いい経験が出来たよ。さあ返してくれ。


「嫌だ・・・もう一人は嫌なの・・・」


 なんだかかわいそうだけど・・・僕にも仕事とか生活がある。周りの人に迷惑がかかるから、帰らないと。


「ああ、それなら、ずっとこっちにいると思って、ケンの存在ごと抜き取ったから、向こうには何も残ってないわよ?」


 ・・・今、なんと?


「だから、存在ごと抜き取ったから、もう、ここしか居場所がないの・・・だって、あなたは多分フェルムなんだし、連れ帰った後で、行方不明者だなんだって、後で騒ぎになるくらいなら、抜き取って消しちゃった方がいいと思って・・・」


 今、僕を戻した場合は?


「存在は消えたまま戻せないから、突然、得体の知れない成人男性が降って湧いたことになるわね。こっちは戸籍とかルーズだから誰も気にしないけど、ケンの世界は・・・」


 ・・・・・・・・ひどいことをするね・・・


                ・・・・・・・・


「さて、私の期せずして起こしたファインプレーで、ケンは寂しい独り者から、夫婦水入らずの結婚生活へとレベルアップが実現したわけですが。」


 頭を目がけた、命にかかわる危険球をファインプレーといっていいなら、その通りだな・・・とにかく僕はここで生きていくしかないようだから、もう、腹を括ろう。


「では、早速ですが、愛の営みを・・・」


 おばあちゃん、さっき、食べたばかりでしょう?僕を・・・この下ネタ良くないな・・・・・・ん?ここって食事はどうしてるんだ?畑とか見当たらないし・・・


「え?そんなの必要ないわよ?私は魔法の研究をしているか、討伐隊の相手をしているか、あなたと乳繰り合ってるかしか、していないわよ?」


 おおう・・・前途多難すぎて、オラ、ワクワクすっぞ! (泣)



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