最凶最悪の魔女がやってきた
うふふふ・・・物事がすごーくゆっくりに見える・・・本当にヤバイ事故した人ってだいたいそう言うよね?僕は覚えてないけど。
そのまま何も出来ずに自分の首を切られるのを待つだけなのかあ・・・あれ?手が動くな?取り敢えず、剣を持つ手を上に払ってみよう。出来れば武器を落としてくれればいいなあ。
グシャっと音がして、敵兵の武器が上に飛んだ。手首から先がひしゃげているようだ。そのまま震脚で歩を進めて武器を払った手の肘で相手の脇を打った。相手の戦闘力を削ぐために、胸筋の切断を狙ってそう動くべきだ・・・って、なに?僕そんなこと知らないはずだけど?
敵兵が派手に後ろに吹き飛び、木に当たったところで動かなくなった・・・なにこの威力?敵兵の皆さんドン引きで、呆然と突っ立ってるのですが?
「お館様!!何ですかあれは?私には何が起こったのかさっぱり・・・」
「・・・純粋に武術のようだけども、見たこともない動きだ・・・こんな敏捷さと重さ・・・どうすれば・・・」
『ケン、早く回復してあげないと、その人心臓止まってるわよ?・・・直接触って念じればいいから。』
ああっと、それはいけない。直ぐにその敵兵に歩み寄り、触れつつ治るよう念じた・・・いいけど僕、モーゼじゃないんだから、そんな海が割れるみたいに逃げられると傷つくんだけど・・・あ、喀血して激しく咳き込んでるけど、生き返ったみたいだ。よかった。
『次から殴るときに治癒かけとけば早いわよ?』
なるほどそうか。取り敢えず、手近な武器を構えてる奴に歩法を駆使して一瞬で間合いを詰め、掌底で吹き飛ばした。他の奴に後ろから切りかかられたので、背中で弾き飛ばした。魔法使いらしき奴がなんかしようとしていたので、丁度切りかかってきた奴の手を取って、こちらに引き寄せ頭突きで魔法使いの方へ飛ばした・・・さすがに波動拳は出ないか、残念。でも、オーラムみたいに突然ぶっ放せるのはいないようだ。それなら十分、撃たれる前に間合いを詰めれる・・・
半分ほど相手を倒したら、遠巻きにこちらを警戒するような、膠着状態になった。
うーん、死者が出ないとはいえ、これをずっと続けるのは、ぞっとしないなぁ・・・もう一回説得してみようか?
ちょっとオーラムさん、こう言っていただけますか?「こちらから攻撃するつもりはないが、反撃はするぞ。今帰れば見逃すし、追撃もしない。でも続けるなら、次はお前の町だ。」
『ねえ、ちょっと、力こそパワーが過ぎるんじゃないかしら?』
ついさっき、その辺を荒野にした奴がいうことじゃないよね?もうついでだから、口上が終わったら、被害が少なそうなところに一発ぶっ放すといいと思う。
『いや~ん♡ケンったら、ワイルドぉ♡♡♡』
オーラムは嬉々として、さっきの台詞を言い、少し遠いところにあった禿山の頂上付近を吹き飛ばした。
よかった。はったり(?)が効いたぞ!敵が逃げていくぞ!
「ねえ、ケツを煽るために、ぎりぎりのところを爆破していった方がいいかしら?」
やめて差し上げなさい・・・