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第九十九話 「言視の神伐戦 七」  詳細設定Ⅳ

詳細データ Ⅳ   


□ タガラク □

スリグラ大陸最北端に位置する仁義礼知信五つの旗を掲げた五つの部隊からなる騎兵民族。

 砂漠の境に小型のオアシスが在る為、比較的豊かであり、少数で維持して生きている。

元々、遠くの島国に住んでいたが、水神にその地を終われ逃亡の旅の末、タガラクに至る。


仁。地掘騎兵 主力戦闘騎兵。 男のみで構成されている為少数。

義。飛翔騎兵 準主力戦闘騎兵。リンカー込みで構成されている為多数。

礼。地走騎兵 食料確保騎兵。 食料・交易品を手に入れる為の部隊。男女混合。

知。地精術兵 地の精霊術兵。 地の精霊術。 女のみで構成。

信。竜成騎兵 翼竜調教兵   幼生の翼竜捕獲と調教。男女混合。


少数民族だが、その近接戦闘能力は非常に高い。

 ただその攻撃力の高さ故か、移動力に難点がある。


□ ギア=ヴァルク □

 黒の鉄兜・紺色の厚手の服に、黒系の武者鎧に近い一枚鉄板の胴。

 複数枚重ねた長方形の薄目の肩部、右肩だけ反り上がっている。

 腰にも三枚それがあり、全体的に動きやすさを重視していそうだ。

 篭手・脚具もあり。 ズボンは七分←鳶装束のズンダレズボン。

 地下足袋に武器は、歯入れのしていない日本刀。

 リンカーではあるが、リンカーフェイズしていない。

年齢42 身長170前後。 典型的日本人体型、胴長で短足。

 髪は黒で全部後ろで纏めている。眼は茶。

体格も良し。 性格は堅物・猪突猛進。






--------------- 十日目・夜 ---------------


流石にレガだと早い、かなりの距離があっただろうにも関わらず半日程でガイトスに届いていた。

 上空から見ると、サルメアの街同様石造りの街並みで結構な人数を抱えているんだろう、かなり面積が広い。

 タガラクと違い、少人数とは明らかに違うな。 ただ、活気が無い様に思えた。


そのまま俺達は、中央付近にある一際大きい石づくりの屋敷付近に下りて、

               そこでレガに居てもらい、屋敷内へと来たワケだが。


既に深夜なので、ガイトス王との交渉は明日の朝。 俺達は一つの寝室で待たされる事になる。

 何を警戒しているのか、イストがベッドは二つあると言うのにコチラを睨んでいる。

  「なんだよ、さっきからジロジロと」

  「…ワシに、こ…これ以上近寄るでないぞ」


双魔環を外して、年齢14相応になっているイストが、厚手の毛皮を抱き抱えて身構えているワケで。

  「信頼も何もあったもんじゃないな」


ちょい苛めたくなったのか、イストを言葉で突付いてみたりと。

 その言葉に顔を赤くして、更に強く厚手の毛皮を抱き抱え、俯いて呟く。

  「じゃ…じゃったら…い…一緒に寝ても…」

  「極端なんだよ。 なんでそこにイキナリ行き着く」

  「じゃって…」


ぶつぶつ言いながら、毛皮に包まって寝てしまった。


 極端か、…ちょいと極端過ぎたなあの交渉というか脅しも。 まぁ、ヘタに時間かけるよりゃ有効だわ。

  実際向こうが、イグリスに脅威を抱いて警戒して遣したワケで、

         こちらから停戦交渉申し出るってんなら願ったり叶ったりだろ。


イグリスがカダラクに加担している。 それを軽減させる機会を得るワケだ。

 それに、蛇神の事もある、いずれガイトス側の脅威にもなる奴だしな、倒してくれるなら都合も良い。

          最悪倒せなくてもイグリスの戦力とカダラクの戦力はガタ落ちってワケだ。

        

だが、それだけだと一時的なモノにしか過ぎないワケで…理由。 そう理由だ。

     

 ガイトスが何故戦闘国家になっているか。 大陸統一…覇王か? こんな砂漠を統一して何になるよ。

            これの可能性は薄そうだ。もっと別に正当な理由の元の侵略行為と見て良いだろ。


…。


理由が考え付かず、ベッドに大きく倒れ込み、周囲と天井を見る。 

  一応食事は運ばれてきたが…毒の可能性があるので手はつけていない。

 食事も何かを乾燥させて日持ちを良くしたモノだな…見た感じ。 干し肉に近い。

 水はあそこのデカいオアシスから供給出来るんだろう。 

 だからここまで大きい国になった。 そう考えるべきか…にしては活気が無かったな。


少しイストに視線を移すと、何か左へ右へと毛皮を被りつつゴロゴロやっている。 

      頭まで毛皮被って何がやりたいんだアレは……って、ベッドから落ちやがった。

 ボスッという鈍い音とともに、ベッドから転げ落ちたイスト。暫くして顔を半分出してきて一言。

  「…な…なんじゃ」

  「いや、なんでも」


顔を赤くして睨んできたな。 恥ずかしいならそんな事するなってのに。

 俺は再び天井に視線を戻して考える。


 侵略行為に正当な理由? 一見侵略に正当性なんて無いと思えるが、それは攻められた側と第三者の見解でしか無い。

   攻める側にも理由が存在し、己が正当と信じた事に従っている。 何かの本で読んだな。


そうだと仮定して、どういう正当性だ? 国を大きくする理由。それが判らない。

 ふう…国の事が判らないからな、どうしようも…ん? 誰かドアを叩いて入って…ああ、姫さんか。


  「失礼する」

軽く礼をして、置いてある食事を見に来たな。やっぱ毒でも入ってたのか?

  「毒でもいれてたか?」

その言葉に睨んできた姫さん。 怒らせてしまったか? 

  「毒? 大事な食料に入れるものか」


うお、目がマジだ。 こりゃ本当に入って無い…いやそれも騙しかもしれんな。

  かなり眉間にシワを寄せておこっている姫さん…そいや何で顔を半分以上隠すんだ? 美人そうなんだが。

  「そりゃすまない。 が、一応警戒はして然るべき。 そのアタリは判ってくれ」

  「ああ」


ん、少し表情治まったな。 俺はベッドから立ち上がり。中央付近にあるテーブルの椅子を片方引いて姫さんを招き、

 自分は、反対側のテーブルへと座った。 後ろで何事かと毛皮から顔を出して覗いているイスト。

  「お前もきたらどうだよイスト」

  「う…うむ」


そういうと、姫さんも椅子に座り、椅子が二つしかなかったので、イストを座らせて俺は立ってる事にした。

  そして、右手を木製のテーブルに置き、来た理由を尋ねた。


  「ああ。どうも最初に会った時のやり口だと、争いになりかねない」

          先に私が、内容を聞き直しておく事にした」


サーセン。 交渉というか国家間の事なんざド素人だよ!!  まぁ、それを考えてきてくれたのか。

    然し何故だ? ああ…考える必要も無いか。 完全にイグリスの方が総合的に強いからか。

     さっきの反応見る限り食料が厳しいんだろ。 長期戦に持ち込まれたら確実に勝てないだろうしな。

  「ありがとう。 正直な所、こんな大事は初めてだよ。 だがガイトスを甘く見ているワケじゃない。

       君の読み通り素人だが、俺は無血決着と和解を持って事を収めたい」


お、好印象? ちょい堅目なお嬢さんぽいからな、話し方からするとギアのオッサンに近いだろう。

  そんな姫さんの少し緩んだ。 が、直ぐに険しくなった。

  「それは助かる。が…君はどこまでガイトスの事情をしっている?」

  「正直な所。 ユヴァとタガラクが友好。 ガイトスが戦闘国家で敵対。 その事ぐらいしかな。

          だから俺がここに来た。 ガイトスを知る為に来たんだ」

少し目を閉じてから、テーブルに両手を置いて目を少し開きつつ語り出した。

  「そうか…最初は傲慢で攻撃的な奴だ。 そう思っていたが…そうでは無かったか…」


それから淡々と語り出した姫さん。 得た情報はこれだけ。

 元々もう少し西部、砂漠の外れに住んでいた少数民族だったが、そこでの暮らしが困難になり、

   近辺の民族と暮らし始めた。 だが増えてしまった人数を支える水と食料が厳しく、

   それを求めてまた近くの国を攻め落とす。 それが膨らんで水の豊富なココに至るという事。

 

 然し、それでも食料が足らず、グランワームなどの魔物を獲って食料とするが中々うまくいかず。

   更に、グランワームを捕らえる時に誤って旅行者を殺してしまい、それを理由にユヴァに攻め入られ

   所謂慰謝料をタガラクに払った。 あの後、相当餓死者をガイトスは招いたと言っている。

   そして現在、既に兵を抜いても2万近くに膨れ上がった人口を支える食料源の確保が難しく、

   交易をしようにも、食料に換わるモノも乏しい。 戦って得るか、餓死か。二者択一に追い込まれ。

    今度はタガラクを狙っていたという事。 


成る程ねぇ。 食料問題で領土を広げたら結局増えた人口で、もとのもくあみってか。

       そのアタリを交渉に使えば、停戦どころか友好に持っていけるな。

       実際、イグリスも人口自体少ないからな。 ふむ。少し整理しないとなこりゃ。


もう既に、ガイトスは限界近くに来ているんだろう。 それは姫さんの強い眼差しで察する事は出来た。


  「ありがとう。 大体の事は理解した。 ただ、明日の朝まで整理する必要がある。

        今晩はもう遅いし、姫さんも寝た方がいいな」


そう言うと、姫さんは少し不機嫌そうな顔をする。

  「ファリアだ。 では、期待している」

そう言うと、去ろうとする姫さんに一言。

  「ファリア姫さん。 なんで戦場にでてるんだ? こんな人数いるってのによ」

その声に立ち止まり、少し怒った声で答えて出て行った。

  「ファリアで良い。 私にも私の理由がある」


おおぅっ! 怒らせてしまった。 激しくドアを締めてでていったな…逆鱗か。

   そのままドアから視線をイストに移す。

  「で、一言も喋らなかったなお前」

  「無理じゃろ? これだけの人数の食糧難を解決するなぞ。 

        いかにイグリスとて何の益も見込めぬ国に、

             そこまで食料やら支援物資は出さぬと思うのじゃが」


軽く頭を撫でてる俺を不思議そうに見るイスト。

  「ああ、確かにどうしようもないな…だが、どうにかするべきだ。

       先ず、タガラクは祖先の地を求めている。

          水神を倒せたらタガラクとのいざこざはなくなる」

  「じゃろうけど…。 それだけ待っていられるのかの?」

  「タガラクの宝って奴次第だな。 先ずはそこから切り出していく。

               後は、方法はあるにはあるからな。

    俺の住んでいた世界の砂漠にも、似たようなモンがあったし」


首を傾げて、俺を見るイスト。

  「な…なんじゃろう? タガラクもガイトスも救える方法なのじゃろうか?」

  「ん~…、まだ頭の中で整理しないといけない。 情報量が多すぎるからな」

  「そうなのじゃか…じゃあワシは眠いので寝るのじゃよ」


そう言うと、大あくびしてからベッドに方に歩いていき、倒れ込んで毛皮に包まって寝てしまったイスト。

 気楽だなぁおい。 こっちは必死だっつーのによ。


蛇神の難攻不落の超高速リジェネ付きの馬鹿げた体力。ソレを一撃で0にする方法。

ガイトスの食料難を、ほぼ出費無く解決する方法。


…どっちも難攻不落だなおい!!! 


まぁ、その前に言葉の真偽の確認だな。

 テーブルに置かれている干し肉の様なモノをおそるおそる口に入れる。

味気ない、というかゴム食ってるみたいだな。 とくに…眠気やら痺れもおこらない。

                という事は真実を語ったと断定するべきか。


然し不味いなこりゃ。 食えたモンじゃ…。


  「それ…グランワームの肉じゃぞ」

  「…」


干し肉を口に入れた状態で、毛皮から顔を出したニヤケ面のイストを見たまま俺は、心身ともに硬直した。


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