第九十五話 「言視の神伐戦 Ⅲ」 三幕 詳細Ⅲ
キャラ等設定 Ⅲ
□ メギアス □
大陸としては中型。大きく三つの国に現在分かれている。
南東、山々に囲まれ緑溢れる国。イグリス。
北、平地が続き森林が多い国。レガート。
南西、荒野と森林が二分する自然環境の厳しい国。エルフィ。
□ レガート □
初世代時は敵国家であり、イグリスの封印を解いた国。
その戦いの結末は、首謀者と共にレガートの地で幕を閉じる。
その後、その戦いの最中に一人、捨て駒となった者と約束した少年が、
現在のレガートとなっている。 一度完全に崩壊した為か、
いまだにその傷は癒えず、イグリスの援助の下で再建しつつリンカーを育てている。
平地が続き、森林が多いが、比較的気温が低い。
建築物は、石作りで灰色を基調とした街並みで円形。
街の周囲にはスラクという大型の肉食動物が生息し、
食料には事欠かないが、同時に被害も相次ぐが、そのスラクを相手にする事で、
戦闘能力が比較的高い国となりつつある。
□ エルフィ □
双星の封印の最後の一つが残る国。荒野と森林が二分する。
非常に自然環境が厳しく、獰猛な生物・魔物が跋扈している。
自然の恩恵を多く受けられる反面、その脅威にも常に晒されている国である。
その脅威から生き抜く為に、一人の少女が初世代の主人公を求め、
子を授かる事になる。詳しくは『ノヴィア』~『双生と双星』参照。
□ リンカー □
リンカーフェイズした人間の事を指す。 魔人は、繋ぐ者。
リンカーは男性しか存在しないが、初世代キャラのリセルがリンカーになった事から、
まだ不明な点がリンカーフェイズにある事が判る。
□ 世界各地の封印 □
代行者とケリアドの戦いは永く、その最中に封印された神も数多く存在する。
アルセリア・ケリアド。どちらが悪か、という答えでは無い事からか。
封印されている神が、必ずしも害を成す存在とは限らない。
それは初世代主人公が明らかにしており、神が全て傲慢であるという意識は、
メギアスでは薄れてはいるものの、世界では未だにその考えの場所が多い。
□ 魔精具 □
精霊と契約した者が扱える唯一のリンカー武具。
並の武器だとリンカーの攻撃力と、攻撃した際の防御力に耐え切れず壊れてしまう。
その中でも、直系の者のみが扱える武具は極めて強力である。
□ 魔精典文 □
ここ250年間で明らかにされた事柄や、古くから伝えられている事を記した本。
大変分厚く千ページをゆうに超えている。
100年周期で追加更新。本自体はファインダー形式になっており、
追記ページを購入して差し込んでいく。
ちなみに、初世代主人公の事も記されており、
彼が冗談で発した今際の言葉。「シバヅケタベタイ」
多くの者の頭を悩ませる謎の予言になっている。
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「で、どうするのか? スヴィアよ」
「足止め程度でいいなら、方法はいくらでもあるっスよ」
「た…高いの嫌じゃ」
現状は劣勢。 全体的に士気低下な上に、戦力は半減。
主力のイグナさん・ラナさん・ロドさんセレンさんも疲労が溜まってきている様だ。
それに反して蛇神は大ハッスルしだして地面で砂煙を撒き散らし、視界を奪って尾を振り回している。
あの全長最低でも4km以上はあるだろう軽く…とにかくデカい上に体力が凄まじい。
それだけに致命的なダメージが与えられない。その上であの復元能力だ。
余程の火力でもなければ致命的なダメージは期待できない。 弱点さえ判ればいいんだが。
その弱点らしく雷も、ブヨブヨの外皮を覆っているヌメヌメに弾かれる。
体内に直接雷撃叩き込まないと意味は無さそうだ。
まぁ…それよりも言視に対しての対策練り直さないと、アレをやってこられたら確実に全滅するだろう。
俺はヴァランにレガの傍へと先ず飛んでもらい、レガの傍へとやってくる。
巨大な火竜と雷竜、並び立つと壮観だわなこりゃ。
「レガ! ちょい悪いが頼まれごとしてくんねぇか?」
俺の声にレガがコチラを向く。
「スヴィアか。 頼みとは?」
「下にいる連中に、言視術の本気が出る前に対策を練り直す。
暫くコイツの動きを止めるので、全員下がってくれと、シアンさんに。
その後、俺達のとこに戻ってきてくれ。 アンタのブレスも必要だからな」
「俺のブレスも余り効果がなかったが…まぁいい。 引き受けた」
そう言うと、レガは一気に急降下し下にいる連中に声を張り上げて伝えている。
蛇神は相変わらず砂煙を上げて、体を捻り砂煙を撒き散らして暴れている。 まずアレを止めないとな。
「で、アレをどう止めるのか?」
「そっスね。取り合えずレガのブレスを爆発させて、ヴァランの雷でアイツを麻痺させる」
その言葉に、興味深そうに聞いてくるヴァラン。 イストは首を傾げているな。
「ほう。レガのあのブレスを爆発させる…如何にして爆発を。
それに私の雷撃で麻痺させる…。 相変わらず面白い事を考える」
「どうやればそうなるのじゃ…?」
「ん~…。まぁ見てのお楽しみ」
お、全員下がり始めたな。 この距離なら大丈夫だろう…レガも早々と戻ってきたな。
「伝えてきたぞ。次はなんだスヴィア」
「どうも! じゃ次は、ブレスを弱めに吐いて撒き散らす様に、あの砂煙の中にブレス頼むっスわ」
「それは容易いが、勢いが無ければ破壊力が全く出ないが?」
俺は軽く笑い、不思議そうにこちらを見ているレガに答える。
「確かにレガのあのブレスの一撃の威力は凄いが、コイツにそれは相性が悪い。
溶岩状態のを纏わりつかせた方が有効なんだ」
「…ふむ。 わかった」
そういうと、俺達より少し低い位置に降り、息を吸い込み腹を大きく膨らませた。
程無くして、口から溶岩の様なものが垂れ出てきて、それを吐き出す。
いつもならレーザー砲だが、どうみても吐しゃ物という具合に出ている。 ドロッとゲロッと。
それが土煙を撒き散らしている中に、大量に流れ落ちていく。 程無くして焼ける様な音が聞こえてきた。
「そろそろ頃合か」
俺はそういうと、ヴァランから飛び降り翼を広げて飛ぶ。 そのまま左手の△右下の穴に水天を出す。
すると左腕の周囲にいくつも直径50cm程の水泡が現れる。 それを一つに纏めて3~4mぐらいの水泡に。
それを一部溶岩の海になっているだろう砂煙の中へと、いくつも作り出して投げ込んだ。
「スヴィアよ。ただの水じゃないか? それは」
「ただの水だからいいんだよ!!」
不思議そうにその砂煙をヴァラン達が見た直後、いくつもの巨大な爆発音と共に砂煙が吹き飛ぶ。
蛇神自体も結構なダメージくらったのか、体の一部がいくつも吹き飛んでいる。
それを遠くから見ていた、姐御達だろう驚きの声を上げている。 まだまだこれからだぜ!!!!
「次! ヴァランいくぜ!」
「判った。 では君に合わせて打ち出そう」
今度は左下に水天を移し、水の長さ1.5m投擲槍を作り出し、
姿が見え、傷を負って動きが鈍り、白身が見えている蛇神の背中へといくつも投げつける。
投げつけた水槍にヴァランが上から雷撃を当て、勢いを増し蛇神に突き刺さる。
そのまま体内に多少の電気が走ったのか、体の一部が一度跳ね上がった。 …効果はやはりあるか。
次に作り出したのが、水の突撃槍。長さは2mぐらいあり、大きめの槍。
それを構えて急降下し、動きの鈍った蛇神のほんの少し見えている背骨。
それに突き立てた瞬間、俺は上を向いてヴァランに叫ぶ。
「しゃ! ヴァランここに電撃一発いれてくれ!!!」
応の咆哮と共に飛びのいた直後、突撃槍に向けて巨大な雷の柱が落ちる。
その直後、蛇神の体が大きく浮き一度硬直すると、ピクリとも動かなくなった。
「よっしゃ! 背骨に直接電気流し込まれたら流石に暫く動け無いだろ」
麻痺は流石に復元で修復できないだろ。 当分全身に電気残ってる筈だしな。
然し、復元早いなおい…もう傷治りかけてるぞ。 まぁいい、それよりも早く立て直しだな。
俺とイストは再びヴァランの背にのり、レガと共に姐御の下に降り立った。
レガの降り方は相変わらず直滑降でズドン!! 周囲に爆風と砂煙を撒き散らし、迷惑を掛け捲っている。
ヴァランは、少し離れた所にゆっくりと翼で風を起こして、静かに着地。 何…この差。
姐御達が、ヴァランから降りた俺の傍に駆け寄ってくる。
イグリスのリンカー達は座り込んだり、倒れ込んだり、体力回復させようとしてるな。
「スヴィア君、あれ程前衛に出るなと…。 まぁ、今回は助かったよ。 正直手詰まりだったからね」
「ふう…またぶん殴られるかと思ってたスわ」
って、うお!? イグナさんが抱きついてきた。 相変わらずなんという柔らかくて大…んな場合じゃねぇ。
「やるじゃないか! ありゃなんだい。火竜の後で何か爆発してたが!」
「ああ、水蒸気爆発…だったスかね、忘れたスけど。。
まぁ…油が高熱を発してる時に水を入れるとパンパン跳ねるっしょ。
あれを溶岩でやると大爆発になるんスわ。 それも相当強力な」
皆揃って首を傾げてるな…テンプラとか、から揚げとか食文化無いのか? ココは。
その後にヴァランが、顔を近づけて尋ねてくる。
「あの動きが止まった理由はなにかね?」
ヴァランの方を向いて、自分の首の後ろを軽く叩きつつ答える。
「ここにまぁ、動く為に必要なモノが詰まっていて、それが頭の中にも繋がるっスから、
直接そこに電撃叩き込んでやったスわ。 暫くは動け無い筈スよ。
復元でも体内に残っている電撃まで治せないスからして」
血液が無くても骨髄液とかはあるだろ。そう踏んでやったらやっぱあったらしく麻痺しやがった。
神経系がズタズタ持続性ダメージ。って所になった筈だから暫くは動かないだろう。
「取り合えず、時間稼ぎにはなったスけど、これでアイツも動ける様になったら、
言視術の本気出してくる筈っスから、対抗策考え無いといけないんスわ。
同時に、皆の体力回復スな。 そろそろ限界と踏んだんで」
それを言うと皆、砂地に座り込んで考え出した。 姐御が先ず、言視術の本気というのを知りたいのか、
それを尋ねてきたので、俺はそれに答える。
「本気つか、本当に厄介なのは、記憶の中にあるものを呼び起こす所にあるんスわ」
両手でアレコレジェスチャーしつつ、座り込んでいる皆に判りやすく説明した。
『視覚的に恐怖やら熱さ等なら大した脅威では無い。
脳に記憶されている痛み等、直接痛覚に繋がる不可避のモノがくるとどうにもならない事』
それに一番に答えたのがヴァラン。
「成る程。過去の痛みだけを蘇らされては避ける事も出来ない。その上、痛みを記憶していない者はいないと。
不可避といえば…そうだな。例えば海か。 海中の記憶でも蘇らせてくれば…」
「窒息攻撃になるスな。 視覚的でも厄介なのはあるスよ、肉親とか。 神とか暗闇もそうスな」
ヴァランと俺の言葉に、姐御達は少し顔が青ざめたな。 まぁ…流石に上位神だけあって極悪な能力してるわ。
「ちなみに、耳塞いでも無駄っスよ。 ネーレさんの歌みたく直接頭の中に響いてくるタイプかと」
互いに顔を見合わせている。 まぁ、どう考えても打ち破る方法が見当たらんぞこれ。
同時にアイツの復元能力上回る破壊力が出せない。 イストのビックバンでもあの巨体には…。
とにかく今は、あの厄介な言視術をどう回避するか。
姐御が大きくため息を吐く。 イストは…何かむくれっつらして愚痴をこぼす。
「見た感じ知性の欠片も無いというのに、厄介な奴じゃのう…」
…そういやアイツ。 死者と溶岩以外喋って無いな。 動きもそうだ。
こちらが攻撃してくるまで攻撃はしてこない。 それにあの捻って暴れまわるだけの知性の無さ。
明らかに知性無さそうだよな。 見た目と行動も。 なのに言葉だけ喋るのか?
…まてよ。 俺は姐御の方を向いて、気づいたソレを確かめようと尋ねた。
「シアンさん、最初に尾撃喰らった時に、死んだ奴をどうのこうの指示したすか?
死者は後回しで怪我人を助けて下がれ。とか」
その言葉に頷いてきた姐御。 成る程…。
「じゃあ、その後にレガが吐いた溶岩のブレス。 あれに対して誰か溶岩とかいってたスかね?」
それはイグナさんが言ったと答えてきた…。
「何かわかったのじゃか?」
「ん?ああ、確証は無いが…」
うお! 皆寄ってきた。 つか頭上にレガとヴァランの頭が!!!
「で、そりゃなんだい?」
姐御が一際顔を近づけてきた。 こうしてみると美人だよな…いやそんな場合じゃねぇだろ。
「取り合えず対抗策の一つの手段として、アイツの近辺では喋らない」
全員が首を傾げて尋ねてきたので、一度整理してわかりやすく説明した。
『今までの一連の行動からすると、知性自体は、ほぼ無いに等しい事。
ただ、相手側が喋った言葉。ソレ真似る事が出来る可能性がある』
という、一つの仮定を立ててみたワケだ。 死者に溶岩。どれも戦闘中で起こったモノだしな。
これで…てぬおぉっ!!?
「流石だね! アタイが見込んだだけはあるな!」
「いや待って! まだそれが確定したワケじゃネェすから!!」
「ス…スヴィアから離れるのじゃっ!!」
いきなり抱きついてきたイグナさん。相変わらずっつーか…
イグナさんの髪を必死で引っ張ってなにしてるイスト。
まぁ、それはいいとして。イグナさんを引き剥がして、次の戦い方を考える。
「と、とりあえず現状でアイツを完全消滅させる火力は難しいス。
フェンリルかイストの馬鹿火力があれば、可能かもしれないスけど、
確実に仕留める事が出来るか不明。その上で危険性も高いから除外スわ」
それに頷いて、姐御が答えてきた。
「つまり、こっちの戦力が出揃うまでは、私語厳禁で持久戦に持ち込む。
その間に君が確実に仕留める為の弱点を見抜く。でいいのかい?」
むお、また俺の肩に抱きついてきて…胸がやわらけぇぇぇ…ごほごほ。
「イグナさんも真面目に真面目に。 取り合えず無言で戦うのが有効と判ったら。
無言で遠距離攻撃スな。尾撃に注意して」
「何かつまらない戦い方だなおい」
イグナさんが不満そうに喋ったが…。 どう考えても体格的に力押しが通用しない。
力を温存しておいて、弱点を見抜いた時に…だな。これでイグナさんやレガも納得するだろう。
「いや、そうでもないスよ? 弱点がわかった時は、全力で叩き潰す必要ある筈スから」
結局、決まった事は。引き続き波状陣形で無言。 近接は避けて遠距離攻撃主体。
それで知性を探る事と弱点を探りつつ明朝の増援を待つ。
その後ローテーションを組んで、体力と士気を温存させつつ二十日間凌ぐ。
同時にその時に判った事だが、タガラクに攻め入る可能性のある、ガイトスを警戒しなければいけない。
最悪、あの化物と国一つ同時に相手にしなければならなくなる。 という事が判った。
それから30分程して、体内の電気が無くなったのか、麻痺が切れた蛇神が再び暴れ出している。
確かに知性なさそうだ。…それにある程度体力も戻ったんだろう。
周囲で座っていたイグリス勢が波状陣形を取り、イグナさんラナさんを先頭に突っ込んでいく。
その頭上ではレガが溶岩ブレスを吐いて既に攻撃していた。
此処にいるのは。ヴァランと俺とイスト。あと姐御が、俺に近寄ってきて一言。
「で、弱点とやらはアタリはついてるのかい?」
その言葉に、ヴァランやイストも顔を近づけてきた。
「現状は、元々海の生物。 という文献通りなら、雷撃っスね。
あの外皮の粘膜からも見て取れるっスが。 何かを恐れているというのは判るっス」
軽く首を傾げて、再び蛇顔の方へと視線を向ける姐御。
「やれやれ…本当に厄介な奴だね。 ま、そのアタリは頼んだよ」
「へいへい。 頑張りますよ」
軽く流して、俺も蛇神の方へと向く。 電撃はどうみても破壊力には向いて無いんだよなぁ。
頭いてぇ…。