第九十二話 「無限無形 Ⅱ」
あれから五日程経ち、俺達は昼過ぎにラナさんに呼ばれ、工房の方へと。
もう火は使っていないのか、釜戸は閉じている。 というか、なんで篭手を作るのに武器を打つみたいな事をするのか。
あの後、よくよく考えて疑問に思っていた。 ちょうどラナさんも休憩していたので、尋ねてみたワケで。
「ん? ああ、そりゃコイツがそういうモノだからさ。 選定を行った時に精命鉄鋼を芯にして、
地 水 火 風それぞれの鉱石を溶かし込んだりと…どうも並の直系魔精具とは…」
この後30分程、余り良くわからない専門ウンチク述べられたが、なんとか理解出来たモノを纏めてみた。
通常手順とは大きく異なっている事。 通常一つの直系魔精具に一つ必要な属性石の様なモノを四種必要になった事。
本来、繋ぎとして使う精命鉄鋼を中心に作る事。 ラナさん本人もどんなものなのか良く判っていないらしい。
そんな仕上がり不明のモノが、乾燥室から取り出されると、乾燥して割れてた…というよりも、
鋭い鱗が幾つも重なった篭手になっている。 それを惜しげも無くあの氷のハンマーで打ち砕いている。
どうやら、外側は不必要なモノらしくどんどん剥ぎ取られていき、またあのブヨンブヨンの…お?
何か赤銅色から半透明に変色しているが…相変わらず持つとグニグニ動いている。
目を凝らして見ないと判らない。ほぼ不可視物質に近いモノに仕上がっている。
それを手に取り俺の方を見てきたラナさん。
「良し、後は仕上げだね」
そう言うと、俺の左腕を掴んでそのブンブヨンの何かを、貼り付けてきた。 すると…なんじゃこりゃ。
溶ける様に腕に染み込んだ。 ほんの一瞬だがむき出しの神経を触られた様な痛みを伴ったが、すぐに治まった。
「ふむ。 どうやら寄生型だった様だね」
「寄生型って…同化するんスか」
「ああ。 左腕そのものが直系魔精具になるってことだよ」
成る程。 さっきの痛みは神経に…ん? 何か…何だ、変な感覚というか頭の中に…。
「オバサン。 左腕に三つの補助石が同時に埋められるっぽいスな。
良く判らんスけど、何かそんな気がしてるんスけど」
「ああ…ソイツは直系魔精具が伝えてるんだよ。で、他に何か無いかい?」
「あーと…血を流す必要があるみたいっスな」
それを聞くと、また俺の右手の甲を斬り、紋様を通して黒から赤に紋様が変色する。
「ラナさんこの刃物もしかして…」
「ああ、精霊の力を借りる時の触媒さ」
「やっぱスか」
その変色した紋様から一滴の血が肘から滴り落ちる。 それを左腕の寄生された部分で受け止めると、
その血が広がっていき、見慣れない模様になり、三つの穴をはめ込む様な紋様になる。
「この穴に…6つの天石を埋め、伴侶と繋がると埋める場所と順番で姿が変わる。
とか何とかそんな感じの言葉が脳内に」
「成る程ね。 多分、アンタとお嬢ちゃんの風の力。 二種の風が繋がって初めて形を取る様だね」
「おお! じゃ、武器にもなるかもなんスな!」
軽く頷いたラナさん。 それを見て小躍りして喜ぶ俺。 いやだってよ…ようやく攻撃系の力が…。
その直後に頭に再び文字が浮かぶ。
「無形 というのがこのガントレットの名前みたいスな」
「成る程ね。風に形は無いからかい…面白いねぇ。 じゃあ次はお嬢ちゃんだ」
少し離れた所で、相変わらず封印の玉を覗きこんでいたイストを呼んで、同じ事をし出す。
程なくして、イストは…右腕かそこに溶け込んだ部分に、また俺の血を垂らされた。
暫くして、イストが似た様な感覚に囚われたらしく、少し痛かったのか、顔をしかめる。
そして、その直系魔精具の片割れの名前を口にした。
「…無限…じゃろうね。 埋め込む穴は三つのようじゃ。 それも天石を求めておる」
その言葉に、ラナさんは目を丸くして首を傾げる。 確かに可笑しいわな。
「おや。天石は4つしか存在しない筈なんだがね。
存在すら知られていないモノが残り二つ在るってことかい」
「みたいスな。 属性っぽいスから、地水火風…はあるだろうし。…察するところ光と闇じゃないスかね」
ラナさんとイストが俺の方を不思議そうに見る。
「なんだい知っているのかい? 典文にも載っていない様な物を」
「コヤツ、ワシ等の知っている事を余り知らぬ。 その代わり知らぬ事を知っておるからの」
「まぁ…なんつーか経験からくる勘つか。そんなぐらいスけど。 多分 光と闇の天石でもあるのかと」
二人して顔を見合わせているな。 ん? ラナさんが誰かに気づいたのか、家の影に向いて声を荒げた。
「いつまで其処で見ているんだい!? イグナ!!」
いたのかよ姉さん。 まぁ、疾風の直系魔精具きになったんだろうな。
「相変わらず勘の鋭いババアだね。 で、仕上がったのかい?」
「ああ、今丁度出来た所だよ」
ぐお、俺とイストはラナさんに無理矢理近づけられた。
「ほら、さっさと見せておくれ。 一つにするって事はリンカーフェイズするって所だろ?」
ああ、成る程。 俺達は顔を見合わせて頷くと、イストが俺の胸に手を当てる。
「それでは往くぞ…。 心拍同期…解析開始!」
俺達二人の周囲を影が足元から取り囲み、最近御用達となった鷹。ホークマン。
影を取り払う様に、その姿を借りて出てくる。 そして、その姿になった互いの腕を見てみると。
何も変化が無い。 んだよ!! 期待して損した。
「ほれ、コイツを忘れているよ」
と、ラナさんが手渡してくれたのが、水天月晶石。 その一つをとりあえず俺の方に、適当に埋めてみた。
すると、左腕周辺に水の泡が…というかカニの泡といった方が早いか。 ブクブクと腕をつつみこ…うほ。
その瞬間、半透明の水が揺らいでいる三本の爪が手の甲ちょい下から出てきた。 クローかよ。
サイズもそれなりにデカく、膝まで届いている。幅は30cmという所。結構な大きさだが、重さは大して感じられず。
その瞬間、また頭の中に文字。 使い方だろうか、そんな感じのモノが…。
「オバサン、そこの裏山目掛けてちょい使ってみていいスか?」
「構わないよ。 まさか山一つ消し飛びはしないだろうしね」
イグナさんもイストも黙ってそれを見ている。 俺も初武器で楽しみだわ。
えーと…爪の先をああ、鋏みたいに左右に動くのな。 それを先端に三本集まる様にして、
良く判らんが、左腕を腰からかる~く裏山目掛けて振り上げてみた。
「…」
「…」
「…」
「…」
全員それを見て唖然としている。 いや、俺もその場にへたり込んだ。
一言で言えば、高密度に圧縮された水圧のカッター。裏山どころか地面までかなり深く斬れている。
ひでぇ…なんじゃこりゃ。 成る程…こういうタイプか。
「どうも、高密度に圧縮した水で切り裂く武器みたいスな。 遠距離用ってトコすか」
「驚いたね。 ここらの地面は相当硬いんだが…なんて綺麗にまぁ」
ラナさんがその切り口を覗き込んでいる。 あんまり使わない方が良さそうだ。 味方まで殺してしまうぞこれは。
「あんまり多用しない方がいいみたいスね。 集団戦だと味方まで真っ二つにしそうっスわ」
「す…すごいのう。 水の類は本来防御じゃのに…」
「あははは! いいじゃないか! 蛇神と戦うんだ…これぐらいの力があった方がいいだろ」
まぁ、それぞれ色々といってくれてますが…まぁ次だ。
「次はイストの方だな…て、うお?」
意識したら、腕にあったのが、内部にめり込んでイストの右腕の穴から出てきた。 そしてまたカニの泡。
そこから出てきたのが…んだこりゃ。 六角形の薄い水の鱗みたいなモノが一つ浮いている。
「なんじゃろう…これ」
それをイストが突付くと、プルンと揺れる。 その瞬間大増殖して俺達の前で六角形のソレが連なって壁になる。
「ふむ…防御壁の様じゃな。 どうやら」
おほ、便利だな。 遠隔とシールドか。 飛んでる時に向いた性能だこと。
「こりゃまた凄いね。 アタシも長い事、魔精具みてきたけどね…石に応じて形状変わるのは初めてさ」
確かに、能力に差はあっても形状そのものが変わるってのは聞いて無いしな。
まぁ、何にせよようやく攻撃出来るのか…俺。 ちょっと涙目。
然し、威力は凄いが…使い難いなおい。範囲が直線なのは別にいいが…味方巻き込むぞこれは。
-------------五日後・ラナの家・夜----------
あれから色々と試して、穴の場所を移動させると、また別の形状を取る事が判った。
爪・槍・水泡。 水泡がただの水なので…用途不明。
イストの方は、楯・杖・腕輪。 杖はどうも風空自在に水を付与するらしい。
腕輪は、効力不明。 まだ理解不能な部分が色々とある。
まぁ、前例が無いらしくラナさんも頭を抱えているが…嬉しそうではある。
俺は、隅っこの壁にもたれ掛かり魔精典文を読んでいる。 読んでいる項目は蛇神について。
やはり、言視術については不明らしいが…。
元々海の生物であるという事が判った。 …海蛇といった所だろうか。
大きさは、身を起こせば雲まで届き、その長さは小さい大陸を横断する。とある。
…どんだけデカいんだよおい…。 多くの僕を従える…、さしずめ女王様ってとこか。
当然神族に属するので、復元能力もあり…なにちょっとまて。
砕が通用しない神だと…。 なんだそりゃ。復元能力を砕く力が通用しないとか。
…まぁリカルドが誰かに伝えてるとは思うが…、それも期待出来ないのか。 厄介だなおい。
ふーむ。後五日で蛇神の封印解けるってのに、弱点つか有効な戦い方が見当たらんぞコイツ。
海の奴なら雷が弱点か? いやそんな簡単ならリーシャが倒しているだろ。
復元能力…砕が通じない。 ともするとイストのビックバンか? いや相手でか過ぎるだろ。
…駄目だ。 この情報だけじゃ有効手段が見当たらないなこりゃ。
然し成る程…。 だから封印したのか、倒す方法が無いから封印した。
過去の最強魔術師だろうリーシャをもってしてもだ。 どうなることや…またか。
「イグナさん、年中発情してるんスかい」
横に来たイグナさんがまたご立派な胸を右腕に押し付けて本を覗き込んできた。
「失礼だね! …ああ蛇神調べてたのかい。 どうだい真偽眼の資質で弱点見えそうかい?」
「駄目っス。 今の所は打つ手無し。 つかどれだけデカいんスかこいつは」
「ははは! あの大砂漠を包み込むぐらい大きいって話さ」
ひでぇ…。歩いて横断数ヶ月の砂漠を包むぐらいって…どんなデカさだよ。
ん? 何か真剣な顔して、耳に囁いてきたな。
「さて、あと五日余裕が出来たね。 ちょっと鍛えてやろうか。ついてきな」
「ん? いや俺に攻撃すると…」
「アンタの力は知ってるが、自分の弱点ぐらい知っておきな」
なんだ、弱点あったのかコレに。 興味がありまくったのか、イストとラナさんにソレを伝えて、
五日分の食料を荷物に詰め込み家を出る。 イストはどうやら解読に必死らしくあまり興味を示さなかった。
-----------トア地方・北西の森------------
家を出て半日。丁度、日が昇る頃にたどり着いた、大きめの森。 俺はその弱点とやらが気になってついてきた。
獣道が開けて一際大きい広場にでた其処は、木々が避ける様に広場になっていた。
半径500mってとこか。 かなりデカい広場。 たまに動物の姿も見受けられるが…酷く肌寒い。
周囲を見回していると、妙に背後が熱いので後ろを見てみると、
既に準備しているイグナさんが構えに見えないが、左手を軽く前に出して立っていた。
よく見ると、左手の中指にリングがはめられており、石が埋め込まれている。
火の直系魔精具だろう。そこから火が溢れ出して左腕全体を覆っている。
「イグナさん…熱くないんスか?」
「動物が自分の毒で死ぬかい?」
「ごもっとも」
そういうと、俺に無風活殺を使え。そう言うと、いきなり火を俺にむけて薙いで来た。
慌てて火を取り巻いてる風を捕らえて返そうとすると、
その取り巻いている風に火が絡み付いて腕に巻きついてきた。
余りの事にどうする事も出来ず、かなりの火傷を負った。
「あつっ!!! いてぇ! いたあつっ!!!」
「どうだい? 風は捉えられても、捕らえた風に巻きついてきた火はどうしようもないだろう」
成る程…確かにそうだ。物理攻撃には強くても、風に纏わり着いてくるものには弱いってことか。
「成る程…確かに弱点スなこりゃ」
焼ける痛みを抑えて、再び構える。
「ソイツをどう克服するか…自分で考えてみな」
や、そういわれまして…ぎゃーーーーーーーーっ!!
遠慮の欠片もなく、火を薙いで飛ばしてくるイグナさん。 ソレを必死で転がったり走ったり逃げ回る俺。
それを快く思わなかったのか、火の鞭の様なモノで足を取られた。 同時に足に痛みと焼ける臭いが…。
「いでぇぇぇぇえええっ!!」
「遊んでると死ぬぞ?」
殺す気かよ!!! 然し…予想していたより強いなこの姉さん。
「だーっ 判った。 マジで行くから一度離してお願い!!」
「情けないな! まぁ、この一回だけだよ」
そう言うと、足から火の鞭が消えた。 俺は立ち上がり、地面に意識集中して構える。
無風活殺が使えないなら、ヴァラン戦の応用だ!!!
「…何を地面見てるんだい!」
怒った様な声とともに、物凄い熱量が迫ってくるが、影のみを見て場所を確認し、
それを左にかわし一気に詰め寄り、彼女の右腕をつか…あつっ!!! 掴んだ瞬間右腕まで炎上しだした。
「面白い避け方するが…ちょいとアタイとは相性悪いみたいだね」
悪すぎるわ! 風が強けりゃ火は消せる。が…俺のは相手の風を利用する。
火が纏っている風しか使えない…つまり消し飛ばす様な風力出せないってことだよ。
「悪いってモンじゃネェっスよ!!」
…いやまてよ。 コレはいけるか?
「おっしゃ! もいっちょきやがれっス!」
そういうと、再び無風活殺の無構えを取り、火を薙いでくるのを待つ。
直後にまた大火力の火炎が地面を焦がして走ってくる。 それに取り巻いている風を捉えて、
それを弾くでも斬るでもなく…俺の腕に巻きつかせた。 当然ながら熱量で火傷は負うが…
イグナさん同様に腕に風と火を渦巻かせて一気に詰め寄るが、再び火を薙いでくる。
それも捕まえて腕周囲に更に巨大な炎の渦を作り出し、流石に耐えかねたのか、
それをイグナさんに向けて纏めてはじき出した。
「うるぁっ!! ファイヤー爆弾男の自滅技!!!」
爆弾出し続け爆発しながら歩くアレである。 当然…死にはしないが腕の火傷が凄まじい事になり、
右腕を左手で押さえてその場に屈みこむ。
「イでぇぇぇぇぇぇぇぇえええっ!!!」
「驚いたね。 弱点をそのまま使って攻撃してきたかのか」
うげあー。流石に火耐性高いんだろう、全く効いちゃいねぇ!!!
「良し、弱点は認識した様だね。 次は物理攻撃に対しても弱点があるよ」
と、言うと、火を消して肉弾戦に持ち込んで来た。 いや物理攻撃に弱て・・げほっ。
屈みこんだ俺を遠慮の欠片もなく右足で蹴り飛ばしてきた。
俺は背中から地面の上を激しく滑りふっとぶ。 追撃もあるだろう焦って立ち上がり無構えを取る。
それを待ってたのか、目の前で立っていたイグナさんが、右手で殴ってきた。
俺はソイツの風を捉え…ようとしたら腹部にイグナさんの左拳がめり込んでいて、痛みで前屈みになる。
その直後、頭の上に鈍痛が走り、地面に叩きつけられた。
「わかったかい?」
「なる…ほどっス。 フェイントに弱いって事っスか」
「その通り。 いやフェイントに弱いんじゃない。 アンタがソイツを使いこなして無いだけだな」
返す言葉が無い。というよりも、この人クラスの化物と戦った事が無いからだろう。
単純な力技じゃなくて、格闘技のソレに対する経験が無いってとこか。
「さて…遠慮はしないよ」
「うス!!」
そのまま、夜までボッコンボッコンに殴られ蹴飛ばされ、全身打撲やら骨折、
火傷等もう酷い事になった俺が息を荒げて前屈みで倒れそうになっている。
それを見たイグナさんが構えを解いて俺に近寄ってくる。 そのまま問答無用で胸に手を当てられた。
「心拍同期…解析開始!!」
ちょっ! 強引過ぎる! そのまま輪廻で無理矢理、鷹の前につれてこられて影を取り払い出てくる俺。
そして、傷を治して解いてから、夕食を食べた。 …これが…五日も続くのか?
俺は、広場の所々にある岩にもたれ掛かって精根尽き果てた様に、真っ白に燃え尽きていた。
それを見たイグナさんが隣に座り込んできた。
「初日であそこまで動ける様になるとはね…」
軽く、俺に寄り添ってくる。…嫌な予感がする。
「いやいや、イグナさんが今まで戦った誰よりも、手に負えない強さだと見に染みたっスわ」
肩に手を回して着て笑い出したな。
「あはは!そうかい? だが一撃の大きさはリンカーと比べるとどうしても劣る。
だから手数を増やして相手の急所を狙い。攻撃力を先ず奪っていくんだよ」
「成る程ス。 相手を無力化してからトドメを刺せってカンジすな」
「ああ、その通りだ」
つか、この人も魔人なのに単体で強いな。 姐御はパワフルだか、
イグナさんは力というよりも、急所を的確に突いてくる感じだ」
考えている俺の横で、イグナさんが、荷物袋から毛皮を取り出す。ああ、寝るのか。 然し…寒くネここ。
「毛皮と焚き火で耐え切れるんスか?」
「無理だね。砂漠に近い場所で夜は毛皮と焚き火だけじゃ、凍死するよ」
…いやまて。 それ判って来てんだろ? つまり何か…。 うがぁ…服脱ぎ始めた。
年齢は20ちょいだろうか。茶色の蓬髪といえばいいのかそれを軽く振って、
上着を取り、バスト95ぐらいはあるだろう。
それを押さえつける様に巻いていた布を取る。やや肌色に近い白の肌。垂れてるかとおもいきや形も素晴らしい。
そのまま恥ずかしげもなく、やたら幅の広い黒地のズボンと下着を一度に脱いだ。
そのまま、それを見ている俺を押さえつける様に地面に敷いた毛皮の上に。
まぁ、もう歳だしな。 驚きもせんし焦りもしない。 が…メディいるんでやりたくは無い。
「いや、俺一応嫁さんいるんで、やれんスわ」
「堅いねぇ…じゃあ、暖めるだけにしておこうか」
そういうと、俺の服を脱がしてくる。あっというのに素っ裸。 流石に弱点やら教えて貰った上に、
ディアリアの件もある。余り嫌がったりすると、失礼に値するだろう。 そう思い。
残念そうな顔で、俺と一緒に毛皮に包まって寝ているイグナさんを抱き寄せた。
「なんだ? 嫁いるんじゃないのか?」
「それもあるスが、まぁ…礼儀知らずにゃなりたくは無い。という所スわ。
最後までやらんスが歳の功ってやつで」
「真面目だねぇ…って、アンタまだアタイより若いだろ」
軽く、彼女の耳元を噛んでから囁く。それに少し感じたのか体がピクッと反応した。
「オオミっスわ。俺。ほら記憶持ったままナニしてるワケで」
それに驚いた顔でコッチを見ているが、何も言わずに強く抱きよってきた。
とりあえず、そのご立派な胸に舌を這わせたりと、彼女の反応に応じて、強弱つけたり、
相当やりなれてるっぽいので、顔を上げて、右の中指でお尻の方を軽く苛めてみたり。
「ま…待て! どこをアンタさわっ…て!!!」
お尻は弄られた事が無かったのか、それでも段々と前から湿りが伝わってきた所を見ると、まんざらでもないのか。
軽く口を開いて少し浮いた舌が硬直し、細い目を丸くして視点があってない。そんな表情をしている。
更に湿ってきたお尻と胸を手で苛めたおしていると、俺の左の太ももに股を強く挟んで摺り寄せてきた。
太ももに熱く湿った感触が伝わってくる。 段々と挟む力が強くなってきたので、少し強めに苛める。
同時に顔をその大きくて形の良い胸に近づけて、優しく噛んだり舌で苛めたり。
ちょい優しくし過ぎたか、太ももを挟む力が弱まってきた。
今度は、激しめに弄んでいると、太ももを挟む力がかなり強くなる。
「い…やめ…やめろ」
俺を力強く抱きしめて、声と息を荒げだす。 普段は低めの声だがもこうなると女性らしい高めの声になるんだな。
そのまま更に強く深く苛め倒すと、かなり大きい声で鳴いて一気に力が抜け、
「…く……ぅぅうあっ!!」
俺の体から力なく離れて体で息をし、目を瞑って横になっている。
体が痙攣している様だが、ここで止めると不機嫌になるだろう、引き続き今度は右手を股下に潜り込ませると、
見事に太もも周囲がしっとりとして、太ももを締めて嫌がっている。
が、知らんとばかりに人差し指と中指を遠慮なく強く上下させ、蛇が這う様に動かしたり。
そうこうしていると、目を開いて俺を突き放そうとする。
「まっ…待て! こ…これ以上はやめろっ!」
問答無用。 さっきの爆炎攻撃のお返しとばかりに、体を押さえつけて、大きく形の良い胸を強く噛んだり、
左手で上下に強く揉む。右手も無論続行中。
「アン…タ! おこる…よ!! …う…ぅあ…くっあ!!」
髪を振り乱し。必死に俺から逃げ様と身を捩じらせて足掻いているが…。
関係無い。 さっきの苦しみ受けろとばかりに、優しさの欠片もなく。
彼女の人としての尊厳を奪うが如くに1時間ちょい責め続けた。
…やり過ぎたか。 途中で気絶させてしまったぞおい。
さんざん弄り倒してやった所為か、俺の指がふやけていやがる。
まぁ、そのまま軽く彼女を抱き寄せて、乱れた髪を手で整え、毛皮をきっちりと被る。
そのまま暫く、夜空を眺めていると、彼女が目を覚ましたのか強く抱きよってきた。
「アンタ…何て所を…」
「ああ、そこは慣れて無い。弱点と見たので、そこから攻撃力奪ってやったっスわ」
「ったく! 変な所に応用するんじゃないよ!!」
顔を赤くして、目を強く瞑って怒っているイグナさん。 まぁ、これで満足してくれただろ。
命助けて貰ったしな…マジであのままだと死んでたし。 こんぐらいはせんと…本人溜まってた様だしな。
そんな戦闘練習と、満足させたのは良いが、味をしめられたのか、
夜の相手が続き、ついに14日目の夜になり、俺達は一路砂漠の町へと往く事になる。




