第七十五話 「イストラード Ⅴ」
「成る程のう。 この国の英雄譚…という所じゃな」
「ん? ああ。 そんな所だ」
興味深そうに本を見つめている。 こうして見ると本当にリセルに似ている。 が・・・。
その見た目で駄々こねるのか? ちっと気になったので聞いてみた。
「む? ああ、見た目も幼くなるのじゃが、精神年齢も下がるのじゃよ」
「不便だなおい」
俺は軽く笑うと、気にしているのか睨んできたな。まぁ、ずっとその状態の方が楽でいいんだが。
そうもいかんのか。 つか体内に溜め過ぎると危険…その状態の時はずっと発散しているのか?
そう聞いて見た所、微弱な力場を形成し続けて魔力を消費しているとこの事。
「成る程ね。 リセルも魔力は高かったが、イストはそれ以上で尚且つ使い慣れてるって所か」
「そのリセルがどの様な者であったか。そこまでは知らぬ。じゃが二の舞にはならぬ」
この状態だと賢い子の様だ。 尚も本を読み続けている所を見ると本の虫なのかも知れないな。
そんな彼女のなんとなく眺めていると、元気な声が入り口のドアを叩く音と共に聞こえてくる。
「おーい! ニーチャンいるか!?」
ドアが壊れるぞおい。 物凄い音立てながらドアをノックしている。
「ああ、いるよ。 どうぞ」
そう言うと、入ってくる。 赤髪の爆発頭。所謂、勇者ヘアーだな。それにドングリ目に赤い眼。
肌は黄色。懐かしいなレガートの制服もこんなんだったな。黒基調の軍服に似たソレを着ている。
身長はワリと低めで160ちょいという所。 それに反して体格は良い部類。
その後ろから入ってきたのは、オズ。 人為的に作られたユグドラシルの種だが…。
帰ったら聞いて見るか。長生きの理由でも。 緑色のベリーショートにオデコが映える。
目は半開きで口は常に閉じている。 見た目の年齢は18ぐらいか? あの時のアラストルより少し若いぐらい。
男女兼用なのか、似たようなレガートの黒基調の軍服。体型は細めで凹凸少なめ。メディみたいなモンだな。
そんな二人が、部屋に入ってくると、アルドの方はベッドに座り込んでコッチを見てくる。
オズは俺が懐かしいのか、背中からのしかかってくる。
「んだ? 甘えたいのかオズ。 その歳で」
軽く笑って背後からのしかかってくるオズに言う。
「…なつかしい」
口数増えたが相変わらず単語だけだなおい。 それを見てアルドが笑ってこっちを見ている。
「オズが人に懐くの初めて見たな! 俺でもリンカーフェイズの相方になるのに苦労したのによ」
人を動物みたいに言うモンじゃないぞ。 つかアルドの方から頼んでたのか。 苦労の程は伺えるよ。
「で、あれからどっか行ってたみたいだが、アルド君の方は何か見つかったかい?」
両手を軽く左右に広げて首を大きく横に振った所をみると収穫無し…か。
「ニーチャンこそどうなんだ?」
軽くイストの方を見てから、またアルドに視線を移す。
「ああ、取り合えずリスクの高い、いきなり海へ。は避けられそうだ」
それを聞くと、ベッドから降りて、俺の前にあるテーブルに両手を置いて内容を催促してきた。
俺は掻い摘んで話す。
先に海に出るのじゃなくて、砂浜に居る…のか、在るのか、知らないが夜の君。それを先ず探す事。
そして、飯ついでに酒場に行って、砂浜に関する情報を集める事。 この二つを教えた。
「へー! どっからそんな話を?」
「イストが今読んでる本だよ。 何かの民謡みたいな歌詞で綴られている短歌の様な」
「そんなんアテになんのか?」
「何も知らないで、無計画に突っ込んで行くと、行方不明者の二の舞になるだけだ」
お? 納得したのかベッドに戻って座り込んだ。
「わかった! ニーチャンの方が長生きだしな。その当りは任せる!」
「へいへい。 つかレガートは溶岩で完全に壊滅したが、再建出来たんだな」
「はは、何代もかけて、イグリスから援助貰ってようやく小さいながらの国って感じだよ」
成る程、姐御が助けていたのか。
それから暫く別の話をしていた。 というか質問責めされた。…そして何故かこう言う結果に。
「良し! ニーチャン。夜まで少し時間あるから、軽く相手してくれ!!」
「何故そうなるんだアルド君」
「ニーチャンが強いからだ!! レガートじゃもう相手になるのがいなくて…つまんネェんだよ!」
そういう事か、…まぁ戦力確認て事でちっと揉んでやるか。 …揉まれたらどうしよう。
そんなこんな、イストは本の虫化したらしく、部屋に残り、俺とアルド・オズだけ岩壁に移動する。
相変わらず潮風が強い。磯の香りも濃く、岩に叩きつけられた波の音が煩い。
「このあたりでいいか。 良しオズ。リンカーフェイズしてやるといい」
「…うん」
ん? 何か怒ったようにこっちを見ていってくるアルド。
「生身のニーチャンに赤竜になれっかよ! 一対一だ!」
「ナメとんのか。 つか赤竜なのか…案外サザの生まれ変わりだったりしてな」
「サザってなんだ?」
「俺やオズも含め、イグリスを護って死んだ赤竜の爺さんだよ」
ん? 何か仰け反って叫びだしたな。 ガットに似てるなとことん。
「そうなのか! 良しオズやってくれ! ついでに赤竜に名前聞いてこようぜ!」
ああ、サザなら答えるだろうし、それが一番か。
「…心拍同期…解析開始…」
オズがアルドの胸に手を当てて、そう言うと二人の足元から影が湧き出て二人を包む。
それから数分経ったが、まだ出てこない所を見ると聞いているのか。
俺は少し、日の落ちてきた赤く染まりつつある水平線に視線を向ける。
見た感じ霧は無し。 夜霧って線が強いのか、まぁ…その『浜辺』を見つけてからだな。
「しゃー! 準備いいぜニーチャン!」
お、影を取り払う様に出てきたアルド。と肩にミニマム化したオズが浮いている。
「お帰り。 で、サザだったかい?」
「いや! シャードとか言う赤竜だったぜ。サザじゃなかった!」
「そうか。 残念だな。…まぁ、サザだったらオズが気付いてるしな。
よし、一丁揉んでやるか。 ハナから全力で来い」
そういうと、軽く間合いを取り、相変わらずの無構え。
「いいのか? まともに食らったら殺してしまうんじゃないか?」
「疾風の大精霊の…いや、風の精霊の力。神をも殺した防御の力を甘く見ると怪我するぞ」
「はっ! そいつは楽しみだぜ! じゃあいきなり全力でいくぜ!!」
そう言うと、翼で風を作り地面に風をぶつけ、上空へとあがり、翼で周囲に風でも作ってるのか、
激しく羽ばたいて…バックドラフトだったか? そんな感じか。真空でも出来たんだろう。
軽く吐いた火が一気に燃え広がって、それを吸収した。属性強化みたいなものか。
つこた、身体能力強化か…物理攻撃に火属性付与ってとこだな。…おいおい。
「アルド君。 オズがえらい熱そうだが大丈夫か?」
「俺と同様に火耐性あるから平気だぜ! ちっと熱いがな!!」
成る程。
「おーし、じゃかかってきなさい!!」
「いくぜ!!」
そういうと、考え無しに急降下してきたな、もちっと考えてだな。
俺のやや前方左斜め上から、勢い良く突っ込んでくるアルド。 右手を引き締めている所を見ると殴るつもりか。
それに軽く警戒して、2m前後の所まで飛んできて、右手を強く振りかざした。
それにあわせて俺は左手を前に出すと、アルドは右手で強く空を叩き、翼で風を作り右へほぼ直角に移動した。
「うお?」
面食らった。なんつー物理法則無視した動き方すんだよ。そのまま右側面から俺の足元に蹴り狙ってきた。
蹴り足は右、上半身を軽く捻って右手を構える。そうするとどうだろう。 俺の足では無く地面を強く蹴った。
砂煙が巻き上がり、俺の視界を遮ってくるが…砂煙で風が良く見えるぞ。
その場で前転でもしているんだろう、風が縦に渦を巻いている。となると…一回転してカカトでも落としてくるか。
本命だろうソレが俺の頭部目掛けて上から落ちてくる。
体を横に向けて右手でソレを受け流し、巻き込んできた風を捕まえて弾き飛ばす。
砂煙を巻き込んで弾き飛び岩壁に叩きつけられたアルド。
「ぐぁっ! いでぇ!! 尻尾が砕けた!!」
「お、足じゃなくて尻尾だったか。 つかどんな動き方すんだよ。フェイント多すぎだっての」
地面に座り込んだアルドは、どうやら尻尾の再生を待ってるらしく、攻撃はしてこない。
「然しまぁ、いい動きだな。 良く判ったよ」
「ひ…久しぶりに俺より強い奴が!!!」
何か体を強張らせて両拳握り締めて喜んでるな。 そんなに嬉しいのか。
「つかニーチャンそれなんだよ! 触れられただけで、尻尾が砕けたぞ!!」
「ああ、相手の勢いが強ければ強い程、攻撃力が増す0距離攻撃…一応防御なんだけどな」
意味が判らないという顔をしているな。 俺は近くにある石を拾ってアルドに言う。
「こういう事だよ」
手にした石を、近くの岩に強くたたき付けた。 叩き付けられた石は、部分的に砕けて二つに割れる。
「こういう事。 飛んできた石が割れたり砕けたろ?」
「ひでぇ技だな!!」
理解したのか、砕けた石をジッと見ている。
「確かに酷い技だが、相手が何もしなけりゃ攻撃力が無いぞこれ」
「弱点自分で言っていいのかよ」
「知ったからといって、どうにもならんのが無風活殺。」
「確かにな!!」
そういうと、笑い出して、再生が終わったのか立ち上がり、リンカーフェイズを解いた。
「んだ? もういいのか?」
「俺の全力が通じないんだ。 これ以上やっても体力の無駄だ!!」
「…わりと賢い」
「うるせぇ!!」
オズがツッコミいれたぞおい。 まぁ、頼りになるのは確かな様だ。流石にガットの血は引いてるだけはあるってか。
「じゃ、宿に戻ってそろそろ飯食いにいくか」
「うおー!飯!!!」
「…お腹すいた」
若い子は元気でいいね。 ああ、何か俺が姐御っぽくなってるぞ。 と、考えながら宿に戻り部屋へと入る。
まださっきの本読んでるな。そんなに本が好きなのか。
「おかえりじゃな。どうであった? そっちのアルドという者は」
視線は本から話さずに聞いてきたな。
「ああ、予想より強いわ。 驚いた」
「リンカーフェイズ無しのニーチャンに一撃でやられちまったけどな!」
「当然じゃろう。 疾風に選ばれる程の者で、雷竜と単身で戦う様な奴じゃぞ」
ん? 俺の方を見て驚いてるなアルド。
「ニーチャン雷竜と一対一でやったのかよ!!」
「ん? ああ。 口を割らすのに戦って認めさせないといけなかったんでな。
今はこうしてフッサフサの黒髪だかよ、そん時は雷撃でチリチリになって泣く泣くハゲにされたもんだぜ」
「色々すげぇな! 俺も戦ってみてぇ!」
「エルフィにあるノヴィアって民族行ったら、まだ生きてると思うぞ。
戦うのが好きな様だからな、いくらでも相手してくれるんじゃないか」
「うっしゃ! これが終わったらエルフィいくぜ!!」
元気だなおい。 まぁ精々頭がドリフにならん様に祈っておくか。ん? オズが俺の服を引っ張る。
「…お腹すいた」
「あーはいはい」
「飯だ!!」
「おし、んじゃいくか。 イスト、飯いくぞ飯」
「ん。 判ったのじゃ」
俺達は、再び宿を出て、茶色基調の木造建築の港町を歩いて酒場を探す。
5分程歩いていくと、それらしい建物が見て取れた。 概観は宿と似たようなモノだが、
看板がわりかデカい酒樽がズドンと入り口の横に並んでいて、ここも一段高く階段を上がって入り口へと。
中に入ると、木製のテーブルが適当というか、まぁそんな感じで並んでおり、人が割りと少ない。
その酒場の主人らしい人。茶色い髪をして白い肌。細身の中年。
「えらい若いお客だな。 まぁ、飯も置いてるからゆっくりしていくといい」
酒場と食事処が一緒な処は結構あるからな、居酒屋みたく。どうやらここも同じようだ。
俺は中に入ると、情報も欲しいので、イスト達と一緒に木製のカウンターに並んで座る。
「注文はどうするね? 今は漁が出来ないんで新鮮なモノはちょいと無理だが」
「ああ、適当に出せるモン頼みますわ」
そういうと、金貨を一枚テーブルに置く。
「若いのに金貨だせるのかい。まぁ、そこまでは必要無いが…じやあ釣りを先に渡しておくよ」
そういうと、銀貨と銅貨らしいものを置いてきた。
「あ、俺はここの地酒みたいなモンあったら宜しく」
「兄さんまだ15かそこらだろ? 大丈夫かい? ここのはキツいぞ?」
「ああ、平気っスわ」
そういうと、カウンターから少し離れた処にある、酒樽から酒を汲んで容器にいれて持ってきた。
カウンターに置かれたのは、木製の大きめのジョッキみたいなもので、中々見た目も良い。
そして、店主が再び奥にいき、料理を作り始めている。
イスト達は、それが珍しいのか料理している店長をジッと見ている。
俺は、俯き加減で、料理を出てくるのを待ちつつ、地酒を口に含んでみる。
ちょい苦味があるが醸造酒か、そんな類だろう。後から効いてくる奴だな。
比較的呑みやすく、喉にひっかかりもしない。清涼感のある地酒。
それを呑んでいると、隣に座っているイストが興味深そうに酒を見ていた。
「んだ?」
呑みながら、イストの方を向く。
「美味しいのじゃろうか? それは」
「お子様には判らんよ」
「子供扱い致すなと言うておるではないか!」
いかに年齢相応の容姿になっても、子供に変わりは無い。
「んなことより、あれから本ずっと読んでいたみたいだが、何か判ったか?」
「いや、主の考え以上のモノは出てこなんだよ」
「そうか」
そうこう言っていると、カウンターに料理が色々と運ばれてくる。 保存食だろう干物やら何やら。
後は肉類だな。…ん? 半透明の液体が入った容器。何かのソースか?
「店主さん。こりゃなんだい? 何にかけて食べるんスかね」
「ん?ああ、エルドーという実の油だよ、そこの干物にかけたり野菜にかけたりだな」
オリーブオイルみたいなものなのか。 試しにかけて干物食ってみた。
…うお。この懐かしいというか。香ばしさがほのかに漂ってくる酸味に近い辛味と塩分。
色こそ違うが醤油に近い。…うぉぉ。 醤油に巡り合えた喜びか、ちょい涙でそうになった。
酒もあるせいか、食が進む進む。 と、イスト達も腹減ってたのか食べるのに必死だな。
そんな俺達を見ている店長が話しかけてくる。
「兄さん達、何しにここにきたんだい? 今ここは色々と危険なのを知らないのか?」
「調査でイグリスから来たんスよ。そっちの二人はレガートなんスがね」
「成る程。そりゃ有難い」
「その話ついでといっちゃなんスけど、夜霧の哀花って本に出てくる『砂浜』。
それについて何か知らないスかね?」
そういうと、少し考え込んで答える店主。
「夜霧の哀花か。 この港町に一冊だけ残っている本だな…確か。
色々と解釈されたが結局の処は誰も判らずじまいさ。
『砂浜』についても判らない。この辺り一帯見ての通り岸壁だからね」
「スよな。来た時もずっと岩壁続いていたっスし。砂浜らしきモノが見当たらない」
店主と二人して考え込む。 イスト達は余程美味しいのかもくもくと食べ…こら。
俺の皿に野菜を移すなイスト。 歳相応になってもソレはかわらんのか。
「お前、野菜食わないと肌が荒れるぞ」
「苦手な野菜があるだけじゃ」
「ったく。知らんぞ、肌がズタボロになっても」
「大きなお世話じゃ」
またもくもくと食べだしたイスト。 まぁ、他人事だしいいか。 再び店長に視線を戻す。
「そいや、この港町は魔人と、魔族の比率高いとか書いてたんスけど本に」
「ああ、この一件をなんとかしようと海に行き、そのまま行方不明さ。
いまじゃ見ての通り寂れた港町になっちまっててね」
「成る程、そういう事っスか。 なら尚更迂闊に海にはいけないスな」
「何か考えでもあるのかい?」
カウンターに両肘をついて俺を見てきた店主。
「とりあえず、『砂浜』と『夜の君』この二つを見つける事が、原因究明の手がかりと見てるッスわ」
「成る程。今までの人達は皆、まず海にいってしまってたが…兄さんは違う様だね」
「危険な場所は、無闇に近寄らずに周囲を探ってから進む。 そう教えられたっスから」
「成る程…そいつを教えた人は、相当に用心深そうだね」
用心深いけど豪快で、更に詐欺まかいな頭の使い方するんだよな。…姐御。
「スな。 …ん? ありゃここの風景画っスかね?」
「ああ、昔に誰が描いたのか不明だけどね。 夜の海を描いたモノで中々いいもんだろ?」
「スな。うまいっスわ」
二人して、壁にかけられている絵画を見る。…ん? ここの風景だよな。
港町からの視点だな、夜空に双星と満月か…満月。…砂浜。 ああ、砂浜はソコか。
「成る程ね。 どうやら『砂浜』の場所のアタリはついたっスわ」
「お? あの絵に砂浜は無いが、何かわかったのかい?」
「ああ、月の引力で潮は満ち欠けするんスよ。で干潮の時に砂浜が出てくるんじゃないかと」
「引力? なんだいそりゃ」
「ああ、小難しい話になるんで、まぁ引っ張る力とでも」
「そうかい、まぁ…私達ではもうどうする事も出来ないんで、頼んだよ。
次からは代金はいらない。 気軽に食いにきてくれ」
「そりゃ助かりますわ」
そう言うと、飯を食い終り、再び宿へと戻る。
部屋の窓から月を見る。 満月まではまだ少しあるな。 その間に調べられる事は調べておくか。
アルドとオズは部屋に戻ったので、俺とイストだけ。 昔の俺なら緊張してガチガチだったろうな。
と、ふとイストに視線を移すと、何かベッドの横に本を並べている。
「お前、何してんだ?」
「ここから先に入ってきたら、す…すり潰すぞ」
「…。 それはいいが、お前がトイレでコッチに入ってくるのはいいのか?」
「ワシは出入り自由じゃ。 お前はここからこっちに来てはならぬ」
初々しいねぇ。 おもっきり警戒されとりますがな。
「へいへい。 んじゃ、俺は地べたか」
「主なら平気じゃろ?」
「優しさの欠片も無いなおい」
「乙女の危機じゃ」
「さいですか」
俺は、窓からデーブルに移動して、椅子に座る。テーブルには並べるのに余った本がいくつか置かれている。
取り合えず、その本でも読みつつ眠くなるまで待つ事にした。




