第六十二話 「魔狼の咆哮」
六十二話目の投稿となります。
今回はケルドメイン。
文章は短いですが、一幕から隠していたストーリーの本筋となります。
「ふむ。…今回はかなり楽しめましたね。
…で、まだ『其処』で私を待っているのですか? 『フェンリル』」
「…我が牙から逃るる事許すまじ…」
輪廻の中、私は次なる身近な過去を探している最中、背後から迫り来る憎悪の殺気。
それを笑いながら流す。
「しつこいですね。 …そんなに奪われたのが悔しいですか?『フェンリル』」
「貴様…貴様…貴様…貴様…貴様…」
おやおや、目を見開き血涙し。歯が折れんばかりに牙を剥いておりますね。
並の者ならその殺意だけで死んでしまいそうですよ。
「まぁ…『其処』で這い蹲ってるのがお似合いですよ?
狼は狼らしく、最早届かぬ『月』に向かって吼えておきなさい」
「き…さ…まぁぁぁぁぁあああああああああっ!!!」
最早瞬間移動と言っても良い、フェンリルの駆け足。
それを転移でかわしながら彼を煽る。
「そんな直線的な動きでは、何時までたっても…無理ですよ?」
軽く両腕を左右に開き、首を傾げる。
「貴様…」
再び飛びつこうとしているのでしょう、大きく姿勢を低くしていますね。
さて、余り相手にしていると…この力場…かなり疲れますね。
「では、今回はこれにて、また遠い時間の果てにでもお会いしましょう」
軽く一礼をすると同時に、再び飛び掛ってきたフェンリルを転移でかわし、
次なる身近な過去へと。
「我が名を……我が名を返せ……アルテミスを返せ…
ロキィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!」
六十二話、最後まで読んで頂いてありがとう御座います。
ここから神話を色々と解釈の仕方を変えたモノ。
主人公の輪廻に何故フェンリルが居たか。
その本筋が今までの話に絡んできます。