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第五十四話 「教えの違い」

五十四話目となります。

 今回は主人公メイン。





  「ふう…」

昼過ぎぐらいだろうか、太陽の位置からして。

 休憩を取る為に座っている俺。横にスアルが寄り添ってきている。

少し離れた所にヴァランが居て、オズが何かやっている様にもみえなくもない。

 そして俺の頭の上アリオ。 然しこの鳥がクァとは。

ん? 何か忘れて…ああ。セアド…つか本人から本人の力が枯れつつあるからクァに聞いて来いってなんだ一体。

 まぁ、聞いてみるか。

  「なぁ鳥。 セアドからユグドラシルの力が、どこぞで吸われている様だが、

      何か知らないか? セアドから聞いて来いと言われたんだが」

  「ン? あァ。どうやらレガートの封印の所を締め切っているんだろウ。

     そこで何かしていル。 シアンに聞かなかったのカ?」


上から覗き込んできたな。

  「いや、クァに聞いてこいと。」

  「成る程。 レガートの封印のとこで何かしていル。

    そしてオズからユグドラシルの力を感じル。

    その娘と会って確信しタ。 レガートはユグドラシルの種を作ろうとしているのだろウ」


ああ、成る程。

 てことは姐御ももう気付いてると見ていいか。

  「つか何でユグドラシルの種作ろうと。…ああ、力の強い奴作り出そうとしてるのか」

  「だろうナ。 まぁ、何にせよ迷惑な話ダ。 理由を見つける必要も無い。

    完膚なきまでにレガートを叩き潰してやればそれで良イ」


理由いらないのかよ…。まぁ、理由判ったからといって力が戻るワケでもねぇしな。

 なら、理由見つける前にちっとでも早く原因を潰せって事か。

  「あいよ。ゲームみたいに理由やら大義名分かざして潰すなんて事しないんだな」

  「なんだそれハ。 まァ、アホウの考える事は一ツ。」

  「大陸を我が物にする為ってか?」

  「どうせそんな所ダ。 徹底的に潰してやれば良イ。関係者は皆殺しでも構わんゾ」

  「セアドとえらい違いだなお前は」

空を見上げるクァ。

  「セアドの…イヤ。 アルセリアの教えはヌルイからナ。 オイラはケリアドの教エに従っタ者だゾ」

  「精霊間でも宗教の違いあるのかよ…。 生々しいなオイ」

  「愚か者に慈悲なドいらヌ。 徹底的にぶっとばス」

  「ケリアドはそうなのか…」

再び俺を覗き込む。

  「ちなみにオマエはどちらの教えに従うのだ?」

  「俺? 判らん。 アルセリアの教えは良いと思うが、人間がそんなテメェ自身を罰するなんて事する筈が無い。

    仮に居たとしても極少数だろ? 略奪やら何やら結局争いは起こる。


    ケリアドにしてもそうだ。 従う者は多くても細分化した教えが争いの元になってる。 

    俺の世界でもそうだ。ケリアドに近い教えの所為で、

     同じ国の同じ種族同士で延々殺しあってる国もある」

  「ほウ…ちなみにオマエの国はどうなのダ?」

  「俺の居た国は、いくつもの神の教えが混在しているが、宗教間…教えの違いで争いがおきたりはしてないよ」

興味深そうに額を突付き、続きの催促をしてくるアリオ。

  「いくつもの教えが混在して、争いが起こらないだと? 在り得ないだろウ」

  「イテェな! いや、そうでもない。 無神論者つかまぁ…神を祀ってはいるが神を信じていないんだよ。

    だから争いにまで発展もしねぇ。 休日の暇つぶし程度や食い扶持にしか思っちゃいネェ」

  「神を信じて居ないのか」

  「実際いるとは思わなかったしな。俺も、信じている。などと言いつつも居るわけ無い。

    という思いは確実にあったワケだ」

俺の頭から降りて、地面に着地してこちらを見るアリオ。

  「ほウ」

俺はそのアリオのトサカを軽く握りこういう。

  「結局の所教え自体が必要無い。 俺はそう思ってる。

    その代わりに働くという事。それをもっと大事にすりゃいいんじゃねぇかと。

    働けば食うにも困らん、罰は比較的緩いが、その辺りをしっかりしている国だからな俺の住んでいた国は」」


  「面白い事をいうナ…さテ、もう少し聞いてみたいガ、休憩は終りだゾ。

    ヴァランとやりあって来イ!」

  「へいへい」


重い腰を上げて、俺はヴァランの方へと歩いて行く。

 そしてまた夜まで、集落付近に激しい落雷の音と地鳴りが響き渡る。







  「今日はここまでにしようか。 これ以上は正直辛いな」

  「ひ~…。 常に体力奪われ続けてコレはキツいってもんじゃないな!」

相変わらず地面は焦げて穿たれた跡が至る所にあり。

 ヴァランが体を引き摺った跡もかなり増えてきた。

  「ム、…どうやら始めたようだゾ?」


ん? 何がだ。 後方でオズとスアルと一緒に居るアリオがコッチに飛んできた。

  「始まったって何がだよ?」

俺の頭の上に乗っかると、上から覗き込んでくる。

  「向こうの状況見るのに暫く風縛結界外しておいたんだガ…、

    シアン達が行動起こした様だ。今は優勢だガ…」

  「メディが出てきたらそうでもなくなる…か」

  「その通りダ。 オマエがその場にいなければ勝ち目は無いだろうウ」


然しそんな憎悪の塊になってるのをどうやって…。

 まぁ、考えてても仕方無いか。

  「判った。んじゃ早速向か…ここから戻るのに数日いるぞ!!」

  「そんな事は判っていル。 オイラがココに残る事になるガ、

    オマエ等をレガートまで吹き飛ばしてやル」


吹き飛ばすってお前バシルーラかよ…。

 何か嫌な予感がするんだが…。

  「まさかお前、翼で引っぱたくとかそんなんじゃないだろな」

  「似たようなモノだ」

  「殺す気か!!」


俺の頭からオズの頭へと飛び移ると、急かしだす。

  「早くしロ!」

えらい急かすな。 そんな時間がかかるのか、それとも優勢だが、じきに劣勢になるのか?

 知らんがまぁ、俺はオズの元へといこうとする。

  「これが、今生の別れにならぬと良いのだがな。

    次に来る時は、そのメディとやらも連れてくると良い」

  「いや、それは洒落にならなそうなんで、遠慮しとくっスわ」


スアルを見てから、ヴァランに視線を戻す。

  「成る程。 まぁ、次に会う時を楽しみにしている」

  「ああ。そっスね」

  「早くしロ!」

  「へいへい! つか何で急かすんだよ、ちょっと遅れて行くぐらいが格好いいんだぜ?」

  「アホウが! 優勢の内に最大戦力で叩き潰す。それ以外に何があル。余計な死者を出したいのカ?」

  「そりゃそうだ」


納得して、そのままオズの元へ駆け寄る。

  「んじゃ、さっさ…ん?」

空気読んだのか? 寂しそうな顔でスアルが抱きついてくる。 いやそれどころじゃないんだが。

  「・・・・」

  「ありがとう。 だそうダ」

  「命令形じゃないのかよ! まぁいいか、んじゃちっと離れてて貰うぞ」

アリオが通訳したのか、スアルが離れる。

  「よっしゃ、オズ。一丁向こうで暴れてやりますか!」

  「…んあ…」

  「それは忘れなさい!!」

全くヘンな言葉ばっか覚えるな!

 それを言うと、俺は屈みこみ。オズは俺の胸元に手を当てる。

  「…しんぱくどうき…あくせす…」


影に包まれて、鷹の姿を一部借りた俺が影を取り払う様に出てくる。

  「よっしゃ! 何するか知らんがやってくれ!」

  「その前にコレをもっていケ」


お? 何か俺の懐に…ユグドラシルの実? つかスアルに渡したんじゃなかったか?

 なんでまた戻ってくる!

  「これはオイラのだ! オマエはオイラの契約者だ。

    セアドのはスアルの子にもたせておけ。

    いずれオマエが必要とした時にはオマエのモノとなル!」

魂の質ってやつか…。まぁ今はそれでいいか。

 体力回復付きアイテム戻ってきたわけだしな。

  「んじゃ何か? 俺がクァを召喚…」

  「何も知らないオマエが使えるかアホウ!!

    一応もっていけといっているのダ」

成る程。

早速翼で風を作り、風を地面に叩きつけ上空まで飛ぶ。

 それについてきてるだろうアリオを探…。

  「デカ!!」

  「…おおきい…」

なんだこの鳥! 最早鳥じゃねえ!!

 青白い毛色は変わらずだが、手乗りサイズから軽く10mを越えている鳥が後ろで飛んでいる。

  「驚いたカ。まぁ、そんな余裕は無い、風はオイラが作ってやる。

    レガートまで一直線だ外れるなヨ」


そういうと、片方の翼を大きく振り上げて下ろした。ただそれだけの動作。

 その直後に巻き起こった風…というよりもジェット気流に近いソレ。

ソレに巻き込まれて一瞬でノヴィアの集落が小さくなる。

  「ちょま!! 早過ぎ!!」

  「……」

オズは背中に潜り込んでしがみ付いている。

 これは外れるというか弾き飛ばされるといった方がいいんじゃないのか!! 

行きの何倍もの速度で、レガートへと。風圧で凄い顔になってるんだろうなと思いつつ。

 

五十四話、最後まで読んで頂いてありがとう御座います。


話が長すぎるとダルくなり、短すぎると軽くなる。

 パワーバランス…難しいです。

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