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第五話「牢獄」

第五話目となります。・・・またしてもお気に入り登録が増え、アクセス数も激増・・・っ! 正直本人脅えております。ちゃんと読ませる構成が出来るのか?と。言い知れぬプレッシャーと、励みが同時にのしかかって何ともいえない気分です。どうもありがとう御座います!感想まで頂いて、悪い点ももっと考えて構成していきたいと思います。ありがとう御座います!


追記:文章がおかしい所がありましたので、訂正致しました。

「オーミ!?気をしっかり持ってよ!ねぇ!!」

「グ…ガァァァァァァッ!」


駄目。まるで声が届いて無い。このままじゃまたあの時みたいに。


「さぁ。大人しくして下さい!」

「きゃっ!ちょっと!無茶しないでリカルド!」

「ミディさん。少し我慢して下さいませ。彼を何とか目覚めさせてみせましょう!」

そういうと、リカルドは、細かく打撃をオーミに打ち込んで、他のリンカー達から意識を自分のみに絞らせているのかな。

 そんな横で小さくなったリセルが語りかけてきた。

「ちょっとメディ。貴女もほら!ちゃんと呼びかけなさい!! …正直押さえつけられる自信は微塵も無いですわ。」


激しくオーミを打つリカルド。けれど、ただ手を振るそれだけの動作で、リカルドのガードごし吹き飛ばし、地面に叩きつけてしまった。

「大丈夫?!リカルドっリセル!!」

「だっ…大丈夫に見えますの?!全くなんて怪力ですの…意識が少し飛びかけましてよ!?」

「恐ろしい腕力ですね。それに硬い。私よりも遥かに防御も攻撃も高い様です」

「困りましたわねぇ。もう少し耐えて下さいませね、リカルド」

「承知」

再び、二人はオーミに向かってきたけれど、オーミの意識を二人に向ける事は出来ても…。


「グァァァァァァァァアアッ!」


押さえつけにかかった他のリンカー達を軽くなぎ払ってしまう。

「オーミ!ほら私の声聞こえないの!? もう…フェンリル?どうなってるの!?」

「…確立は五分といった筈だ。残念ながら力の…狂気の渦に耐え切れなかった様だ」

「そ…そんな、なんとかならないの!?」

「我でも不可能だ。可能性があるとすれば、小僧自身の精神力にかけるしか無い」

「オーミの…精神力」


「全くもう…どういう力をしていますの!? 以前にドレイクを相手にした事がありましたけど…

 それに勝るとも劣らない、お馬鹿力ですわっ!」

「本当ですね…見た目は私達とサイズは変わらないのに、何かとてつもなく大きな生物を相手にしている様ですよ」

二人とも万策尽きた顔をしている…、本当にもう…オーミのバカ!しっかりしてよ!!


「グ・・・ゥ」

ん?あれ?でもおかしい。行動が鈍いような。まだ意識が完全に失われて無くて、中で逆らっているのかも・・・。

 たまに見せる迷いの様な動作。これが迷いならまだ見込みはある。ってきゃぁぁぁっ!!

「ちょっと!何ですの!?」

「不味いですね。矛先が我々では無く、街へ向いてますよ!」

もうオーミ!しっかりしてよ!! …っ!今度は街を破壊し出した・・・。駄目だよオーミ!そんな事したら!!聞こえてるの!?

 私はリンカーフェイズした最早人ではないオーミの銀色の毛を引っ張ったり、顔を蹴飛ばしたりしたけれど、全然効果が無い。

まだ残っている街をただ闇雲に破壊して走るオーミ。何でそんな事するのよ馬鹿!

残っている多くのリンカー達が、束になって掛かってくる。けれど、・・・目を背けたくなる現状が増すばかり。

腕が、リンカーの腹部を抉り内臓を引き出し、血が泡立つ嫌な音とともにリンカーがオーミにもたれかかる様に倒れる。

「い…やぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

倒れたリンカーの口から出た血が、オーミや私の体を朱に染めていく・・・頭がおかしくなりそう。

お願いだからもうやめてよ!!もう見たくないの!仲間が・・・倒れていく所なんてもう。


「ほんっとーに!手間のかかる子ですこと!! この期に及んで泣き言ですの?! しっかりなさい!」

「そうですよ。まだ手遅れでは無い筈です。なんとか私が動きを止めますので声を!メディさん!」

そういうと、リカルドはオーミを後ろから羽交い絞めにした。けれど・・・その瞬間何事もなかったようにオーミは前に出る。

 そして、リカルドの左腕が・・・鮮血と共に宙に舞った。

「ぐぁっ・・・!?」

「リカルド!? ちょっとメディ!早くなんとかなさい!こっちはもう限界よ!!」

「そ・・・そんな事いったって・・・。」

「メ・・・ディ?」


え?今声が、オーミの声が聞こえた様な。

「オーミなの?!」

おかしいな・・・今聞こえた気がしたのだけど。

「ほう・・・意識はまだある・・・か。少し多目に貸してやったのだが・・・思ったより見所がある小僧だな大した精神力だ」

「・・・え?」

「聞こえなかったか?我は試したのだよ。この小僧の器はそれなりだが、

仮に、下級神を相手に戦うとすれば、最低でもこのぐらいの力がなくては話にならぬ。

 ・・・意識が完全に呑まれておらぬ所を見る限り・・・ふむ、鍛え方次第では我の力に耐え得る逸材の様だ」

「ちょっとフェンリル!? そんな試すって何人味方が死んだと思ってるの!?」

「・・・神を相手にするのだろう?ともすれば犠牲はもっと甚大なものとなろう。それを抑える為にも今は多少の犠牲はやむを得まい?」

・・・確かにそうかもしれないけれど・・・よりによってこんな時に、街まで破壊して・・・。

「もう!いいから早く力抑えてよ!!」

「よかろう」

すると、突然オーミの動きが止まる。そして、その場に力無く倒れこんだ。


「ど、どうしましたの?メディ」

「止められた・・・のでしょうか。・・・くっ」

「リカルド・・・早く血止めをしないとですわ!でも今リンカーフェイズを解くとダメージが蓄積し過ぎて危険ですわね・・・」

オーミ同様、精根尽き果てたのか、リカルドまで地面に倒れこんでしまった・・・。でも何とか止められた・・・のよね?

「全くもう・・・なんとか止められたのはいいけれど、本当に危ない力ですわね・・・」

ふよふよと、私に小さいリセルが腕を組みながら言い寄ってくる。

「うん。ごめんね。どうやらフェンリルがオーミに耐えられない力を余分に与えていたみたいなの。」

その言葉に、リセルは驚き、少し怒った様な表情で答えた。

「な・・・なんですって!?じゃあ何かしら? リンカーの器を試す為にこんな惨状を巻き起こしたとでも?」

「う・・・うん」

沈んだ表情の私を見て呆れ返るリセルは、両手を軽く広げてこう言う。

「はぁ・・・一体何人死んだと・・・。それもあれでまだ全力じゃないなんてどれだけ力が強いの?・・・

 それにしても貴女のリンカー。大丈夫ですの?リカルドもかなりの重傷を負いましたけれど、再生能力に今は全て回してますから、

 じきに動けると思うけれど。身体的では無く、精神的なダメージは回復出来ません事よ?」

「う・・・うん。そうだよね。・・・大丈夫なのかな」

私とリセルは心配そうにオーミを覗き込む。そうするとこちらに気が付いたのか、ふらつきながら起き上がる。

「ん・・・ここは。」

「あら、気がつかれましたわね?初めまして。私はリセル。リセル・ハーネット。

 そちらで倒れているのがリカルド。リカルド・メギスン。私のパートナーですわ。」

「あ、ども。俺は大海。八坂 大海やさかおおみと言います。何か色々と迷惑をおかけした様で・・・」

オーミは周りを見渡して、街の三分の一が完全に破壊されている事に責任を感じているみたい・・。

 それを見て、リセルがこう言う。

「そうね。確かに貴方が暴走して暴れた所為で酷い有様ですわ。優秀なリンカーも何人も死んでしまいましたわ」

「ま・・・まじっスか」

「ちょっとリセル?言い過ぎ・・・」

そんな私の言葉を他所に、厳しく言葉を連ねるリセル。

「その手にかけたリンカーにも親がいるのですわ。決して許して貰え無いでしょうね。」

「ぐ・・・」

「けれど、少なくとも貴方が居なかったら、確実にこの街はあのブヨンブヨンの憎たらしいスライムの酸で、

 今以上の惨状になっていましたわ・・・。私は貴方が居たからこそ・・・この程度の被害ですんだと。そう思いますわね」

街の人達は、先のミノタウロスの時に避難しているでしょうし、損壊は建物のみ。後は戦いで死んでしまったリンカー十数名。

 本当に、酷い。一体だれがあんな大きな魔法陣なんて・・・あ!

「そういえば、召喚者!」

「問題ないですわ。あの術は打ち消せば・・・術者にそのまま届きますの。だから魔法陣を消し飛ばした時点で、召喚者も消し飛んでますわ。 

 問題があるとすれば、・・・そうですわね。どこの誰が何の目的であんなとてつもない魔法陣を仕掛ける必要があったのか。

 それが全く解らなかった事ぐらいですわね・・・」

確かに、犯人が消し飛んでしまったら、確認しようにも出来ない・・・。

でも今はそれよりも、傷ついたリンカー達の保護かな。

「じゃあ・・・」

「早くお行きないな。私の方はまだリカルドが回復して無いので、当分動けそうもありませんけれど。

 ヘタにリンカーフェイズを解くと、生死に関わりますわ。あのダメージは」

「そ・・・そうね。うん。ごめん。」

「いや、まじですみませんっした。」

二人して、深く頭を下げると、不快そうな表情でリセルは言う。

「で す か ら、何度言わせれば気が済むのかしら?貴方達は良くやった。それ以上何か私に言って欲しい事でもありまして?

 戦いにおいて死は常に隣にありましてよ?もし、殺してしまった相手に後ろめたい気持ちがあるのでしたらもう・・・戦いから足を洗いなさいな。

 貴方達は戦いには向いていない・・・戦士じゃないわ。戦士なら倒した相手の分まで生きて、そして倒した相手の守っていた者をも守りなさい」


重い言葉がのしかかる。私は今まで一度もこういう戦いを経験した事もないし、オーミだってそうだと思う。

 けど、リセルは違う。もっとずっと子供の頃から既にこんな戦いを続けてきた。・・・逃げたらダメなのよね。

「ありがとうリセル・・・」

「なんつーか、歴戦の猛者って感じだな・・・わかりましたっス」


「ふ・・・ふん。こんな事ぐらい知らない貴方達がおかしいだけですわ。礼を言われる筋合いもありませんわよ」

本当、素直じゃないのよねぇリセル。

「俗にこれをツンデレと言う」

「何ですの?それ」

「あ、いやなんでもないっス」

「じゃあ、行こう?オーミ」


「あ、ああ。じゃあ失礼しま・・・ん?」

「どうしたの?」

オーミの向けた視線の先にあるモノ。・・・お爺様達じゃないかしら。こちらに向かっているようだけど。何だろう。

「お爺様?」

私はオーミと一緒にお爺様の下へと歩み寄った。白い髭を沢山蓄えているけれど、少し険しい表情なのが見てとれた。

「メディ・・・すまないね」

え?どういう事?

「さ、リンカーフェイズを解きなさい。ダメージは大した事も無い様じゃ。少々そちらの方に用事があっての」

「え・・・あ、はい」

私は、わけもわからず、リンカーフェイズを解く。

「心拍同期を解除します・・・魂連終了リンカーエンド

私は元のサイズに戻り、オーミも元の姿に戻る。そして、その瞬間オーミは、数人の大人に取り押さえられた・・・。どうして。

「お爺様!?」

「すまないね。どうやらその青年の力は余りに危険過ぎる。何よりもリンカーフェイズの属性が闇では無く、光。

 忌まわしき神族の力では無いかと。学園の上の者達が危惧しておっての。ワシも必死で弁護したのじゃが・・・」


え?え?じゃあオーミは?私の相方はどうなるの?・・・まさか。

「お爺様?まさか・・・」

「すまない。どうしようも無いのじゃ。・・・言い伝えの事もあり、恐らくは処刑・・・じゃろうな」

「そんな!?」

「おい!洒落になってないぞ! 何で処刑されなくちゃならないんだよ!」

そうよ、確かにリンカー数名の命は奪ったけれど、それはリセルも戦いの中では仕方ないっていってたし。

「うむ。結果的には確かに君は、この街を救った。然しながら・・・奪ってしまったリンカーの親が・・・その上の者なのじゃよ」

「それって私怨だけで処刑するって事!?」

「肉親には、我が子を殺した殺人者としか映っておらんのじゃよ。残念ながら。然し戦いの中での理不尽は、常じゃ。

 それは解っておるのじゃろうけれど、やはり上に立ってはいるものの、人の子じゃの。難癖つけて復讐を目論んでいるようじゃ」

お爺様は、一層険しい表情を浮かべ、連れて行かれるオーミを見る。

私はそれを止めようと、追いかけようとするけれど、他の人達に阻まれてそれも出来ない。

「メディや、今は抑えておくれ。何も全員が彼を悪と断定している訳では無いという事を知っておいておくれ」

「う・・・うん」

自分にも、強く言い聞かせるようにその場を抑え、辛うじて戦いの渦中から外れていた自宅に戻る。

 そして、シャワー室に入り、冷たいタイルに背を付けて悩み込む。

納得行かない・・・確かにリンカーの命を奪った事は悪いけれど、それでもリセルは戦いにおいては仕方の無い事だって、お爺様も。

 でも、その殺してしまったリンカーの両親が学園の上の人達。お爺様もその一人だけれど・・・どうなるのだろう。

暫く、無言でやや温い水に打たれ、シャワー室から出てきた私。

沈んだ表情で、濡れた体を拭き、服を着て寝室に・・・途中でお夜食に止められたけど、喉が通りそうに無いので早く横になりたいと断って向かう。


大きなベッドに力なく正面から倒れこみ、柔らかく包まれつつ、私は再び考える。でも、私じゃどうしようもない・・・。

 一体どうすれば・・・。私はそのまま疲れからか深い眠りについた。


あ~あ、処刑かよ。つか私怨で処刑はちとムカツクっつーか。お~い、フェンリル聞こえてないか?メディ無しだと、力ってだせね?

・・・だめだ反応すらないか。折角言葉を理解出来たっつーのに、理解出来たらお次は処刑ですってか!?

洒落にもなってないっての。全く。ぶつぶつ。

「メディ様のリンカー。確かオーミ殿でしたか?」

お?何か看守みたいなのが語りかけてきたな。

「オーミじゃない。オ オ ミ。」

「それはすまないね。ではオオミ殿」

何か感じの良い兄ちゃんだな。敵ってわけでもなさそうだ。

「なんでしょうかね。つかまじで処刑?」

「それは、判りません。ですが・・・メディ様の育ての親にあたるセオ様が、説得なされておりますから」

「あ~成る程。まだ決定では無いって事ってのはわかったんだけど。まぁ確かに殺した。それについては言い逃れ出来ない事実だしなぁ」

「ですね。然し戦いの最中の不慮の事故なぞは当たり前でありますから。それに結果的には被害を最小限に食い止めた功績もあります」

「そのあたりがなぁ、俺の居た世界だと、どんな理由であれ殺人は罪が重い。処刑されても仕方ないっスしね」

看守は、少し悩んだ仕草の後、聞き返してきた。

「はて、今の言葉からすると、オオミ殿はかの魔神阿修羅と同様、異世界からの客人まれびとという事になりますか?」

「あ~・・・確かに阿修羅は俺の世界にも居るから、もしかしたら同じかもしんないですね」

「成る程・・・では貴方はもしかすると・・・魔神阿修羅と同様神族なのでしょうか?」

何か酷く脅えた表情で尋ねてくる看守。慌てて弁解する俺。

「いやいや、ただの一般人。なんの変哲も無い彼女居ない暦16年の人間ですよ俺」

「いそこまでは聞いておりませんが・・・!それは失礼しました」

何変なアピールしてるんだ俺は。ともあれ、時間もあるようだし、看守に色々と聞いておこうか。

「看守さん・・・名前は? 俺の名前はしってる様ですが、八坂 大海といいます。オオミでいいですが」

「・・・!これは失礼。私はアルヴェ。アルヴェ・リドと申します。アルヴェとおよび下さい」

「あ、どもご丁寧に。ちょっとこの世界について教えてくれないっスかね?時間もあるみたいですし」

金髪でオールバックの、やや無骨気味な顔立ちに、鍛え抜かれた体躯。それに似合わなさそうな、満面の笑みで答えるアルヴェ。

「はい。それは私の知り得る限りの事であればなんなりと。」

「どうもありがとうっス。じゃあ、この世界アルセリアについて・・・ってあれ?何で世界の名前知ってるんだ?俺」

妙な事に、地理が明るい感じがする・・・何故だ?

「ははは。それはメディ様の記憶の一部がオオミ殿に記憶されたからですよ。言葉も判りますでしょう?」

「あ~・・・確かに。てとこは、ある程度の知識は既にあるってことになるのか。」

「そうですね。多分基本的な情報は知識の中にあると思いますが」

う~ん?なんつーか、記憶に無い物がある。それを思い出す?というかなんつーか、珍妙な気分だな。

 じゃあ確認として聞いてみようか。記憶にあるいくつかを。

「え~と、じゃあ確認ってことで聞いていいっスかね?」

「はい。喜んで」

「ども。じゃエルフィ族ってのは、確かこのアルセリアって世界の、この大陸メギアスでいいんスね?

 そのメギアスは大きく三つの国に分かれていて、この国がイグリス。そして精霊術?自然と共存しているエルフィという国。

 そして、一番自然とは遠い国、レガートの三国から成り立っていると」

何か、年上だからか変に敬語が混ざってるな俺。そんな妙な言葉遣いに少し笑っているアルヴェさん。う~んしまった。


「ええ、その通りです。そして、エルフィとイグリスは、自然を大事にするという性格上、、同盟関係にあります。そしてレガートはその両国とは敵対関係にあります。

 恐らくは今回の魔法陣もレガートの差し金でしょうね。あちらはああいう危険な術が最も栄えておりますから。

 魔族の恩恵を最も強く受け継いでいる国。そう思って頂ければ宜しいかと」

「成る程ね。国の関係は記憶通りの様っスねぇ」

「ですね。これは余程小さい子でもない限り知っている事ですので」

「ふむ」

う~む。成る程。じゃあ取り合えず戦争が近いかも知れないって事になるのか。

 ともすれば・・・。

「ええ、その通り。オオミ殿の異界の力。近い内に起こるでしょうレガートとの戦争に大いに役立つ。いや切り札と呼べる力ですね。

 私も見ておりましたが、あれ程巨大な魔法陣。それも物理攻撃が一切効かないスライムごと、消し飛ばしたあの力。

これを失う事はイグリスにとって大いに痛手となりましょう。それに何人も失敗しつづけていたメディ様の唯一のリンカーでありますから。

そのリンカーをあてがい続けたのは、誰でもない、あの上部の方達なのですよ。」


成る程・・・力は欲しいが、その力が禁忌のモノで、その上自分の子供を殺されてしまった。心中察するに余りある。

 殺した本人がこんな事言うのもどうかと思うが。俺は苦笑いを浮かべつつ、アルヴェに聞いてみた。

「先読みしないで下さいっスよ!まぁ、それはそれとして。処刑までは行かないかもしれないって事でいいんスよね」

「う~ん・・・どうでしょう。国を取るか復讐を取るか。彼等も人の子ですから。難しい所ですね」

「っスよねぇ。俺でも復讐とりかねないですわ。やっちまった俺が言うのもアレかもですが」

「ハハ・・・ですが、戦いに身を置く者達はそうは思わないでしょう。仮に処刑が決まったとしたら・・・」


うん?なんだ?何かあるのか?


「内部分裂が起こるでしょうね。机の上で駒を動かす事しか出来ない者達と、実際に戦場に立つ者達との対立。これは免れないでしょう」


・・・あ~。確かにありそうだ。あのツンデレ娘のリセルが先陣きって突っ込んでくるな絶対に。根っからの戦士って感じだったしな。

てことたぁ・・・まぁ、安心していいのか?いや、安心したら駄目だろう。

「でもそれだと、レガートに漬け込まれてしまわないっスかね」

「その通り、間違いなく攻め入ってくるでしょうね。ですからセオ様が今必死に弁護を続けております」

「成る程。判りました。どうもありがとうございました」

「いえいえ、では用があればおよび下さい」

「あ、どもっス」

と言うと、看守室だろうか?ソレっぽい所に入っていった。

 俺は、もうなんつーかこの、さっきとは打って変わって小汚い所で寝転ぶ。せめて布ぐらいないのか。

 デコボコとした岩肌に背をつけて寝転んだ。

全く、どっちに転んでもまぁ、助かりそうなのは判ったが、もし処刑だった場合が厄介そうだな。

 レガートに攻め入る隙を見せてしまう。ともすれば、またフェンリルの力を借りなくちゃならない。・・・また暴走しそうで嫌なんだよな。

 でも、今度は何か耐えれそうな気がするな。なんとなくだが。記憶がそれを伝えている。うん。まぁ・・・もう寝よう。色々疲れた。


 結果はどうも朝かそこらに出るんだろうな。それまでは寝て体力を温存しておこう。

 なるべく穏便に事が済めばいいんだが・・・。そう思いつつ俺は寝心地の極めて悪い牢獄で深い眠りについた。 

 



少し長くなりましたが、第四話、最後まで見て頂いてありがとう御座います。

 今回で序盤の世界設定は出きったと思います。次回からどんどんと本題に移って参ります。

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