第四十五話 「トラウマ」
四十五話目となります。 三幕への展開上エロ連発気味ですが。
ガットメインとなります。
あーったく。何で女と一緒の部屋なんだよ。
つか、何でさっきから俺様の方をジッと見てるんだアリセアは!
空気は重いし、何か緊張する。 視線を必死で誰も着そうにない扉へと向けている俺様。
これからどうする。 取り合えずケルドのニーチャンの出方伺うしかな…な…なにぃぃっ!?
何か何だ!! いきなりアリセアに肩掴まれて押し倒された!
またお前、あの時みたいに良く判らん行動に出たのか!!
しかも今度は、背中に引っ付いてくるんじゃなくて…向き合う形で押し倒された!
渡した上着が幸いしたのか、胸は見えないがっ下の方がっ!!
俯き加減でだんだん擦り寄ってくるなっ! あたるっ!胸があたるっ!!
やめろっ!!
がーっ…完全に抱きつかれた!! どうするっどうしたらいいんだよこれ!
どうすれば良いのか、半ば混乱気味になる俺様と。
俯いたまま抱きついているアリセアが口を開く。
「ガット…あのね」
ええい!そんな女みたいな…女か。 弱々しい顔でこっちみんな!
「緊張…するよね」
きっ…緊張なんかしてねぇ!!
脱ぐな! 上着を脱ぐな!! ……抱きつくなぁぁぁぁっ!!
「お願い…ガット」
お願いって何だよ! 物欲しげな顔でっ……。
アリセアにキスされ、頭が真っ白になりそのまま意識が飛ぶ。
「ちょっ…ガット? やだ。 白目むいてる…」
「元気の良いボウヤねぇ…?」
「はっ! この森に魔族がいると聞いたんでな! ぶったおす!!」
最早ほぼ全裸に近い、翼があり、黒髪で腰まで届く長髪。何故か目が黒くて眼が赤い。
青白い肌したこの…ムチムチした魔族。
「悪い事してないわよ…?」
「テメェが強いからぶったおす!!」
口に、やたら爪の長い人差し指を当てて、首を傾げる魔族。
俺様はその魔族に右手で指を差して、左手を腰に当てて立っている。
「私が…勝ったら言う事聞いてくれるなら…相手してもいいわよぉ…?」
「おう! 煮るなり焼くなり好きにしろい!!」
俺様の体を足元から舐める様に見てこういってくる。
「うん…じゃ。 相手してあげるわね…」
その瞬間。とんでもない圧力が体にかかり、地面に叩きつけられた。
俺様の体が地面にめり込み骨がきしむ。
それをうっすらと微笑みながらゆっくりと近づいてくる。
「あら…どうしたの…?」
「ざけんなぁぁぁぁあああっ!!」
地面を右手でぶん殴り、片膝をついて立ち上がった俺様。
今度は得体の知れない何かに、後方にある木に叩きつけられる。
まだ手も触れられていない。 こっちも触れてもいない。
「ちく…しょ! なんだこりゃ…」
「魔力…知らないのねぇ…?」
ゆっくりと歩み寄ってくる。
そして、いままで押さえつける様な圧力が突然消えて、地面に倒れこむ。
「ここは…争い事は駄目だから…いまので判ってね…?」
俺様は仰向けになりこう言った。
「ああ勝てないのは判った! 負けだ好きにしろ!!」
「あら…潔いわねぇ…じゃ、遠慮なく…」
そういうと、俺様の服をいきなり脱がしだした。
「待て! 何する気だ!」
顔を近づけてきて、俺様の顎を軽く右手で持ち上げてこういってくる。
「何って…きまってるじゃない…?」
そのまま口を口で塞がれるどころか、舌まで入れてきやがった。
蛇みたいに体も絡み付き、身動き一つとれない。
そのままソイツの手が俺のズボンをずらしてくる。
俺様は口を離し、顔だけでも逃げようとする。
「なっ、何すんだ!! つか脱がすなよ!!」
完全に裸にされた俺様は、両腕を押さえつけられる形で腰の上に乗られ、
ソイツは俺様にこういう。
「元気良いからちょっと…多目に…」
何が多目だ!? その直後腰ってか俺様のアレになんか熱いモンが!!
「じゃ…遠慮なく…」
「ちょっとまて! なにする気…うへあ!!」
その後、散々何か良く判らん事をされた。それは良い!
それは良いんだが…体力かよくわからんソレを全て搾り取られた様な疲労感で
三日三晩生死の境をさまようハメになった。
「ガット?」
ん? 夢か。 嫌なモンを思い出してしまっ…。
「ぎゃぁあああああああああっ!!!」
「なっ何よ!?」
思わず抱きついていたアリセアを突き飛ばし、ベッドから転げる様に逃げた。
ベッドから寂しそうに俺様を見ているアリセア…やっぱ服着てねぇ!!
「…なんで逃げるのよ!」
「また死に掛けるのはいやだ!!」
おもいっきり呆れた顔をしてコッチを見ている。
「何で死にかけるのよ?」
「女と裸で抱き合ったら死にかけたんだよ!!
以前にディエラの奴と戦って負けて好きにさせたら死に掛けたんだよ!!」
…ん? なんだ、何か必死に笑い堪えてるぞ。
「あんたそれ…サキュバスじゃない。 ディエラさんは。
あの人にその…」
なんだよ。目を逸らして顔赤くして。
「なんだよ!」
ぶわっ。 シーツが飛んできた。
「馬鹿!! とにかく。ディエラさんにその…何されたら死にかけて当然よ!!
そういう魔族なんだから!」
…顔真っ赤にして両手をベッドに押し付けつつ必死で言ってるアリセア。
「そ…そうなのか」
「そうよ! ウチが抱きついたからってそんな事にならないわよ馬鹿!!」
「まぁそれは良い! 服着ろ服! 目のやり場に困る!!」
「ばっ馬鹿! まだあんたといられるって決まってないんだから。
だったら今のうちに…」
なんだ。俯いて黙り込んだぞ…言葉の途中で。
「今の内になんだよ」
「ばっ…馬鹿! 女にそんな事いわせる気!?」
「わかんねぇから聞いてんだろ!!」
今度は睨んできやがった! わけわかんねぇよ。
お? 俺様の上着着始めたな。 助かった!!
「もう…知らない!!」
なんだ、何かふてくされた様に寝たぞ。
全く持って女は判らん!!
まぁ、危機は去ったと言う事で良しとするか。
床に腰を下ろして両腕を組み、考える。
レガートってのは、力が全てってのは判ったが。
女の扱いが酷そうだな。
女のリンカー存在しないからな! これは考えるまで…ん?
リセル先輩確かリカルド先輩と魔族とリンカーフェイズした時に
リセル先輩がリンカーになってたよな? 明らかに。
あれがリセル先輩の才能だと思ってたが…どういうこった?
まぁそれはリセル先輩に聞けばわかるか!
それよりも今後どう動くかだ。
とりあえず朝にでもケルドのニーチャンに暴れネェから外に出してもらえないか頼まないとな。
このレガートのどこかにいる、イドとマリアってのを先ず見つけないと駄目だ。
それと、あのキリウって奴の竜の正体が判らない。とどめに強過ぎる。
クラドのオッサンもそうだったが突然消えやがるからな。
…だー! 考えても無駄だ。寝よう。
朝が来たのか? 飯が運ばれてきた音で目を覚ました俺様。
飯ついでに服も運ばれてきた。 それに着替えた俺様とアリセア。
その後に入ってきたケルドのニーチャン。
「おはよう御座います。 では、結果として」
アリセアがケルドのニーチャンの次の言葉を生唾飲んで見て待ってるな。
俺もまぁ、今後の事もある。気にはなるがそこまで気にするものなのか。
「アリセア君は、ガット君と同じ部屋に」
なんだ? 今度は急にへたりこんだぞアリセアの奴。
「よかった…」
「はは。まぁ、気持ちは判りますが…状況が少し変わっただけで、
する事は変わり無いですよ? アリセア君」
「わ…わかってるけど…」
何だ、何で顔赤くして俺の方を見る!!!
「成る程。ガット君の方が問題ですか。
まぁ、まだ子供ですし。時間はいくらでもありますから」
何が子供なんだよ! つかそれより。
「外出の許可が欲しい。ですか?」
…このニーチャンに言葉本当にいらねぇな!
「いやいや、読まずとも顔に出てますよ君の場合は。
そうですね。レガートの事を知る必要もありますし、
暴れないという事を飲んで頂ければ、私も同伴となりますが」
ケルドのニーチャンもかよ! …いや土地に明るいだろうし、
イドとマリアの事を…。
「勿論、知ってますよ? その子達なら戦闘教育を受けておりますから。
…丁度君達だと良い相手になりそうですね。
朝食を済ませたら会いに行ってみますか?」
相手? まだ5歳とかそんなもんだったよな?
そんな子供と戦わせるつもりなのか? つかアリセア余程腹減ってたのか、
もう飯食ってやがる!! 俺も食っておくか。
「わかった! ってかそんな子供相手よりも…」
「キリウさんと戦わせろ。でしょうか?
そうですね。 彼の相手になる者がいませんでしたし、
上にかけあっておきましょうか」
何か、何で敵のこのニーチャンがこうまで面倒見てくるんだよ!
いくらなんでも…。
「このレガートを変える。その覚悟が如何程か、それが見たいのですよ。
そして近い内にシアお嬢様を筆頭に彼等も攻め入ってくるでしょう。
そうなれば、多くの人が死にますね。
その時、君はどうするか。 それも楽しみですから」
…人の生き様を見て楽しんでるのか? このニーチャン。
「それはどうでしょう?
では、後で迎えに上がりますので、食べ物は残さず食べておいてくださいよ」
そういうと、一礼して部屋から出て行ったケルドのニーチャン。
アリセアに視線を移すと黙々と飯を食っている。
「まぁ、外出られるみたいだからいいか」
「あんたが暴れなかったら監視もつかなかったわよ馬鹿」
「うるせぇ!!」
四十五話、最後まで読んでいただきありがとう御座います。
次回から少しシリアス気味になっていきます。