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第三十七話 「命の水」

三十七話目となります。 

引き続き主人公のエルフィ編で御座います。


  「ぐへー…」

  「暫くアレを食うんだゾ。 一食で何をまいってるカ!」

  「…まいってる…」

壮絶な民族料理。 丸焼きはまだ食えたが、目玉を血で煮込んだ様な凄まじいモノやら、

 何か苦いだけの野菜とも果物ともとれる得体の知れないモノなどなど。


それ以前に…味が…無い。 無いというか動物の臭みというか鉄分というか。それだけ。

 香辛料とか無いのか。

 「醤油が恋しい…」

 「なんだそれハ!」

 「…しょうゆ…」

流石に気分が悪くなって、地面に這い蹲る様に寝そべる俺。

 顔だけ横を向いて、その部落の風景をただ眺めている。

 

16で、成人儀式みたいなモノがあり、雷竜と戦うのはいいが、死んだらどうすんだ?

 死んだら洒落にならんだろう。

  「なぁ鳥。16で雷竜と戦うってのはまぁいいんだが、死なないか? あんなデカブツとやって」

  「ああ。10人中6・7人は確実に死んでるゾ」

  「生存確率3割かよ…」


どうりで、男っつか。俺と歳がそう離れていない20前後の男が余り居ない…いや、

 それでも数がおかしくないか。男より女の比率のが明らかに高いが。

  「それは判ったが…なんでこんなに男少ないんだ? いくらなんでも」

  「ここの井戸が枯れてきてるからナ! 遠くに川があってそこに水を汲みにいく事があるんダ」

  「ああ、そりゃまぁそうならざるを得ないだろうが…。 なんで男が少ないかだ」

  

俺の頭の上に乗っかってきた鳥。 真似して背中に乗ってくるオズ。

  「俺を乗り物扱いすんなっつーの」

  「その川に獰猛な生き物がいるからダ」


ああ、ワニみたいなのがいるのか。 それに喰われる、成る程納得。

 つまり…お? さっきのスアルって子がこっちにきたな。

段々と近づいて…何か容器に入ってるモノを差し出してきた。

 ぉおおおっ!水!!

俺は食いつく様にそれを受け取り飲み干した。

  「ぶっはー…。 生まれてこの方、水がこれだけありがたいとは思わなかったわ」

  「ここで水は命と変わりないからナ」

  「そんな大事なモンくれたワケか。 つか井戸からってことは…その水脈が枯れてきてるのか?」

  「すいみゃくってなんダ?」

ああ、そう言う地層とか地下にあるものの知識ってのは無いのか。

  アホ面を俺の顔に近づけて聞いてきた鳥。

  「ああ…ってぐぼぁっ!?」

オズを見てか知らんがスアルって子まで俺の背中にっ!! おもっ!!

  「人気だナ」

  「いい迷惑だ…つかそれよりも、水脈ってのはこの土の下に流れてる川みたいなもんだよ」

  「そうなのカ。 だからどうしタ?」

  「つまり、井戸に当っていた水脈が小さかった。 という事だ」

翼を俺の顔に挟んで更にアホ面を近づけてくる鳥。

  「だからどうしタ」

  「顔もアホだが中身もアホだなお前」

  「オマエの言ってる意味がわからんのダ」

  「あ~、とどのつまり。 別の水脈掘り返せば水は出てくる可能性はある。という事だ」

更に翼に力をいれて顔をちかず…嘴が鼻にあたっていてぇ!

  「ええい! 離れろ焼き鳥!!」

  「やかましイ! オマエはそれが出来るのカ?」

見た目と動作はアホだがそれなりに心配してるのか?ここを。

  目だけは真剣な鳥を見て、少し考え込む俺。 背中ではオズとスアルが遊んでいる。

頼むから俺の背中で遊ばないでくれるか? 苦しい。


…水脈当てるにゃ、地面を掘る必要があるし、何より嗅覚の発達した動物が必要。

 そんなの居たか? …。

駄目だ、考え付かん。


ふと、横を見るとネズミっぽい小さいモノが走っていく。 

 それをスアルも見つけたのか、俺の背中を降りて捕まえに追いかけていく。

…成る程食料になるワケだ。 ネズミ…何かそれっぽいので。


ああ、いたな。土に潜れて嗅覚発達してそうな奴が。

 見た目あんまり宜しく無いが、俺の今後の為でもあるしな!

  「ああ、居たな。多分アレなら水脈当てられる」

  「本当カ! やれ!! 今すぐやレ!!!」

  「お前、何でそんな必死なんだ?」

  「判らんカ! 水も枯渇しかけて、川には獰猛な生物がいるんだゾ!」


…ああ。民族の危機ってやつか。 確かに水の供給手段が厳しいな。

 んじゃ、早速とりかかってみるか。

そういって起き上がり、ふと空を見る。 もう少しで夕暮れか。

 なるべく早くしないとな。

  「お~いオズ。ちょっくら井戸掘りするからリンカーフェイズ頼むわ」

  「…」

黙って頷くオズ。 つか俺のつて戦闘向いてるの少ないよな。

 そもそもモンスターじゃないしな。フェンリル除いて。

俺の胸に背伸びをして必死に手を当ててくる。 そういや身長差忘れていた。

 俺はオズの手の届く範囲に屈みこんだ。

  「…しんぱくどうき…あくせす…」



そしていつも通りの輪廻の中。 外では影に包まれてるだろう。

 そんな中でなんでか裸なんだよな。この中だと。

残念ながら俺は幼児の裸に欲情する気は無いので、オズを見てもなんとも思わない。

 さっさとオズの手を引っ張って走馬灯の様に流れて消える生前の記憶を辿っていく。

  「お~いたいた。 流石に動物の大半は短命だから数だきゃ多いな」

  「…まるい・・・」

  「丸いってか芋っていうか。 まぁあんまり姿の一部借りたくない奴ではあるな」

  「…いも…」

  「この世界にあるかしんないけどな。こんな感じの喰いモンだ。 さ、やってくれ」


そういうと、前世の一つ。モグラ、それの記憶に手を触れたオズ。 

 そうするとモグラがこっち側に出てくる。まるで3Dのアレだな。

 その出てきたモグラと俺の間に入り、左右の手を広げるオズ。

  「…しんぱくどうき…せつぞくかくにん…りんかーふぇいず…」


体と周囲1mぐらいだろうか? それを取り囲んでいた影が払われる様に消えていく。

 影の払われ方はいいんだが、出てくるのが駄目だ。 まるでもうモグラの着グルミ。

  「相変わらずマヌケなリンカーフェイズだナ」

  「うるせぇ! 俺だってもっと格好いいのが欲しいわ!!

    フェンリル出てこないわ。出てきても力貸すかわからんし」

  「無様だナ!」

  「貴様のケツの穴掘ってやろうか? この鋭い爪で」

  「ヤメロー!!」


さて、冗談はおいといてと。慌てる鳥をそのまま放置して、地面を見る。

 ・・・ん? スアルが戻ってきたな。 う…見るな! そんな必死で笑い堪えた顔で俺を見るな!!

  「・・・・」

  

なんだ? 何いって。

  「そんなおかしな毛皮着て何をする。 だそうダ!」

  「おかしな毛皮じゃねぇ!! ったく。 水を掘り出すんだよ水を」

俺は周囲を見渡す。 が、鷹と違っておかしいな。目が逆に良く見えないぞ。

 人間の時より遥かに視力が落ちて…ああ、モグラは土の中にいるから視力がアレだったな。

  「それは本当に可能なのか? だそうダ!」

  「あ~。水脈自体はある様だから、多分その井戸にあったのは枝分かれして途切れた奴か何かって可能性がある。

    んだから本流探してやればドバッと出るかも知れない。 確証は無いがな~専門家でもネェし」


  「オイ! オイラの判る範囲で喋レ! 全然わからんぞ!」

ああ、地下の事何も知らんのだった。

 何て言えばいいんだこれは。

  「あ~…ほれ。 土の下に小さい川と大きい川があるかもしれない。 

    だから大きい川を掘ってこっちに流れを持ってくる。ということだ」

  

ようやく判ったか? 何か俺自身も言ってて意味わからんかったが。

 通じたのか、何かスアルが飛びついてきたぞ。 いやこんな毛むくじゃらの状態で抱きつかれても嬉しくも無い。

  「・・・・」

  「期待している。 だそうダ」

相変わらず上から目線だなおい。

  「へいへい。ご期待に添えられる様に頑張ってきますよ」

主に俺自身の水分の為に。

  「頑張ってこイ!」

お前は気楽でいいな鳥。


と、一人と一匹から視線を地面に移し、地面を掘り出すワケだ。

 流石に人間サイズの半分モグラに近い姿。 掘るのが早いわ。

まるで漫画の様に土を巻き上げてあっという間に地面に体が埋まっていく。

 …ドリルいらねぇな。 ドリルは男のロマンなのに。

かなり深い所まで着たのか、土の色が段々と変わっていく。 地層なんてじかで見たこと判らないからなぁ。

 それが何千年前のとか判るはずも無い。


試しに鼻で臭いを嗅いでみる。 …僅かに水の臭いっぽいのがある。

 とりあえずそこに掘り進み、半ば空洞になった部分に顔を出す。

  「お? …ほとんど水が無いってことは」

顔を出した穴から少し身を乗り出して、上の方を見てみる。

  「ああ~。井戸の水脈か」


多分切れた水脈だな。 つことは近くに本流あってもいいんじゃね? なんて都合の良い事を考える。

 …ん? 何か震動っつか僅かに音が聞こえるな。 ドドドっというかこう某擬音みたいな。

その音が…この空洞になった所に響いてるのか。

  「てこたぁ…近くに本流なりなんなりありそうだ…」

  「…あそこ…」

  「お? 何、わかんの?」

何か反対側の壁を指差しているオズ。 

  「おっし、いっちょやってみっか!!」


取り合えず、空洞の下へと地面を掘って地面にから出て、反対側へと歩いていく。

 地下ずくにつれ確かに震動と音は大きくなる。

  「あ~確かにありそうだ。 壁一枚で塞がってるだけに近いな」

よーし! 掘るぞ。 俺は壁っつか横の土を掘り返していく、体が完全に埋まってもまだ届かない。

 それであの音ってこた結構な水脈あるかもしんね~な。……マグマだったらどうしよ。

いや、マグマだったらここまで来れないか。 じゃ水ってことで。


5分ぐらいだろうか、掘り進むと、土が湿ってきた。明らかに水があるな。

 更に掘り進む。 そして…飛び出してきた水と一緒に忘れていた事を思い出す。



  「水が流れてくるのを忘れてたーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」



叫びと同時に轟音を上げて水が空洞の方に向けて流れてくる。 言葉も喋れずただ水に押し流される。

 まるでこう洗濯機の中にある洗濯物! それになった気分である。

そして、されるがままに回された挙句、ズドン! か何かこう筒から空気が一気に飛び出た音。

それと共に水から開放された俺の目の下には、何十mも打ち上げられ空中に居た俺。

  「だーっ! オズ!! リンカーフェイズだけ解除して鷹だ鷹っ!!」

  「…せつぞく…かいじょ…りあくせす…」


勢い良く落下しながら、影に包まれて、鷹の姿を借りた半ばホークマンになった俺が嗅げから飛び出してくる。

 なんとか翼で風を作りそれを叩きつけて、地面スレスレで止まる。

  「ふい~…死ぬかと思ったわ」

  「…みず…あめ…」

  「ああ~確かにこりゃ雨みたいだわな」


物凄い轟音を上げて、井戸のあった方角だろう所。そこから水柱が立っている。

  「…あれ、治まるのか? 今度は水害になりそうだぞ」

  「…みずびたし…」

  「だな。 どうする。いくらなんでもありゃ無駄遣いだぞ」


大量に出続ける水。 どうする。…ああ、水の流れほまた向こうに繋いでやりゃいいかもしんねぇな。

  「オズ!もっかいさっきのモグラになるぞ」

  「…」


黙って頷いたオズは手早く解除して、再びモグラになる。

 あんまりなりたくない姿だ。

それはいいとして、また地中に潜り、音と臭いを頼りにさっきの場所へ。

 然しどうする。 既に水がパンパンだろう空洞。 そして元々大量にある水脈・・・。

どっちから掘っても掘った瞬間に水に飲み込まれる。


考えろ俺! どうやったら繋げられるか考えろ。…む~…。 

 そうか、これならいけるかもしんねぇな。


俺は水脈の方ギリギリまで掘り進み、土が湿ってくる付近で手を止める。

 そして後ろに戻って、今度は空洞だった所の近くまで掘る。

そしてくうど・・・・はやべぇだろ!! 水脈に流されたら死ぬ!!

 アッチからだアッチ!!


再び水脈手前まで戻り、水脈の方の土を掘って貫通させる。

 「ぶわっふふ!!」

さっきと同じく水の流れにに押し流され、空洞だった所の土を打ち破る。

 然し…水脈の方に吸い込まれだす水。

それに必死で穴の開いた土の壁を掴んで耐える俺。


どうするよ! 計算外!! 逆流するとは!つかそもそも流れを弱めるために逃がすんだった!!!

  ちっ…! アレはやりたくなかった…が!

 (オズ! リンカーフェイズだけ解除解除!)

記憶が繋がってるので意思の疎通が出来る。言語の理解だけでなく、こんな所で役に立つとは思わなかったが…。

 再び影に包まれ、激しい水の流れに流されていく。

影から出てきたのは、もう見たくないつか想像するに易い。半魚人。

 女のなら見た目もいいがも男はマーマンだからな!!!

  「ぶはっ。とりあえずエラ呼吸で息は出来る様になったが…どこに流されるよこりゃ」

  「…あそこ…」

勢い良く流されていく、そんな先に分かれている道があり、それが上に向かっている。

 …離れた所に川があるとかいってたな。 つながってるかもしんね。

そっちに流れる様に移動して、そのまま流されていくこと数十分。

相当な勢いで流されて天井やらなにやらぶつかりまくった。

 そのまま、勢いよく飛び出した先、急に緩やかな流れになる。

  「お? 川にでたか?」

  

上を見ると赤い光が揺れているというか差し込んでいる。 何か判らんがとりあえず上に出れる。

 そう思い、水から顔を出すと、大きな川に出てきた。 周りには木々が生い茂って動物が水を飲みにきている。

  「お~、なんという光景。 これは中々」

  「…あれ…」


ん? オズの指差した方向を見る。

  「ぐげ! コイツかよ! どう見てもワニだろ。つかデケェ!!」

  「…わに…」

余裕だなおい! つかただの魚のこいつに戦闘能力無いぞ!

 水中戦でワニに勝てそうなのは…鮫は淡水だと凄い事になるしな。 淡水の生物で・・・あーっ!

  思いつかネェよ!!

  「どうするっ。取り合えず逃げる!!」

必死で泳いで逃げる。 岸までかなりの距離がある上に、鷹になってる間に食われる。

 仮に食われなかったとしても、濡れた翼で飛べるのか。そもそも水中から飛べるのか?無理だろ!!


必死で逃げる。兎に角逃げる。 然しサイズの違いか、ワニがどんどん迫ってきている。

 岸につくまでに食われるぞこりゃ…喰われる? ・・・。

  「このままだとどの道お陀仏だしな…やってみるか!」


泳ぐのを止め、その場で浮いた状態。そのままワニが迫ってくるのを待つ。

 迫ってきたワニが、凄まじくデカい口を大きく開けて水を巻き込んでこっちにきた。

  「一か八かやるしかねぇっ!」

 今度はそのデカい口に目掛けて全速力で泳ぐ。そしてそのままその口の中へと。

  あっという間に胃の中らしい所まで辿り着いたソコで目にしたのは。

  「うげぇ…お食事直後かよ」

 色々な動物。中には人間が半溶け状態でそこにあった。 丸呑みするのかこのワニは…クジラかよ。

  「ま。なんにせよ丸呑み癖が災いしたな! オズさっきのモグラだ!」

  「…りあくせす…」


胃の中で影に包まれて出てきたのはさっきのモグラ。

  「あんまやりたくないが…!!」

硬い土を掘れる爪で、このデカワニの胃袋を掘り破り、手当たり次第に何か判らん内臓を掘り返した。

  大量に溢れ出てくる血。 口の中にまで入り鉄の味が広がってくる。

  「ぶぇ…。 急いで出ないと血で溺れちまうなこりゃ!」

慌てて、喉の方だろう方向へ戻り、口から外へと。

  「ぶっはー! キモッ! まさかリアルでスプラッターやるとはきもすぎるっ!!」

血で真っ赤になり、モグラの茶黒い毛が、粘り気の強い赤い糸を引いている。

  「うげ~べちゃっというか、ねちゃっというか…キモい!!」

  「…きもい…」

オズがまた変な言葉覚えてしまった!! が、まぁそれはいいとして。

  「取り合えず死んだ様だな。 白目向いて浮いてやがるわ」

ハンパなくデカい目が白目を向いている。 つかワニの肉って確かくえたよ…な?

 おし! ついでに食料ゲットだ!! …だんだん野生化してきてないか…俺。

再び、魚、名前が良く判らん魚。 それにリンカーフェイズして岸まで引っ張っていく。

 水の上で浮いてるモンって軽く動くもんなんだよな。相当デカいものでも。


  「ふい~…岸についたぞ。…と」

  

だが問題はこれからだ。 このデカブツをどうやって運ぶ?

 …周りを見て考えろ…木…以前にレトにやつてもらった時は無理だったがここの木は…。

 手ごろなサイズで丸いな! これだ!!

  「連発でスマンがオズ! まだ連発で行くぞ!」

  「…りあくせす・・・」


またまた影に包まれて出てきたのは、象。 もう…考えたくない容姿。

 以前にメディに相当笑われた容姿。 考えたくも無い怪人象男。

  変身できるのはいいが、ほぼどれもこれも単発のやられ怪人ってどうなんだよ!!!

  「ええぃっ! なりふりかまつてられるかっ!」

そういうと、生えてる木々をなぎ倒し、十本程かき集めた。

  そして、岸からちょい身を乗り上げているデカワニの下に数本敷く。

  「おっしゃ! お次だ、オズ!」

  「…むう…」


うわーっ! 立て続けでご機嫌ナナメだよオズちゃんっ。むくれっ面がカワイ…それどころじゃないだろに。

  「もう二回だ二回!」

  「…りあくせす…」

明らかにいやそうな声出してきたよ。仕方ないだろう。

 今度影から出てきたのは、一番なりたくないが便利なこれ。蜘蛛。

  …水面に自分の姿が映りそれをふと見てみる。

 黒と黄色の硬めの毛に数えるのが嫌な足てか腕。 それの人型。 顔は…うげぇグロい。

直接見たことなかったが、顔のほとんどがもう蜘蛛そのもの。 嫌過ぎる。

 さっさとデカワニに糸を吹きかけ絡めて、先を紐の様につなげる。

  「おしラスト!!」

  「…りあくせす…」


トドメに出てきたのはさっきの象! 運搬パワーならコイツが一番だろう。

 デカワニに敷いた木の上を滑らせて乗せ、岸に上げる。

そして一つ気が付いた。

  「ん? 何か軽いな」

見た目よりこのワニの身が詰まってない? 馬鹿な!

 俺は試しにデカワニを持ってみた。…持ち上げられただと!?

思ったよりパワーがあったこの象。 人間の時り遥かにすげぇぞ!!

 スラク持ち上げられたんしゃねぇかもしかしてこれ。…まぁいい。思わぬ収穫。


全く自分のリンカーフェイズの能力理解していない事を思い知らされつつ、

 デカワニを担ぎ上げてノヴィアの方に戻る。

大分見えてきたな。しかし相当日が落ちかけてるのか、俺とワニの影が物凄い伸びている。

 ここまで伸びた影は初めてみたな。

ふと、伸びた影。その影を作る夕日だろうそれを振り返ってみてみる。

 とてつもなく大きな夕日が水平線に陽炎がかかってる様に半分消えかかっている。

  「うおー! なんかすげぇ…」

見たことも無い巨大な夕日と、そこに広がる草原。 

 今まで見たことも無いものが立て続けに見れて、新鮮で大変いいのだが。

 同時に生きる為に死にかける事も多い。 なんつーか、もう色々大変としか言いようが無い。


そう感慨にふけながら、ノヴィアの入り口付近まで戻ってくる。

 そうすると何だ、ノヴィアの人達が集まってきた。 お、スアルに鳥もか。

  そんな中、何か皆跪きだしたぞ。 おい…まさか川の守り神みたいなもんだったのか!?

 それ殺してしまって悲しんでるのか!? 皆泣き出したぞおい! しまった!!!!

 酋長だろう爺さん。最早黒い部分は何処に無く、伸ばした髪の毛と髭。

 そして腰巻一丁、考えたくは無いが恐らくは、はいてない。

 その爺さんが立ち上がり歩み寄ってくる。

 

  「うぎゃーっ! サーセン! 殺す気はなかったんです!」


地響きと共にそのデカワニを下ろして、手で必死に弁解しようとする俺。

 その手を掴んできた酋長らしい爺さん。 

  「・・・・」

んが?何か様子がおかしいな。

  「見直したゾ! オオミ!!」

  「どういうこったよ! わけわからんわ!!」

  「族長はこういってるゾ! ノヴィアに命を与えて下さったばかりか、

    多くの仲間の命を奪いつづけた魔物を退治して下さって感謝します。だそうダ!」

  「あ、…そ、そうなのか。それならそれでよかった」

  「…つかれた・・・」


お? そういうとオズが力尽きたのか、リンカーフェイズを解いた。

 まぁ…立て続けだったからなぁ。

  「お疲れ、助かったよオズ」

というと、オズの頭を軽く撫でた。 そして俺の足に引っ付いてきた。

  



  「まぁ、何にせよ結果良かったならそれでいいか」

  「良いどころじゃないゾ! オマエは馬鹿か!」

  「うっせぇ鳥!!毟るぞ!!」

  「イヤダー!!」


て、お? 雷竜まで着たな。

  目が見えないのによく来れるな。

  「サザが残しただけはある。オオミ、といったな。 明日を楽しみにしている」



…そいや、このデカワニどころじゃないのとやらないといけないんだよな…。

 リンカーフェイズ無し。 俺単体でドラゴンと…主に肉体言語で…。



     ママン…死亡フラグしか見えないよ…。

三十七話。最後まで読んでいただいてありがとう御座います。


 次回も引き続き主人公メイン。

 一幕序盤から名前が出ていた雷竜ヴァランとようやく対峙。

  それはもう酷い事になりそうです。

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