第二十九話 「微心微想」
二十九話目となります。
今回はオズメインとなります。
余り言葉喋らないので難しい事この上無く。
追記: 誤字 02のことだか>01のことだが
文章ミス 力無きものが~
「…おなか…」
「ん? 腹すいたのか? 手を腹にあててるが」
「オイラも腹減ったゾ! メシだ!メシをだせ!」
「お前は黙れ!自分で焼き鳥にでもなればいいだろ」
…そら…くも…
「…あめ・・・」
「あめ? ああ、雨か? あ~、こりゃ降ってくるな。
向こうの方が凄そうだ」
「ココはそこまで降らないダろ!」
…おなか…
「…おなか…」
「確実に空腹訴えてるな」
「面白いほど腹の虫がなってるゾ! オズ!」
「ほれ。 干し肉と水しか無いが」
「もっとマシなものよこセ! オオミ! よこせ!!」
「こら!皮袋に頭突っ込むな! …じゃあお前を焼き鳥にしてやるよ」
「やめろ!掴むナ! オイラのトサカ掴むナ!! 火に近づけるナ!!」
…たべる…とり…?
「お? オズお前もこの喋る鳥食べたいか?」
「や め ろ! オイラのトサカっ!! まがるっ まがっちゃぅぅぅうっ!!」
「…まがっ…ちゃう…」
「やっぱ言葉知らないのか?」
「は な セ っ! やめろオズ!」
「おいおい、人形じゃないぞこれは。 そんな首と胴体持って逆方向に捻ったら」
「ぎゅぇええええっ!! ち ぎ れ るぅぅぅぅぅうっ…」
…にん…ぎょう…?
…れがーと…くらど…
「さて、最後の実験工程は全て終了した戻るぞ娘」
「…」
…じっけん…へや…もどる…。
「…。誰も居ないな」
…くらど…みる…。
「相変わらず殺風景な部屋だ…ベッドすら無い。物心つく頃の娘に、何一つ与えられない。
純粋に戦闘人形へと仕上げる為とはいえ、本当にこれが正しいのか」
…せんとう…にんぎょう…。
「これをやろう。 少しでも貴様に人らしい心が芽生えれば良いが」
…にんぎょ…う…?
「何一つ与えられず…いや。戦いに必要な物。それのみを与えられ続けた娘か…。
いずれ我が子らもこうなるかと思うと…」
…くらど…こ…。
「…そうだ。イグリスへの侵攻が決まった。
生きては帰れないだろう。 貴様も既に実験対象から外れた」
…しぬ…?
「この国レガートは、人を人として育てない。人を駒として育てる。
力無き者が、力ある者に逆らう事を完全に排除した国だ。弱者は常に強者の駒となる。
男なればまだ良い。リンカーとして優秀なれば、それなりの待遇が与えられる。
しかし、女のリンカーは未だかつて存在した試しが無い。
故に、女は…。いや、貴様にこんな話をしても無駄か」
……。
「さぁ、本を持ってきた。読んでやろう」
…ほん…?
「子供に親が読んでみせる本だ。少しでも貴様に自我が芽生えれば良いが…」
…おや…こども…きょうだい・・・。
「何だクラド、貴様。人形相手に何をしている?
…ふ。人形に人形を与えるとは滑稽な」
…ひと…ふえた…。
「…キリウか。 貴様は本当に自分を失ったのだな」
「貴様こそ、子を持ってから弱くなりおって。
以前のあの強さはどこにいった。見下げ果てたぞ」
「…何とでも言え。 俺は、このレガートが本当にこれで良いのか疑問に思うのだ」
「それだけで死罪に値するぞ。クラド」
「…ふ。 それ故の捨て駒だろう?」
「そうだったな。 まぁ、残り僅かの命。好きにすると良い」
「貴様とは、幼少の頃よりの付き合いだったな」
「ああ、結局…決着はつかずか」
「…。 01の事だが」
「ああ、02で何故自我を奪う事をしだしたのか。 か?」
「そうだ」
「アレは…」
…ぜろ…いち…きょう…だい…
「おーい? オズ?」
「ぐる…ぢい…しヌ」
「…」
「あんまり捻り続けると本当に千切れるぞ! ほら目が両方違う方向むき出した!
口から舌がデロリと泡まで吹き出したッ! グロッ!!」
…とり…?
「げふーっ! 死ぬかとおもっタ!!」
「中々面白い顔芸だったなおい」
…かお…
「ぶぎゃっ! や め ろ!!
「いいザマだなおい鳥! 精々人形になってやんなよ!」
「おまえっ! オイラは人形じゃないっ!! オイラはっオイラはっ」
「大精霊クァだとでも?」
「ナッ!?」
「ありがちなんだよ!!! ったく雷竜だけでも厄介なのに、次の精霊のキーキャラがこれか?」
…せいれい…じっけん…どらごん……。
「良し。実験終了だ」
「自我が無いと、暴走しないとは。これは一体どこから?」
「はは。ただの勘で御座いますよ。 それにしても貴方様こそ、封印の源。
精霊の力とそれに耐え得る竜の生命力。人為的に種を作り出そうとは。発想が素晴らしい。
その上、神の楔から神の力まで付与しようとは…素晴らしいというよりも、恐ろしいですね」
「はは。00は廃棄する他なく、01で半ば諦めて別の方法を探している所、君が来てくれて助かったよ」
「光栄で御座います。丁度02の実験も最終段階。 イグリスで実践投入しては如何でしょう?
あの者も、我等がレガートに何やら不穏な影を抱いている様で御座いますし。
宜しければ…こちらで手は打っておきますよ」
「…抜け目の無い奴だな」
「私も大変この実験に興味がありますので、出来うる限りの事は致しますよ」
「はは、頼りになるよ」
…おとこ…にんげん…? …ちがう…
「違うっ!! クァ様はオイラじゃないっ!!」
「はいはい。そういう事にしときますよ。まぁ何かしらのキーキャラだろうが」
「キーキャラってなんダ! ってこら! やめろオズ!!」
「…にんぎょう…」
「はは。まぁしっかりお兄さんしてやれよ鳥」
「オイラとオズはキョウダイじゃないゾ!!」
「お前も馬鹿だな」
「バカいうナ!!」
…にんぎょう…きょうだい…01…
「あら? どうしたの02、人形なんて抱えて。珍しいわね~」
「…」
…きょうだい…
「ふ~ん…自我を放棄させられた筈なのにね~。 クラドかな~?」
「…」
「ま、大事にしなよ~? もっとも…もう用済みって話だけどね~あなたは」
…ようずみ…ほうき……。 にんぎょう…おとこ…。
「何だ貴様。こんなものを抱えて」
「…」
「貴様にこんなモノは必要無い」
…ひつよう…ない…
「お? あきたか?」
「くっくるしかっタ!!」
「ま、明日は鷹使えるか試しにリンカーフェイズしてみようか。
どうやらエルフィまで相当距離あるっぽいしな」
「だナ! おまえの足だと一ヶ月近くかかるゾ!」
「転送魔法陣とか無いのか? 普通に遠すぎるぞ?」
「そんなものココにはナイ!!」
「…てことはエルフィにはあるってことか?」
「知らン!」
「つことは帰りは楽か」
…かえる…どこ…かえる……オズ…かえる…どこ・・・。
二十九話、最後まで読んでいただいてありがとうございます。
ガット・アリセアのレガート編
相当ドロドロになっております。R15でおさまるかすら。