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第二十四話 「それぞれの道」

二十四話目となります。

 これより本筋へと入って参ります。

完全に戦う力を消失した主人公。

 …このあたりの展開はご想像の通りに御座います!! 恐らく(笑)


 

  「ぐがばっ! クソ! …」


俺様は耐え切れなかったか、意識を失いそうになった。

 上下左右と荒れ狂う激流。どちらが上か下かも、どれぐらい流されたかも判らない。


完全に意識が絶たれようとした瞬間に聞こえた声。 何か聞き覚えのある声。


  「あらぁ…? こんな濁流の中…遊んでいるの? ボウヤ?」


この甘ったるい声! 以前に散々な目にあった嫌な声!!!


  「可愛いわねぇ…?」


うぶっ!? 何かで口ふさがれっ…何か口にはいって…うがーっ!!!!!


俺様は意識を取り戻し、その甘ったるい声の奴を振り払った。

  「あん…もう。 相変わらずねぇ…」


  「テメェ…ディエラ! なにしやがった!!!!」


その言葉に、体を妙になんてんだ? クネクネ? そう。そうんな感じだ。

 全く良く判らない仕草。

  「何って…本当に何もしらないのねぇ…。お姉さんがぁ…教えてあげようかしらぁ…?」

  「要らん!」



即答!間髪入れず即答!!

 俺様は間合いを取り、ディエラを警戒する。 こいつには以前酷い目にあったからな!

  「はぁ…何か、嫌われてるのかしらぁ…? 助けてあげたのよぉ…?」

  「お、そういえばそうだな! ありがとよ!!!

    つか森に戻ったんじゃなかったのか?」


  「ちょっと…散歩よぉ…? ほら、動かないとスタイル崩れちゃうからぁ…」

  「判らん!」

  「もぉ…、本当に子供ねぇ…」


そういうと、俺は、一目散! 敵前逃亡は主義に反するがアイツは別だ!!!

  「あらあらぁ…もう。 でも、頑張ってねぇ…ボウヤ。

       アナタも…サザが残した大事な可能性よぉ…」





  「オラオラオラぁぁぁぁあああああああああっ!!!」


完全に日の落ちた夜の道を走る! 

 何か途中でコボルドみたいなのを吹っ飛ばした気もするが、まさにどうでもいい!

俺様は道に転がっている石ころなどに興味は無い!!!!

 疾風怒濤。まさにそれ、俺様は駆けていく。

瞬く間に、流れた場所付近までたどり着くと、あの二人は既に居なかった。

 まぁ、ヘタに探すよか先輩達に伝えた方が確実だからな!

俺はソレを確認すると、街っつか廃墟? そこへ走った!!




お! 入り口で何か、皆集まって無いか!?

 そうか俺様を心配していたんだな!! 素晴らしい!!


  「クソ! 裏の裏かいてきやがったか!!」


あん?なんだ、ニーチャンがやたら悔しがってるってか、

 見たこと無いなあんな焦ってるってか怒ってる? ニーチャン。


  「本当ですわ…この国。そしてレトどころか純粋な子の気持ちまで利用するなんて…」

うお!? リセル先輩が怒ってる! なんだ。何が…。


  「…私があの時。ついていけば…」

リカルド先輩は何か反省してるぞ!? なんなんだ一体!!

 つっかすげぇ力あるじゃネェかよ! 砕けた城壁の欠片更に殴って壊したぞ!


  「落ち着きな。 取り合えずメディが殺されたワケじゃないんだからさ」


流石師匠!常に冷静。たまに怒ると怖いが。

 アリセアとあのチビと、ゼメキス先輩もいるけど、黙ってるな。

 ゼメキス先輩何か、頭にタンコブついてるが…何がどうなってんだ?


  「俺様ただいま参上!!! なにやってんだ!?」

  「…馬鹿。空気読みなさいよ」

  「…ばかっと…」


  「馬鹿ット言うなチビ!!!」

何だよ、俺を指さして。

  「…ばかっと…ちび…」


…チビにチビ言われてすんげぇムカつくがそれどころじゃないな。

 状況把握状況把握。

  「メディ先輩居ない所から見ると、そっち方面でなんかあったのか!?」


と、言うと師匠が答えてきた。

  「ああ。ケルドの奴が神の封印解いたのさ。そしてまぁ…かいつまむと。」

  「一連の騒動の元凶があのケルドのニーチャンでいいんだな!師匠!!」

  「ああ、その通りだ。…それも用意周到にね」


成る程! 世界の敵というワケだな! ついきにきたか! 俺様が先頭に立つ時が!!!!

  「顔に出てるよ、ガット。 でも…その通りだね。

    この中じゃ、アンタが一番可能性がある」


ぉおおおおおおおおおっ!! 師匠が俺様を頼った!!!

  「そ…それはマジか!!」

  「ああ。ちょっと…待ってな。

    オオミ君。リセル君・リカ・・・アンタは残りな。

   アリセア君とゼメキス君も明日に備えて寝ておくんだ」


うお…久しぶりにマジな師匠見たぜ!

 こいつは…真面目に聞いた方が良さそうだぜ。


その場を師匠と俺様。んでリカルド先輩だけが残った。


  「で、師匠! 俺様は兎も角。リカルド先輩はなんでだ!?」

  「逆だよ。アンタがオマケに近い。けど、アンタじゃないと出来ない」

  「…私の事。気付いていたのですか? 会長」

  「まぁ、なんとなくねぇ…。で、責任は追及するつもりは無い。

   奴がどう言う奴かを聞きたい」


なんだ…何か俺様だけついていけないが、これは覚えておいた方がいいな!

 そう思って俺様は黙って耳を傾けた。


  「ケルド…いえ、ファラトリエル。それが彼の名です。

   性格は狡猾で残忍。その上で…」

  「変身能力と読心能力でもあるのかい?」

  「その通りです。 私が気付けなかったのも彼のその力。

    そして、それからお守りするのが私の使命で御座いました」

  「成る程ね。で、奴の目的は? ユグドラシルの種を何故狙った?」

  「…そこまでお知りとは。会長、貴女は一体…」

  「アタシは、双極竜セオの一人娘さ」

  「…その身体能力。合点がようやくいきました」



…師匠が。あの神竜の娘!? つか。ゆぐどらしるのたね? なんだそりゃ。

  「師匠! ユグドラシルの実。じゃなくて種ってなんだ!?」


すると、忘れていたという顔で俺の方を見てきた! 完全に空気だったな俺様。

  「そうだったね。アンタは知らなくて当然だ。 これから知る必要になる。 教えておくよ。

   ユグドラシルはね何の木か知っているだろ?」

  「命の木。だよな!? 確か・・・何か違うか?」

  「ああそうだ。命の木。精霊。この世界の源。

   一つ気にならないか? その木はどうやって次のユグドラシルを生むのか。

   ユグドラシルだってね。生き物だ、寿命はある」


そりゃそうだ! …ん?けど確かに実の話は聞いた事もあるし、知ってる奴は知ってる。

 生命の木の事は尚更だ。 だが…生む?

  「わかりません師匠!!」

  「当然だね。本来、木はね。風を使って種子を運ぶだろう?

    ユグドラシルは違う。 命に種を運ばせるのさ」


命に…種を?  がーっ!ますます判らん!!

  「簡単に言うと、人や魔族。魔人。

    まぁ、その時代で最も信頼のおける者達。そいつらに種を預けるんだ。

   一つの生命体としてね。 

   そして、その生命体が天寿を全うし、土に返る時。種は芽吹き、ユグドラシルが生まれる」


成る程! しかそれとメディ先輩…アーッ!!! 

  「判ったぜ!? つまりメディ先輩がソレだ! それを護る為に学園があった。

    師匠が義妹としていたワケだ! セオ様も然り! そしてリカルド先輩も何か知らん理由で」


  「見た目馬鹿なのに、飲み込みだけは早いね。その通りさ。 掻い摘むとね。

    セオ様…オヤジもあんまり見かけなかっただろう?」

  「そういえば、学園でもお見かけする事が余り。

    私は、セオ様が大変忙しいご身分の方と、そう思っておりました」



俺もだよ!!つか美味しいトコもってきやがって…!

  「ああ、そう見せかけるしかなかったのさ。

    オヤジは高齢でね。もう長時間人の姿になる事すら出来なかった」


  「それはつまり…戦う事が出来ない体。そう取って宜しいですね?」

  「ああ、その通り。封印のある場所で、封印された神の自我を抑え続ける。

    それがオヤジの役目でもあったのさ。

   あの神は封印された奴の中でも厄介でね。

   正直、オヤジが抑え続けていなければ、こんな国一瞬で消滅してたさ。

     中位神…ハラトリエル。 神の槍を使用する事を許された神。

  アイツで夥しい数の者が殺された。そう聞いたよ」


じゃあ何か! アレは既にかなり弱りきった力だったってのかよ!?

  「つまり、セオ様が自分の力を使い、長い年月をかけて弱らせてきた。

    そういう事で御座いますね?」

  「ああそうさ。だから学園でも余り見なかった}



俺様の知らない所でそんな事があったとは!! 許せん!!

  「師匠!! とどのつまり俺様は何をするんだ!?」

  「アンタほんと…馬鹿だね。 まぁいいか。 やる事は一つ。

   クラドといったかね? あのケルベロスの。 アイツにレガートに誘われた。

    そう言って内部に侵入するんだ。 ただコッチから連絡するまで勝手に行動しちゃいけないよ」


  「もし…したらどうなんだ!?」

うがっ!愚問だったか! 死ぬ程怖い顔で睨んでる!

  「はは。では私は、残りのリセルさんを必ずお守り致します」

  「ああ、頼んだよ。オオミ君の力を封じられ、尚且つメディまで奪われた。

   それも厄介な事に、人と魔族・魔人の敵となったかもしれない」


メディ先輩が敵に!? どういうことだよ!

  「ええ。本当に申し訳御座いません。 この命に代えましてもリセルさんだけは、お守り致します」

  「ああ、頼んだよ。 次はリセルを懐柔してくるだろうからね。

    全く。ヘタに力の強い神より厄介だよアイツは」

  「全ては私が、彼の言葉を聞いてしまったばかりに」

  「仕方ないさ。アイツの能力がソレだとしたら」


心を読むだと!? すげぇ化物じゃねぇか!! 燃えるぜぇええええええええっ!!


  「で、この馬鹿の出番ってワケさ」

  「ああ、成る程! ガット君は考えて戦いませんからね。

    戦いになると彼が切り札になると」

  「その通りさ。ガット! アンタが欲しがってた世界が求める奴。 

    それが今アンタってワケだ。 気合いいれて頑張んな」


世界! 世界が俺様を!? うぉぉぉおおおおおおおおおおっ!!!


  「おや、走り出して向こうにいってしまいましたね。

    それで良いさ。 これ以上聞かれると読まれてしまうからね」

  「ああ、成る程。 会長…あなたもファラトリエルに勝るとも劣らない…」

  「ぶん殴るよ」

  「すみません」







  「ふぅ。何か心配だなぁ。」

  「ん?どうした?アリセア?」

  「いえ、オオミ先輩あの…」

  「おらぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああっ!」

  「きゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


  「お、おい!? なんだどうした!?」

  「…ほんと、お馬鹿ですわね。あの子。相手の事何も考えて無いわよ」


  「ま、それがアイツの強みなんだろ。 ただ純粋。

    そして、一点の曇りない自分の信念。ってとこか」

  「それが、あなたの言う、英雄足り得る者。ですの?」

  「あ~どうだろなぁ。 一口に英雄っても沢山いる。

   ガットみたいなタイプから、女英雄。リセルみたいなタイプのまで色々」

  「わ…私ですの?」

  「ああ、リセルみたいなのも居る。性格の差異はあるにしろ、

    結局何かに一途って事」


  「何かいまいち良くわかりませんわ」

  

  「その内わかるさ。


   聞いて知れば、それは成らず。

    気付いて知れば、それは成る。」


  「結局、彼は殺される事がわかってたのですわね。

    だから、わざとあんな言い方して」

  「その通り」



俺達は何処かへと走っていくガットを見ながら、少し会話した。


 敵の名前だけは判った。 ケルドというこの学園の奴。

  結局、腹の中の虫か。 ベタだなおい。

 然し、ベタだがそのベタを利用して騙してきやがった。

 相当頭のキレる敵と思っていいな。

  いいだろう。文明人の知恵を見せてやる。

  正直心理戦…オセロゲームやら苦手だが。やったるか!

俺は隣でガットの去った方を向くのリセルの尻を軽く叩いた!

 いや、デレられると困るからツン度維持しないといけないからぶふぁっ!?

  「なになさいますのよ! このお馬鹿!!」


おもっきり肘食らわされた。

  「ま、まぁ…次はリセルお前を騙しに来る事は確実だ。

   気をつけろよ? この手のタイプは戦闘能力よりも言葉が巧い」


  「何か、戦いにくい相手ですわね」

  「戦い難いっつーかラスボスなんだよな」

  「ラスボスってなんですの?」

  「いーや、コッチの事」




あーあ。何かラスボス見えちまうとやる気でねぇや。


 





二十四話最後まで読んでいただいてありがとうございます。

 ようやく分岐点。

自らの意思で主人公の下を去ったメディ。

逆に主人公に近づいたリセル。

 リカルドの役目がちょっと見えてきましたね。


これから、精神的なR15が若干含まれてきます。

 鬱に弱い人はお気をつけ下さい。

 残虐描写とはグロだけに在らずですね。…R18にならない様に加減が難しそうですが。

悪の美学もまた。キャラクターの魅力の一つ。

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