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第二十三話 「崩壊」

二十三話目となります。


さぁ、分岐点が見えて参りました。



  「…やっぱり。オーミはリセルの事…好きだったんだ…」

お爺様が亡くなった事。…苦しくて、苦しくて…オーミの胸で泣きたかった。…でも。


       そこは私の居場所では無かった。


オーミの胸に抱かれて、幸せそうな顔をしていたリセル。

 お爺様ももう居ない。お父様もお母様も…。 私にはもう何も・・・無い。


死んだ様な表情。そう。この街に沢山。それもまだ見つかっていない人達。

 私も…もうその一人。 そう思える私の表情。 …虚無。


視界もままならず。体にも力が入らず、考える事も出来ない。 ただ、足だけが動いていた。

 そんな中、一人の声。聞きなれた声。お兄さんと思っている声。


  「おや。どうか致しましたか? 浮かない顔をしている様ですが」


リカルド。リセルのリンカー。ここにも私の居場所は…無い。

 私は、見て無い、聞いて無い振りをしてその場を歩き去る。



  「あ、ちょっと。 メディさん?」


…どこにも、誰にも、私の居場所は…もう無い。

 疲れ。そう疲れ。一睡もせずに探し続けた疲れだけが…私に残った。

眠りたい。誰かに…何かに包まれて、静かに何も考えず…ただ静かに眠りたい。 



長い年月…願い続けた願い。 それが現れて叶ったと思った。

 でも・・・・・・・・・奪われた。リセルに…。






      姉さんだと思っていた人に…。





親しみ。信頼…絆。それらが私の中で崩れ去り、…憎しみ。そう…憎しみ。

 壊してやりたい・・・・・・・・・・・。




          全てを。何もかも・・・。





   「それは、可能で御座いますよ?」


ただ、足が向くままに歩いた先。街の外。 そして、私の心を見透かす様な言葉。

 これも、聞きなれた声。 学園の人。イストル様の部下。ケルドさん。


   「メディ様。貴女にはそれを可能とする力が御座います」


私に…壊す力。でも、それは…。


   「全てを破壊し、そして奪い返せば良いのです。オオミ様をあの悪女から。

     貴女を利用し、貴女の大事な者。両親を見殺しにし、

     そして貴女の願い続けた者すらも奪ったあの女から」


…ふと、蘇る記憶。私達の暴走を止める両親。

 そして、それを見ていたリセル…シアン義姉さん


   「そう。全ては貴女を利用し、貴女の欲する者。

     異界の力を手に入れんが為。

    貴女に近づき、貴女を騙し続けた者達」


に…くい。

   「残念ながら、私では力及ばず。

     双極竜セオ、その娘シアンに阻まれました。

     この様な事になったのは、全ては私の責任で御座います」


憎い…殺してやる…壊してやる…。


   「かつて、神が封印されました。

     私もその一人。 ですが、一人の理解ある若者が私の封を解かれました。

    そもそも、何故神が封印されたのか。 そして、この地に封ぜられていた優しき神。

    その神も最早、この世にいません。 残された神ももう僅か…。

    メディ様。神は本来優しい者、万物を見守る為に存在する者」


・・・。


   「貴女も、じかに聞き、そして見て。お分かり頂けたと存じ上げます。

     言い伝えは、時間が経つにつれ姿を変えます。

    神は、封ぜられ」


・・・・・・。


   「人と…魔族により。 暗い地の底へと陥れられたのです。

     真実を隠し、偽りの過去を持って」


ゆるせない…。


   「メディ様。いえ、我等が主神足り得る大君よ。

     神は…最早少なく力も失われつつあります。

     どうか、世界が…終末を迎えてしまう前に。

     我等が御座に」



そう言うと、その場に跪いた自分を神と言った人。

 セオとシアンを知っている人。

嘘はついていない。 そう思った。

 私は、彼の前に立ち、こう言った。



     「…私を連れて行って。 そこが・・・」


私の言葉に重ねる様にケルドは言う。



     「貴女様の在るべき場所…で御座います」


     「…うん」


そう、頷くと、私はケルドの力か。何処かへと飛ばされた…。





    「…異界の人間。

      相当なキレ者の様で御座いますが…まだまだ経験不足ですね」


私は、最早街とも言えない廃墟を軽く見る。

そして、その木陰に潜む者を見ずに鼻で笑い。

               

         姿を消した。




   「あ…あわわわ…僕。どうしよう」


ようやく、悪人登場。

作者の考える悪の美学。それを盛り込んだキャラクターとなります。

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