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第十六話「イグリス防衛戦Ⅲ 生きる為の力」

十六話目の投稿となります。 

この回からようやく主人公がまともな戦力になり始めます。


と、評価点を一話一話頂いてる様でありがとう御座います。

 あんまりダメそうでしたら、展開は弄らずに作り直す事も視野にいれて頑張ります。


  「むぅ…やられてしまった様ではないか!」

私はテラスの手すりを握り潰さんばかりに握り締め、眉をひそめ街の外を睨んでいる。

  「少々、予定が狂った様ですね。まさか森の赤竜が味方につくとは、予想外で御座いましたね」

 

  「ええいっ! このままでは私の地位まで危ぶまれるわ!」

  「それは心配には及びません。イストル様」


む?何か良い策でもあるのか? 私はケルドの方をむい・・・


  

      <ザシュッ>



  「全く使えない人間ですね。近隣の情報すらまともに手に入れてないとは。」


私はイストルの首を右腕を払って落とし、胸元にさしてある赤い布で血をふき取りつつ、外を見た。

 まぁ…既に包囲してありますし。切り札も容易してありますから、支障は無いのですがね。


では、私は私の用事を済ませるとしましょうか。


 横たわる首の無いケルドを横目に、この者の私室を出た。








 

  「おーし、取り合えず移動だからな。えーと」

  「ねぇ、どこにいけばいいのかな・・・」


再び深層に…いや輪廻の中と言うべきなのか? まぁそこに戻ってきた俺達。

 以前は…そう、例えるならコンパスも地図も無しに広大な森に入った。それがピッタリだ。

だが今度は、必要な道具と使える知識を持ってきた。後は道具を使うだけ…と。


  「ああ、フェンリルのとこまで行く必要は無いし、今現状でアイツの力はデカすぎるんだ。

    俺もとてもじゃないが耐え切れれないしな。」

  「うん。それは判るけど」

  「ま、今回は俺についてきてくれ。見れば判るさ。

    大体からして俺の世界の生物しかいないだろうから、メディには判らない筈」

  「あ…うん」


そういうと、今度はメディの手を引っ張って俺が輪廻の中を進む。

 以前と違い妙に明るい感じがする。理解すると言う事がこういう事なのか知らないが。

まぁ、それよりもだ。やっぱり見事にちっちゃいな。メディの胸は。

  「…スケベ!!!」

  「ぎゃぁぁぁっ!!!」

おもっきり顔殴られた。いいじゃないか。減るもんじゃなしっつか、俺の裸は見ていいのか。

  まぁ雑念は捨てておこう。


と、探し物は移動用。つまり飛べる奴だな。飛べる奴で戦闘向きったらあの空の王者しかいない。

 相当数の生物がいるはずだからなぁ…どんどん走馬灯の様に現れてはきえていく前世の記憶の映像。

 色々と見てみたい気もするが。触らない方が良い気がする。

 仮にだが、死ぬ瞬間のモノを触れてしまったら…とかまぁ見るだけの筈だしな。

 でもまさか記憶の一部として、その時の苦しみや痛みも刻み付けられたら…たまったモンじゃない。


選ぶのは慎重に、森を歩いた時を思い出すかの様に探す俺。

 ・・・こいつはいけそうだな。

一つの記憶の所に止まった俺。普通に飛んでいる鷹だ。

  「オーミ?これ?…ただの動物みたいだけど」

  「そ。ただの動物」

  「え・・・モンスターとかじゃなくて? 戦えるの?」

  「メディ。ただの動物だってナメたら駄目だな。生きる為の力ってモンがある」

  

不思議そうに俺の方を首を傾げて見ているメディ。

 いや、俺も不思議だ。いままでこんな風に動物を見た事なんてなかったしな。

 まぁ、それも姐御やらサザやセアドから得た知識ってか知力?それの使い方ってやつなんだろう。

  「この鳥は。俺の世界では…空の王者だ。とても賢く自分より大きい動物を捕食する事だってある」

  「うん。でも・・・」

  「言い方を変えるとこうだ。 この鳥の生きる為の力。その一点のみを俺に繋ぐ。

    そうすると精神力の消耗も少なく、その上で俺よりデカい奴でも、うまくすれば倒せる。

    ・・・かもしれない。と付け加えるけどな」

  「あ・・・そっか。うん判った」


判って無いだろうな。俺も正直頭で判ってるがイマイチ良く判ってない。そんな感じだしな。

 まぁ実際使ってみて、そこからまた考えれば良い。食わないとどんな毒があるか判らん。

  だから小さいものからだ。いきなり大きいモノ食って毒で死んだら困るしな。


  「よし、こいつと繋いでくれないか?」

  「あ・・・うん。でもこれ記憶・・・?」

  「フェンリルも生前の記憶だったんだよ。デカ過ぎて判らなかっただけだ。

   ・・・いや少し違うか。ん?確かにフェンリルは・・・わからん!」

  「ちょっとオーミ?」

  「判らん事は考えても無駄! 今出来る事をやるだけだ」

  「あ、うん。そうだね」


というと、メディは映像の鷹に手を当てた。

すると不思議と鷹たけが飛び出してきて、生物がそこにいる様に見える。…やはりか。

 映像つか記憶。そこから連れ出す。そんな感じだな。

 正確には判らないが、今はこれで良しとしよう。

そして俺も右腕を出し、目を閉じた。


  「いくよ~?」

  「どんとこーい!」



  「心拍同期・・・魂魄連結・・・主をオーミに・・・魂連発現リンカーフェイズ!!!」










  「お、どうやら普通にリンカーフェイズした様だね。

    銀色の光じゃなく影になってるね」

  「銀色の光…、影ではなかったのか」

  「ああそうさ。アタシだって見たこと無かったからね。焦ったよ」

  「そうか。その光がいつかこの世界を救う光となるかもしれない。という事なのかもしれないな」

  「はは。逆にこの世界を破滅に導く光かも知れない。

    何せアイツの世界の神々を食い殺した奴の力だからね」

  「それもオオミがこの世界で何を見て考えるか。結果次第だ…力そのものに善悪は無い」

  「その通りだね。 お、出てきた様だよ」


  「おっしゃーっ!!! 意識もある!余裕バリバリ体力だけ持て余ーす!!」

  「ちょっとオーミ…ガットみたいだから、あんまり変な事は・・・」


しまった!つい嬉しくて変なポーズとってたのか。いやいや変身は男のロマン。これはやっぱりこう・・・。

 少し腰を落として、右腕を掲げて腰に左手を当ててみたり。色々とポーズを考えて見た。

  

      <ガツン>

  「いてぇぇぇぇぇぇぇええええええっ!!?」

  「ほらだからいったのに・・・」

おもっきり姐御に殴られた・・・。

 不機嫌そうだが、いかにも良くやったといわんばかりの顔をしている姐御。

  「アンタね。ガットじゃないんだからさ。まぁそれはいいとして、ソイツはなんだい?」

  「ああ、これっスか?」

  「オーミの世界の空の王者なんだって」

  「へぇ。空の王者・・・強いのかい?」


俺は何かを期待している姐御にこう言った。

  「単体では大した力は無いっスよ。というよりもただの動物っス」

  「ほう。何故動物を選んだのか?オオミ」


お、サザまで食いついてきた。

  「なんつーんスかね。以前にシアンさんから生きる為にどうするか。それを教わったんスわ。

    で、ん~サザなら簡略していいっスな。 動物でも生きる為に備わった力がある。それだけっス・・・

   いてぇっ!いてててぇっ!!!」


おもっきり姐御に背中を叩かれた。

  「良く気が付いたね。何も力が大きいモンスターが絶対に強いとは限らない。

    大事なのは相性なんだ。 アンタの世界でも天敵とかあるだろう?」


  「うむ。力が小さくとも。その力を知れば。知らぬ力を振り回すだけの者に負ける道理は無い」

  「ああ、その通りだね」


つまり何か?普通の人間がバスタードソードとかヘタすりゃドラゴンスレイヤー持ってぶん回すより、

  短剣とか小剣持った方が確実に強いといいたいのか。まぁ、そりゃそうだが。


  「然し、中々に綺麗な翼だね。茶色というか。暖かい色をしているねぇ」

  「そして、同時に力強さも感じる姿だ」

  「ああ。確かに。空の王者の威厳ってやつなんだろうね。

    よし、じゃアタシもつれてさっさと北側に行ってくれないか」


おっと、そういや時間なかったんだったな。んじゃいこうか。

 と、その前にミニマム化したメディたんを見ようか。

 お~これは・・・。全体的に丸っぽくなってるというか二頭身化したといったらいいのか。

 ちょっと…お腹というか胴が胸部・腹部・下腹部から腹部だけになった様なSD化。

 そして妙に短くなった・・・ってか胴がズドーンとなってるのでスカートが短い所為かパンモロになっている。

 パンツもパンツで胴が一体化している所為かオムツに見えなくも無い。そしてそこから覗くダイコンみたいな足。

 ・・・これはこれで良いかも。と思った俺。・・・おっと姐御が睨んでる。さっさと行くか。


  「お安い御用ってやつっスな。じゃ行きますか! んじゃ足につかまって下さいっスわ」

  「足にかい?」

  「スな。この動物、爪が鋭すぎるんスわ」

  「成る程。それが武器なのか」

  「それ以外にもあるんスが。すぐわかるっスわ」


遠くがやたら良く見える。ホークアイって奴かいねこりゃ。便利だ。

  取り合えず軽く翼を羽ばたかせて見た。いや飛ぶなんて感覚判らんし。

 ・・・飛ばないな!


  「どうしたんだい? 早く飛んでくれないと足を掴みにくいんだけどね」

  「オオミよ、風を見よ。翼で風を捕まえるのだ」


いや、そう言われましても・・・。

  「飛び方判らないのかい!!」

  「う・・・うス!!! だって飛んだこと無いんスし!」

  「そりゃ判るが、困ったねぇ」


どうする?風を捕まえるったってなぁ・・・あ。ちょっと危険だがやってみるか。

  「シアンさん、俺をおもっきり空にぶん投げてくれないスか?」

  「・・・落ちて死ぬ気かい?」

  「いや、鳥の子供は飛ぶ時は高い所から落ちるんスわ。それでサザの言う風を捕まえるんスかね。

   それを本能で掴み取るっスから。なんとか落ちる前に記憶引っ張り出してみるっス」

  「ふ~ん。中々判ってきたじゃないか」

  「時間無いみたいスし手っとりばやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

  「キャアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」


言う前にぶん投げられた。しかも何十m飛ばしたあの姐御。地面が凄まじく遠いぞ。

  「ちょっとオーミ大丈夫なの!?」

  「まかせとけってんだ!」

 

 

取り合えず翼をブワッと広げてみた。・・・いてぇっ!!落下速度からの風圧で翼が折れる!!!

 慌てて空気抵抗少なめに翼を折る。駄目だ。捕まえるというよりも今のだと受け止める。に近い。

グングンと地面が近づいてくる。

あと何秒だ。20?30?一分もなさそうだ。

 くそ! 今度は空気抵抗を逃がす様に翼をバタバタさせてみた。凧の尻尾が風でブレるみたいなアレだ。

つか論外だろ!!! どう考えても飛ぶ動作じゃねぇ!!!!

 うわーっ!アホな事してるから更に地面がちかくっ!時間がっこのままだと潰れたトマトじゃないか!!!


風を見るという事を考えろ!いや考えたって無駄だろ?見えないモン見ても見えないだろ。じゃあどうす・・・。

 これかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああっ!!!

肌っつか羽毛!これに意識集中して風の流れを感じ取るこれだ!!しかし落下速度が激しくてどれが風だかわからんぞ!

 どんどん地面が近づく。 どれだっどれだよ!! っ!こいつか!?

俺は感覚的に翼をやや左斜めにして、体も傾けた。おっ! 成る程。

 落下速度がかなり緩み、斜め下に急降下しだした。

んじゃこいつを捕まえてみると。 そのまま上になった翼だけ風をまともに受けてみた。

  おっ! その瞬間落下がほぼ止まった。やはりこいつか! そのまま翼を両方軽く上に向く様に、上体をそらす。

今度は落ちるどころか上に上昇した。okok。大体判ったぞ!


   「シアンさーん! まだちょい不慣れなんでそっちに突っ込むから足つかんでっス!!!!」

俺は不慣れながらも飛びつつ姐御に叫んだ。

   「おー!! いつでもこーい!!!」


   「メディ大丈夫か?」

   「うん。ちょっと怖かったけど」

   「ふはは!そりゃすまん! じゃ一気に行くからちょい背中に張り付いててくれ」

   「うん」

メディが背中の中でもぞもぞしているのを確認したので、今度は姐御の方に急降下。

 コイツは楽なんだ。単に風を逃がせば落ちる。 ただ問題は・・・。


 この落下速度で更に上昇気流を見つけつつ斜めに一気に落ちる事なんだよな!

こいつか! 俺は一気に姐御の方に斜めから降りていく、 そのまま姐御の少し上の方まで降りていき、

 空気抵抗を一度全て翼で受け止めて、

 その衝撃を地面に叩きつけて上昇気流作り出し、翼で受け止め大きく上へ飛び上がった。

一度捕まえてみればワケは無かった。落ちれば一緒に風も巻き込んで落ちる。 

 そのまま大地から跳ね返った風を使ってまた浮けばいい話だ。そこからまた横風を捕まえてたりで飛べば良い。


  「少しヒヤッとしたが、巧く飛べた様だね! リカルドは半年はかかったんだよ。それ実は」

  「マジッスか!!!!!!!!!!」

  「当たり前じゃないか。飛ぶ機能の無い人間が飛ぶという事自体理解する事が難しいからね」

  「凄いじゃないオーミ」

  「ああ、大したモンだ。正直驚いたね。やっぱ人間死ぬ気が一番」


いや、もう勘弁して欲しい死ぬ一歩手前は。まぁ、んなコトは後でいくらでも悩めば良い。

 取り合えず北・・・ってどっちだ?

  「あのシアンさん?つまらない事を聞くんスが」

  「なんだい?もうアタシが教える事なんてないと思うがねぇ」

  「なんだろうね・・・」

  「き…北ってどっちスか?」

  「バカタレ!!!!」

ぎゃーっ!おこられた!仕方無いじゃないか。東西南北とか気にした事すらないんだよ!!!

  「あっちだあっち! そこの一番大きい山の右側だよ」

  「あそこっスか…ん? ・・・・・250ちょいっスかね?」

  「敵の数かい?その通りだが。良く判ったね」

  「オーミ…まさかシアン義姉さんみたいに見えてるの?遠くが」

  「鷹の目ってそういうモンなんス。ホークアイっていうぐらいに」

  「へぇ。それがそいつの生きる為の力かい?」

  「そんなとこっスね。基本的に強襲するっスから。」

  「不意打ちする空の王者…? 何か堂々としてないね」

  「メディ。生きる為にはなりふりかまっていられないモンさ」

  「そのとおりっス」



俺は一気に北側へ行き、街の城壁付近に姐御を落とす様に下ろす事にした。


  「っとすんませんっス! ちょい乱暴スけど、ここで落ちて着地して欲しいっス。

   まだ丁寧に降りるの無理っして」


  「ああ、構わないよ。じゃここから見せて貰おうかね」

  「okっス!」


その勢いのまま急降下し、地面ちょい上3mということろで上昇した。その時に姐御は地面に降り立った。

 3m結構高いと思ったが・・・姐御にはどうとでもなる高さだったらしく普通に着地している。


まぁ、それはそれとして、左森のとこに結構な数がいるな。

  「シアンさん! 左森の中に100程!」

  「おー! 知ってるが一応聞いておくよ!」


そういや既に確認してんだよなこの人。影で移動して。・・・だから10秒以上かかってゼメキスさんぶっ倒れたのか。

 まぁ、んなコトはどうでもいい。

  「右の小川の森付近に70ちょい!」

  「あー!その通りだ。で?!」

  「戦術とかサッパリなもんで、どっち先に不意打ち食らわした方がいいっスかね!!!」

  「ああ、そういや戦闘経験なかったね! 右はリセル達がいるから、数の多い左だ!」

  「おっけーっス!!」


俺は更に上昇して、辺りを見回す。 

  「何探してるの?オーミ」

  「ん? 岩!」

  「い…岩?」

  「そうそう岩」


お、あれは手頃だな。よっしゃあ!!

 俺は急降下して明らかに転がってるだけの1mぐらいか?岩目掛けて落ちていった。

  そして、岩を爪でつか・・・もうとしたらそのまま地面に5~10m程激しくヘッドスライディングした。

 「いでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええっ!!!!」

 「ちょっとオーミ!?」


ええい!タイミングずれて、足っつか爪がグキッといった!挫く様にグキッと!!

 再び、羽を広げて、力いっぱい羽ばたいて風を作り、地面に叩きつけ、その上昇気流を捕まえて飛び立つ。

  「うわーっ!普通にとべてる」

  「コツは判った!まかせろ!」


再び、高い位置まで飛ぶ。

  「ねぇ何で高い所からなの?」

  「ん? 普通にやるとまずあんなもの持ち上がらないからな。 落下速度利用して捕まえてそのまま上がるんだ。

    鷹は獲物をそうやって捕まえて、地面に叩き落して、それを繰り返して弱らせてから食うんだよ」

  「そ…そうなんだ」


今度は失敗せん! 俺は再び急降下して岩に近づく。 そして見事にキャッチ!というか爪を岩に食い込ませた。 

 そしてそのまま上昇気流を捕まえて落下速度を上昇に使用し、更に自然の上昇気流を捕まえて高くに飛ぶ。

一気に自然の大パノラマが広がる。然し見てる余裕も暇も無い!!

  「うわー・・・高い」

  「まだまだあがるぜ!!! 見せてやる使用MP0の大魔法!!!」

  「まじっくぱわー?な、何言ってるの?って魔法!?」

  「ああ、コッチの事コッチの事!」

  「う~ん・・魔法って使えないよ?リンカーは…」

  「使えるさ!いいから見てな!」


うひょーっ!風つよっ! これならもっとデカい岩でもいけたかもしんね!

 俺は調子に乗り、サザが飛んだ高さよりも更に高く飛ぶ!

  「あの…オーミ? さむい・・・」

  「おっ!すまね!!」

  「この高さぐらいでいいか!」

  「でも…なにするの?」

  「まぁ見てなって! コイツならあのスライムだって消し飛ぶかもしれんぜ!?」

  「さっきも言ったけどどうやって魔力つかうの? リンカーは魔法使えないよ?」

  「ハハハ!!まかせれ!知力が魔力の代わりになる!」

  「う…うん」


そういうと、左側の森。その丁度真上に来た俺は、風を逃が岩を放し、垂直落下する岩の上に今度は乗って落下の速度を速めた。

  「ちょっオーミ!?」

  「くらえ!!!」

  「なっ・・・ちょっ!」



  「俺式魔法ニュートンの林檎コメット!!!!!!!!!」


思いっきり高い所から落とせば質量がデカけりゃデカい程重量と速度は増す!

 だったかな?まぁそんな感じのアレだ!!!!!


  「ちょっと!怖いっ早いよっ!」

  「オラオラぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!!」


…熱っ!!! 結構な速度なのか空気摩擦で凄い事になりだしたな。

 俺は慌てて岩から飛びのいて、気流を捕まえて浮いた。つかホバリングした。

  「と・・・とまった」

 目を渦巻きみたいにして俺の肩からグデッと顔を出したメディが非常に面白い。

  「うほっ萌えた」

  「な…なによそれ。ってうわっ!」

  「おーっ。思ったより強烈なのになったな!」


どんどん速度を増し、空気摩擦で熱量も増大し、風すら巻き込んで森に落ちていく岩。

 そのまま勢いを増し続け、ついに森に到達し、

  セアドさんごめんなさい的大伐採!どころか轟音を上げて地面をめくり上げクレーターに近いモノを作り出した。

  「なっ…えぇぇぇぇっ!?」

  「ははは。科学の勝利だ!」

  「カガク?なにそれ」

  「俺の世界の魔法だよ」

  「す…凄いんだね」

  「もっと凄いのあるが、使おうにも使えないんだよな」

  「そ…そうなんだ」

  「お…まだ生き残ってるのいるな! 捕まえてやる」


俺はそのまま生き残って出てきた奴目掛けて急降下した。









  「うーわー。思った以上に凄い事するね。あれならスライムも消し飛ぶよ。

   魔力使った様にも見えなかったし、あれがオオミ君の世界。その空の王者の力なのかね」


アタシは左側にある半分以上消し飛んだ森を見て驚嘆した。

 そして、逃げる様に出てくるリンカーを更に強襲しているオオミ君。

ふーん。もう心配なさそうだね。ここは任せるか。 アレを守らないととんでもない事になるからね。

 アタシは、城壁を飛び越えて街中へと入っていった。









     <ズドォォォォォォォッン>



  「ちょっ。なんですの!?」

  「凄い地鳴りですね」

 私達は、地鳴りのした方を向いた。遠くで良く見えないけど、

  森が一つほとんど消し飛んで煙があがっているのが見える。


  「アッチって北ですわよね?」

  「ですね。オオミさんがリンカーフェイズして戦っている。そうとって宜しいかと」

  「あらぁ…あのボウヤ。凄いわねぇ…魔力使った感じは無かったし」

  「そうよねっ!? 一体何をしたのかしらっ!魔力も使わずにあーっんな破壊力出すなんてねっ」


なっ…何か悔しいですわね…。

 

  「おや?リセルさん顔が・・・?」

  「べっ…べつに悔しく何かないわよっ」

  「私は悔しがってるなんていっておりませんよ?」

  「リッ…リカルド!!!」

  「ハハハ。さて、今のが戦いの合図になった様で御座いますよ!」

  「そのようねぇ…いくつかしら…50と少し…」

  「うーんっ。ちょっと物足りない数だわねんっ」

  「手に余る程多いよりは良いと思います。美しいオーマさん」

  「それもそうねっ」


また冗談交じりで。…あら?


  「…あらぁ…魔力?」

  「街の真ん中あたりねっ!?」

  「まさか…」


私達は敵よりも街の中央へと視線を移した。


  「あらあらぁ…空間接現魔法陣…魔界と繋ぐ気ねぇ…」

  「どうやらお望みの数も追加された様で御座いますね」

  「うんもうっ!腕がなるわぁっん!」


冗談じゃないですわ。 遊びじゃないのですのに。

 先に魔法陣片付ける必要がありますわね…。あんまり気は進みませんけど…。


  「ディエラさん、オーマさん。アレいきますわよ! 魔法陣を先に吹き飛ばしますわ!」

  「えーっ!ちょっとぐらい楽しんでもぅっ!」

  「後で私達がお相手して差し上げますから、今は我慢して下さい美しいオーマさん」

  「うんまっ!仕方無いわねぇ。約束よっ?」

  「ちょっとリカルド!?」

  「あらあらぁ…じゃあ私も混ぜて貰おうかしらねぇ…?」

  「さて、いきますわよ! お二人とも私の両端にきてくださいませ!」

  「うふんっ!わかったわんっ!」

  「いいですわよぉ・・・」



私達の左と右に二人の魔族が並ぶ。そして、私はリカルドの前に行って腕を左右に開いた。


  「久しぶりですから、結構応えるかもしれませんね」

  「一番苦しいのは私ですわっ。あんな格好…いやですわよ!」

  「ははは。目の保養をさせていただきますよ」

  「リカルド…オオミがうつってません?」

  「男ですからね」

  「…お馬鹿!」


リカルド・ディエラ・オーマが目を閉じたのを確認して、私は精神を集中する。

 本当に疲れるのよねこれ。ちょっとでもズレると解除されるから…。


 



  「心拍同期…こっ…外部接続確認コンタクト解析開始アクセス!!!!」

十六話。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

 飛ぶ。という動作が非常に苦労した回となりました。


このまま押し切るのか?それともボコボコにされるのか。

 どちらになりますやら。

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