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第百五話 「言視の神伐戦 ⅩⅢ」 

            


    大砂漠に広がる地平線、揺らぎ沈んでいく巨大な太陽。

      空も赤く染まり所々に浮かぶ雲も赤い。 それを見てふと思い出したサザの最後。

    イグリスを護る為、自身を小型の太陽と化し神の復元能力を超える持続性ダメージに身を焦がし。

     封印されていた神もろともに沈む太陽へと消えていった老いた赤竜。レガの父親。

    あれ程の大火力と超ド級の持続性ダメージは、それこそ命を懸けないと出せないだろう。

     だが、それは単体での話だ。 俺式魔法とイストの術を使えば十二分に可能。


    超重力場が形成されている最中で、俺はイストと再び輪廻の暗闇の中にいる。

     未だにこれも不明な部分が多い。その中で最も気になるのが…何故か素っ裸。

    細身で発達しきっていないが、それなりに膨らみツンと張りのありそうなイストの胸を見つつ、

     余計な事を考えてしまう。 それを見たイストが胸元と下腹部周辺を腕で必死で隠す。

        「どこを見ておる…」

        「乳と尻と股間と太もも」

    イグナさんの後だ、いささか物足りなさを感じる俺の顔をイストの拳が見事に捉える。

     まぁ、リセル似な奴だ。 歳相応になりゃそれはもう極上…んな場合じゃネェだろ!!

    慌てて周囲を見回すと、過去つまり生前の記憶が走馬灯の様に流れては消えていく。

     住んでいる星は同じだが、一枚の壁を隔てた世界に居る為。前世の記憶が映像の様になっている。

    俺の場合は、そこから引っ張り出して貰うワケだが、 フェンリルは違う。

     アーティファクト『輪廻の鎖』その欠片の力だろう力で、この輪廻に留まり続けているのだ。

     最初は、メディの力が輪廻の淵『奈落』にいるフェンリルに会う為の異才だと思っていた。

     だが、メディの力はソレではなく、奈落を行き来出来る力。 という事が判った。

    皮肉にも、メディが奈落の『咎人の鎖』に捕えられた事で判ったワケだが…。

     その奈落に向けて、俺は声をあげる。 本人が言ってたからな言えば聞こえると。

        「フェンリル!! どうだ? 奴はお前の眼鏡にかなうか!?」

    その声が届いたか、一条の光も差さない奈落の底。そこから一つの遠吠えと共に

    銀色の光と毛並みを纏った一匹の巨大な狼、フェンリルが速度とかそう言う次元のモノでは無い。

     そんな速さで一気に目の前に現れた。 ここには空気等も存在していないのか、風も巻き起こらない。

     …。 そういや初見だったなイストは、俺の後ろに隠れてフェンリルを威嚇している。

     一応味方だぞコイツ。 軽くイストを見たフェンリルだが、意に介さず俺の方を向いて口をあける。

       「倒す事は容易い…だが、貴様に耐え切れる範囲での力では不可能だ」

    だろうな、もって精々50%。 メディの時は何? ほら愛の力ってやつ? クサいがそんな感じだろう。

     奇跡的に70%という超火力に耐え切れたワケだが、今回はそんな力の源であるメディも居ない。

    俺は軽く笑いながらフェンリルに20%ぐらいで十分だと伝えると、軽く首を傾げて尋ねてきた。

       「20%…それでは不可能だ」

       「可能なんだよ。 ソイツを見せてやるから力を貸してくれないか?」

    イストもイストで無理だと横から言ってくるが、その言葉をかき消す様に大きく吼えたフェンリル。

     本当に巨大だよなぁ…改めてみると、あの蛇神も軽く食い殺すだろう。

    凶暴さと獰猛さを称えた顔付きをしているが、気高さも同時にある。

     そんなフェンリルが自分の理解の範疇を越える答えが知りたいのか、素直に力を貸してくれる事となった。

    きっちり20%。 あの時イグリスで暴走した時をやや下回る力。 

     それでも、音速を超える移動速度と、それから伴う衝撃波の様な攻撃。

     何より、どういう理屈か知らないが、空中を蹴飛ばして飛ぶというフザけた能力もある。

     恐らくは、全リンカーで唯一だろう魔獣系で飛行機能を有する奴なんてのは。

    20%で途方も無い力が出るんだが、100%だとどうなるのか皆目検討もつかないワケだ。

     と、余りゆっくりしている暇は無いな、俺は背中に隠れているイストを前に押し出して、

     リンカーフェイズを急かせた。 体が硬直して顔も強張ったイストが怯えながらフェンリルと

     俺の間に入り、左右の手のひらを俺とフェンリルに向けた。

       

       「こ…心拍同期…接続開始…魂連発現リンカーフェイズ!」


     直後、周囲の暗闇が眩い銀色の光に一気に塗り替えられ、それを遠吠えで一気に吹き飛ばし視界を広げた。

      体が軽い…そうか。 犬やら狼の吼え声は退魔の吼え声だったな。 

     結構な範囲の超重力場がその吼え声で消し飛び。 周囲に叩き付けられていたイグナさんや、

      他のリンカーが体を起しつつ、驚いた顔で見ている。一番近くにいたイグナさんが驚きつつ声をかけてくる。

       「アンタ…それが銀色の…。 影じゃなくて光かい」

     そう、他のリンカーと俺は常に何か違う。動物しか無い事も然り、このフェンリルもそうだ。

      原因は不明のままだが、明らかに影ではなく銀色の光を伴っている。 然し、意識がはっきりとしているな。

     両手を軽く振ってみたり、手を握っては開いて意識を確認する。 

      思い通りに動く、狂気の渦もなんとも無い…。 ちったぁ成長したんか俺も。

     と…余裕カマしてる暇はネェな。 あの重力場だんだん酷くなってきてやがる。

       隣にいるイグナさんに出来るだけ早く遠くに逃げて、

      後からくる爆風と衝撃波からそれぞれの街への被害を食い止めてくれ。 

     そう伝えると、返事を聞く前に彼女の元からゆっくりと歩いて離れ、ミニマム化したイストを抱え込む。

       「舌、噛むなよ?」

      頷いた事を確認した俺は、地面を軽く蹴る。 その直後蹴った部分の砂が大きく後方に吹き飛ぶ。

      そしてその吹き飛んだ砂が地面に届くだろう僅かな時間。 その時には既に姐御達の居る元で…。

 

          力の制御が巧く出来ないらしく、勢い余って頭から砂地にめり込んでいた。

  

     …。 周囲から見事に天に向けてツンと向いている俺の尻と、

      フッサフサの尻尾に、周囲の痛々しい視線が突き刺さる。

     姐御・レガを含めた周囲の奴等が今絶対に俺を呆れた顔で見ているだろう。

      見事に砂に埋もれ視界0でも良く判る。 俺は慌てて立ち上がり遠吠えをして周囲の重力場をかき消す。

      何故、周囲の重力場をかき消せるのか? それはイストがあの重力場の中を平然としていた事にある。

      つまり、同質の力。 魔力で形成された力場だからだ。 それを退魔の吼え声で一部無効化したと。

     それを聞いてこようとしてくるが、時間が惜しい。 というか冷静だが内心怒り心頭なのだ。

      それを表情から悟ったのか、姐御は、各自各方面に点在する街へと撤退して備える指揮。

     それを迅速に行うと同時に、レガとヴァラン・アーガート周辺の重力場をかき消した。

      アーガートは地掘と共に地中に退避。 出来るだけ深くに。

      レガとヴァランは、アイツを一度あの連携ブレスで麻痺させて時間を稼ぐ。

     

     それらを行った時は既に、日が落ちて周囲は暗くなっていた。 その中で俺のリンカーフェイズ

      の影響下にある範囲だけが銀色の明かりを灯し続けている。 結構な距離からでも見えるだろう。

      それ程の光度をしている。 その後に一緒にイストにある程度かいつまんで説明した。

     あいつに補助系の風魔術、大地の鎖を断ち切る範囲型の魔法陣を叩き込み。

      その後、俺の合図とともに負担の掛からない程度で空気の塊をアイツにぶつけてくれと。

      考えてみれば単純な話だ、これはゲームじゃない。 ターゲットなんざ敵味方種類問わずにかけられる。

       それは攻撃系も然り、威力がデカければデカい程、味方や周囲にも被害が及ぶ。

       そればっかに気を取られていて、所謂アレだ、バニシュ・デス 的な方法もある事を失念していた。

     あのデカブツが、どれだけ質量を持っていようと…重力そのものを遮断させる術をかければいい。

      勿論、あの長さだ、全ては無理。 そこをフェンリルの力で天高く蹴り上げる。

      その後に、重力遮断を消してしまえば、その大質量が仇となる。つまり飛べない事、それが弱点だ。

      …。まぁ、大砂漠だから出来る様な事だが。 それでも被害がドレほどになるかすら分からない。

     が…。 それも問題無いだろう、アイツがいる。

     

     そう言うと、完全に周囲に味方が居なくなったのを確認した俺はイストにその術をデカブツにかけさせる。

      俺の肩で浮遊して、両手を前に突き出し何やらワケの分からん言語を喋ると、 

      周囲に強烈な重力場が出来て一瞬だけ中腰になり、砂に足をめり込ませたが、耐えられない程でもない。

     その直後、イストの両手のやや前方にいくつかの魔法陣が現れ左右個々に回転し始める。

      それに連動したかの様に麻痺しているデカブツの大体四分の一だろうか、

      それくらいの大型の魔法陣が取り囲み、回りながらデカブツのテッペンまで上がり、地面に落ちた。

     直後、中途半端に重量を失ったんだろう、倒れて捩れている姿勢が変に浮いている。

      そのまま視線をイストに移すと、やはりってかまぁ負担は軽いのか辛そうでは無い。 

     それを確認した俺は、大きく地面を蹴り一瞬で2kmぐらい離れた場所。

      デカブツの浮いた腹の下へと辿りつく。 …今度はうまく止まれた様で、数百mむこうから

      足でブレーキをかけた為の二本の砂の線が続いている。

     軽く上を見た俺は、大きく深呼吸をし、体を屈めて左足で地面を強く蹴った反動をそのまま右足から

      デカブツの腹へと叩き込む。 その瞬間、地面とその腹付近の上下二箇所。

     肉眼でも確認出来るクッキリとした衝撃波二つ。それが僅かに空間を歪めながら波状に広がっていく。

      同時にデカブツの体が大きくヘの字に曲がり、鈍い轟音と共に大きく空へ打ち上げられる。

     それを追撃する様に、地面を出来る限りの脚力で蹴ると、砂地は砂嵐を巻き起こす。

      その砂嵐の中で、その勢いを使ってデカブツの腹を更に蹴り上げる。

     鈍い音とともに砂嵐を巻き込んで、そのデカブツが銀色の光と共に空へと。

      再び蹴り上げる為に、空中を強く蹴ると衝撃波が広がると同時にデカブツの腹の所にも衝撃波が起こる。

     かなり遠くからでも確認出来るだろう。 ロケットの打ち上げ的な蹴り上げ方から

      どんどん上空へと衝撃波を残して昇っていく銀の光。 それを繰り返し繰り返し。

     隠れているイストが寒さを訴え出したので、俺は地面というよりも地表といって言いソレを見る。

      十分な高さ。 流石に成層圏まで行くととんでもない事になる。

     俺はイストに術の効果を消す様に言うと、イストがそれに無言で頷いたんだろう。

      デカブツに掛かっていた重力遮断が途切れた。 そして、イストに空気の塊をぶつける様に合図する。

     直後に、肉眼で確認出来る空気の渦。それが球体になり、落ちていくデカブツ目掛けて撃ち出された。

      それがデカブツにブチあたり、落下速度を速める。 これでも十分だろうが…。

     駄目押しとばかりに、上半身を地面に向けて空を力の限り蹴り飛ばした。

      そして一つの怒りの声を上げて、それをこれを造った張本人に向けて叩きつける様に。


           「こ…の…へそ曲がりがぁぁぁぁぁぁぁあああああああっ!!!!」


     全力で蹴りを放ち、最早メテオといって良いソレになったデカブツが、

     上空高くで、一際大きい衝撃波から一筋の赤い流星となり砂漠に向けて落ちた。

      そして、その空気摩擦と速度に耐え切れず、砂漠に届く少し上空で完全に消滅した。

     が、…余りの勢いと破壊力が残りそれが砂漠の中央部を大きく穿つ。

      大轟音と共に、相当な大きさの地殻津波に似たモノが巻き上がり波状に広がっていく。

     それを慌ててなんとかしようと、身を乗り出してきたイスト。 それを片手で毛の中に押さえ込んで一言。

           「大丈夫だ。 あのへそ曲がりが止めるだろうしな」

     その瞬間、その通りになる。 突如その巻き上がった地殻津波が強力な重力場で全て地面に叩きつけられる。

      そして、それを見ていた俺達の視界が急に暗くなる。

      軽くため息をついて、周囲を見渡すと、薄暗く狭い部屋。四方に散らばる財宝の山。

     どう見てもリーシャのいる部屋。 俺は有無を言わさず横に立っていたリーシャを脇に抱え込み、

      ボロボロの服のスカートをめくり上げ、お尻をしこたま叩きまくった。

           「なっ! 何をするんだヨ! いたっ…いたたたたたたたたたた!!!」

           「こんな手の込んだ事しやがってこのこのこのこの!!!!!!!!」

     怒り爆発、リーシャのお尻を十分ぐらい激しく叩きまくった俺。

      ようやく怒りが収まった俺。リーシャは地面にへたり込んでお尻を押さえて怒っている。

           「いっ…いきなりお尻叩くなよっ!!」

           「また叩かれたいか?」

     全く。 なんちゅう奴だよ、これも試練の一つつか最後の試練の続き。

     アイツは水天を俺に手渡したが、あげる。とは一言も言っていない。

      デスペラードもそうだ、凶悪な名前の割に補助系ばっかり。 禁術なんて一言もいってないからな。

      『失われた風の魔術』とは言ったが禁術なんて一言もいってない。

     つまり、何が言いたいか。

     仮初の力を与えて、それに自惚れたりまぁ、力に飲み込まれないかを試していたんだ。

      あの蛇神もそうだ、砂塵の霊宮で一つだけヤケに簡単だった騎士の奴。

      アレは擬似生命体を造る魔術とイストが言っていた。それを認識から薄れさせる為に簡単にした。

     で、あのデカブツがその類。 色々な姿を混ぜる事で弱点を考えさて惑わす。

      その中で力の使い方を学ばせると同時に、さっきみたいな自分の力だけでなく、

      併せる事で更に強力なモノを作り出す事を教える為。

      コイツなら擬似生命体で神に近いソレ、デイト周辺に生息してるアメーバみたいな蛇。

     アイツを改良した擬似生命体を作り出す事も可能だろう。血が無いのがその証拠。そして…。

          「お前が言視の神だろリーシャ」

     どうだ! 自身ありげに推理した事のありったけを話してリーシャの返答を待つ。

      ん?あれ? 何で冷めた目で見てため息吐かれて…首を横に振られた。 読み損ねた!?

          「いい線まで分かったみたいだけど…詰めが甘いヨ!」

     なんだと!! 俺を指差して笑いながら俺達を見て答えたリーシャ。

       それだと、この大地を砂漠に変えた力に説明がつかないことを突っ込まれた。

          「うが!! そういやそうだ。 じゃなんだってんだよ」

      ん? 何かリーシャの顔が真剣になったな。 …なんだ。

          「言視の神はケリアド。 ちなみにアルセリアは言創の神だヨ」

     ひでぇ!!! つまりアレか? 劣化ケリアドと戦わされてたワケかよ!!?

      つかそんなもん作り出すコイツなにもんだよ!!! 俺は歩み寄って正体を尋ねると。

       ちょい自慢げに、見事にぺったんこな胸を張って答えやがった。

         「ボクはリーシャ。 飛鳥の友にして魔術の全てを修めた者、全ての魔術を破る者。

                 破術師スレイワードリーシャ=バーレ」

      あかん…何かとんでもない化物だった。 

       俺達はその場で唖然とした顔で語るリーシャに耳を傾けた。

         全ての魔術は修めたが、それら全てを持ってしてもケリアドの言視術は破れなかった。

      が、その一部は知る事が出来た。それであんな劣化ケリアドを作り出せた事。

       アルセリアとケリアドは、術の構成そのものが個であり魔術や神術のソレとは違う。

         どこでどう手に入れたのか、そこは不明だが特殊なモノである事を告げられた。

       同時に、俺とイストにソイツをぶつけたのは、力の使い方を伝える為もあるがそれ以上に、

       資質。それを見極めたかったらしい。 確かにあの時全て終わった様には言ってないしな。

          「確信したヨ、スヴィア。君には資質と資格を見た。破術師を今この場から継いで貰う。

            そして、イスト。君にもいずれボクの知り得る全ての魔術を授けるヨ」

      いずれってこた…まぁ、まだ使い切れないってことか。 デスペラードにしても、

       それを聞いて納得したわ。 何で使い切れないモンをイストに渡したのか。

       俺の相方として相応しいか試したかったんだろうな。いや、俺の足りな…先に言われた。  

          「君達は二人で一つ。その魔精具もそうだヨ。 

            互いの弱点を補って初めて一つの力を出せる」

      まぁ、納得。20%であんな超火力出せたからな。 少し体の力が抜けたのか、

       その場にへたり込んだ俺。 イストはリーシャの言葉に興味津々の様だ、肩から身を乗り出している。

          だが、何かその言葉には裏があるとそう感じた俺。 そもそも飛鳥の友。

       つまり向こうの知識も得ている可能性もあるわけで。 色々と油断出来ないなコイツ。

        そして、座り込んだ俺の腕に触れてきて一言。

          「じゃあ、君達に委ねるよ。 水天月晶石を」

      というと、俺の腕に触れた瞬間、超小型かつ幾重にも張り巡らされた魔法陣が浮き出てきて…砕け散った。

          「なんじゃ!? まさか…何か? あの威力でも何かしら封でもしてたのか?」

       その言葉に軽く頷いたリーシャは、俺達に背を向けて語り出した。

          「典文に記されていない残りの石も頑張ってみつけてヨ」

          「そりやいいが、破術師? その力はなんなんだよ」

       んだおい。 何も返答無しかよ!! 称号だけかよおい!!!

        にしても、封が解かれたってこた相当なモンになったってことだろ。

       確かにまぁ、そんな伝説的なモノが簡単に手に入るワケは無いわな、

        今までの一連を通して一つの試練、そう考えるべきか。 

        色々と不満と質問はあるが、すっぱり諦めて立ち上がり、リーシャの背に向けて軽く礼をした。 

               それに振り向かずにリーシャは霞の様に消える。

       そうすると、視界が狭まり、転移してくれたんだろう姐御達がいる砂漠へと現れた。

          「ただいま! ってうぐぉぉぉぉぉおおおっ!?」

       それを確認するや否や姐御が猛烈な勢いで駆け込んできて、飛びついてきた。

        相当心配してたんだろうか、まぁあれだけの火力だしゃ俺達も消滅してると思われてもな。

        遠くから見たらサザの自滅技に近かっただろう。

        ちょい涙目になって抱きついている姐御と、それを必死で引き剥がそうとしているイスト。

        …ん? 何か周囲の視線がいつもの痛い視線じゃなくて、こう何? 

        尊敬とか畏怖が混じった様な、そういう類の視線に。 …ああ、フェンリルになってるままだったな。

          (中々に面白かった)

        というと、その本人が勝手にリンカーフェイズが解かれた。おいおいそんな事も出来たのかよお前!

         ったく色々とリンカーフェイズ自体いまだに分からん事が多いよ。


       その後、続々と集まってくる連中にもみくちゃにされるわ質問責め喰らうわで。

         …。 それはいいんだが、コイツはヤバいな…。


        完全に中心になってしまっただろうこの状態。 これは宜しくない。

         俺はこの後、一つの決断をする事になる。 まぁ、それを行うまで、ちょいと日数かかるだろうが。

       ようやく、安心して寝れそうだ。 気が抜けたのか、クソ寒い砂漠のど真ん中で倒れこんで寝てしまった。

            

        

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