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第百話 「言視の神伐戦 Ⅷ」 設定詳細Ⅴ

□三幕 一話 『輪廻転生』~『イストラード』終了

□三幕 二話 『プレート』~『言視の神伐戦 Ⅳ』 進行中


      二話のあらすじ

スリグラ大陸のサルメアに来た主人公は、イスト・アルド・オズと共に砂漠の町サルメアへと訪れ。

その町の人攫いの事件を解決する。その時に主人公が死に掛けるがイグナという女性に助けられる。 

その後、砂塵の霊宮に挑戦しリーシャと出会い、水天月晶石を手に入れ、魔精具も手に入るが、

 リーシャから上位神の封印を解く事を告げられ、初の完全な状態の神と戦う事になり、

言視術の能力を見破りはするものの、以前として倒す方法も見つからず。

 いくつもの不明点を抱えつつ、持久戦へと突入し、タガラクの第一陣が到着。

主人公はそこで人間関係を学び、即実践となりガイトスへ。


      本筋のあらすじ

初世代の主人公が並行世界のアルセリアに来て、一つの大陸に集中した双星の封印。

 その四つの内、三つまで解かれる事になる。その後、メディが奈落の咎人の鎖に囚われ、

それを助ける為に、自分をこの世界につれてきたフェンリルに一つの事を任せられる。

 現世では倒せないロキを輪廻に追い込む役目。それを条件にメディを救出するに至が、

その条件は厳しく、転生の際に記憶を所持したまま生まれ変わり、ロキを見つけ出し

 輪廻に追い込む事である。現在は、二世代目の主人公に生まれ変わり、

ロキの消息は不明であり、双星の封印の影響を調べる為、世界各地の事件を調査・解決している

イグリスへと再び身を寄せている。

□ ガイトス □

多くの人口と戦力を保有する戦闘国家。

 然し、その環境の厳しさからか食料難に頭を抱えている。

その苦肉の策で侵略で領土を広げ、戦闘国家として成り立っている。


クリーム色の石造りの街並みで、人口は4万強。

 それに見合わない活気の無さと、食料供給源。


街面積は広大で、中央に王の住む屋敷がある。

 服装は白い厚手の服を纏っており、直射日光から身を守る服装。

アラブ系の服装に近い。


□ トレザ=イズ □

ガイトス王。 白髪の混じったグレーの髪を後ろで纏め、肩甲骨あたりまで伸ばしている。

 目は少し垂れ気味の青。

 白の厚手服を着用。 

年齢48 身長185 体重70前後 栄養不足か痩身である。 性格はお人よしであり、優しい心根を持つ。

 ただ、その性格が災いしているのか、国に住む者の為に侵略行為をせざるを得ない状態になる。



□ ファリア=イズ □

ガイトスの姫。 グレーの髪を肩まで伸ばし、真ん中で分けている。

 目は少し垂れ気味の青。服装は同じく白の厚手服。

年齢24 身長175 体重65 痩身。 厚手服を纏っている所為で良くわからないが、胸は少し大きめB80。

 性格は、常に冷静であり余り自分の感情を表に出す事は無い。

理由は不明だが、自ら戦場に出ている事を聞かれると気分を害する。

 





----------- 十一日目 ガイトス国・朝 スヴィア ---------------

  


  「朝…か」


クリーム色の壁にある窓、そこから差し込んでくる強い日差し。 身を切る様な寒さの所為だろう、

 イストが毛皮に包まってまだ出てこない。 俺は結局、椅子に座り込んで考えて徹夜。

問題が問題だ。 どうにも収集がつかない、いやそれを繋ぐ決め手の情報が欠落しているのか。

   

椅子から腰を上げて、イストが寝ているベッドに歩み寄り、揺すって起こす。

  「そろそろ起きて顔洗っとけよ」

  

…。 駄目だ、出てくる気配が全く無い。 毛皮に強く丸まって亀の様になっている。

 無理矢理引き剥がそうと、毛皮を引っ張ると…。 イストが引っ付いてくる。

  「朝だぞー起きろコラ」

  「…寒いのじゃ」

寝ぼけた顔で寒さを訴え、更に毛皮を引き戻そうと引っ張ってくる。 寝起き悪いなコイツは。

  「鼻水とヨダレ垂らして凄い顔だなおい」

  「…んなっ!!」

慌てて飛び起きて、必死で顔を右腕でこすっているイストに一言。

  「嘘だ」

  「ぬ…主…」

俺は空気の塊でもぶつけられたらたまらない。そう思いとっととテーブル付近に退散する。

 これで起きるだろうと…振り向くと、また毛皮に包まって寝ている。 寝起きわりぃなおい。


そんなこんな、諦めて椅子に座り、テーブルに右肘を立てて考える。

 取り合えず、タガラクの宝が何か判ればな…ん? 姫さんか?  ドアをノックした後に扉を開けて入ってきた。

  「おはよう」

  「おはよう。 まだちと相方が起きてなくてね。すまない」

軽く目が笑ったな。 半分顔隠してるので判りにくいが。

  「構わない、では父上が交渉の内容を聞きたいそうなので、君だけでも着てくれないか?」

  「ああ。 早い方がいいしな。 だがその前にタガラクの宝を狙ってる。

                  というのはなんなんだろうか? そこだけが判らなくてね」


少し目を閉じて、窓の外に視線を移す姫さん。

  「簡単な事…いや難しい事か。 タガラクはその地形上、比較的食料や緑が多い、それに水もある」

  

軽く両手を打って答える。

  「そう言うことか。 タガラクの地形。環境そのものがガイトスにとっては宝と」

  「そうだ」


まぁ、そうだわな…。 あんなゴムみたいなもんしか、食料らしい食料しか手に入らないのなら。

 俺はテーブルに右手を付けつつ、椅子から腰を上げて姫さんの近くに歩み寄る。

  「じゃ、そのガイトス王の所にいこうか」

  「ああ」


気持ち良さそうに毛皮に包まって寝ているイストを見て、 少々羨ましく思いつつもそのまま部屋を出る。

 変わらずのクリーム色した床やら壁・天井、殺風景だな。 窓から覗く街も活気も無く、人はいるが活気が無い。

 無駄に動いて体力使いたくないのだろうか。 まぁ…そんな所だろう。

その窓の一つからレガが見えた、相当暇なのか大きいアクビだろう口を開けて空を仰いでいる。 


そのまま暫く変わらない風景が進み、茶色の安っぽいドアを姫さんが押し開いて手で招いている。

 さて、どんなオッサンかと思い、軽く頭を下げて入るとなんとも王らしくない安っぽい部屋。

 相当切迫しているんだろう、それを見た瞬間理解した。 先程の俺達の部屋と大して変わらない。


真ん中にある大きめのテーブル。そこにある椅子に座るとガイトス王から挨拶してくる。

  「おはよう。よく眠れたかね」

軽く頭を下げて眠い顔を見抜かれない様に笑みを作る俺。

  「あ、おかげさまで。 食料まで分けていただいた様でありがとうございます。

     と、初めまして。スヴィア=ヤサカ、イグリスより停戦交渉の件で参りました」

それを聞くと、ガイトス王も軽く頭を下げてくる。

  「こちらこそ、私はトレザ=イズ。 ガイトスの王だ。ふむ…君が疾風の」

右腕を見たそうな顔をしているので、右袖をまくり、手首を返して見せた。

  「おや、これはすまない。 ふむ…確かに」


…このオッサンには本当の事を話しておくべきか、脅すつもりじゃないが後でバレると信用に関わりそうだ。

  「ファリア姫には話していませんが、疾風の直系であり、

        その祖オオミ=ヤサカの生まれ変わりでもあります。 

                 雷竜ヴァランがあの場に居たのが何よりモノ証拠といえましょう」


その言葉に、姫さんも王様も目を丸くして驚いている。そりゃまぁ、直系の血筋がいる。

   それだけで脅威とみなしていたのが、本人だったんだから驚くわな。

 思わず身を乗り出して机を強く叩いて立ち上がる王様と。

  「君が?!  少々信じ難いが…」

姫さんは動じないな、冷静つか気丈つか。

  「火竜と互角にやり合う者という時点で薄々気づいてはいました」

この姫さん洞察力あるなおい。 軽く王様の肩に触れて、座らせた姫さん。

  「む。取り乱してすまなかったな、よもや典文に載る人物が直接交渉にくるとは…」

軽く頭をかきつつ、正直な所を話す。

  「いや…実は交渉とか初めてでして。 ファリア姫に粗相がありましたし」

軽く目を閉じて…多分口元わらってるんだろうな。

  「構わない、結果的にはこうして力だけで解決しない人物だと判った。

                  ユヴァの王とは大きく違う」


その言葉から少しズレて、ユヴァの王の話をしてくれた。

  力に訴えて、無理矢理ねじ伏せたという事が判った。 一歩間違えたら俺もそうなってたかよ。


その後に軽く咳払いして、ガイトス王が口を開く。

  「こちらの事は、ファリアから聞いている筈。 ではその停戦の条件を飲むにあたり、

                 こちらの条件を聞き入れて貰う事になる」

軽く俺は頷いて、その条件を聞いた。

 それは、ファリアに疾風の直系の子を生ませる事。 これは国の戦闘力を上げて領土を更に広めようって事だろう。

      それに、タガラクから手を引く事。  以上の二点。 まぁ、そんなとこだろうと。

俺は少し、考える振りをして、机に両手を置いて答えた。

  「お察しの通り、疾風の力は強力です。 手に入れば相応の戦力にはなるでしょう。

     ですが、ユグドラシルの実が無いとその力に耐え切れません。 仮に耐え切れたとしても、

     領土を広めても食料難は続きます。 一時凌ぎにしかならないのはお気づきと思われますが」


それに、頷いて答えるが、最早ソレしか方法が無いと答えられる。 同時に俺はタガラクから引く、

  この事に対して別の提案をする。 それに対して王様も姫さんも興味深そうに頷いて言葉を待つ。


  「タガラクからは残念ながら、手を引く気はありません。 蛇神を倒すのに必要ですから。

    ですが、元々タガラクは遠い島国を追われて彼の地に辿り着きました。

    この戦いの後、俺は彼等と共に、祖先の地を取り返しに水神に挑みます。

     その結果はどうあれ、タガラクの地は空く事になります。目的地まで遠いもので」


その言葉に大きく頷いた王が、口を開く。

  「成る程、近く彼等は元々住んでいた地に結果はどうあれ戻る。 そう言うことだね」

  「そうなります。 その後その地は空きとなりますので」

納得したのか、表情が緩んだな。 …だがコレでも一時しのぎだろう。 俺は続けて口を開く。

  「ですが、それでも一時しのぎにしかならず、次はいずれユヴァとの戦になるでしょうね」


王様と姫さんが互いの顔を見合わせて、俺の方を向いて頷く。 そして王様が尋ねてくる。

  「正直な所、最早私達には打つ手が無いのだ。 交易の出来る物も乏しく、食料すらも」

待ってましたとばかりに俺は答える。

  「あるじゃないですか。 イグリスやらタガラクにも無いモノが。 

     そして、それがイグリスにも大きく益になり、イグリス~ガイトス間で大型の交易経路を作れます。

         勿論、ガイトスにも十二分な食料供給が可能な状態となります」


再び、王様と姫さんが顔を驚いた様に見合わせると、机に両手を置いて聞いてくる。

   こればかりは姫さんも驚いたのか、冷静さがどこにもない。

  「それは本当か」

  「そんな…、この国の何処にこの人数を支える利益を見込めるモノが?」


パッと見、手詰まりだがよくよく考えたらこの国の食料難の原因のソレが、

   イグリスからガイトスに届くまでに至る道。ソレ等全てに大きく益をもたらす事になる。 

俺は手短に話す前に、一つの提案をする。

  「これを行えばガイトスは、今後食料難に悩まされる事はなくなるでしょう。 ですが、

               こちらの提案を飲んで頂く事が条件になります」

無言で頷いた王様を見て答える俺。

  「判りました。では条件は一つ。 現在イグリス・レガート・タガラクが共闘して蛇神を退治しています」


それに頷いて、言葉を返してくる王様。

  「宜しい。 現在待機させているガイトス3000騎を蛇神討伐に向かわせよう」

話の判る王様でよかったわ。 なら話は早いと、深く頭を下げ礼を言った後、ガイトスの食料難を解決する案を出す。


内容はこれ。


イグリス・レガート・レリアス・デイト・トア・サルメア・ガイトスに一つの大型交易路を形成する事。

 イグリスは、今後遠い地…日本ぽいとこもそうだが、かなり離れている。デイトあたりを中継点にしないと、

    水神とまともに戦う戦力や食料供給が無理に近い。 レガだけではどうにもならないだろう。

 同時に、イグリスに移動性能の高い乗り物ユニット「小翼竜」が存在しない。 

     戦闘をあまり必要としなくなるガイトスが、戦力の半分の翼竜をイグリスに貸し出しその分の利益を先ず得る。

  そして、イグリスがその翼竜を使って、食料調達や交易品獲得・交易そのものを更に迅速に行い交易を開始する。


  これで、ガイトスの資金面も当分は持ちこたえられるが、それでもこの人数を支えるのは厳しい。

   で、先の事件で人間を多く失ったデイト・レガートに翼竜の運送と同時に、人材を派遣する。

   この派遣収入でも益を得る事が可能であり、

    同時に人口の減ったガイトスはデイトからの海産物供給で当分困る事は無い。

  

   イグリスにとっても、飛行機能の無い強力なリンカーを更に遠い地に、多く遠征出来る中継地点デイト・ガイトスと、

       長距離移動ユニットが獲得出来るという益がある。 姐御も喜んでくれるだろう。

   レガートも、まだ人間が少なく、今後の武力増強にはもってこいだろう。

                  こんな自然環境の厳しい所で生きてきた奴等だ。

   デイト・トア・レリアス・サルメアもそうだ、今後の街の活性化に大きく繋がる。

        最初は多少なりと住む場所、つまり風習の違いで戸惑うだろうがすぐに馴染む。

        特にデイトの漁獲量と、トアの魔精具作成量が大きく変わるからな。

   

   それらを持って一本の交易路。海と砂漠を挟んでシルクロードに似た様なものを作り出す。

        その砂漠間移動中の護衛として傭兵国家のユヴァを雇えば、イグリスとの友好関係も取れるだろう。

        それに、サルメアの奴隷商人の一掃、治安維持にも一役買ってもらう。

                遺跡探索の名所として生まれ変わらせる。


   ま、要はガイトスの増えすぎた人口と有り余る翼竜を交易品として扱うワケだ。

        一言でいうと派遣会社。 食料難の原因そのものを交易品として益に転換すればいいという話。


それを聞いた王様が、立ち上がり歩み寄ってくる。 それを見ながら俺は口を開く。

  「どうスかね? ここから周囲の友好状態は不明なんで、ちょいと不備はあるかもですが、

       そこはイグリスと大翼竜二頭。疾風の血族と風魔王の血族。それに風魔王ご本人もいる。

        それにこの戦で勝てば、上位神と戦って勝った強国としてガイトスも名を連ねる事にもなる」


そういうと、俺の右手を両手で強く握り締めてこういってくる王様。

  「どうもこうも…こちらからは断る理由が見つからない。 感謝する」

  「最初に会った時は、あれだけ酷かったというのに。 一晩でそこまで」


情報無かったからな、単純に敵。 敵なら力を見せ付けて黙らせろぐらいだったからなぁ。

  ちゃんとした情報と理由があれば、イグリスのこれまでの経路と照らし合わせる事も出来る。

  「では、今後の細かい事に関しては、イグリスの指導者シアンとお願いします。

            必要あれば俺も混ざりますが」

そう言うと、王様は椅子に座って安堵の息を吐いたんだろう。顔から険しさという切羽詰った感がなくなっていた。

  「これが…過去250年に渡り、難事件を解決してきたイグリスか…。 改めて思い知ったよ」


軽く頭をかいて答える。

  「いやいや、俺はその間、動物やら虫になってたんで、詳しくは知らないですが。

        これで一度、イグリスとガイトスの間に存在する街や村を含めた代表者を集めて、

           そこから練り直して、巧くすれば一つの連合国として成り立つ事も可能でしょう。

             その辺りは、俺の出番じゃないので指導者のシアンにでも」


それを聞くと頷いてから、王様は立ち上がり急くように姫さんに言う。

  「ファリアよ、では早急に蛇神付近に居る2000騎を率いて、スヴィア殿と共に向かってくれ。

         タガラクに向かわせた1000騎はこちらから連絡をしておく」

軽く頷いて、俺の左手を掴んできた姫さん。 小さい手だなおい。

  「判りました。 では、参りましょう」

  「ういすー。 はぁ…緊張した」


そういうと、体の力を一気に抜いて椅子に持たれかかった俺。 ソレを見た王様と姫さんに笑われてしまった。

  仕方ネェだろ初めてだぞこんな交渉。 


つか…戦力増えたのはいいが、一向にあのデカブツの超高速リジェネ付き超高HP。

          ソレを一撃で倒す方法がみつからねぇし、早いトコ戻って食料増やしてもらわねぇとな。

人数増えてもダメージが1じゃなぁ…。 無駄に死人増やすだけで、…っと。

 俺は、忘れてたので慌てて蛇神の能力を二人に伝えておいた。 

  驚いた顔はしているが頷いた所を見ると、大丈夫な様だ。

  「典文にも不明とされているものを見抜いたのか…」

  「気付くまでにイグリスのリンカー半数は死んでしまいましたがね。 …未熟な限りで」

  

それに、軽く肩を叩いてきた姫さん。

  「いや、その者達は犬死にでは無かった。 君はそれに報いたと思うぞ」

  「どうも、ありがとう」

軽く礼をすると、俺と姫さんはイストのいる寝室へと。


 ドアを押し開くと、…毛皮蹴り飛ばして暑苦しそうに寝ているイスト。

  「お前…」

  

必死で笑いこらえてるじゃないか姫さんが。 まぁ…何にせよこれからが問題なんだ。

  ユヴァの動向も不明だ。傭兵なんて信用していいもんじゃないからな…。

   アルドとオズがそう簡単にやられる筈もないし、何より子供好きという事を信じておこう。


後は、あのデカブツか…。 俺は少し窓に手をかけて外を見ながら、あるかないか判らない弱点を考えていた。








---------- サルメア大砂漠 イグリス駐屯地・シアン 同時刻------------


  「あれから一日経つけど、大丈夫かねぇ」

相変わらず、疲れを知らないのか土煙を上げて暴れ狂う蛇神。 それを三部隊で交代して足止め。

 倒す事も出来ず足止めが精一杯。 戦闘中に喋る事が出来ない上に、終わりの見えない戦い。

こちらの兵の士気が目に見えて落ちてきているよ。


軽く首を振って、周囲を見回すと。 肩を落として疲れを露にしている者や、

  終わりが見えない戦いに苛立ちを覚えてる者もいる。


  「本当に厄介だねぇ。 スレイワード…リーシャでも倒せなかった様な上位神」


そう、世界屈指の魔術師の力でも倒すまでに至らなかった。 それは現存戦力でも倒せない事を示す。

 それをスヴィア君がどう戦術を組んで倒すかだねぇ。

軽く、視線をガイトスのある北西に向けて呟く。

  「コイツを倒したら、金プレート一つじゃ足りないだろうね」


近くで聞いていたのか、ラナが片目を瞑ってアタシの肩を強く叩いてくる。

  「あのボウヤなら大丈夫さ。 ちょいとアンタに似て力技な面もあるがね。

                   同時に知恵の働く子でもある」

そのラナの方を振り向いて答える。

  「知恵でなんとかなるモンなのかねぇ…ありゃ自然を相手にしてる様なモンだよ」

  「ま、そこは任せてみようじゃないか。 あの馬鹿娘もほれ信じてんだろ。

       何も言わずに待ってるからね。これだけ一つ所に留まってるのは初めてみたね」


モテてるねぇ。 ま、ガイトスもそうだが、アルド君達もそうだ。 ユヴァ…傭兵だからね。

  如何に子供好きでも、益が見込めないんじゃ来るとは限らない。


 おや? アレは…アルド君に持たせた伝達用の鳥だね。 どうやら答えが来た様だ。


その鳥に近づき、首元にある書状を取って見ると内容はこう。


  『最初は首を横に振り続けてたけど、

   ニーチャンの話をオズがしたら是非見てみたいっていってたよ銀色の奴。

     けど、寄り道してからそっちにいくらしいんでよろしく』



…。



アルド君、少しわかり易く書いて欲しいんだけどね。 寄り道ってなんだい…。

  まぁ、オズ君がスヴィア君のフェンリルの話をしたのだろう。それに興味を持ってこちらに来るってことかい。


  問題は何時何騎くるかだよ!! 全く…子供いかせたアタシもアタシだけどね。


取り合えず、詳しい事を求めた書状を伝達用の鳥の首に巻きつけ、アルド君の下へと飛ばす。


深くため息をしつつ、それを一緒に読んでいたラナが喋ってくる。

  「子供がこれだけ頑張ってるんだ。 アタシ達も負けてはらんないねぇ」


そう言うと、食料を置いてある日よけの下に行き、何か作り始めたね…。

  成る程、料理で全体の士気を戻す気か…。 どうやらこれからが正念場の様だね。


再び視線をガイトスのある北西へと向けて呟く。

  「巧い事やってきてくれよ…スヴィア君。 異界の知識ってやつで」

百話目、最後まで読んでいただいてありがとうございました。

 ついに三桁目入りましたが、まだまだ話が続きます。


今回で、三幕の本筋に続く為に必要な事。


 イグリスの長距離間戦力移動の問題。それの解決となります。

物理的に距離を考えると、この辺りで連合国でも無いと小数でしか遠征出来ません。

 同時に、他の敵対国に対する防衛ラインを引く事も出来ません。


三幕序盤からの話は、一大国家としての戦力増強を目的とした話の内容でした。

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