6.つかの間の再開
ガロンは私に何かを話しかけてくれているが私は完全に上の空だった。
詳細は覚えていなかったけれど、確かに今日のことは覚えがあった。
どうしてかはわからない。けれど私は過去に戻ってきている。
ということはこれから流行病は高い確率で起こるのではないか?
今は何年だ?あと何年の猶予がある?
先ほど出会った男は薬師だと言っていた。
旅をしていると言っていた。何かわかることがあるのではないだろうか?
そもそも私はどうして過去に戻ってきたのだろう?
私が救うことができるから?…まさかそんなことできるはずがない。
でもさっき会った薬師なら何かできるのでは?
そんな思考のループにはまってしまっていた。
と、突然私は腕を引かれて我に返った。
「考え事しながらぶつかるぞ。」
私は壁にぶつかる寸前だった。
「大丈夫か?さっきから上の空だぞ。」
ガロンは心配そうに私のことをのぞき込んでいる。
「ありがとう。ちょっと考え事してた、ごめんね。」
「ケガしないように気を付けろよ。あのさ、さっ「おーい、ガロン!リリー!」
2人を呼ぶ声がして見るとユーリが手を振りながらこちらに向かって来ていた。
彼は母さんの友達の子供で幼い頃から1年に何度か会える子なのだ。
母さんたちがずっとおしゃべりをしていたので、ユーリを連れ出してガロンや他の友達にも紹介したのだ。
一緒に町中を走り回ったり、かくれんぼをして遊んですぐに仲良くなったんだ。
でも帰って服がドロドロになってて、母さんに叱られたっけ。
「ユーリ!えっ、えっ!今日来ていたの?母さんたら何も言ってなかったわ。」
「今日は急に来たから仕方ないよ。会えないかと思っていたのに、こうして少しでも2人に会えてよかった。」
彼は王都に住んでいるから中々会うことができないの。
でもこうして会えてよかった。
「でもそろそろ帰るんだ。また来るね。」
ユーリはお母さんと一緒に馬車に乗り帰って行った。
挨拶を交わすくらいしか出来なかったけれど一目会えただけでも嬉しい。
馬車が見えなくなるまで見送って再びガロンと帰路についた。






