27.ゆっくり休むことも大切
目を覚ますと、
「おはようございます。君1日半も寝ていたんですよ。」
と言われて慌ててベッドから起き上がった。
「おはようございます!っうっ、ふぅっ、、、」
ギイの優しい顔を見た途端リリーは涙が溢れてきた。
師匠が生きてる!神様ありがとうございます!
これまで神に祈りなんて捧げたことのないリリーが初めて神に感謝の気持ちを伝えた。
ギイはリリーを抱きしめて
「君のおかげで私は命拾いしました。本当にありがとうございました。」
リリーも強く抱きしめた。
「師匠が生きていてくれて本当によかったです!最後まで諦めないで待っていてくれてありがとうございます!」
瘴気は完全に祓えたつもりでいたが、ギイの額から右目にかけて黒くなっている。
「気になるかもしれませんが、これくらいで済んで良かったと思いましょう。
なんせあと少し遅ければ魔人になっていたでしょうからね。」
瘴気に侵された動物や植物は魔物になる。瘴気に侵された人は魔人になる。
その最悪な結末を迎えることがなかっただけでも良しとしよう。
「いろいろ気になることはあるけれど、その調査はデポネに任せてあります。
リリーはもう少し体を休めてから出立しましょう。ゆっくりしてください。」
何があったのか粗方デポネから聞いている。
もしかするとこれらは仕掛けられたことで、最初から狙われていたのかもしれない。
敵はこちらの動きに気が付いてどこかで見張っているのかもしれないな。
ギイは不安を隠してリリーの前ではいつもの態度を崩すことはなかった。
もう1晩デポネの家に泊めてもらった。
リリーが食事をすると再び寝てしまったからだ。
「だいぶ体への負担があっただろうからな。
ところで彼女が起きる前にこれを渡しておこう。」
デポネはギイに薬包を渡した。
包みを開け、中身を指で一舐めして吐き出した。
「なんだこれは?」
「砂糖だよ。陛下が日常的に使っていたものだ。」
確かに甘くて砂糖以外の味や香りもしないのだ。
しかしよく見ると砂糖の粒とは違う大きさの粉状の物が混じっている。
「まさか砂糖に得体のしれない毒混ぜて飲ませていたということか?」
「私はそう考えている。
陛下の判断力を失わせて操り人形にし、仮に命が失われるようなことがあれば第二皇子のヘンゼルを皇帝にして自分の思い通りに国を動かそうとしているんだ。」
「もっと早く手が打てていれば。」
「同志だった奴らも何人も連れていかれたんだ。私たちで出来ることにだって限界がある。」
それでもギイの顔には後悔の色が浮かんでいた。




