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25.癒しの魔法を使う

リリーは魔力の制御に苦戦していた。


デポネは仕方ないと言いながらもコツを丁寧に教えてくれた。

そもそも子供の頃からだんだんと増えていく魔力量にだんだんと体が慣れてくるものだ。

あまりに膨大な魔力がいきなり体の中を渦巻いていたら制御するなんてすぐに出来るようなことではない。


体の中からいきなり魔力が漏れ出て魔力暴走など起こしたらこの町一帯が簡単に吹き飛んでしまいかねない。つまりは急務なのである。

しかも制御すら出来ないと魔法を使うことも出来ない。


デポネからは私が癒し魔法も浄化魔法も使えると言われたので、師匠の為にもなんとしても魔法が使えるようにならないといけないのだ。


瞑想しながら体の中の魔力を感じていく。それを自分の意思で体の隅々まで行きわたらせるのだ。

すぐそこに師匠が苦しそうに横たわっているのが気になってなかなか最初は集中できなかった。しかも暴れまわる魔力を感じるなんてどうしていいものかさっぱりわからなかった。

しかし瞑想することで次第に冷静になると体の中の温かいものに気が付いた。


時折デポネのアドバイスが入る。それはすっと自分の中に落ちていく。


かなりの時間がかかったけれど、魔力が自分の居場所を見つけたように体中に広がっていって落ち着いた。


目を開けるとすでに外は暗くなっていた。

「良く頑張ったな。」


すっと温かいミルクを渡された。

「昼も食べずにずっと訓練をしていたんだ。疲れただろう。軽食を用意しておいたから食べるといい。」


私は首を振ろうとしたけれど、お腹は正直だった。

きゅるる、という音に顔が熱くなった。


デポネは優しく微笑んだ。

「いい仕事をしようと思ったら食事は大切だよ。まだ魔法を使う訓練も続けないといけない。しっかり食べなさい。」


粉を溶いて薄く焼いた生地にいろいろな野菜とソースをのせて巻いた簡単だけれどお腹に溜まる食事だったけれど、美味しくてぺろりと食べてしまった。


食べ終わって師匠の元に行くと黒ずんでいる場所が広くなっていることに気が付いた。そしてそれはデポネも一緒だ。


「大丈夫です。私が必ずお二人のことを助けて見せます!」


「まだ若い君に託すなんて情けない話だが、頼むよ。」

デポネの目からは申し訳ない思いが溢れている。


「私たちはもう時間が残されていない。遅い時間で悪いが魔法の訓練を始めよう。」

そう言って師匠を残し私たちは外へ出た。広場にやってくると実際に浄化魔法を見せてくれた。


「魔法で一番大事なのはイメージする力だ。どんな魔法を使うのだかイメージをしっかりと固めるんだ。」


デポネの魔法を思い出しながらイメージをしてみる。光がきらきらとして悪いもの、汚いものが消えていく様子。

でもなかなかそれ魔法として使うことができない。


体の中から何かが抜けていく感じはするのだ。それは魔力を使っているだけで失敗しているだけらしい。

時間が経つのは早く、私は汗だくだ。焦りは多くの魔力を一気に消費してしまい立っているだけでも精一杯になってきた。


度々休憩を取っているけれど、先ほど見た黒ずんでいく師匠の顔を思い出して不安で休めないでいるのだ。


情けない。どうして出来ないんだろう。デポネさんは簡単に魔法を使っているのに…

自分を責める言葉が押し寄せてくる。


私にとってもう師匠は大切な人。師匠を助けたい!助けたい!!

思わず涙が溢れて止まらなくなった。絶対に助ける!!!


そう強く思った時だった。掌から光がキラキラと出てきた。しかも辺り一帯を照らす程に。

驚いているとデポネが涙を流しながら、手を組んで空を仰いで神へ祈りを捧げていた。近所の人たちは急に明るくなったことに驚いて外の様子を見に出てくる人も何人もいた。


夜にすみませんと皆さんに謝って家に戻ってもらった。今日旅に出る予定なのにまだ滞在していることに驚いている人も何人もいたけれど。


「さっきのは間違いなく癒しの魔法だよ。あんなにも美しい光は見たことがない。君の存在が神殿にバレたら聖女として連れていかれてしまうな。」


「それは勘弁してくださいぃぃ」


私にはやることがあるんだから。


「さっきの感覚を覚えているかい?」

私は1度頷いた。


「あれでは強すぎるからもう少し弱くしていこう。私に向けて魔法をかけてみてくれるかい?」


頷いてデポネに向かって手をかざし、先ほどの感覚を思い出しながら集中させた。

デポネは淡い光に全身を包まれた。黒い靄が空へと消えていき、やがて美しい光も消えていった。


「どうやら成功したようだね。」


デポネが同時に浄化魔法をかけていたので、瘴気に侵され黒ずんでいた皮膚も元通りになっている。


「というか、、、これは凄まじい。腰痛も膝の痛みも消えてしまっているよ。」


これなら師匠も助かるかもしれない。二人は急いでデポネの家に向かった。


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