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23.空を見上げて

―セレナ―


今日は天気がいいからお洗濯日和ね。

思わずふふっと声をこぼしてしまった。


店先の花に水やりをしながら思わず鼻歌が出ていた。

天気がいいというだけで今日がとても素晴らしい1日になるような気がする。


「セレナさん、こんにちは!今日は雲一つない、いい天気ね。」

たまにお店に来てくれるニーナが話しかけてきた。

鼻歌が聞こえちゃったかしら…


「あら、ニーナさんこんにちは。その帽子素敵ね。」


「ありがとう、セレナさんにそう言ってもらえなんて嬉しいわ。

この前旦那とけんかしてね、お詫びに買ってもらったのよ。うふふ。」


子供はすでに成人しているけれど、彼女の気持ちはまだまだ20代のように若く見える。


「この前旦那さんがニーナさんの話をしながらにやけてましたよ。本当に仲が良くて素敵だわ!」


ニーナ夫婦はパン屋をしていて、店で使っているパンはニーナの店から仕入れているのだ。

少し雑談して別れ店の中に入ろうとするといきなり空全体に虹がかかったような、昼なのにオーロラが出たように明るく光った。


セレナは手に持っていたじょうろを思わず落としてしまった。


町の人たちも驚いたように空を見上げている。


すごく綺麗!と歓声を上げる人。

何か良くないことが起きる前兆かと未知の出来事に不安をあらわにする人、様々だ。


店の中にいたレティも何かを察したように外に出てくるとセレナに駆け寄った。

セレナの顔は真っ青だ。


光はすぐに消え先ほどまでの綺麗な青空だ。


しかしセレナは空を見上げたまま動くことが出来ずにいる。




―神殿―


多くの者たちが空を見上げながら騒いでいる。


「なんと素晴らしいことだろう。これはもしかして神が我々を導こうとしているのではないだろうか。」

「そうに違いない!これは正しく神の思し召しに違いない!」


オーロラに輝く空のなんと幻想的なことか。

しかしそれをなんとも苦々しい表情で見ている者たちがいた。


神殿ではつい先日聖女の出現を発表したばかりだ。


なのにこんなにも空の色が変化するほどの魔力、神聖魔法が使える者が現れたことを示しているに違いない。

そんな者が自らの存在を示すようなことが起きたのだ。


そもそも光魔法と神聖魔法では使える魔法は同じでもその威力は全く違う。

光魔法での癒しが病気やけがを治すとすると、神聖魔法では死者を生き返らせることは出来ないものの、生きてさえいれば治してしまうことだって可能だ。

もし腕をなくしても再生させたという奇跡のような事例さえあった。


しかしそんな奇跡のようなことが頻繁にある訳がない。

何故なら神聖魔法が使える者がいたという記録は数百年も前のこと。


神聖魔法それ即ち神の御心である

空が祝福し、大地が祝福し、水が祝福す


神殿に保管されている上層部しか読むことが許されていない本にこう記載されているのだった。


数百年前に神聖魔法が使える者が現れた際は三重の虹が出て空全体が輝きながらファンファーレの音が聞こえたという記録がある。



「もう少し早ければ良かったのに何故今なんだ。」


「全くだ。セイラを聖女の認めたばかりだというのに」


「神聖魔法が使える者を早急に探す必要があるな。」


上層部の連中は慌てた。


「ハインを呼んで使い手を早急に探すよう伝えてください。

さて皆さん何も心配することはありませんよ。国民たちも王族でさえもあの空が神聖魔法の使い手を現すとは知りえないでしょう。

ならば教えてやる必要がありますか?なに、聖女はすでに誕生しているのですから問題ありませんよ。」


ニヤリと笑った。

いつもお読みいただきありがとうございます。

仕事の都合で毎日投稿することが難しくなりそうです。

せめて2日に1回は投稿したいと考えています。

更新がゆっくりになりますが気長にお待ちいただければ幸いです。

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