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20.またしても師匠が帰ってこない

「もしかすると少し時間がかかるかもしれませんので、ゆっくりしていてください。」


師匠はそう言うとデポネさんの所へ出かけていった。


私は旅に出る準備も終わっているので静かに本を読もうと思っていたのだけれど、ナーサさんとジャスがお別れに来てくれた。

旅の途中で食べて欲しいと焼き菓子を、ジャスは小さな花束を持ってきてくれた。


本当にお礼をするべきなのは師匠になんだけどな~と思ったけれど、気持ちのこもったプレゼントのなんと嬉しいことか。

お別れに焼き菓子でついセイラに別れを告げに行ったときに冷たく断られたことを一瞬思い出した。


もう忘れよう。そういえばおばさんのところに顔を出そうと思って結局行けなかったな。


師匠と旅に出て早2か月が経とうとしている。

急ぐわけではないとのんびり、時に道に迷いながらの旅である。


師匠は良く褒めて伸ばすタイプのようで筋がいいとよく褒めてくれる。

旅は大変ではあるけれど、楽しいし勉強になるし、私の世界が何倍にも何十倍にも広がった。


旅に出ることを許してくれた母さんにも感謝の気持ちでいっぱいだ。


本を読んで勉強するつもりでいたけれど、やっぱり久しぶりに母さんに手紙を書こう。と決めたのだった。


手紙には道中にあった面白い話や師匠がどんなにいい人か、そして毎日楽しくて充実していて旅に出ることを許してくれてありがとうと書いた。


書き終わった手紙を出しに外に出た。


町の人たちはほとんど顔見知りになってしまった。

旅に出ることを伝えて別れの挨拶をしていく。


抱きしめてくれる人、餞別に店先の野菜や果物をくれる人もいる。

宿から出た時よりもたくさんの荷物を持って帰ってきた。


が、師匠はまだ戻っていない。


本を読んで時間を過ごしたけれど、誰かを待ちながらだと集中できずに窓の外をボーっと眺めてしまう。


ふと森の方に目を向けていると森から空に向かって黒い靄がかっているのが見えた。


あれ、、、何?


それは泉の方角だ。瘴気の話をしていた。何かあったのかもしれない。

だけど、私が行ったところで足手まといにしかならない。


それでも不安になった。

町の人にデポネさんの家の場所を聞いて行ってみたけれど誰もいない。


森の入口まで行ってみると、デポネさんと師匠が見えた。

しかし師匠は1人では歩くことすらままならないようで、デポネさんの介助しながらやっと歩いているようだ。


思わず近くまで駆け寄った。


「師匠!どうしたんですか?何があったんですか?」


その問いに答えずに師匠は一瞬私の顔を見ると、ほっとしたような顔をして意識を失った。


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