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16.謎の病5

なんとか自力で歩けるようになり町まで帰ってこられた。


トーマさんは何度も師匠にお父さんの治療をしてくれたことへの感謝を伝えていた。

薬師ってこんなにもたくさんの人に感謝される仕事なんだと思うと自分のことのように嬉しくなった。


私たちはというと宿に戻った。

女将さんは師匠の顔を見て安心したようだった。

そしてナーサさんとジャスの容態と感謝を何度も伝えていた。


「私は自分のできることをしたまでです。まだ熱は続くかもしれませんからあとで薬を届けておきますね。」


部屋に戻ると昨日出しっぱなしにしていた道具やら薬草やらがそのままになっていた。

すぐに帰ってくると思っていたのだから仕方ない。


「師匠はどうしてあの泉のあたりにいたんですか?」


「原因を調べようと思っていたのです。

今町で流行っているのは発熱、下痢、嘔吐です。ウイルスによる感染性の胃腸炎だと思いました。

しかし脱水症状になるほどの高熱を出している人はナーサさんやジャス君だけではありませんでした。

症状があまりにも酷いことから何かウイルスが変容したのではないかと考えたのです。」


どういうこと???

薬草のことは本で読んで少しずつ知識を頭に入れているけれど医学のことになるとまださっぱりわからない。

でも薬を処方するからにはそういったことも知ってないとなんだな…


私の表情から何を考えているのか分かったのかもしれない。

師匠は苦笑いをしながら頬をかいた。


「これまでのウイルスが何らかの原因によって形を変えてしまうことがあるんです。

そして泉の近くで見つけたのは魔物の死体でした。」


私は目を見開いた。

まもの?えっ?こんなところに魔物がいるの?

私は背筋がゾワリとした。


「その魔物の死体はこの辺りで死んだというよりは何者かが故意に置いて行ったのではないかと感じました。

はっきりとした証拠はありませんがね。」


師匠はそこで一旦息をふーと吐き出した。


「リリーは瘴気というものを知っていますか?」


「悪いものというイメージしかありません。」


「まぁそんなものだと思っていただいてかまいません。

その魔物の死体から夥しい瘴気が発生していました。

ここからは憶測でしかありませんが、ウイルスが瘴気に充てられて人に感染した際強く症状が出るように作用したのではないかと思っています。」


そんなことがあるなんて知らなかった。


「待ってください。その瘴気はそのままなんですよね?町の人たちは感染がもっと増えてしまうのではないですか?」

思わず声が大きくなってしまったのを、落ち着くように諭してくれる。


「瘴気を払うことができるのは浄化の光魔法が使える人です。

幸いと言いますか、私の友人が瘴気を払うことができるので戻るのを待つことにしましょう。

わたしたちは症状が出始めた人に対して早めの治療を行うことです。

これからいくつかの薬を煎じていくので手伝ってくださいね。」


私は頷くと師匠の指示に従っていくつもの薬を準備していった。


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