第4話『権謀術数』
【星間連合帝国 レオンドラ星宙域 小惑星帯隠れ家 会議室】
<PM14:32>
会議開始の予定時刻は十四時。それが三十二分も遅れたのには分かりやすい理由がある。いや、その理由はダンジョウの顔を見れば分かるだろう。イレイナはそう思いながら膝の上に乗せた救急箱から消毒液を取り出すと、まるで舗装前の道路のように腫れあがったダンジョウの顔に当てた。
「あーと……」
恐らく「ありがとう」と言っている事を理解したイレイナは苦笑気味に消毒液をそっと当てた。
「お気になさらず……ただ大丈夫ですか? その、ハッキリ言って普段の鍛錬場から帰って来た時よりもお顔の歪みが激しいです」
心配半分、堪える笑い半分の表情でイレイナが告げると、ダンジョウはムスッとしながら視線だけを隣に座るシャインに向けた。
「加減知らねぇババァがやるとこうなんの。あーいってぇなー!」
彼の嫌味ったらしい言葉にシャインは見向きもせず二次元ディスプレイの資料を確認しながら口だけを開いた。
「もっと押し付けるようにやっていいよ。何なら辛味調味料とかの方が良いかもね」
「こえーこと言うな! 合法ロリのクソババァ!」
憤慨するダンジョウの暴言にシャインは表情筋をピクリと動かしてから手をピタリと止める。
一瞬の静寂の後、シャインはまるで聖母のような微笑みを浮かべてダンジョウの方に振り返ると、その表情とは真逆の卓上に上るという行為を見せた。卓上を伝って徐々にダンジョウに近づくと、シャインは看病中であることなど気にもせずに胸ぐらを掴んで軽々と持ち上げた!
「ぐえっ! バ、ババァ!」
ダンジョウの呻き声交じりな悪態にシャインは表情を聖母から魔神の様に切り替えながら口を開いた。
「ビス君とベン君のいがみ合いをイベントにする。ここまではいい。……ただ許せない事が二つ! その勝負事の中に人死にが出る戦場の撃墜数を入れる事! 賭けにして皆からお金巻き上げてる事! そしてイレイナを商品みたいに扱った事!!」
「み、三つある!」
「口答えすんな! 殺すぞ!!」
恐ろしすぎる暴言を吐いたシャインは胸ぐらを掴んでいた腕を最上段まで持ち上げると、まるでゴミクズのようにダンジョウを地面に叩きつけた!
地面に腰を打ち付けられたダンジョウは再び「ぐほっ!」と呻き声を上げると若干目に涙をためながら叫んだ!
「もう許さん! 上等だ! 表ぇ出ろ!」
「ほーいい度胸じゃん? このアタシに勝てるとでも思ってるわけ?」
「勝てるわけねーだろ! ただ一発くらい喰らわさねぇと気が済まねぇ!!」
まるで姉弟。いや、体格的には兄妹のように睨み合う二人は、先程のビスマルクとベンジャミンのように額をぶつけ合って火花を散らし始めた。
そんな二人に呆れた視線を投げていたイレイナは卓上に揃った戦皇団の幹部たちを見回す。すると多幸感と勝ち誇った表情のビスマルクがニカッと笑顔を向けてきた。帝国軍から青鬼と恐れられているとは思えないその無垢な笑顔ににイレイナをドキッとすると、ビスマルクゲラゲラ笑いながら口を開いた。
「ギャハハ! まぁまぁ兄貴も姐さんも落ち着きぃや。オラは今日気分がええしのぉ! のう? イレイナはん!」
「あ、ええ」
先程彼の頬にキスをしたことを思い出しイレイナは思わず視線を外す。しかしビスマルクは上機嫌のまま話し続けた。
「そぎゃん二人が怒っちゅうとそこに座っちょる雑魚い赤だるまが怖がるしのぉ?」
「……愚が……」
「何じゃぁ? 今負け犬が吠えた声が聞こえたのぉ?」
「……殺して……やろう……」
「お、落ち着いてください! あ、また鼻血が……」
いきり立とうとするベンジャミンを何とか制止したイレイナの鼻から再び血が滴る。こんな事象が起きるようになったのはいつからだろうか? 自分でも知らず知らずのうちに、彼女は男色ものを見るとときめき興奮する性癖を持ち始めていた。イレイナにとってビスマルクとベンジャミンの逞しい姿はビス×ベンでもベン×ビスでも最高の興奮を妄想させるのだ。
そんなイレイナの性癖を知る由もない面々は思い思いに口を開き始めた。
「しかし、あの局面でビスマルク殿が勝つとはな……」
「個人的にはビスさんの肘が若干動いたように見えました」
「負け惜しみッスか~? おかげで私の懐は温かいッス」
「新たな財政として事業にすれば……うわ~……儲かるだろうな~」
先程までダンジョウと一緒に説教を受けていたカンム、レオナルド、ジャネット、ヴァインは各々何か企むような表情を浮かべている。彼らを見たイレイナは鼻を押さえながら自分がしっかりしなければと思いなおした。
いがみ合っていたシャインとダンジョウの方については結局シャインが本日何度目かも分からない拳骨を食らわせることで落ち着いた。シャインはフンスと鼻息を鳴してから自席に戻ると、仲間たちを見回してから頷いた。
「さ、お喋りはここまで。これからの方針を決めてくわよ。みんな気ぃ引き締めてね」
一転してシャインは和やかさと真剣さの籠った声でそう告げる。その瞬間に面々の表情が引き締まり、誰もが背筋を正した。
シャインの言葉は不思議だ。ダンジョウの言葉が皆を引っ張る言霊があるとすれば、シャインの言葉には皆に冷静さと真剣さを齎す力があるとイレイナは感じていた。
「まずは現状のおさらいね。ヴァイン君の交渉とイレイナの情報整理のおかげでカルバン攻略は終了。これでカルキノス星宙域とレオンドラ星宙域の協力は取り付けることが出来た。護衛のビス君と他の整理してくれたジャネットちゃんとカンム君もご苦労様」
シャインがまずは先の作戦の成功を労うとビスマルクはニヤリと笑った。
「オラは何もしてへんわい。姐さん、そろそろガッツリ悪もんばぶっ飛ばせるっちゅう事はないんかのぉ? 最近じゃ暴れまわっちょるんはカンムとレオナルドばっかしじゃけぇ。オラもそろそろ本格的に動きたいもんじゃ」
「ビス君がやると後始末大変なの。アンタこの前の戦いでも使える敵の兵器まで全部ぶっ壊しちゃったでしょ? ねぇ? カンム君」
呆れ顔のシャインの言葉にカンムは大きく頷いた。
「同意です。ビスマルク殿、貴方やベンジャミン殿の実力であれば無血投降さえ可能かと」
「何言うちょる? そぎゃん実力ばあるんはオラだけじゃろ? 腕相撲が弱かボケなんぞそこら辺の草むしりでもさせとけ」
「……蛮族が……」
「あぁん? 何じゃあ? まぁた負け犬ん声が聞こえたのォ~?」
「……やはり……殺す……」
「ほぉ? もう一遍負かしちゃるわい!」
ベンジャミンは鼻息を荒げ、目玉が飛び出るほど見開く。そして無毛の頭に欠陥を浮き立てながら立ち上がると、それに応えるかのようにビスマルクは指をボキボキ鳴らしながら立ち上がった!
赤鬼と青鬼の姿にイレイナは恐怖とエロスを感じずにいられなかった。それは他の面々も同じだろうが、それぞれの隣に座るレオナルドとジャネットが二人の前に立ちはだかった。
「お、落ち着いてくださいベンさん」
「ビっさんもどうどうッス」
ビスマルクとベンジャミンは火花を散らすが、制止する二人と違い座ったままのカンムは腕を組んだまま冷静に口を開いた。
「ここで暴れればダンジョウ殿にまで被害が及びます。お二人はそのような無様な真似をする方ではないと私は記憶していますが?」
「止め方が下手ですよカンムさん。ほらダンジョウさんも! 黙って治療受けてないで止めてくださいよ」
カンムに釘を刺すように口を開いたヴァインの呼びかけにダンジョウは「んあ?」と言いながら振り返ると面倒くさそうに口を開いた。
「おい二人ともその辺にしとけ。オメェ等喧嘩は千本勝負でしかしねぇって約束忘れてねぇだろうな?」
恐らくこの世界でこの鬼同士の喧嘩を止めることが出来る唯一の人物。そんなダンジョウの言葉に二人はそれぞれ「チッ! 兄貴に感謝せい」「……殿下の……ご命令と……あらば……」と言いながらも渋々といった様子で座りなおした。
ダンジョウの……いや、ここに居る誰かの言葉であるならビスマルクとベンジャミンは受け入れると推察していたのだろう。傍観していたシャインは二人が落ち着いたのを確認してから再び話を続けた。
「さて、ヤバそうな喧嘩も収まったところで……次の行動について考えたんだけど、どうしてもアタシたちのやる行動は決まっちゃうのよね。みんなも勘違いしてほしくないのは、アタシたちの敵は帝国軍じゃなくて宰相派の連中ってこと。ということは宰相派に打撃を与えるにはどうすればいいか? 答えは単純で帝国内でも宰相派に対して不信感を持たせる必要がある。って訳でイレイナ」
シャインの声と視線にイレイナは「はい」と言って小さく頷くと、ダンジョウの顔に当てたガーゼを彼に自分で押さえてもらうと、これまでに彼女がまとめていた資料を二次元ディスプレイに映し出した。
映し出されたのは現時点での戦皇団と宰相派の持つ力の比較値である。イレイナは全員がディスプレイを見ているのを確認してから話し始めた。
「現状、私たちと宰相派にある差は大きいです。単純な戦力だけでなく、何よりも問題なのは既に宰相派はランジョウ様という皇帝を担いでいる。この事実は帝国民にとっても心理的付加価値は大きいと言えます」
「確かにっスね。どんだけ私らが正論振りまいても皇帝ってシンボルがいる限りは連中の方に分があるっス」
ジャネットの言葉にイレイナは頷いてから再び話を続けた。
「帝国内にも宰相派に対して不信感を持つ者も増えてはいますが、情報統制や報道規制によって世論は明らかに宰相派寄りになっています。こうなれば方法は一つ。カルキノス星、レオンドラ星だけでなく、他惑星からの支持も得る事といえます」
イレイナは言うべきことを告げると、シャインは満足気に頷いた。
「ありがとイレイナ。という訳でアタシたちは他惑星からも協力を得られるように動く必要がある。といっても侵略じゃなくてまずは支持を得られるようにしなきゃいけない。んで、考えたんだけどアイゴティヤ星宙域から攻めようと思うの」
シャインがそこまで告げるとカンムが手を挙げた。
「はい、カンム君」
「はっ。行動は理解しました。しかしご存じのようにアイゴティヤ星知事のクリフォード・ストラスは宰相とは懇意です。さらに惑星毎に駐留する軍事力もアイゴティヤはラヴァナロス、クリオスに次いで強力……となればアイゴティヤ星の調略にはかなり時間を要するかと……そうなれば他惑星に向かった方が得策ではありませんか?」
「確かにそうですね。クリフォード・ストラスは中々に手強いですよ。歴代でも知事の任期は最も長く、裏社会とのつながりも深い。祖父の……ライアン・ブランドも彼の実力だけでなく、クリフォード・ストラスの後ろ盾があったからこそ勢力を広められたと言えます」
「私も同感っス。まずはフマーオス辺りがいいんじゃないっスか?」
カンムに続いてヴァイン、ジャネットが繋げる言葉にイレイナは心の中で同意する。そしてシャインに視線を向けると彼女はうんうんと頷きながら口を開いた。
「いいね。みんなの読みは正しいよ。そこのバカにもいい加減そういう戦略眼を持って欲しいもんだわ」
「おいババァ」
「ま、私も何の問題もなければそうするんだけど……ね?」
ダンジョウのツッコミを無視したシャインはレオナルドに目配せをすると彼は頷きながら新しい二次元ディスプレイが浮かび上がらせた。
そこに浮かぶ光景にイレイナはハッとした。そんな彼女と違い、他のメンバーは険しい表情を浮かべていた。
「ここ数カ月の間ですが海賊団の副頭領ザズールさんにラヴァナロスを張ってもらってましてね。キョウガ=ケンレン・ルネモルンがヴェーエス星に向かっています。ですがそんな指示を宰相のハーレイは出していない。そんな中でハーレイが神栄教の枢機卿コウサと連絡を取ったという情報が来ています」
「……コウサ=タレーケンシ……ルネモルン……か」
怪訝な表情を浮かべるベンジャミンに頷きながらレオナルドは話を続けた。
「ええ、一度だけ僕も戦ったことがあるんですが、真正面からやるとなると勝つのは厳しい。多分あの男と相対して勝てるのはシャインさんくらいでしょうね。あ、単純な戦闘ならそちらのお二人もですけど」
レオナルドは赤鬼と青鬼に一度微笑んでからそう告げる。
仲間たちの視線が一斉にシャインに向かう。するとシャインは腕を組んだまま再び話し始めた。
「あの男が絡んでるってなれば連中は今みんなが提案した事に気付いているでしょーね。逆に言えば、攻略しやすいフマーオスに注意を払ってアイゴティヤやクリオスは各星で警備強化って事になるかもしれない。で、星の周期的にもアイゴティヤから攻めようって話なわけ。ただ、確かにカンム君の言う通りアイゴティヤの調略には時間が掛る。だからまずはアイゴティヤ星の周り。衛星マンドルからね」
シャインの言葉に一同は納得する。それと同時にヴァインが尋ねた。
「しかしシャインさん。何でクリオスじゃなくてアイゴティヤなんですか?」
「うん、実は最初の話でも出てたみたいに各所に宰相派の……ひいては惑星に対して不信感を持ってる衛星があるの。その一つがマンドルってわけ。そこにいる反乱因子から実は前々から協力要請があってね」
「その連中は信用できるんですか?」
次にレオナルドが質問を投げるとシャインは微妙な表情を浮かべた。
「グレーね。宰相派と明確に繋がっているという証拠は無い。ただ一つ気になってるのは、そこの反抗勢力のトップにいる人はクリオス星知事の補佐官コウチ・ハルフの親族らしいのよ」
「コウチ・ハルフ……クリオス星でも屈指の武闘派で、ミドガルド・アプリーゼ知事からの信頼も非常に高いです。あと政治屋よりも軍人としての方が評価は高いと言えるでしょう」
カンムがそう告げるとシャインはまたしても小さく頷きながら口を開いた。
「レオンドラ星やカルキノス星の協力を得られているとはいえ、アリータちゃんやアンドリュー君に何かと理由を付けてラヴァナロスへの協力要請を無視するのにも限界があるの。何故なら私たちに協力している事を大ぴらにすれば世論の勢いも相まってこの二つの惑星が窮地に追いやられる可能性がある。そうすれば帝国内を二分した内戦状態になるのは避けたいの。珍しくダンジョウにしてもそれは理解してるみたいでね。……今回の件は慎重に行動すればコウチ・ハルフを始めとしたクリオス星と繋がれるって見返りがある。それがこの戦いを今日略する一番の近道ともいえるのよ。だからこそ、今回の件はみんなにも慎重に動いて欲しいんだよね。お分かり?」
シャインの言葉に一人を除いて皆が神妙な面持ちで頷く。戦況はこれで理解できた。この隠れ家の中では先程も明るく過ごせてはいたが、戦力差、世論、そして時間……すべての面において彼女たちは厳しい状況下にあるのだ。
納得する面々をよそに一人不服そうな顔をしていたダンジョウは面倒くさそうに椅子に浅く座りながら告げた。
「まわりくでーなー。どーせなら俺がそのクソフォードって野郎と話しつけに行くよ。頭同士で話し合えば一発解決だろ」
全員が納得する状況を覆すようで最もバカバカしい言葉を告げるダンジョウにシャインはジト目を作って睨みつけた。
「世の中そんな簡単に出来てねーのよ。安心しなさい。今回のマンドラにはアンタも連れてってあげるから」
少し不満気にシャインがそう告げるとダンジョウは「マジか!」と喜びの表情を浮かべる。しかしイレイナを始めとする面々は慌てた表情を浮かべ、イレイナが真っ先に口を挟んだ。
「ま、待ってくださいシャイン様! アイゴティヤ星宙域にダンジョウ様をお連れするのは危険すぎます! もう以前とは状況も違います。向こうはダンジョウ様の正体を知っている訳ですし」
「同感です。レオンドラやカルキノスならまだしもアイゴティヤは敵陣の真っただ中、そのような所にダンジョウ殿をお連れするなど」
イレイナに続いてカンムも苦言を呈すが、シャインは小さく首を振った。
「協力を取り付けるにはこちらの誠意を見せる必要があんの。既に息が掛かっていて偏屈なヤツを説得するならヴァイン君で充分だけど、何もない所に協力を申し入れる場合はダンジョウが行くことで説得力が変わる。そしてそれが報道されれば世論もこちらに傾かせることが出来るかもね」
「……そこまで切羽詰まってるって訳っスね」
ジャネットが少し渋い表情で唇を噛みしめる。するとヴァインは肩を竦めながら口を開いた。
「虎穴に入らずんば虎子を得ずというやつですね。僕は賛成です。危険かもしれませんが、シャインさんも一緒に行くなら大丈夫でしょ? あと、ここにいる赤鬼と青鬼のお二人どちらかがダンジョウさんをつきっきり守るというのが最低条件ですけど」
最年少ということもあってかヴァインは頭が柔らかい。そんな彼の言葉にイレイナを始めとした面々も仕方がなく納得する。そんな様子を見てからシャインは頷いた。
「決まりね。んで、マンドラに行くメンバーは考えといたから。まずはダンジョウとアタシ、護衛にはビス君、私のサポートとしてカンム君とイレイナね。ベン君とレオ君はこの基地の防衛、ジャネットちゃんはココとマンドラをいつでも行き来できるように算段を立てておいて、ヴァイン君はいつでもアタシたちと連絡が取れるように」
シャインがそう指示を出すと全員が頷く。しかしダンジョウだけが何かに気付いた様にシャインに飛び掛かった!
「つーかババァ! テメェさっきからダンジョウと書いてバカと呼んでやがるな!! 舐めんなコラ!!」
威勢よく殴り掛かるダンジョウだったが、シャインはあっさりと躱してダンジョウの後頭部を踏みつけながら机に押し付けた!
ダンジョウの「ぐへっ!」という呻き声を聞き流しながらシャインは話を続けた。
「作戦開始はこのレオンドラ星宙域とアイゴティヤ星宙域が一番近付く次の七月七日。それまでに準備を済ませましょう。それとみんな……くどいようだけど今回は慎重に動くってことを忘れないでね」
シャインの言葉に全員が真剣な面持ちで頷く。
彼女の言葉を頭では理解しながらもイレイナは心の中で思わずにはいられなかった。「そろそろダンジョウを助けた方が良いのでは?」と……