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【書籍化】私の秘密を婚約者に見られたときの対処法を誰か教えてください  作者: 白雲八鈴


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アルフレッド15歳の誕生日のお話

(アルフレッドSide)

本編では絶対に書かなかったアルフレッドSide。ご注意ください。

「アル様!お誕生日おめでとうございます!」


 シアと会うのはいつぶりだろう。ほぼ一年ぶりだ。毎年冬に国王陛下主催の建国祭がある。

 そして俺の誕生日もその日に近い。


 一年ぶりに会うシアは一段と可愛くなった。……なってしまっている。今のシアは今しか会えないのに、もっと会えていても良いのではないのか?


 なぜ、俺は夏に生まれなかったのだろうか。そうすれば、シアと年に二回は会うことができたのに……。


「シア。ありがとう」


 まだ誕生日パーティーは始まってはいない。シアにはパーティーが始まる二時間前には来て欲しいと言っているからだ。


 それはもちろんシアを独り占めするためだ。

 シアにいつものサロンのソファーに座るようにうながすと、本の大きさほどの白い物を差し出してきた。


「あの……アル様にプレゼントです……上手くできなくて、ごめんなさい。次はもっと練習しますわ」


 シアはそう言って、ビロードの……毛皮に包まれリボンで結ばれた物を渡してくれる。これは雪虎(ティグニクス)の毛皮じゃないのか?

 包み紙のように扱うものではないはず。それともこれがプレゼントなのか?

 リクエストしたものと違う。


「シア。この毛皮はなんだ?」


 取り敢えず聞いてみる。シアがくれたものなら何でも嬉しいが、できれば頼んでいたものが良かった。


「あ、これはこの前討伐したザコなのですが、毛並みがキレイだったので、包むのに使ってみたのです」


 ザコ……今の俺で倒せるだろうか。雪虎(ティグニクス)は雪深い山の中に生息して、普通の剣では刃が立たないと言われるほどの頑丈さと聞く。一説には硬い氷をまとっているからだとも言われているな。

 これは、俺に雪虎(ティグニクス)ぐらい、簡単に倒せるようになれということなのだろうか。


 いや、にこにこしているシアの感じからすれば、ただ単に毛並みが気に入ったということか……何か小物に仕立てればいいか。


「あ! この魔物の魔石もキレイだったのです」


 シアは亜空間収納から取り出しながら、嬉しそうに拳大の湖面のような透明度の高い水色の魔石を見せてきた。

 何やらヒヤリとした風が頬を撫ぜる。


 温かい室内だというのに、これはどうしたことだろう?


「この魔石、夏にとてもいいと思うのです。魔石から冷気が出ていて、部屋が凍りつくぐらいなのです。こちらも差し上げますわ」


 楽しそうに話すシアが可愛いな。夏にシアと何処かに行きたいな。

 最近会うのが冬ばかりで、あまり外に行けない。雪の中のシアも雪の精霊のように可愛いけど、夏の日差しの中を走り回るシアも可愛いかったなぁ。


 父上にガラクシアース領に行くことを禁じられていなければ、毎日行くのに……そうか! 俺がガラクシアース領に住めばいいじゃないか!


「アルフレッド様。お部屋が冷えてまいりましたので、お受け取りした方が良いかと存じます」


 背後からコルトに言われ、ハッと現実に戻ると、ニコニコと笑みを浮かべたシアの頭には白い雪が積もっていた。

 室内なのに雪?


 不思議に思ってシアの頭の上の雪を払い落とそうとすると、俺の手も白く凍っていることに気がついた。


「シア。雪虎(ティグニクス)はどうやって倒したのだ?」


 透明度の高い魔石を受け取って、すぐさま俺の亜空間収納にしまい、その亜空間収納から、毛皮のコートを取り出して、シアの肩にかけて抱き上げる。


「ふぁっ! アル様、自分で歩きますわ」

「床も凍ってしまっている。暖かい暖炉の側に行こう」


 部屋全体が白く霜が降りているような感じになってしまっているが、部屋の隅にある暖炉の側は暖かい空気に包まれていた。

 流石、雪虎(ティグニクス)の魔石と言って良いのか、その雪虎(ティグニクス)を倒したシアが可愛すぎるということか。


「そのお話をする前に、プレゼントを開けて欲しいですわ」


 暖炉の前に敷かれている絨毯の上にシアを座らせ、その隣に座ったところで、シアにプレゼントを開けるように催促された。

できれば、一人でじっくりと堪能しながら開けたかったのだが、シアと一緒に開けるのもいいな。


 青いリボンを外して、白いビロードの毛皮の包みを開けると、白い布が現れた。

 光沢感のある布地から絹かと思われる。


 その白い布を取り上げると、綿毛のような軽さで、滑らかな手触りが印象的なハンカチだった。そのハンカチの端には、ネフリティス侯爵家の紋である赤い薔薇と妖精をモチーフにした紋様が刺繍されており、俺のイニシャルがその横にあった。


「上手じゃないか。このままどこに出しても問題ないぐらいだ」

「そ……そんな。おおげさです。アル様。この辺りとか、こことか歪んでしまいました」


 顔を真赤にしているシアも可愛い。本当にシアが作ってくれたというだけで価値がある。このまま額縁にいれて飾っても良いぐらいの芸術品だ。

 そうしよう! このハンカチ専用の額縁を作らせよう。


「このハンカチは、スパイダーシルクなのです。それもダンジョンの下層から取ってきたので、とても肌触りがいいのです。ぜひ普段から使ってくださいね」


 シア。スパイダーシルクは高級品すぎて、普段遣いするものではないのだが……シアがそんなに可愛く言ってくれるのであれば、普段遣いしてもいい。だが、やはり俺としては額縁に入れて、シアコレクションに加えたい一品だ。

 しかし、シアが刺繍してくれたものを毎日使いたいというのもある。……一枚しかないから毎日は流石に無理だな。やはりシアコレクションにするべきだろう。


「ご歓談中、失礼いたします」


 俺が悩んでいるとコルトが声を掛けてきた。いや、俺がどうするか悩むのに忙しいのだ。


「フェリシア様。先程練習するとおっしゃっておりましたね」

「はい」

「それではこちらを練習用としてお渡ししておきます。出来上がった物を私めに渡していただければ、出来の良いものをアルフレッド様にお渡ししましょう」


 コルトは十数枚の白い布地のハンカチの束をシアに差し出した。


「まぁ、コルトに見てもらえるのでしたら、心強いですわ。悪いところはきちんと言ってくださいね」

「かしこまりました」


 コルト。流石だ。

 そうすると、これはやはり額縁にいれてシアコレクションにしよう。そして、シアが練習用に刺繍してくれたものを、普段使いにすればいい。


 これで決まりだ!


「アル様? やはりお気に召しませんでしたか?」

「とても嬉しいよ、シア。ありがとう。素敵な誕生日プレゼントだ」


 そう言って、小さなシアを抱きしめる。


 可愛いな。このまま俺の部屋に連れて行ったら駄目だろうか。



 ここまで読んでいただきまして、ありがとうございます。アルフレッドの思考回路はシア一色です。


副題に書いてある通り宣伝をのためのSSなのです!


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手にとっていただけると、とても嬉しいです。(二巻目は売れ行き次第……世知辛い世の中です)


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挿絵(By みてみん)

イラストはEma3様です。

シアはとても可愛く描いていただけましたし、アリシアはカッコよく描いていただけました。



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ここまで読んでいただきましてありがとうございました。



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