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第7話 夏休み前の断罪イベント

 結局、学園からアルフレッド殿下がいる王宮の外れまで通う日々。

 って、いつも通りだけど。

 アルフレッド殿下の魔法のおかげで夏は涼しく冬はぬくぬくで快適だから、試験勉強も捗った。

 まぁ、籠ってばかりでも無いんだけどね。城下町とかにもアルフレッド殿下とお忍びで連れ立って行くし。


 時々学園の帰りにいたずら心で、お城と違う方向に進もうとすると、どこからともなく護衛の兵士がやって来るけど。




 皆様の警戒は何でしたの? ってくらい、何事も無く終業式を迎え、その後のパーティーも始まった。

 私の横には、兄が張り付いている。

「あまりがっつくなよ。一応、おまえも侯爵令嬢なんだから」

「一応って何よ。正真正銘、私は侯爵令嬢だわよ」

 兄は、お皿にケーキやクッキーを盛っている私を呆れたように見ていた。


 だって、誰も食べないんだもん。もったいないじゃない。

 残った物は、使用人が食べているのかと思いきや、片付けの時にザーッとゴミ箱に捨てていた。

 それを見てからは、遠慮なく食べる事にしたのだ。

 学園の料理人は本当に優秀で、スイーツまで美味しいんだもん。


 お皿をスッと私の手から取り上げて、兄がテーブルの方に誘導してくれる。

「せめて座って食べような」

「はーい」

 私たちは近くのテーブル席に座った。

 兄は、近付いてきた学園の侍女にお茶を頼みながら訊いてきた。

「夏休みは、また王都に残るのか?」

「多分、そうなると思う」

 私が王都に残るのは毎年の事だけど。それでも例年だったら短い日数だけど領地に帰ったり、家族で別邸に遊びに行ったりしてるんだよね。


 そんな話をしながら、目の前のお菓子を食べていたら周りがざわざわしてきた。

 兄も少し警戒をしてあたりを見回している。


 パーティー会場の中央、少し広い場所で何だか揉めている感じ?

 あれ? あの場所は、ゲームのスチルで見たことが……。


 断罪イベントが始まった?


「私はエミリア・フルードとの、婚約をこの場で破棄する」

「私もだ。エレン・バチェラーとの婚約は無かった事とする」

 そう高らかに宣言しているアイザック殿下とフィリップ殿下の間には、うつむき少し涙ぐんでいるヒロイン、ベリアルがいる。

「殿下方は、ご自分が何をおっしゃっているのか、お分かりなのですか?」

 あまりの事にエミリア様が訊いているけど。

「お前こそ、自分の立場を分かっているのか。王妃候補でありながら自分の目障りな者をイジメるなど」

「そうだ。エレンも、イジメをする者など、王族にふさわしくない」


 うん。だいたい合ってる。乙女ゲームのセリフと……。

 私はうんざりした気持ちで、ゲームの断罪イベントの内容を思い出していた。

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