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第16話 国王との謁見と言う名の話し合い

 よく見ると、文官だと思っていた中に私の父と兄、フルード公爵、バチェラー公爵も居た。

 いわゆる王族の婚約者である令嬢の保護者達だ。

 私たちが揃っているのを確認して、陛下がおもむろに口を開いた。

「まずは、各々の発言の前に、アイザックとフィリップはこれを着けるように」

 文官の1人が四角いお盆? みたいな物を恭しく持って王子たちの所へ行く。

 その上に乗っていたネックレスを、それぞれの婚約者が王子達の首にかけた。

 かけられた瞬間、王子達は顔をしかめたが、何かが抜けていったようにフッと元の状態に戻る。


「再度、アイザックとフィリップ、両名に問う。まだ、そなたらは派閥が選んだ令嬢との婚約を破棄したいと願うのか」

 陛下が厳しい顔で王子達に問うた。

「あ……えっと」

 考えがまとまらないような感じで額に手を当てアイザック殿下が答えようとしているけど。

 フィリップ殿下に至っては、言葉も出て来ないようだ。


 うちの兄もそうだったもんな。ネックレスを掛けた直後は、混乱していた。

 魅了という魔法で好意が増幅され、コントロール出来なくなるほどの恋愛感情をヒロインに(いだ)いた。元々ヒロインの事を少しでも好ましいと思わなければ、発動しなかったはずの魔法なんだって。


「婚約破棄は……致しません。どうしてそんな事を言ったのか。確かにベリアルは、可愛いとは思いましたが」

 混乱しながらも、アイザック殿下は陛下に答えていた。

「私もです。今までどうかしていたとしか……。エレン、すまなかった」

 フィリップ殿下の方は、自分の婚約者に謝罪までしている。

「いえ」

 それにエレン様は短く返事をしていた。


「さて、王子たちの目も覚めたところで、どうしたものよの。もうそれぞれの派閥が動いて警告は出しているようだが」

 陛下はチラッとアルフレッド殿下と私の方を見た。

「報告によると、不敬が過ぎるようだな。平民の分をわきまえず、婚約者のいる男性と親しくなり。……敬語ですら、まともに使えないのであろう?」

 私たちの監視はそのまま、ヒロインへの監視であろう。しっかり、陛下に報告されている。


 この世界での不敬罪は、そのまま死罪だ。平民ならなおの事。

 あの場所が学園で無く、王子たちが魅了にかかっていなかったら、無礼打ちもありえたくらい危ない状況だったんだと思う。


 どうするんだろう? そう思って、アルフレッド殿下を見上げる。そんな私に、少し笑ってから陛下に言った。

「発言をお許しいただけますでしょうか」

「許す」

「王子達とローレンス・カミンに付きまとっていたのは、このオリビアと同じ歳の子どもです。そして、平民とはいえ、回復魔法を認められ学園に特別入学を許された者。不敬罪を適用するのは、いささか重すぎるのではないでしょうか」

 私と同じ歳の子どもだという事で、陛下が私の方を見る。


「なるほど。それで?」

「王子達に忠告をしてもらい、それでも態度が改まらないようでしたら。学園から追放し、元居た場所。つまり、家族の下に返すのがよろしいかと」

「それは、軽すぎないか?」

 陛下が、ちょっと不快な顔をした。


「そうでしょうか? 所詮、まだ物事が分からぬ子どもの所業。ましてや平民なら貴族のしきたりにも明るく無いでしょう」

 そう言って、ニッコリ笑いアルフレッド殿下は言う。

「それに学園を追放してしまえば、王侯貴族の誰にも近付く事すらかないません」

「それで、納得するかな?」

「させて下さい。次期国王になるかもしれない、お二方がこの程度の魅了に惑わされる方が問題でしょう。今回は平民の小娘だったから良いものを、あの娘が他国からの者だったら国が潰れてしまいますよ」

 シレッと自分を国王候補から外しているところが、アルフレッド殿下、なんだよね。

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