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#70 力と責任の押しつけあい

「次です。向こうの組織について」


 何でも屋アルは、なるべくジェネシスの名と四竜征剣という単語を伏せる。


「組織の目的とブツに関係があるんですか?」

「……知れば安全に行動をしてくれるか?」

「はい。アーチャーはどうだ?」


 あなたに従います、とオルキトはアルの意見に賛成した。

 それからヘキサスはペンを持つジェスチャーをしたので、アルが紙とペンを差し出す。


『兵器としての人間を量産することを目指してる』


「さっきのを見た通りその質は、血の通った生体だけができるブツの収納をやってのけるまできてる」

「その行為は、人間へどれだけ近づいたかを見るいい指標ってことか?」

「それもある」


 四竜征剣を体内に収納できていたフィーネは口にしていた通り、ニンナとは一線を画した特別な存在であった。

 それに加え四竜征剣を求めるのは別の狙いもあるとヘキサスが答えた。


「人形を介することでリスク無くブツを操作することができる」

「オモテはそうでしたね」

「いや? どのブツも使い方を誤ればこれだ」


 指で×を作るヘキサス。


「それで次はどうします……あー、何でも屋さん?」


 アルの険しい顔に気づいたオルキトは、つい名前を言いかけてしまった。


「……ウラの一式を引き取ってください。頼みます」

「そういえば頼まれて仕方なかったですが、急に僕にこれを渡しましたね。変なことでも起きたんですか?」

「少し嫌なものを見てな」


 アルの言葉に共感したのはヘキサスだけであった。


「できるなら知らない方がいいことはもちろん存在する。その頼みは一部聞こう」

「一部?」

「こういう条件ってこと」


 ・オモテ:3本は受け取れる

 ・ウラ:2本は受け取れる

 ・シン:2本を預ける


 紙面で提示された条件を見たアルはひきつって笑う。


「数の指定は無し、『預ける』は『受け取れる』に書き換えろ」

「なんですかこれ……」


 横から紙面を覗いたオルキトも絶句していた。


「上から説明する。さっきの騒動を受けて、4つ揃えて持ち歩くのはリスクがあるとわかった。別に持ち歩かなくても家の傘立てにでも差しててくれ」

「家に帰れてないんだよ!」

「おっ、ええ? 別のことでツッコまれたぞ……」


 ヘキサスはさらにフォローを付け足し、オルキトもそれを興味深く聞く。


「……なるほど。『騒動に関わった僕らが管理していれば、再発のおそれが無い』と安心できる。理屈としては間違っていないですね」

「いい感じで操られてる気もしなくないが、じゃあジアースケイルはこのまま預かっとく」

「いいんですか?」

「久しぶりに触ったら直感した。これ、地中経由でどこでも取り出せる」

「え?」

「所有権さえあれば体じゃなく地中にもしまえるから鑑定眼にかからないはずだ」


 まずは一つ、オモテの一式について話がついたところ、店のドアベルが鳴る。


「オーナー。いつもの」

「あっ……」


 聞き慣れた声がして、隣にいたオルキトの反応を見るとアルは全てを察した。

 ヤナギ常連のコトハが来店したのだった。

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