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#43 夢と目標への熱意

 アルは仕方なく情報の1つとして3組の四竜征剣の通称『(オモテ)』、『(ウラ)』、『(シン)』を便箋に書き足す。


「ジェネシスの構成員、人造人間の研究者に四竜征剣(12本)(かっこじゅうにほん)、と。俺達は全部の要素を把握してるけど、このハンナにはヘキサスが亡くなったものとして逃げてるんだよな」

「はい。ですがお話しした通り、まだ四竜征剣を持っているために」

「なら適当にごまかして……るよな。そりゃあ」

「捨てたと言ったら彼女、意外に勘が良くて。始末をして確認をするぞと」


 体内に収納できる四竜征剣の有無を確かめるには手っ取り早い方法だ。


「バリアー・テフを処分したところを見せないといけないんです」

「……わかった。俺が手伝おう」

「? なにをするんですか?」

「ちょうどいい。ジフォンに帰る俺だからできることだ」


 アルはついこの間カンナ達を撒いた経験を活かし、オルキトと綿密な打ち合わせを済ませた。

 それからジェネシスに追われる被害者同士、アルはユンニで冒険者をしている経緯で話が広がる。


「なるほど……本来の交通手段である橋は落とされてジフォンに帰れず、航路を利用する資金のために冒険者になったと」

「もう今だから言えるけど本当に辛かった。夢だとか目標があったわけじゃないからな」

「夢に目標、ですか」

「ああ。コトハ達についてくことがあったけど、もともと冒険者を目指してたっていう努力を嫌でも見せられた」


 先日のクエストでは手際よく調査を進め、要所の判断力に長けたコトハを筆頭に、獣人を一掃する魔法を扱うレーネ、その魔法に対して常人とは比較にならないほどの頑丈さを持つウジンにサジンも、騎士として天使の加護を受ける訓練を積んだはずだ。


「オルキトもそうなんだろう?」


 ええと、と躊躇しながらもオルキトは目標を語る。


「僕は幼い頃から冒険者である父の背中を見て育ちました。いつも多くの仲間に囲まれ慕われていて、そんな姿に憧れて僕も冒険者を目指すことにしたんです」

「へえ。ネラガからユンニに来たのは修行のためか?」

「はい。父や姉から独り立ちをしようとしたのですが、失敗も多くて。例えばさっきのことも気持ちだけが先行してしまい情けないです」

「さっきのこと?」

「広場での喧嘩の仲裁です。『力を振るわれる方も、振るう方も救え。誰も見捨てるな』という父の教えを実践できるのはまだ難しそうです。せめて頭を冷やしてくれているといいですが」


 オルキトもやはり、自身の確たる信念を持ついち冒険者。

 悩んでいてもその姿は冒険者を辞めようとする時とは違う、ため息より荒い鼻息が似合う顔つきであった。

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