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#41 待ち合わせと門前広場の喧嘩騒ぎ

 1列で書き出したジェネシスのメンバーのうち、カンナとアンナの頭には塗りつぶした丸をつけて、残っていたハンナの頭には白抜きの丸をつけた。


「後で決めるとして、ハンナも適当な場所に飛ばすことにしよう。で、そのためには」

「そのためには?」

「付きまとわれてるであろう原因を確かめたい」


 どうせすぐにユンニも発つのでアルは単刀直入に尋ねる。


「ちなみにブレン・ハザードは?」

「誰ですかそれ」

「あれ、なんで?」


 アルは便箋の上で指先をくるくる。


「ハンナの口からも出なかったのか?」

「強いて挙げるならヘキサス・ドラルさん、ですね。彼女が探していたのは」

「どういう知り合いだ? あー、人造人間の学者?」

「……! もしかして、なのですが……この先は場所を移して話しませんか」


 2人の間にはぴんと来るものがあって、クエストを抜きにして近くの山へ向かうことがすぐに決まった。


「お店の方には許可もらえました」


 勤務途中で退勤することになり、無理を言わせたアルもオルキトの隣で店主に頭を下げた。

 それからオルキトは装備を取りに宿まで戻り、アルは先に待ち合わせ場所の門前広場に着いた。


「場所はわかったから、オルキトが来るまでよそに行っておくか」


 ユンニへ出入りする冒険者に旅人と、人の往来が多い広場では商人があちこち歩き回って道具や武器を勧めている。

 装備を抱えてくるオルキトはともかく、一般人から見れば鞄1つで丸腰のアルはいい商売相手に見えただろう。

 何人かに掴まりかけたが、無事に広場から避難。

 遠くから広場の様子をしばらく伺っていたところ、男数人が言い争いをしているのが見えた。


「この野郎! うちのパーティの奴にけがを負わせやがって……」

「なに。クエストを失敗した腹いせで八つ当たりをするのか?」

「いいや、お前らが狙ってこっちの邪魔をしてるんだろ」


 別々のクエストで現場に居合わせたパーティがいざこざを起こしたようで、辺りは野次馬も巻き込んで大混乱している。

 怒号、鎧の擦れる音に剣が空を切る音は人混みを越えてアルまで届き、うっすらと身の危険まで感じた。


「自業自得なんだが、きちんと第三者の衛兵にでも罰してもらうか」


 見ているだけが大半の野次馬に代わり、衛兵を呼びに行こうとアルは駆け出す。

 しかし、その目の端には新たに起きた静かな混乱が映っていた。


「───、────」

「───。────、───」


 耳たぶを触ってかさかさと肌の擦れる音が聞こえたアルは、自分がそれの範囲外にいたことを悟った。

 喧嘩騒ぎから一転して動く絵画と化した光景から、待ち人のオルキトを見つ出したアルはその腕を掴み足早に門外へと出ていった。


「どうしてああも目立つことを……」

「すみません。僕は見逃しておけませんでした」

「それで。そっちの四竜征剣は『音』を消し去る能力、ってことか」

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