表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/238

#33 消滅とジェネシスの反応

 アルは姿を消さないまま獣人を引きつけて、レーネが待ち伏せしている場所まで辿り着く。


「レーネ、後は頼んだ」

「うん。『サンダ:ウェイブ』」


 獣人の群れにカンナ達の姿が無いことを確かめたレーネは容赦なく、洪水のような雷をもって辺り一帯を瞬く光と轟音に包んだ。


「残りの獣人の痕跡も回収しようか」


 アルが敵地で調査をしていた間、1体目の獣人が残した灰と装飾品はコトハが回収していた。

 もともと討伐対象だったツチオオカミ用だったが緊急事態だったので仕方がなかったのだ。


「あの子は? まずあの子を助けないと」

「返事によっては見逃てやる。ネラガに行くなら止めはしないけど」

「へー、ネラガまで行くつもりだったんだ」

「話をつけてくる」


 その場を離れようとするアルだが、レーネが『私も』とその腕を掴む。


「レーネには残って処理の続きを手伝って欲しいな」

「……いいぞ、コトハ」


 コトハに手を回してもらったアルは1人、カンナ姉妹のもとまで戻る。


「あー! 戻ってきた! ていうことはまた獣人を……」

「追手も無いし、あれで全部だったらしいな」

「……別に私のではないからいいけど。な、なによ!」


 カンナ姉妹はまた取っ組み合いの喧嘩が始める。


「くっ、ダースクウカが無い今、無理をした……ううっ」

「なんだ? 奴の体が徐々に消えていく……」

「後はネラガに向かったブレンに全て任せよう。俺はもう少しで消えるからもう痕跡は残らない」

「な、なに。消えるというのは命をかけたというのか」

「あ、ああー」


 アルは言いたいことを残して、最後は駆け足気味に姿を消した。


『さて。ちゃんと逃げ延びて、俺が言った適当なことを報告してくれよ?』


「報告は私がする。……交渉だけど、あの冒険者は自滅じゃなくてこっちが始末した、で話を合わせてくれない?」

「あっ、せこい。自分だけ評価もらう気だ」

「助けて借りがあるでしょ。それにそっちも、リワン村のドジは『改良型が勝手に壊れた』でごまかせば評価はそんなに下がらないはずよ」

「……なるほど。アンナも証言すれば信憑性もある。そうだ、なら今回のことも獣人は全滅じゃなくて1体は逃げ出したって言ってあげる」

「おお……さすが私の姉妹。いいアイデアだ」

「よし。じゃあ詳しく打ち合わせするか」


 カンナ達は目立っていた神輿のそばを離れ森の奥へと去っていった。


『ジェネシスか……思ってたよりあほな奴等で助かった。コトハ達は獣人しか気づいてなかったから今後も無事だろうし、俺も死んだ扱いになるっぽいな』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ