#21 なんと衝撃の事実判明
「……怪しい。冒険者が経歴をごまかすのは聞くけど、辞めるなんて嘘はきっと裏があるはず」
レーネは疑いの目をアルに向け、おそらくギルドを出てもどこまでもついてくる様子でいる。
「困ったな……」
「ぱぱっとギルドカード見せて、俺が『何でも屋』だってわかればあっちも油断してくれるだろ」
「それはあまりいい手じゃない。アルは認識が甘いところがあるけど、冒険者としてもう少し身の振り方というのが……」
「だからもう冒険者は辞めるんだって」
「ああ、サジンから聞いた。レーネの前でそういう建前にしているんだよね?」
「建前も何も、揺るがない事実なんだって」
アルがウジンとごちゃごちゃしていると、レーネは嬉々としてそれを指摘する。
「ギルドカードを見せない、ということはおのずと答えは決まっているわ。ただの何でも屋だったのね」
「ほら、向こうからいい感じに話を進めてくれた」
アルが何でも屋という肩書を包み隠さず明かし、きっぱりと冒険者も辞めれば全てが解決するはずであった。
「……レーネ。やっぱりそれだけの人間だったってことね」
「なんでこういう時に目を覚ますかな……」
静かに寝ていたはずのコトハはすくっと立ち上がるとその場の全員の注目を集めた。
そしてレーネへ軽蔑の目を向けている。
「ひうっ! どうしたの、コトハ……」
「そうだって。落ち着けよ」
「むっ……そう言えばやたらコトハが気にかけているし、あなたはやはり何者なの」
「だからただの何でも屋。しかもそれをやめるんだって」
ギルドカードもしっかり見せたが、レーネはアルをじろじろと見続けている。
「……アル。きちんと正直に話そう」
「正直に話してるけどなぁ。ならジフォンに帰るところまで話すっていうのか?」
「そう。それがコトハのためでもある」
「うーん、余計に付きまとうことが無くなるなら……」
「……! お、おお。勇ましいな」
あまりにも大げさに反応するウジンに、とうとうアルはむっとしてしまう。
「ただの帰郷でそんなに盛り上がるなって。子供のお使いじゃあるまい」
「帰郷……ならコトハは?」
「これからは2人に任せた」
「いやいやいや、軽過ぎないか!?」
正直に話せと言われ、すっかりアルは冒険者を辞めることを了承されたつもりでいたのに、どこかウジンとでその認識にずれのようなものを感じた。
上手く伝達されていなかったのかと、アルは次にサジンに声をかける。
「ちゃんと言ったんだよな? 冒険者は辞めるし、そのままジフォンに帰るって」
「ああ。コトハとのことも」
「それは別に二の次だよ」
「何言ってんの!? こ、婚約したんだろ? 親への挨拶をしてくるって」
「……は?」




