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#196 飾らない姿と無知の幸せ

 昨日請け負ったダンジョンキーパーの報酬は、ナナが説明した通りそこそこの額で、当面の生活費に余裕ができたイルルは安堵して肩をすくめた。

 そんなイルルは今、報酬の確認に加えて別件の相談のために、ナナから呼ばれてギルドの窓口を訪ねていた。


「残念な知らせだが、荷物持ちを募集してるパーティがいる」

「ふむむ……どこまで、なにを運ぶんですか? 外獣への対応を求められたりとかは?」

「なぜ他のクエストでもその意欲を出せないかなあ」


 ナナはギルド職員として事実をそのまま話す、とはっきり宣言し、イルルの質問に全て答えた。


「はい! はーい! 受けます! 戦闘は向こうが一切を担ってくれるなら心配ないですもん」

「……じゃあ、これで受注の手続き完了。ここが約束の場所ね」



 ◇



「……ああ? 女が来ただと?」

「あらら。詳しくは書かなかったけど……だいたい業務の内容でギルドは察してくれなかったのかしら」

「ああ、俺もそのつもりだったんだがな」


 待ち合わせの場所で荷物持ちを募集していた冒険者のパーティと合流したイルルだったが、顔を合わせた途端に、おそらくリーダーらしい逆立てた赤髪の男とそのメンバーの女がざわざわと揉め始めた。


「はー……おい、”何でも屋”。なんとなくわかるだろうが、お引き取り願おうか」


 男はひらひらと手を振って、イルルがパーティへ合流するのを拒否する。

 普段ならお言葉に甘えるところだが、今回は待ち望んでいたクエストなだけにイルルは食い下がる。


「大丈夫ですって。こう見えて私、力持ちなんですよ」

「ねえ。まだ優しく言ってるうちに帰ったら?」


 メンバーの女の1人、甘ったるい声と大人びた雰囲気が特徴的な女が、毛先をいじりながらそう忠告した。

 真面目に話を聞こうとしていないのは明らかだったので、目で見せて証明をしてやろうとする。


『正確には腕力自体の強化じゃないけど、なら周りのものを軽くさせればいい』


 そばにあった4人掛けのベンチの端にある手すりに脚をかけると、ぶつぶつとなにかを唱えながら、一気に立ち上がらせた。


「どうですか?」

「……面白い手品を使うみてーだな。見栄をはっても後悔するのはそっちだってのに」

「なにか言いました?」

「いや、それだけやる気があるなら問題はねえか」



 ◇



「これが俺達の装備全部だ。目的地まで運んでもらう」

「……2人でこの量を?」


 山のように積まれた荷物は、布に包まれているらしい剣や槍などがあちこちからはみ出していて見ただけでも重いと判断できた。

 そして同時に、パーティの人数に対してその量が最適かと言われると違和感がある。

 冒険者というよりはちょっとした商人の規模だ。


「何でも屋みたいな素人にはわからねえだろうが、俺の闘い方だとそうなるんだよ」

「ふふ、そうなのよ」


 男は詳しい説明などはせず乱暴にそう言い放ち、よく見ると女は密かに微笑んでいる。


「あの”シェテカル”シリーズの武器ばっかだからな? 引きずったりしてぼろぼろにしたら弁償してもらうぞ」


『なんか高級そうだけど、そんな武器ならカンカンつばぜり合いとかしてこそのものっぽいけどなあ……』


 注意された通り、しっかりとそれを背負うと出発の準備が済むのをぼうっと遠くを眺めて待っていた。



 ◇



「おい、イルルとかいうの。なにか話すことはねえか? 暇だ」


 近道だ、といって案内された足場の悪い道をおおよそ過ぎたところで、おもむろに男がそんなことを言い始めた。

 何でも屋だとそういう役目もあるのだろうとイルルは1人で納得して、当たり障りのない話題を振る。


「シェテカルの武器って、そんなに有名なんですか? 私、なんの知識もなくて……」

「は、まじかよ」


 またもパーティ内でくすくすと笑いが起きる。


「性能で言ってもわからないだろうし、わかりやすいのはお値段じゃないかしら?」

「そうだな。……まあ一般人の感覚としてはそういうやり方しかないか」


『なんだ……? なんとなく違和感が。あ、言うほど高くないとか? 驚く準備とかしておいた方がいいかな』


「例えばその右からはみ出てるそれ」

「これですか?」

「いや俺から見てだよ。めんどくせーな」

「あははー……」

「それがだいたい14、5万。他のも全部、それと同じくらいだ」

「その数本が全部ですか!?」


 現金なものでイルルは、武器の価値を意識するとその背中に重さを感じ出した。

 武器にはそういう資産的な使い道を知ったイルルはつい欲が出る。


「あの、四竜征剣って知ってますか。有名らしいんですけど」


 悪意はなかったのだが、それは男の逆鱗に触れたようで顔を真っ赤にして騒ぎ出した。


「何度も言ってるだろうが! ユンニにダースクウカにブリッツバーサーを持ってるやつがいる、なんてのは誰かがいたずらで広めた噂だ!」

「私は初めて聞いたんですけど……」


 助けを求めるつもりで男のメンバーの顔を見るが、不自然なほど目を逸らされた。


『あー……これだけ武器にこだわりがある人からすればよほど憧れて、注目も持ってかれたりするのかな……で、このメンバーはそういう感情を刺激した前科があるっぽい。何度も言った、とか言う辺り』


「前にも言ったみたいにな」

「だから私は聞いてないんですよ」

「ふん! なら今聞け! だいたい四竜征剣なんか持ってたらそれだけで一生遊んで暮らせるってのに、冒険者を続けてるわけないっての!」

「……! 例えばこの武器の弁償費を払ったとしてもお釣りが来るほどの!?」

「なんだてめえ!? なにするつもりだ!」


 男の至極真っ当な指摘により落ち着いたイルルは間一髪、ほどきかけていた手を握り直して荷物を落とさずに済んだ。


「ゴウゥ……」


 ひとしきり騒ぎ終えた会話の隙を見計らったかのように、唸り声をあげてイルル達に近づく影があった。


「キバトカゲか。さっさと片付けちまおう」


 唸った時点ですでに不信感を抱いていたが、大きさもトカゲと呼ぶには、手で覆って捕まえられるものでなく、下手をすれば逆にのしかかられてしまうほどだった。

 その害獣の姿を認めると、パーティは揃って背中越しにイルルへ視線を送る。

 戦闘は契約外ということだったので、イルルはその無言の配慮を甘んじて受け入れる。

 全力で逃げる──が、その後を追ってくるパーティの面々。


「あの? 逃げるんですか?」

「武器はそっちが持ってるからだろうが!」


 武器を渡そうとするが一度走り出してしまうと害獣はすでに興奮状態で、立ち止まってゆっくり支度をさせてくれる雰囲気ではなかった。


「いるもの言ってくれればそれ渡すので、注文ください!」

「ったく……その槍よこせ!」

「はい!」


 並走している男に、先端に刃が着いた、握れる部分が長い得物を渡す。


「これはスピア! ランスを渡せ!」

「とりあえず他の槍ですね? 槍、槍……はい!」

「今度はジャベリンじゃねーか! ランスはでかい円錐形の槍だよ!」

「……大きく分けた槍というものの認識自体は一致してたのに……」


 例えば飲食店では細かい注文を受け付けているところもあるが、人によっては煩わしく感じることもあり、イルルにとってのそれが今の場合で、契約を交わしているためおとなしくしていたが男の指示にはうんざりしていた。

 まだ救いなのは、害獣自体は難なく撃退できたこと。



 ◇



「何でも屋! ランスを渡せ!」

「ランスいっちょー!」


 初めのキバトカゲを皮切りに、道中は何度か害獣と遭遇することがあったが、男はそれなりの腕らしくパーティの女が武器を振るうことはなかった。

 ただキバトカゲ戦におけるどたばたがあったので、男から一通り武器の説明をされ、イルルはもう今では滞りなく注文に応じていた。

 しかしながら全て武器を把握しているかと言われると、残念ながらイルルはそんな真面目な人間でもない。


『この人さっきからランスしか使ってなくない……? 得意な武器なんだろうけどさ』


「斧がいいか……いや、ランスだ」

「……ランスいっちょー」


 迷うことなく注文が来ることもあったが、たまに一考した──かと思うとやはり同じ注文が来る。

 契約内容の通り指示待ちしていればよかったものの、さすがのイルルでも思うところがあった。


『使わない武器でも整理すれば荷物減るのに。まあ、おかげで私に仕事ができてるのは別に感謝してるけど』


 物の重さを自由に変えられる四竜征剣を持っているイルルでなければ、とっくに弱音を上げてリタイアしかねないほどの距離を歩き、目では見えていたものの大回りをしていたのかなかなか近づくことが叶わなかった、荷物の届け先の町まで残すは一本道のみになった。


「害獣は多少出てきましたが、特に大きなけがなく辿り着いてよかったですね」

「……ふん」


 なんでもない言葉をかけたつもりだったが、それにしても男はあまりにも不機嫌な様子でイルルはそれ以上なにも言わないことにした。


「トラぁ!」

「! この鳴き声……まさか」


 最後の最後で害獣の襲来の気配がして武器の支度をするイルルだったが、その特徴的な鳴き声にひっかかりを覚え、その声の主の姿を認めると思わず体が強張る。


「え、獣人(ビースト)……」

「トラ!」

「いつもの通り自己紹介ありがとう……トラの獣人ね」


 獣の頭を持つ人型の害獣──獣人。

 四竜征剣を探し求め、強行手段も厭わない謎多き組織、ジェネシスの主要な戦力だ。

 それらは頭の獣の名前で鳴くのでどういう個体かわかりやすくて、今回のはトラ。


『ジェネシスか……レジスタンスの人達と接触できるかもしれない機会ができたけど……望みは薄いかな』


 獣人は頭の獣が同じでも個体による違いがあって、今回の場合はジェネシスの命令にに忠実に従うはずの獣人が、野生の本能に従い、喉を鳴らして牙を剥き出し今にも飛びついてきそうなほどぎらぎらした目つきでいる。

 前かがみになり四足歩行気味だったのもあり、それがはぐれ獣人──ジェネシスの支配下から外れ、自ら獲物を捕らえて食らい生き延びる野生の生態に戻っていたそれだとイルルは判断した。


「獣人って奴か。おもしれえ、始めて見たがどれだけ楽しませてくれるかな」

「えっと、初めて闘うんですか?」

「なんだ? 俺を信用してねえのか?」

「いや、そんなこと……」


 道中で男の腕前は見てきたが、初めて相手にする害獣だというのでイルルはつい不安を抱いてしまう。

 かといってなにかができるわけでもないので、例の如くランスを渡して後ろへ下がろうとすると道の脇の茂みががさがさと揺れる。


「オオカミー!」

「に、2体目か……ま、まあ、ちょうどいい緊張感だな」


 姿を現したのはこちらもはぐれらしい、狼の獣人。

 害獣の数に応じて大きくなった不安はとうとう表情にも漏れていたようで、イルルのそんな顔を見た男は避難させるというよりうっとうしい邪魔者を退散させるという感じで、害獣達が阻む道から身を挺して1人分の隙間を開け、荷物は置いておかせるとそこを通らせて町まで走らせた。


『肝心の依頼主になにかあったら……じゃなくて、危なそうな雰囲気だったし準備はしておこうかな』



 ◇



 悪いことをすればいずればちが当たる。

 それが今この時なのかと、男は自分の行いを後悔していた。


「うう……」

「……」


 獣人により武器を壊された仲間の女は戦意喪失しており、唯一武器が無事な男の後方へと退避している。

 しかし高品質とされる武器を折ってしまうほどこの獣人が屈強かというかと、そうでもない。

 折られたのは全て精巧なレプリカで、武器として鍛えられていないそれはただの鉄塊に過ぎず、男のランス以外、全てがそれに該当する。


「思えば、今日は最初っからツイてない日だったな……」


 ろくに知識のない何でも屋を呼んでレプリカの武器を見せびらかすつもりが、伝説の四竜征剣の人気にかすむ。

 憂さ晴らしにと計画していたレプリカ(ごみ)の塊を持ち歩かせる嫌がらせも、なかなか平気な顔で粘られて意地になって大回りをしたら挙句この窮地だ。

 冒険者として地道に腕を磨いてきて、それなりに知名度も上がった。

 そしてそれなりの収入が得られると元々の趣味だったレプリカ集めもより本格的になって、そんな戦利品を手にした帰り道に女と出会った。

 知名度がそこそこあったのと、普段から使っている1本だけ本物のランスを装備していたため、他のものも本物だと勘違いされてしまい、あの時に恥をかくの恐れて見栄を張らず否定すればよかったのに。



 ◇



 頭の獣こそ違えど獣人として互いが同族であるという認識はあるようで、2体でのしかかりその重みで男の防御を無理矢理突破しようとし、獰猛な牙がいよいよ青白く血の気の曳いていた喉に迫ろうとしている、その瞬間だった。


「ギャウウウ!」

「ゴワアアア!」


 獣人の毛皮にくっきりと現れた大蛇、または竜が絡みついて締め上げたような跡。

 それはぎゅっと圧縮された風の奔流で、正確に制御されていたそれは獣人だけを吹き飛ばして男から引き剝がした。

 男が安心したのも束の間、全身に走る寒気を感じさせる存在感がしてその方を振り返った。

 そこにいたのはのっぺりした瓜のような仮面を被った女の剣士でその手には──レプリカの収集家である男が見間違えるなどあり得ない、ブリッツバーサーとダースクウカが握られている。


「ガウ!」


 野生の本能で危機を察知したトラの獣人は握り拳を地に着けるサルのような四足歩行で駆けていき、仮面の剣士イルルの体に牙を立てようとする。


『ここならダンジョンの暗黙のルールが無いから、どっちも一撃で処理させてもらうよ』


 真っ直ぐに向かってくる獣人は動きがわかりやすい。

 ぎりぎりまで対象を引きつけて、直前で一歩右前に進み、それまで自分がいた位置にブリッツバーサーを水平にして置いておく。

 片手で、まして左手なので握る力は不安定だったがブリッツバーサーに宿る雷光の能力で補い、飛び込んできた獣人を真っ二つにする──予定のはずだった。


『あれ? 毛皮が厚かったのかな?』


 返しの攻撃はみごと腹に直撃したのだが切断はおろか切創もできておらず、打撃によるカウンターとなっていた。

 悶えているものの獣人は未だ健在である。

 これをイルルは獣人の強靭さと読んだが、傍で見ていた男の見解は違っていた。


『今のは……(しのぎ)に当てたな。得物は確かに本物、だがあのダサい仮面の中身はまさか素人……?』


 男から核心を突かれているとも知らず、イルルは結果的に足止めが成功したのをしめしめと思いダースクウカの切っ先から起こした斬撃の竜巻で獣人を四方八方から切り刻み、異形の生物の末路である灰へと変化させた。

 残っているのは狼の獣人のみで、イルルは彼女だけの構え──腰の左に差していたブリッツバーサーを窮屈そうに腕を曲げながら握り、右手で軽くダースクウカを握る体勢をとる。

 初めて目にする奇妙な構えについて男が深く考察する暇はなく、決着は一瞬だった。

 光の如き速さで獣人との距離を詰めながらその勢いは殺さず、構えていたダースクウカをその体に突き刺す。

 狙ったのは一番大きかった的なのでみぞおちだが、拳に余計な力をかけたせいでダースクウカの先端が上に向き、固かった胸骨に引っかかる。

 やむを得ず力ずくでそれを押し込み獣人を引き裂いていった。

 その場にいた全ての害獣の末路を見届けると、一陣の風を起こして姿をくらまし、町の中へと急いで戻っていく。



 ◇



「みなさーん、だ、大丈夫でしたかー?」


 状況が落ち着いたのを見計らってイルルが男達の元へ駆け寄っていく。

 不自然なタイミングだと疑う者がいてもおかしくなかったが、メンバーの女はすっかり疲弊していて、男の方も2本の四竜征剣の性能を目の当たりにして、心ここにあらずという感じだった。



 ◇



「話がしたい」


 クエストを完了したイルルとの手続きが済んだ後、落ち着ける場所にメンバーを呼ぶ。

 戸惑う女に男は、今まで隠していたこと──自慢していた武器は全てレプリカであったことを打ち明け、頭を深く下げて謝罪する。


「そう……」

「俺は今回のことで目が覚めた。また1からやり直そうと思う」

()()()って、あのチャンバラ剣士のこと?」

「……! お前、見えてたのか?」

「失礼ね。私をなんだと思ってたのかしら。まさかあなたの腕前も知らず、ただレプリカに釣られる安い女だとでも?」

「そ、そこまで……いつから気づいてたんだ?」

「最初から。私は話しかけたきっかけも聞かず、なんか緊張してたらしいそっちが聞きもしてないのにぺらぺらと……ふふふ」

「わ、笑うなよな! レプリカの武器を集めてるなんてかっこ悪い男だと思われるだろうから、あの時は仕方なく……」

「でも、今回のことでなにかを知ったみたいね」


 全てを見透かされているらしいと、男は観念して白状した。


「武器の性能はそのまま冒険者の強さに直結するかと思ってたけど違う。武器に振り回されてる、なんて醜態は晒すだけだ」

「……そうやって飾らずありのままでいるのがかっこいいよ」

「なんだ? なにか言ったか?」

「んー? 別にー? 秘密を明かしたから、これで必死に私を庇う必要がなくなってよかったねって。これ以上折られたらかわいそうだし」

「うぐ……」

「でも私に剣を振らせまいととにかく走り回ってるのを見られなくなるのはさみしいなー」

「なあ、その言い方……まだこんな俺についてくるつもりか?」

「折っちゃったものの弁償代くらいはね」

「いや、あれは別に嘘ついてた俺の責任といっても間違いないから……」

「じゃあ分けてきたクエストの報酬分」

「それも互いに納得済だからいちいち掘り返さねえって。細かい業務として武器の手入れに道具の調達とか担当してもらってて、それに対する正当な分配してたろ」

「……アホ」

「あれ? え、なんで怒ってる……?」

「ああー、ロクに経験も積ませないようにして適当に遊んだ挙句、責任も取らずに放流するような鬼畜に捕まったのが運の尽きだったのね……」

「お、おい! 声がでかい! 誤解されるだろ! わかったわかった、俺でいいなら他所でも通用するくらいの剣術は教えるから」

「他所のパーティ送りは確実なんだー」

「んん……つっても、そんな将来のことは簡単に決められるかよ。今は2人でも当然ここから増えていくのは当然として、だけど俺はそういう経験ないし……一端の男として後悔はさせないつもりだけど、それでも俺でいいのか?」

「そっ! それはそれで急に飛躍し過ぎ!」

「ぐへっ! なんでいきなり殴られた!?」



 ◇



「へくしっ。なんだろ、誰か私の噂でもしてるのかな?」


 屋台の前でくしゃみをしたイルルがそんな冗談を言っていると、やがて注文したドーナツが渡される。


「んー……これが勝利の味……! たまらん……」


 獣人との激闘の内容は、やたら硬かった獣人にも冷静に対処したことが大きく点数を稼ぎ自己評価では100点満点。

 知らぬが仏で、指摘する者は誰もいなかったためイルルは幸せな気分でギルドへと帰っていった。

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