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#1 郵便屋と伝説の武器

ハイファンタジーに挑戦してみました。

 青年アリュウル・クローズ、通称アルは郊外への郵便物の配達途中、穏やかな森の雰囲気にはそぐわない血にまみれた剣士と遭遇した。


「お、おい。アンタ大丈夫か」

「……よかった、人間に遭遇するとは……」

「待っててくれ、今医者を呼んでくる」


 無理に運んで傷を広げることが無いよう、すぐ近くの街まで医者を呼ぼうとアルだがその腕を力強く掴まれる。


「もう助からないことはわかっている。最期の頼みを聞いてくれないか」


 剣士は背負っていたバッグから革の袋を取り出し、アルに差し出す。


「中には届けてほしい手紙があるんだ。私の大切な人達に向けた……」

「最期……待てよ、まだ諦めるなって」

「あとは……これも役に立つはずだ、『四竜征剣(しりゅうせいけん)』」


 アルは掴まれていた剣士の腕から熱いエネルギーが流れ込んでくるのを感じた。


「かつて大地と海、朝と夜を創り上げた伝説の4体の竜の力を宿している剣だ。剣舞、薙ぎ、居合、刺突それぞれの役割に特化してあらゆる状況に即座に対応ができ──」

「アンタ実は余裕ありそうじゃね?」

「……うあああ!」

「思い出したように苦しむな! 死の間際にしては握力強過ぎだろ!」


 剣士は叫びながら頭を抱え、その顔をアルに見せない。


「ふ、キミの言葉でもう少し生きてみたくなってしまった。情けないが、医者を呼んできてくれないか」

「んだよコイツ……まあけがしてる奴はほっとけないしな。とりあえずじっとしてろよ」


『ブリッツバーサー』!!!


「!? うっせ! なんだこれ!?」


 剣士を置いて街に向かおうとしたところ、突如アルの頭上からよく張った声が響く。

 アルだけでなく、音に驚いた小鳥達が周りの木々から一斉に飛び立つ。


「なんで『ブリッツバーサー』が勝手に……え、『ブリッツバーサー』?」


 アルはいつの間にか手にしていた刀の名前を知っていた。

 それは下品に主張をしない厳かに光る金色で、銀色の稲妻の模様があしらってある鞘に収まっていた刀だ。


「おい、まさかこれって……」


 心当たりがある人物に振り向くアルだったが、そこに剣士の姿は無かった。

 辺りを見渡し、耳をすますがそよ風の音しか聞こえない。

 木の陰には血痕も残されていないし、人がいた温もりも無かった。


「夢でも見たのか? けどこれは……」


 アルは託された革の袋に、四竜征剣のひとつ、ブリッツバーサーを確かに手にしていた。


「アル君?」


 森の奥から少女がアルに話しかけてきた。

 ちょうどさっき配達を終えた家に住む、コトハだ。

※ブリッツバーサー → 【電撃(ブリッツ)(つばさ)

鈍く金に光る、全体に走る銀色の電柄が美しい鞘に収まった刀。

回避不可能の雷光の如く、居合術に特化している。

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